「学級づくり」のページ 本文へジャンプ
 実践に役立つテクニック
「初心者向き」 「経験者向き」
学級づくりのキーワード 力を入れてやってみよう学級活動
新年度の重要ポイント 学級会活動(話し合い活動)に力を入れよう
学級組織をどうつくるか
学級目標を大切にしたい



学級づくりのキーワード

 ― キーワード ―

  ☆ 「だれもが主役」
  ☆ 「いじめはぜったい許さない!」
  ☆ 「目立たない子」
  ☆ 「教室環境」
  ☆ 「3時間10分」


◆ 子どもたちに担任としての思いをきちんと宣言する
  例えば,「だれもが主役」である学級としたいこと,そして「いじめはぜったい許さない!」こと
 など,強く宣言する。
  新しい学級になって不安感をもっている子は必ずいる。
  そういう子を安心させたい。
  「今度の先生は安心だ」と。
  こういう子は,なかなか担任の目に届かない。
  目立たない子に目を向ける学級づくりが何より大事だ。
  また,多忙さに紛れて,意外に目が届かないのが教室環境。
  年度初めから,きちんと習慣化させておきたい。
  机や椅子の高さは? 壁,黒板,ロッカー等はどんな状態か?
  落書きなどはないか? 机やロッカーの中は整頓されているか?
  机の並び方はどうか? 掲示物は? ゴミ箱の中は?
  下駄箱,傘立て,トイレなども確認しておきたい。
  環境の乱れイコール学級の乱れ
  これは確かなことである。。
◆ 目立たない子に目を向ける学級づくりを!
  新学期がスタートした。多くの新たな出会いの中で,子どもたちは新鮮な気持ちで張り切って新学
 年を迎えた。これからの1ヶ月で学級づくりのすべてが決まると言っても過言ではない。
  褒められることもなければ、叱られることもない子どもたちに注目してほしい。教師の目が届きに
 くい子たちを常に意識することによって、クラスの全員の子どもたちが見えてくる。意識して取り組
 んでほしい。
  徐々に人間関係が構築され,集団に入れなかったりはじき出されたりして悩む子が出てくるのもこ
 の時期である。休み時間に教室でぽつんとしている子や保健室前をうろうろしてサインを発している
 子はいないだろうか。こういう子は得てして担任は気づかないでいる。
  学級を一年間円滑に運営するために大切な土台固めの今の時期,担任は積極的でリーダー性のある
 子に目が向きがちである。そうではなく,集団になじめずうまく人間関係がつくれない子や教師に進
 んで寄って来れないでいる子にこそ温かいまなざしが必要である。
   自らの在り方を日々ふり返り,子どもたちの心情を理解しようとするその初心をいつまでも忘れ
 ないでほしい。そして,目立たない子に目を向けることができる担任であり続けてほしい。

 このページの先頭に戻る

新年度の重要ポイント


1 明確なゴールをもつ
(1)できるだけ早いスタートダッシュを!
   「こんな学級にしよう!」「ここまでできる子に育てよう!」というゴールを明確にもってくだ
  さい。そして,ゴール(目的)が決まったら,目標をたてます。ちなみに,目的と目標は混同され
  がちですが,目的…ゴール/目標…ゴールまでの目に見える道しるべという違いがあります。
(2)教師の指導性と児童の自主性
   4月は担任が指導性を発揮することが大事です。学級の基盤づくりのために,担任がやるべきこ
  とはたくさんあります。学級の基本的なルールなど,この時期に確立させておかなければなりませ
  ん。この時期にしっかり手を入れないで,子どもの好き勝手に任せておくと学級は荒れてしまいま
  す。4月・5月は児童の自主性はさほど高くなくてよいと思います。学年末までを見通して,徐々
  に確実に高めていけばよいのです。要は教師が指導性を発揮すべきことと子どもの自主性に任せて
  よいことをきちんと区別することです。
   ちなみに,学級は「
ルール」と「リレーション」で決まります。
                        〈早稲田大学河村先生のQU理論〉
(3)4月にやるべきこと
   それでは,いちばん大事な4月にどんなことをするのがよいのでしょうか。
   まず,クラスの実態をつかんでください。一人ひとりの子をしっかり理解してください。そのあ
  と,「こういう学級をつくりたい」「こんな子に育てたい」というゴールをもってください。これ
  ができれば,あとはそのゴールに向かって具体的な目標を立てていけばよいのです。
   中心的な手立てとなるのは,小集団活動(班活動や係活動)です。
(4)学校行事と学級づくり
   1年間に多くの学校行事(運動会,社会科見学,遠足,学芸会など)があります。各行事を学級
  づくりの中に位置づけ,それぞれのめあてを立てます。例えば運動会は5月ですから,「学級の基
  盤を固めるため,全員が一つの目標に向かって力を合わせる」,学芸会であれば「個を育てるため
  一人ひとりが自分の役割をやり遂げよう」といった具合です。
   行事で育てたい力は何か,行事を学級づくりに生かす,この発想が大事です。
3.教師としての抽斗
  教師としての抽斗を数多くもつことはとても重要なことですが,残念ながらすぐに身につくもので
 はありません。ですから,先輩と話したり,本を読んだり,あるいは外部の研修会に参加したりする
 ことで自分のデータベースを増やすのです。要は自分の向上心,努力です。


