極東見聞録

◆   AJICO   ◆
◆「2001年 AJICOの旅」◆

               2001年3月20日 赤坂BLITZ

 

「AJICO」、と書いて「あじこ」と読む。
UA(うーぁ)、
RIZEのTOKIE(ときえ)、
ブランキー・ジェット・シティ解散後の浅井健一(ベンジー)、
スタジオミュージシャン(?おそらく)の椎野恭一、
からなる、企画モノ的ちょっとしたスーパーバンド。
そのツアーの最終日、いわゆるツアーファイナルのチケットをゲット。
場所はライブハウス、赤坂BLITZ。
しかも入場整理番号が、A−10番。
ってことは、前から10番目に中に入れる。これはもう行くしかない。
などと思いつつも遅刻ギリギリで会場に到着。しかしなんとか10番目に入場。
最前列・ド真ん中の位置をガッチリ確保。
これでナマUAがどんな顔をしているのかを見極める態勢はすべて整った。

ツアーに先駆けて出た1stアルバム『深緑』は、
ボーカルにギター+ベース+ドラムと非常にシンプルな構成だが
それぞれの音と音の間の空白に高い緊張感がある、というような感じ。
で、今回のステージも同じ4人のみの編成で、
深みのある演奏の中に緊張感をもたらしつつ、
聴かせるところは聴かせ、揺らすところは揺らす、という進行。
大人の味わう緩急のついたロック、といった趣か?

 

ドラムの椎野恭一、
この人はひたすらドラムを叩いてる。
「ぼくドラム大好きっ」というよりは、なんというか
修行僧のようにひたすら叩いてるタイプ。
派手ではないのだが、非常に分かりやすいリズムの取り方で
ここから盛り上がるんだ、ここでクライマックスだ、というような味わいが
ドラムのみでも分かるような演奏。何というか、ストイックなドラマー?
ちなみに、オデコの広さを隠しているパーマ髪が演奏中の汗に濡れてへばりつき
見ているこっちとしてはそれがどうも気になった、などという話は
演奏とは関係無いので触れない。

ベースのTOKIE。
UAとベンジーという大物二人をちょっぴり気にしぃ気にしぃの演奏となるのは
若さゆえにまあしょうがないとして、
この人の演奏が個人的には良かった。
普通のエレキ・ベースと
アップライト・ベース?コントラバスのようなでっかいベースとを使い分けていたのだが、
特にそのアップライトでの演奏が
ジャジー(カタカナじゃよう分からん)Jazzyというかブルージーな雰囲気を
絶妙に醸し出していて、このバンドの大事な要素を形作っていたように思える。
しかも、こんな飛び跳ねるようなライブハウスで
ベースをコントラバスのように弓を使って弾いたりしている様子には、
「この人昔オーケストラやなんかで弦楽器を学んだんじゃないか」的見方も可能。
あんな細くキレイな指でよく自分より背の高いベースを弾けるもんだ。
しかし、この人に関して特筆すべき最重要事項は、
最前列だからこそ分かったのだが、この人すっっごいベッピンさん(死語)。
おそらく現存する日本のベーシストの中ではもっとも美人なのでは?
今後RIZEというバンドを目にしたら、まずはベーシストの顔を見るべし!!

ギター&ボーカルの、ベンジー。
この人の高めの声がもともとあまり好きというわけではなく、
ブランキー・ジェット・シティ自体
「日本のバンドで実はもっとも恐そうなオニイチャン達」というイメージで
ほとんど聴いたことはなかったのだが、
このステージで、彼のカリスマ的熱狂を集める理由がなんとなく分かった。気がした。
とりあえず、この人の演奏には、微笑みなどはほとんど無し。
というか表情無し。まさに無表情。
こちらもただひたすらギターを弾いている、あるいは弾きまくっている。
それは「楽しんでいる」演奏、と言うより「何かをぶつけている」演奏、といった感じ。
自分の中にある何かをぶつける演奏。それに聴衆は惹かれるのか。
この人が叫ぶとオーディエンスも叫ぶ。まさにカリスマ的。
それにしても、何故この人は「ベンジー」なのか? それだけが疑問。

そして、UAの歌。
実に、存在感がある。
女性ボーカリスト(あるいはシンガー?)としては
この人、日本でも屈指の存在のはず。
技巧としての歌唱力がある人ならヒットチャートの中にもたくさんいると思うが、
歌わずとも存在感を示すことができるシンガーというのはそうそういないのでは?
(もちろん歌は上手い。非常に味のある歌声。)
ある意味、本当の大物かも。
ベンジーのボーカルの間、踊っているだけでもサマになってるし。
観客からは「UAかわいぃ〜」の声も。
正直、実物を見るまでは予想だにしなかった声援。
でも真偽はともかく、ステージ上のUAはたしかにかわいいと思えた。
髪につけた花も、ヘソにつけたピアスも、足に立ってた鳥肌も、
それぞれの要素が「UA」だった。
それにしても、体、細すぎ。
とても子供を産んだ体とは思えないくらい細い。
とりあえずはそれがUAについては一番のビックリ。

このような実力派4人が、終盤までほとんどMCも無くひたすら演奏し続ける。
空白の中に漂う、濃密な空気。
4人それぞれの実力が伴っていないとこれは作り出せない。
いや〜、これぞプロ、というステージ。

勢いだけの若者にゃこんなライブはムリね。

 

《演奏曲目》

・青い鳥はいつも不満気
・Take Five
・すてきなあたしの夢
・美しいこと
・GARAGE DRIVE
・毛布もいらない
・悲しみジョニー
・深緑
・フリーダム
・カゲロウソング
・午後
・波動

他。
アルバム曲をメインに、「悲しみジョニー」などUAの曲や、
中には「Take Five」などといったジャズ要素あふれる選曲も。
UAのシンガーとしての力量が光る。

 

それにしても、メンバー紹介の後ぐらいにベンジーが
「今日でお別れです」などと言っていたのだが、
これはただ単にツアー最終日だからなのか、
それともAJICOとしての活動自体、しばらく終わりなのか。
もしかしたら、もう二度とAJICOは見れないのかも。。。

そうなると、オレってばある意味、歴史の生き証人?

 

文字、多すぎたかな?

 

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