極東見聞録

◆  Mr.Children  ◆
◆「Concert Tour Q」◆

         2000年10月 於国立代々木競技場

 

ずーっと前から一度行きたかったライブ。
ようやく念願のかなったライブ。
Mr.Children、いわゆるミスチル。
個人的には今、日本で最高のバンドではないかと思っているので、喜びもひとしお。
オマケになかなかチケットも手に入りにくいときていればなおさら。
そんなチケットが、なぜ手に入ったか。
今回のこのライブのツアーは、「Supported by BIGLOBE」。
今あなたが見ているこのHPの在り処は、BIGLOBE。
ということで、ひょんなことから理由アリで手に入れることができたのでした。
そんな6300円の紙切れを握り締めながら、代々木へと乗り込む秋の夕暮れ、外は雨。

それにしても広いのぅ、競技場は。
その広さに呼応して、人間も、入るわ、入るわ。
これだけの人数を奴隷船に詰めて売り飛ばしたらエラい儲けだな、などと思えるほど人がいる。
見渡せば、さすがに若い姉ちゃんたちが多い。
やっぱり彼らミスチルは、アイドル的存在なのだろうか。
しかし、結局20分押しで始まった演奏は、ミーハーな気持ちではかなわないほど骨太だった。

主に最新アルバム『Q』からの曲が多かったのだが、
そこに昔の曲を織り交ぜつつの演奏。
映像もからめたりしながら、飽きさせない曲構成(飽きるわけも無いが)。
始めにガツンとくる曲で観客を打ちのめし、
中間部ではまったりとラブ・バラードで女たちを酔わせ、
続いてのグルービーな曲で激しくしびれさせ、
そのままクライマックスへと大団円。
アンコールでようやくメンバー紹介も挟みつつの、計2時間15分。
実に密度の濃い内容。

最新アルバムは、なんともヘンなアルバム、という第一印象から
聴きこんでいくうちに良くなってくる、だんだんと伝わってくる、という感じがしたのだが、
ライブでは、それがもう分かりやすくはっきりと伝わってくる、という印象。
なんというか、生というのはストレートに伝わってくる。
そこが「Live」の醍醐味かしらん。
アレンジも、甘い曲はより甘く、ヘビーなものはよりヘビーに。
周りの観客は、そんな曲に合わせて
アイドルのコンサートみたいにみんなで手を前後に振ったりしている。
まあそんなのも悪いとは言わないものの(実際私も一緒にやってた)、
でもどちらかというとミスチルのライブはビートに合わせて激しく身体を動かす、
といった形の方が相応しいのではないか、と思えるような演奏であった。
ミスチルというと「桜井さーん」という黄色い声ばかりが聞こえるが
太いリズムが土台にあるからこそ成り立っているように思えるバンドという感じ。
そんな意味では、アイドルちっくな手の振り振りなどではなく、
私の三つ前の席にいた姉ちゃんの
激しく頭を振りながら踊る、というスタイルのほうが合っていたのかもしれない。
この人たち、ライブハウスとかで演ったらかなりすごいと思うぞ
(違う意味で、ダフ屋のチケットの値段とかもすごそうだが)。

昔の曲の中でビックリしたのは、
『抱きしめたい』という曲をやったことだった。
とは言ってももちろん沢田研二の昔のヒット曲ではなく、
彼らの7、8年ほど前のラブソングのこと。
この曲はなんでも前の別れた奥さんに向かって書いた曲らしく
(曲を書いたのはまだ独身の頃らしいが)、
そんな切ない想いがあるためライブではもう演らない、ような噂を聞いたことがあったので
この曲が始まると観客からはざわめきと歓声が。
やっぱり曲というのは気持ちが入っちゃうんだろうからねえ。
ってなわけで、MCでも彼らがみずから言っていたとおり
昔の曲も「出し惜しみせず」に演奏してくれたのでした。

演奏中の彼らは、実に楽しそう。
特にドラムの鈴木氏は、延々と笑いながらドラムを叩いてた。
ベースの中川氏も「俺はベースを弾くのが好きなんだ」と言わんばかりにひたすら弾いてる。
ギターの田原氏は、上手いんだかヘタなんだか始めは分からなかったが
後半の激しい曲になってきたらどんどん燃えてきたような演奏。
普段は寡黙な様子なのだが、実は熱い男なのね、と思わせてくれる。
そして、ギターを弾き弾き歌うのは桜井氏。
はっきり言って、カッコい〜〜。
正直言って、ホレた。
男にホレたのは、『M:I-2』のトム・クルーズ以来、生まれて二人目だわ。
そのぐらいカッコよかった。
客をあおりつつ、腰をくねらせつつ、笑うような泣くような顔で高音のメロディに載せて訴えかけてくる。
こりゃ姉ちゃんたちが黄色い声を上げるのも分かるわな。
ってなわけで、素晴らしい演奏。

しかし私が思うに、ミスチルの良さは、やっぱり詞だなー。
ちなみに学年では彼らは私の一つ上。
そんな男が書く詞は、同年代の自分には身に染みてくる。
なんと言うか、簡単にいえば彼らの言葉一つ一つに共感しちゃうね。
昔の少年達が尾崎豊に代弁者になってもらっていたと同じように。
また、歌詞の韻の踏み方も独特、というか特殊。
ただ聞いてるだけじゃ何言ってんだか分かんないような時もあるので
彼らの歌は歌詞カードをよく読みこむべし。
こりゃーうまい、と、青汁ばりに唸ってしまうこと請け合い。
そういう意味からも、私にとっては日本で最高のバンドなのでした。

それから、ライブで分かったこと。
彼らは人柄もいいようで。
それは、メンバー紹介にも表れていたりして。
メンバー紹介は、まずサポートのキーボード二人、そしてサポートギタリストを紹介。
その後に続ける桜井氏、
「そして、あとの残りが、チ○コ四兄弟で〜す」
代々木超満員の面前でマイクを通してぶちまける、さすがはアイドル的存在。
素晴らしいお人柄。

そんなわけで、すさまじい一夜を過ごしてきたのでした。
ちなみに今までの私のベストライブは
ピチカート・ファイブ(於CLUBチッタ川崎、
ライブハウスだったので小西康陽のおかっぱ頭が間近で見れた)と
横浜銀蝿(再結成後ライブ、まさか生で観る事ができるとは思ってなかったので超感激)と
この二つだったのだが、そこに加わったのが、今回の「Mr.Children」。
本当はこのHPのためにこっそりデジカメで写真でも撮ってこようかとも思ったのだが
さすがにちょっと控えておいた小市民なボクチャン。
しかし、著作権や肖像権を違反してもいいぐらいのライブではありました。

でも、やっぱり写真撮ってくればよかったかなあ。
記念だしなー。
もう二度と行けないだろうからなあ、
ミスチルのコンサートで前から6列目なんて。

  結論:「ミスチルは、ライブバンドだ。」


《演奏曲目》

 ・その向こうへ行こう
 ・光の射す方へ
 ・ニシエヒガシエ
 ・CENTER OF UNIVERSE
 ・名もなき詩
 ・ロードムービー
 ・(知らない曲)
 ・クラスメイト
 ・抱きしめたい
 ・Surrender
 ・つよがり
 ・NOT FOUND
 ・十二月のセントラルパークブルース
 ・スロースターター
 ・everybody goes −秩序のない現代にドロップキック−
 ・Everything is made from a dream
 ・口笛

(アンコール)
 ・友とコーヒーと嘘と胃袋
 ・Hallelujah

――などなど、大体こんな感じ。

 

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