 
このページの先頭に戻る

学級組織をどうつくるか

 4月中に確立させたい学級づくりの基盤
  ―キーワードは「ルール」と「リレーション」―

1 担任の方針 
  「先生といっしょにみんなの力で日本一いいクラスを作っていこうね」
  「みんなで相談して決めなければならないことがたくさんあるよ」
2 自己紹介…担任も
 1)今年やりたいこと
 2)どんなクラスにしたい → 学級目標に
3 当初に確認しておくこと
  学校内の様々なルールは厳守すること → 教師の指導性の発揮
4 学級目標を決める
5 生活班を編成する
 1)班編成
   ・どうやって決めるのか
 2)班長を決める・・・・リーダーシップ
 3)座席を決める
   ・どこに座るか
   ・だれと座るか
 4)班の名前
6 係活動・・・・生活班で担当すると効果的
   ・どんな係が必要か(当番活動との関連)
    必要な仕事,こんなことをやると学級が向上する,といった仕事をあるだけ出し合う。
     → 当番活動と係活動に振り分ける。
   ・だれがやるのか (班で担当するのがよい)
   *係活動は,学級生活の充実と向上をめざし,学級内の仕事を分担処理するために,自分たちで
    話し合って係の組織をつくり,全員で分担しながら自主的に行う活動です。
7 班ノートの作成
 1)何を書くか
 2)どのように書いていくか
8 日直をどうする
 1)だれが何人でどんな順番でやるのか(生活班で担当するのがよい)
 2)生活班で受け持ち,1週間単位とする。(週直制
 3)どんな仕事を受け持つか
   ・朝の会帰りの会の司会
   ・授業初めのあいさつ(終りのあいさつ・給食あいさつ)
   ・授業準備
   ・配布物配布
   ・教室整理
   ・整頓・黒板清掃・蛍光灯
   ・時間割確認
9 朝の会・帰りの会
 1)朝の会・帰りの会    
   ・どのように何をやるのか
    あいさつ・出欠確認・係りから・みんなから・先生から・時間割確認
    めあての反省・歌 etc.
10 当番活動をどうする
 1)掃除当番
   ・掃除場所
   ・どの班がどこを受け持つのか
   ・1週間交替でよいか,それとも……
 2)給食当番
   ・どの班がいつ当番をするのか
   ・一週間交替でよいか,それとも……
11 活動の計画
   ・週活動サイクル

