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ホームズSFパロディ短編(その他)

 これらの作品は個別に読まれる場合が多いと思いますので、ネタバレ感想は伏せ字にしておきます。作品ごとに範囲指定してお読み下さい。

「時空海賊事件」 (マック・レナルズ&オーガスト・ダーレス)
  風見 潤訳 別冊奇想天外13号「SF MYSTERY大全集」掲載
(以下伏せ字) 輸入税をかけて海賊行為を防止するという解決策はやや脱力もの。それよりも、“弁護士ペリイ・メイスン”の名前が出てきたり、ポンズらが小説の登場人物だったりという、(作中の)現実と小説が混乱するようなメタフィクショナルな手法が面白いと思います。(ここまで)

「異星人ロンドンに現わる」 (マック・レナルズ)
  宮脇孝雄訳 ハヤカワミステリマガジン1977年4月号掲載
(以下伏せ字) 大英博物館を擁するというロンドンの特異性や、暗い場所でも写真が撮影できる機械といった着眼点は、なかなか面白いものだと思います。また、異星人相手に取引を持ちかける名探偵のしたたかさは、強烈な印象を残します。リドルストーリー風の幕引きも秀逸です。(ここまで)

「スカーレティンの研究」 (ジョナサン・スウィフト・ソマーズ三世(フィリップ・ホセ・ファーマー)
  風見潤/安田均 編 『世界SFパロディ傑作選』(講談社文庫BX251)収録
 特になし。

「終局的犯罪」 (アイザック・アシモフ)
  池 央耿訳 『黒後家蜘蛛の会2』(創元推理文庫167-02)収録
(以下伏せ字) 論文の題名の“an Asteroid”という言葉を手がかりに推理を繰り広げているところがアシモフらしく(さらにいえば〈黒後家蜘蛛の会〉らしく)感じられます。そして結論は、某有名なSFミステリを思わせる壮大な内容……と思っていると、最後に示唆される何ともスケールの大きな犯罪計画に圧倒されます。敵役としてのモリアーティ教授の偉大さ(?)を強調する、実に見事な結末です。(ここまで)

「無貌の神の恐怖 殺戮者ホームズの事件」 (ティム・レボン)
  尾之上浩司訳 ハヤカワミステリマガジン2006年2月号掲載
(以下伏せ字) 題名にもなっている“無貌の神”とは、クトゥルー神話に登場するナイアルラトホテップのこと。“無貌の神”という異名の通り、どのような姿もとりうるという変幻自在ぶりを、ホームズの巧みな変装に引っかけてあるところがよくできています。ただ、“蜂”についてはよくわかりません。引退後のホームズが養蜂をやっていたことに絡めてあるようにも思えるのですが、調べた限りではナイアルラトホテップと蜂との関係は見出せませんでした。(ここまで)

「バスカヴィル家の宇宙犬」 (ポール・アンダースン&ゴードン・R・ディクスン)
  稲葉明雄/伊藤典夫訳 『地球人のお荷物』(ハヤカワ文庫SF1576)収録
 特になし。


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