CARグラフィック

01年4月10日


 

まぼろしの創刊号

1962.4

 

 CARグラフィックは1962年の発刊ですが、私は1965年から1980年までほぼ毎月購入し、現在は特に面白そうな号を購入しています。60年代のCARグラフィックの印象はかなり強烈なものがありました。当時の小林彰太郎さんの評論は文字通りの本音評論で、他の自動車雑誌とは明確に一線を画したものであり、しかも記事の内容はマニアックかつ正確で、「この雑誌なら信用できそうだ」と思わずにはいられませんでした。

 この印象は現在まで続いており、多くの自動車ファン、自動車評論家、そして自動車メーカーに大きな影響を与えています。1976年にはあの有名な(一世を風靡した)徳大寺有恒さんの「間違いだらけのクルマ選び」が出ましたが、もちろん本音評論のパイオニアがCARグラフィックである事は知る人ぞ知る紛れも無い事実です。

 それでも発刊当時はかなり苦労があったらしく、今日、CG CLUBにより知るところに依れば、発刊当時は売れ行きが思わしくなく、ニ玄社社長の渡辺隆男さんの言によれば、「死んだらどれだけ楽になるだろうか」とさえ思われたそうです。そんな時でも小林さんは「売れないのは売り方が悪いから」と平然としていたそうで、なんとも小林さんらしいと言う事が出来るでしょう。

 現在CARグラフィックは自動車雑誌の中では群を抜いた存在となっております。例えば2年ほど前にCG CLUBの行事でホンダ・コレクションホールを訪れたことがありましたが、ホンダ側の待遇はとても良く、特別に工場裏のミニテストコースでの歴史的車両の試走を見ることが出来、この時私は初めてRCレーサーの快音を聴くことが出来ました。さらに帰りにはお土産としてネコ・パブリッシング作成の「ホンダ・コレクションホール2・3・4」まで頂戴しました。

 また2年ほど前にル・ボランからCARグラフィックに移った某氏の言によると、新車の発表会の場などでは、CARグラフィックの編集者が到着するとメーカー担当者の間でメモが回り、途端にその場の雰囲気がシャンとすると言う事もあるそうです。

 CARグラフィックの特長の最大のものは記事が正確だと言う事でしょう。1968年からロードテストでは小野測器で特別製作した第5輪による計測をしており、これは現在はライツ社のコレヴィットという光学式の物に発展していますが、私などはこの計測値をかなりあてにしています。(コレヴィットはなんと800万円もするそうです)。下は200bhpのスーパーセブン・ボクスホールと、これを240bhpにチューンしたJPEのデータです。

 
100〜120km/hの追い越し加速 (秒)
  2速 3速 4速 5速
ボクスホール・レーシング 1.5 1.9 2.3
JPE 1.1 1.8 3.2 5.9
 
 これを見ると個体による違いと言うこともあるでしょうが、JPEが速いのは高回転のごく一部だけであることが分かり、両者の性格の違いが良く分かります。実際に筑波ではJPEとレーシングはさほどタイムが違わないとされているようです。現在自動車雑誌でこうした計測を実施しているのはもちろんCARグラフィックだけです。(早くスーパーセブン・Kレーシングの計測をしてください)

 記事が正確であるという事はもう一つ、表現が的確であると言うこともあります。他の雑誌では時折表現に違和感を持つと言うことがありますが、CARグラフィックの場合には「なかなかうまい表現だな」と言うケースが多く、正確な表現を大事にしているという印象を受けます。

 この頃はかなりボリュームが増大し、総花的な感じがする事も事実ですが、クルマを買おうとした場合に一番確実に参考に出来る雑誌と言えばCARグラフィックをおいて他にはないと言うのが多くの自動車ファンの一致した見方でしょう。

 私のホームページの名称はCARグラフィックと言う名称を参考にした物です。

 
CG CLUB News Letter 2001.4.20

 

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