 
このページの先頭に戻る

学級目標を大切にしたい

 目標と評価活動 ―学級にある様々な目標評価活動の大切さ―
(1)何をどう評価するか
  ア 学級にはどんな
目標があるか?
   ・学級目標               ・さまざまな学習目標 
   ・係の目標                ・きょうのめあて
   ・年間の,前期(後期)の個人目標     ・新年の個人目標
    ・朝のかけ足の目標           ・読書の目標
    ・その他
  イ どう
評価するか
   ・大切なのは「自己評価」活動です。日々守れているかどうか,到達しているのかどうか,自分
    自身を評価します。
   ・自分たちで立てた目標に責任を持たせましょう。そして,日々自分に問いかけをさせます。
   ・次は学級全員による「相互評価」です。   
   ・教師の評価は,ほめることを中心にしたいです。
   ・定期的に評価の場を持つことが大切です。例を挙げると,短いサイクルなら毎日の帰りの会,
    長いサイクルなら毎週金曜日の帰りの会などがいいでしょう。
   ・システム化させて下さい。
(2)学級目標の場合
  ア 学級目標と級訓(スローガン)の区別を
    教室の正面に学級目標が掲げてありますね。
   「みんな仲よく」とか「だれもが主役」とか・・・。
    でも,これは目標ではなく,級訓だと思うのです。学校で言うと校訓です。学校では,校訓を
   受けて教育目標があるはずです。
  イ 学級目標の立て方
    学校では新年度,「今年度の重点目標」を設定します。ここには,具体的な項目がいくつか並
   んでいませんか。
    勤務校の場合,6項目あります。 
    さらに各項目ごとに,それぞれ3〜5つの具体項目が並んでいます。これを実現させるために
   教職員一丸となって取り組んでいくのです。
    学級目標もこれと同じで,級訓が達成されたときの姿を具体化させ,そこから具体的な目標を
   設定するのです。
    「だれもが主役」の学級とはどういう学級なのか?どんなことができれば「だれもが主役」の
   学級と言えるのか?これを年度当初に子どもたちと徹底的に話し合います。きっといろいろな意
   見が出てくると思います。担任は学級成員の一員ですから,いっしょに考えます。こうして決ま
   ったものが「学級目標」だと考えます。
    評価にあたって,具体化された学級目標ほど,子どもたちが評価しやすいのです。
(3)評価システム
   次は決まった目標をどう評価していくかです。まず学級目標をよく見えるところに掲示します。
   具体例を挙げます。
  「級訓」   ― いつもにこにこ 元気な子 ―
  「学級目標」
    ・みんな仲よくしよう       ・いじめをなくそう
    ・元気よく返事をしよう      ・明るいあいさつをしよう
    ・放課は外で元気よく遊ぼう
   決めただけでは何もなりません。常に子どもたちに意識させ,そして評価することが大事です。
  学級づくりにおける「評価活動」は,とても大きな意味を持ちます。このことをしっかり頭に入れ
  ておいてください。具体的に説明します。
   学級目標の5項目をチェックできるようなカードを作成します。そして,毎週金曜日の帰りの会
  で自己評価,そして学級全体で評価する機会を設けます。◎○△の3段階がよいでしょう。△がつ
  いた項目は,その子の次週の優先目標になります。全員が◎評価をした項目はもう必要ありませ
  ん。みんなできるようになったのだから。誰もがあいさつができるようになれば目標クリアです。
   達成!です。大いに賞賛しましょう。
(3)評価後の活動
   1項目減るわけですが,子どもたちと相談して,新たに入れたい項目があれば入れてもよいでし
  ょう。私的には増やさないで,ゼロにするようにさせたいです。一つずつクリアして,あと3つ,
  あと2つ,あと1つ・・・。やった〜,全部クリア!こんな体験をさせたいのです。
   目標と評価は表裏一体,不可欠の関係です。目標は立てても,評価活動をしない学級が多いよう
  な気がします。個人の目標をズラリと掲示してある学級をよく見ます。しかし,多くの場合掲示し
  てあるだけで,何の評価活動もしていないのでは?評価活動は,どんな目標についても必要です。

 このページの先頭に戻る
力を入れてやってみよう学級活動〈経験者向き〉

1 なぜ今特別活動なのか
  文科省教科調査官:杉田洋氏の指摘する5つの危惧
  昨今のいじめや不登校などの社会問題化により,保護者も子どもも,そして教師も「子どもたちの
 人間関係のトラブル」への過剰反応がみられ,これが集団生活や集団活動への手かせ足かせになり,
 ひ弱な集団活動になっている側面がある。具体的には,
  @人間関係のトラブルの子どもの安易な訴えと大人の即時介入
  A相手を責めたり,批判したりしない建前優先の話し合い活動や表面的な人間関係
  B他者と競い合ったり,切磋琢磨したりする活動の低迷
  C人の先頭に立ち,リーダー役に挑戦したり,リーダーシップを発揮しようとしたりする意欲の減
   退  
  D人間と人間が本気で関わる活動の衰退
  などはその例である。このような状況は実生活の中で人間関係を学ばせようとする特別活動の衰退
 を招く。                         〈初等教育資料18年 度5月号〉

(1)特別活動のねらい
                  @ 心身の調和のとれた発達を図る。
                  A 個性の伸長を図る。 
    
望ましい集団活動を通して  B 集団の一員としての自覚を深める。
                  C 協力してよりよい生活を築く。
                  D 自主的,実践的な態度を育成する。
                                                 *望ましい集団活動を通して…「特活」固有の文言
(2)特別活動の4つの内容
  ・学級活動
  ・児童会・生徒会活動                それぞれの目標を十分把握する。
  ・クラブ活動                   〈 評価規準もそれぞれ必要 〉
  ・学校行事・・・・「行事で育つ力」を意識する
(3)「学級づくり」の重要性を再認識
  ・好ましい人間関係に基づいた望ましい集団活動が推進できているかどうか。
    学級づくりはすべての教育活動の基盤となるもの。
    「楽しいクラス」→だれもが主役になれる学級づくり,子どもたちが主役の学級づくり
             自己存在感・自己有用感が感じられる学級づくり
  ・とりわけ学級活動の充実を。
2 とりわけ学級活動を大切に
  ・学級経営……教師の視点 → 学級活動は学級経営の中心的な手だて
  ・学級づくり…子どもの視点 → 教師も学級成員の一員(子どもとともに)
(1)学級活動のねらい
   学級を単位として,学級や学校の生活の充実と向上を図り,健全な生活態度の育成に資する活動
  を行う。
(2)学級活動の内容
  〔第1学年及び第2学年〕
    学級を単位として,仲良く助け合い学級生活を楽しくするとともに,日常の生活や学習に進ん
   で取り組もうとする態度の育成に資する活動を行うこと。
  〔第3学年及び第4学年〕
    学級を単位として,協力し合って楽しい学級生活をつくるとともに,日常の生活や学習に意欲
   的に取り組もうとする態度の育成に資する活動を行うこと。
  〔第5学年及び第6学年〕
    学級を単位として,信頼し支え合って楽しく豊かな学級や学校の生活をつくるとともに,日常
   の生活や学習に自主的に取り組もうとする態度の向上に資する活動を行うこと。
  〔共通事項〕
   (1) 学級や学校の生活づくり
    ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
    イ 学級内の組織づくりや仕事の分担処理
    ウ 学校における多様な集団の生活の向上
   (2) 日常の生活や学習への適応及び健康安全
    ア 希望や目標をもって生きる態度の形成
    イ 基本的な生活習慣の形成
    ウ 望ましい人間関係の形成
    エ 清掃などの当番活動等の役割と働くことの意義の理解
    オ 学校図書館の利用
    カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成
    キ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
  〔内容(1)と 内容(2) 〕
   ・内容(1) 学級や学校の生活の充実と向上に関すること。
        *学級や学校における生活上の諸問題の解決(話し合い活動),学級内の組織作りや
         仕事の分担処理(係活動)
   ・内容(2) 日常の生活や学習への適応および健康や安全に関すること。
        *希望や目標を持って生きる態度の育成/基本的な生活習慣の形成/望ましい人間関
         係の育成/学校図書館の利用/心身ともに健康で安全な生活態度の育成/学校給食
         と望ましい食習慣の形成 
(3)内容(1) と(2)のバランス
  ・低学年…内容(2)が多くなる。低学年ほど
  ・高学年…内容(1)中心へ移行
(4)「学級目標」を大事にしたい
  ・学級経営目標(教師の目標)/学級目標(子どもたちの目標)
  ・学級づくり・・・・学級目標達成に向けた取り組み。これを受けた小集団や個の目標を立てる。朝の
          会や帰りの会で定期的な評価活動を。
  ・スローガンではなく,目に見える形で具体的に設定する。…評価しやすく
3 係活動を中心においた学級づくり〈私の実践を中心にして〉
  係活動は,学級生活の充実と向上をめざし,学級内の仕事を分担処理するために,自分たちで話し
 合って係の組織をつくり,全員で分担しながら自主的に行う活動です。
  この活動は,子どもたちの興味・関心をはじめ遊び心なども生かされ,発達段階や今までの活動歴
 によって大きく左右されます。また,活動する時間帯も学級によって多様で,学級の独自性(学級カ
 ラー)が出やすい活動です。
  また,係活動のねらいは,子どもの力で学級生活を豊かにすると共に,係活動を通して「自己存在
 感」「自己有用感」「集団への所属感」「責任感」「企画力,実践力」など子ども一人一人 の成長
 を促すものです。

(1)係活動とは
   ・学級生活の充実,向上のために必要な仕事を分担・処理していく活動
   ・当番活動…学級運営のために不可欠,誰もが経験した方がよい学級集団内の仕事
          例:そうじ当番や給食当番,日直
   ・係 活 動…学級生活をよりよくしていくための仕事
        学級生活向上のために創意工夫,発展的活動
  ― 係活動編成の基本 ―
学年 人数 ねらい
1年 1人1役から ・自分の仕事をきちんとこなし,実践能力を養う。やり遂げた充実感を味
 わう。
・自己有用感
2年 2〜3人1役 ・2人で相談しながら,力を合わせてやり遂げる。自分の思いだけでなく
 2人以上での話し合いや実践を経験させる。
3年 3〜4人1役 ・しだいに係の人数を増やし,話し合い,力を合わせてやり遂げる。多人
 数であればかなりのことができる。
・学級に貢献した喜び。もめることもあるだろうが,それがよい体験とな
 る。
4年
5年 5〜6人1役 ・さらに人数を増やし,本格的な小集団活動に取り組む。数人で話し合い
 分担・協力してやり遂げる。
6年

(2)ねらい
  ・自己の責任を果たすと同時に,学級生活の向上を目指す。
  ・学級内の好ましい人間関係を育て,思いやりの心を育てる。
  ・様々な活動への実践力(みんなで話し合って決め,みんなの力で実践する)を育てる。
  ・個性を発揮させ,集団の中で個を生かし,一人ひとりを育てる。
(3)実践計画
  ア 係の設定と所属の仕方
   ・学級目標の実現に向かった積極的な設定の仕方。(学級目標の実現に向けた係組織)
   ・個を生かす,個性が発揮できるような係活動とする。
   ・ 魅力あるネーミング
  イ 活動しやすい組織作り
    ・弾力的に。不具合が生じたらいつでも話し合って改組していけるように。
  ウ 活動計画をしっかり立てる
   ・常時活動と発展的活動(学級生活の向上を目指した活動)
   ・係間の全体の計画・調整も忘れずに。
  エ 活動時間の確保
   ・朝の会や帰りの会を活用する。学級活動の時間を定期的にあてる。週活動計画を。
   ・生活班と係を同一にすることのメリットを生かす。
   ・放課時の活動はできるだけさけたい。
   ―週活動サイクルの例
朝の会 係連絡 係連絡 係連絡 係連絡 係発表会準備
給食後 係の仕事 係の仕事 係の仕事 係の仕事 係の仕事
帰りの会 議題の選定 議題の選定 プログラム作成 プログラム作成 係の仕事
学級活動 係活動発表会
学級会
  オ 活動環境の整備
   ・空いたロッカーなどをそれぞれの係に割り当てる。また,段ボール箱などを用意し,製作途中
    の掲示物などを入れる。
   ・誰もが自由に使える油性ペン,はさみ,のり,セロテープなどを入れた道具箱を用意する。
   ・「学級会コーナー」「係コーナー」等,係が自由に使える掲示コーナーを用意する。
   ・いつまで掲示するかをはっきりさせておく。短いサイクルで更新する。
   ・活動をふりかえるカード(自己評価,相互評価)などで,子ども同士の心の交流を図る工夫を
    する。
(4)実践上の留意点
  ア 好ましい人間関係を育てることを十分に意識した指導を
   ・活動を通して友だちの良さを知る。お互いにカバーし合っていく思いやり
   ・やり遂げた喜びを味わい,自己存在感,自己有用感を体感する。
    (教師の声かけ,係ノートへの朱書きなど)
    ※ 係ノートは必ずつくる。集まって何かやったら必ず記録しておく。そして朱書きを忘れず
     に。実践を認め,ほめる。
  イ 
常時活動発展的活動の区別を
   ・学級を明るく楽しくしていく発展的活動に力を入れる。(目玉仕事)
   ・子どもたちのアイデアあふれる楽しい計画
   ・それぞれの個の良さを発揮させる。個性を発揮させる場ととらえる。
    絵を描くのが得意な子はポスターづくり,作文が得意な子は宣伝文句づくり,
    花が好きな子がいれば草花コンクール,〇〇が得意な子がいればその子を生かすために〇〇大
    会を開く,といったように。だれもが主役になれる場を設定する。
   ・どの係も1回は楽しい目玉仕事の実践を。
   ・実践したら反省を。次へのステップアップを図る。
  ウ 他の係への関心を高める
   ・学級全員で協力していく。他の係の行事に積極的に参加する。係活動発表会を活用。
  エ 掲示物を充実させる
   ・係活動のコーナーを設置し,その時その時の生きた情報を掲示する
   ・流れうごく生きた掲示
  オ 係活動発表会を開く
   ・定期的に(学級活動の時間に隔週)実施
   ・活動状況を発表しあい,質問や意見を受け,お互いに活動を高めていく。(相互評価)
   ・最優秀係(もっとも学級の向上に尽くした係)を決めてもよい。
  ○
係発表会のプログラム
    1 今,力を入れている仕事   3 みんなからの注文
    2 みんなへのお願い      4 先生から
    * 答えられない質問が出たりしたら,翌日の朝の会で回答するなど,責任を持たせることが
     大事。
  カ 評価は子どもサイドに立って
    「あの係,楽しいことをやってくれてよかったね」
   ・子どもの目で見る。実施したらまずほめる。
   ・子どもたち同士での評価も有効
   ・評価の視点は「学級の向上に尽くせたか」「学級のだれもが楽しさを味わえたか」「係のメン
    バーみんなが活躍できたか」「計画をきちんとたてて進められたか」など。
   ―評価方法―
   ・朝や帰りの会での「係からの連絡」から
   ・新聞やポスターを使った広報活動から 相互評価
   ・係活動の発表会から
   ・学級通信でこまめに保護者に活動状況を知らせ,意見や感想を受ける。
   ・ほめることを中心とした評価をこまめにし,子どもの意欲の継続を図る。
  キ 生活班と係を同一組織に
   ・いつでもすぐに話し合いができる。
   ・日直を週直にする。→班で担当する。
  ク 学級通信の活用…週1回の発行
(5)実践事例 ― 係活動の編制と所属のさせ方 ―
  ○ どんな係をつくるか
    係活動は学級生活の充実,向上のために必要な仕事を分担・処理していくための活動です。そ
   して,ある程度の期間同じメンバーで,継続して分担していくものです。このことを子どもたち
   によく理解させ,どんな係が必要か子どもたちといっしょに考えます。
    ここでいう「学級生活の充実,向上」の内容は,学級目標達成を十分に意識してください。セ
   ットで実践するとたいへん効果的です。
  ○ 係組織の決定
    ここでは,仮に「新聞係」「保健係」「図書係」「レクレーション係」「体育係」「飼育・栽
   培係」の6つの係ができたとします。 
  ○ 所属の決定
    私は生活班と係を同一としていました。つまり,生活班で係を受け持つのです。
    生活班(だいたい5〜6人)は6つでした。当然,席は集まっています。この班でどの係を担
   当するか話し合います。
    その結果,次のようになりました。
     1班:飼育・栽培係  2班:新聞係  3班:保健係  4班:図書係
     5班:レクレーション係   6班:レクレーション係
    さあ,レクレーション係が重複してしまいました。どうしますか?私は希望通りそのままやら
   せました。つまり,レクレーション係が2つ存在するのです。ということは,体育係がありませ
   ん。何はともあれ,活動をスタートさせるのです。
    じゃんけんか多数決で決めるものと思っていた子どもたちは,「えっ?」という顔をしていま
   す。子どもたちの常識を覆すやり方です。とにかく,この体制で活動をスタートさせます。
  ○ 立て直し
    それぞれの係が「常時活動」は当然のこと,「発展的活動」の計画を立てていきます。1ヶ月
   もすると,子どもたちから「先生,レクレーション係は2つもいらないよ」という声が上がって
   きます。また,「先生,やっぱり体育係はあった方がいいよ」という声も上がります。(上がっ
   てこない場合は,そういう声が上   がるように,ときどき声かけをするのです。たとえば,
   「体育係がないから不便だなあ」「レク係がやっている活動,よく似ているなあ」など)。
    そういう声が出たところで,もう一度学級会を開きます。そして,係組織について,今までの
   経過を踏まえた上で,じっくり話し合います。ついでに,それぞれの係のふり返りもします。
    こうして改善した組織は,その後とても順調に動いていきました。
   *注:生活班と同一でない場合も,同じ方法で実践可能です。
4 各教科,道徳,総合的な学習の時間との連携
  →「場」を意識的につくっていくことを忘れずに!
  特別活動の特質である集団活動を充実させるためには,各教科等の学習で獲得した関心・意欲・態
 度,知識や技能などが集団活動の場で総合的に生かされ,発揮されることが必要となる。その結果,
 集団活動で培われた自発的,自主的な態度が各教科等の学習によい影響を与えることになる。
  ・各教科での実験や調査活動などグループで課題を解決する学習では,役割を分担しながらみんな
   で協力して計画,実践,評価することが大切。
    また,係活動で必要な調査・統計・結果の表示などの基礎となる能力は,算数科や社会科等の   教科で培われる。
  ・道徳の場合,実践的な係活動を通して集団の一員としての自覚を深めるとともに,友達と助け合
   いながら学習や生活をしようとする態度,集団に主体的にかかわっていこうとする態度など,望
   ましい道徳性を身に付けることが可能となる。
    また,道徳の時間に育てられた道徳的な心情や判断力は係活動を支え,推進する力となる。
  ・総合的な学習の時間の場合,最も効果的に左右する。総合では,子どもが問題の解決や追究活動
   に主体的,創造的に取り組むことが求められる。そこでは,計画や運営などで係活動で身に付け
   た自発的,自主的な組織づくりや活動の進め方が応用され,発揮される。
5 むすび
  学級会活動,とりわけ係活動は,子どもたちが主体的・創造的に活動しながら,よりよい学級生活
 を築いていく活動である。
  係活動を通して,子どもたちは,自分や友だちの願いを理解し,それを生かしていくことの大切さ
 に気づくであろう。また「みんなの役に立っているんだ。みんなもそ れを認めてくれたんだ。」と
 実感するであろう。このことにより,好ましい人間関係が醸成され,いじめやトラブルのない,明る
 く楽しい学級が創りあげられることであろう。


 
このページの先頭に戻る
学級会活動(話し合い活動)に力を入れよう〈経験者向き〉

■ 学級会とは?
  まずはじめに〈学習指導要領解説 特別活動編〉から読み解いてみましょう。

  ―学級や学校における生活上の諸問題の解決―
  この活動は,学級や学校の生活の充実と向上に関する諸問題について,一般的に「学級会」と称されること
 が多い会議の場で話し合い,話し合って決めたことなどを協力して実践していくことが主な内容となる。学級
 会などで話し合う内容としては,楽しい学級にするための様々な内容や集会活動の計画,充実した学級生活を
 送るためのきまりや創意工夫,代表委員会などへの学級としての意見の提案などが考えられる。これらは,い
 ずれの場合においても児童の発意,発想を大切にして取り上げる必要がある。
(ア) 話合い活動
<低学年の指導>
  入学当初は,教師が話合いの司会の役割を受けもち,記録についても担当するなどして,話合いの進め方を
 実際に見て,理解できるようにする。その後,司会や記録の役割の一部を児童に任せ,教師の助言を受けなが
 ら,話合いの進め方を実践を通して身に付けることができるようにすることが大切である。
  また,事前に自分の考えをもって参加できるようにしたり,あらかじめ示された話し方や手順に従って意見
 を発表し合ったりすることも大切である。
  その他,低学年における話合いにおいては,自分の意見を主張することのみに集中することがあるので,互
 いの意見をよく聞いたり,気遣ったりして,仲良く助け合って話合いを進め,学級生活を楽しくするための集
 団決定ができるように適切な指導をすることが必要である。
  なお,子どもたちの実態によっては,話合い活動の計画を作成する計画委員会を組織して運営に当たれるよ
 うにすることも考えられる。
<中学年の指導>
  中学年になると,ある程度まで自分たちで,学級会を運営していくことができるようになる。中学年では,
 話合い活動の計画を作成する計画委員会を設け,これらの役割を十分に指導しながら,少しずつ話合いが自主
 的にできるようにしていくことが望ましい。計画委員会は輪番で担当し,教師が助言しながら,全員が経験で
 きるように配慮することが大切である。
  話合いについては,協力し合って進め,事前に考えてきたことについて,理由を明確にして分かりやすく話
 したり,異なる意見にも耳を傾け,公平に判断したりして,楽しい学級生活をつくるために折り合いをつけて
 集団決定ができるように適切な指導をすることが大切である。
  なお,自分の考えと異なる意見に決まっても,気持ちよく協力することの大切さを実践を通して理解できる
 よう配慮する必要がある。
<高学年の指導>
  高学年では,児童が活動計画を作成し,役割を分担して話合いが自主的に進められるように配慮する。その
 際,司会や記録,話し合いの隊形や進め方などを工夫して,効率的,計画的に話合いが進められるようにす
 る。
  具体的には,自分の言葉で話せるようにしたり,建設的な意見が言えるようにしたり,意見の発表方法を工
 夫できるようにしたりして,話合いの質的な向上を図ることが大切である。
  また,学級のことに留まらず,学校生活全体にかかわることも取り上げるよう助言したり,多様な意見のよ
 さを積極的に生かし,信頼し支え合って話合い活動を進められるようにしたりして,楽しく豊かな学級や学校
 生活つくるためによりよい集団決定ができるように適切な指導をすることが大切である。
  なお,身に付けた話合いの知識や技能については,児童会活動やクラブ活動においても活用できるように指
 導することが大切である。
■ 学級会(話し合い活動)の進め方
  では,具体的にどう進めればよいのでしょうか?
 1.学級会の流れ
  1)
議題を決める(計画委員会において決定する)
   *学級の全員で解決しなければならない問題を選ぶ。
    a)議題ポストなどを設置し、議題としたい問題を集め,その中から選定する。これとは別に年間計画
      に組み込まれた時期的な議題もある。
    b)教師が必要性に応じ,意図を議題を選ぶこともある。
  2)話し合いの計画を立てる
    a)
話し合いのプログラム(話し合う内容と順序)をきめる。
    b)話し合いの準備(議長・副議長や黒板書記・ノート書記の決定など)
  3)議題を知らせる
    a)朝の会(帰りの会)で議題とプログラムを発表する。
    b)議題とプログラムを学級会ノートに写す。
  4)話し合いをする(学級会の時間)
  5)決定したことを実行する。
  6)全員で評価をする。・・・・決まったことがきちんと実践できたかどうか。
 2.学級会の組織・役割
  1)計画委員会(数名:生活班から1名)
    a)議長・副議長・黒板書記・ノート書記を決める。
    b)議題を選び、話し合いのプログラムを作成する。
    c)朝の会や帰りの会で議題とプログラムを発表する。
    d)話し合いの準備をする。
 2)議長の役割
    a)議題確認
    b)話し合いの進め方(順序)確認
    c)話し合いの司会
    d)決定事項の確認
 3)副議長の役割
    a)開会の言葉
    b)多数決のとき人数を確認し(賛成○人、反対○人)、議長に知らせる。
    c)たえず黒板書記に注意して議事の進行を助ける。
    d)進行具合を確認する。
 4)黒板書記の役割
    a)黒板に月日、時間、議題名、話し合いの順序を前もって掲示したり書いておく。
    b)出された意見の要点を簡単に書く。
    c)決定事項を記録する。
    d)途中で決まったことがあれば朱書きするなどわかりやすくする。
 5)ノート書記の役割
    a)ノートに月日、時間、議題、提案理由(内容)、提案者,議長,副議長、黒板書記、ノート書記を
      記録する。
    b)話し合いの内容、出された意見、決定したことを詳しく記録する。
    c)決定事項の確認のときに決定したことを読み上げる。
 6)議題提案者の役割
    a)議題を提案し、議題を提案した理由を説明する。
    b)「なにを」「なぜ」「どうするか」をわからせる。
3.学級会の進め方の順序
 1)話し合いの順序
    @ 開会の言葉
    A 議題の確認
    B 提案理由の説明
    C 提案理由への質問・意見
    D プログラムの確認
    E 話し合い
    F 決まったことの確認
    G 先生の話
    H 閉会の言葉
 2)提案理由を十分説明する。→なぜこのことを全員で話し合うのか。
 3)必要に応じて、提案者の説明不足を補う。(議長・担任)
 4)話し合いの進め方を確かめる。(書記)
   議題についての話し合いを、どんな順序で、どのようなことを話し合うのかをみんなに知らせ、どこでど
  んなことが話し合われるのかを理解させる。そして、黒板に書いた順序で話し合いを進めて良いのかどうか
  を確かめる。
   順序を変えたほうが良いと言う意見が出た場合には、みんなに確かめて決める。
 5)話し合い
    a)指名はかたよらないこと
    b)発言者が少ないときには、班とかとなりの人で話し合う時間を与えたり考える時間を与える。
     (2〜3分)
    c)手をあげない人でも考えているような人には、指名してみる。
    d)発言が少なかったり、話し合いが行きづまったり、混乱したりしたときには、今何を考えているの
     かをみんなにわからせるようにする。
    e)小さい声の発言には、議長が言い直したり、発言者を助けながらみんなにわからせるようにする。
    f)多くの人の意見を引き出し、みんなが良いとなった形で決めるようにする。
    g)多数決よりも、できるだけ話し合いで決めるようにする。
      決めるときはそれぞれ自分の考えを決定するための時間を取り、
      みんなの自分の態度がはっきりしてから決定する。
    必要なときは担任の発言(指導性の発揮)もある。
 6)決定したことを確かめる〈議長〉〈ノート書記〉
    話し合いで決定したことをノート書記に読み上げさせ、それに間違いがないかを確かめる。
 7)先生から〈議長〉〈先生〉
    よかったことをほめ,次回の学級会でも意欲を持ち発言できるように励ます。
    「話し合い」の良かったところをほめる。
 8)学級会ノートに決まったことと反省を書く。
 9)閉会〈副議長〉
    「これで第○回学級会を終わります」と言う
4.注意事項
 1)質問の仕方
    a)はっきりした声で、ていねいに質問する。
    b)何を聞いているのかがわかるように質問する。
    c)一度に多くの質問をしない。
    d)大切なことをまとめて質問する。
    e)親切な質問をする。
 2)議題について
    a)議題は学級の中のどこにでもある。→ 気づくか気づかないか?
    b)みんなで話し合って決めなければならないことが議題になります。
    c)各委員会、係、当番、グループの問題や、学級の中で困っていることなどが議題となる。
    d)学級生活が向上していくということが議題になる。 
 5)その他
    a)発言するときにはどうしてそう思ったか(理由)を言う。
    c)学級全体のことを考えて発言する。
    e)賛成か反対の立場をはっきりさせる。
5.議題選定の基準
  ○ 学級生活をよりよく,楽しくできる。
  ○ 学級の問題で,みんなに関係がある。
  ○ 急いで解決しなければならない。
  ○ 決めたことを具体的に実行できる。
  ○ 自分たちで創意・工夫ができる。
  ○ 自分たちで決めることができる。
 ★次のような内容は議題としてはならない。【子どもたちの自治的活動範囲の逸脱】
  ○ 自分たちの安全に関係があること(命にかかわること)
  ○ 自分たちでばつを決めること
  ○ お金を集めたり,物を集めたりすること
  ○ 学習の班や席を勝手に変えること
  ○ 時間わりを勝手に変えること
  ○ 学習する内容に関係があること
  ○ 学校のきまりに関係があること
  ○ 学校の外の生活に関係があること
  ○ その他,担任が望ましくないと判断したこと
6.事後の指導
  
議決されたことがきちんと実践できたかどうか?
  
このことを子どもたちに自己評価,相互評価させることを忘れてはならない。
  また,教師も必ず活動の評価,そして自己の指導を評価する。
 

 このページの先頭に戻る