レーシングエンジンの過去・現在・未来

07年7月16日


中村良夫

発行・グランプリ出版

発売・山海堂

1981.11

 
中村良夫さんの本はほとんど読んでますが、「レーシングエンジンの過去・現在・未来」はまだ読んでなかったので探して購入して読みました。

1906年のルノーから1981年のBMWまでの、主としてグランプリレースに出場したクルマのエンジンを中心にかなり詳しい説明があります。エンジンの説明だけでなく、クルマそのものの説明と当時のレースの様子も必要に応じて書いてあります。

この手の本としては恐らく最も詳しく調べて書かれていると思います。はじめてわかったことも随分ありました。

スーパーセブンに乗る者として面白いと思ったのは、メルセデス・ベンツW196は1954年のデビュー当時はスポーツカーのようにホイールをカバーした車体でしたが、すぐにホイールむき出しのフォーミュラカータイプに変わりました。
この理由はスポーツカータイプだと前輪が見えずにコーナーでの位置決めに困ったからとあります。

これはサイクル・フェンダーのスーパーセブンを選ぶのと同じ理由です。ホイールが見えるというよりもホイールのすぐ前の地面がよく見えるからいいんですね。
見てくれはクラムシェル・フェンダーのほうが私はかっこいいと思うんですが。

スーパーセブンに関係の深いコベントリー・クライマックスとコスワースDFVについてもかなり詳しい説明があります。
面白いと思ったのはコスワースDFVは燃費性能を向上させてレース開始時の車重軽減化を図ったそうです。中村さんはコベントリー・クライマックスとコスワースが特にお気に入りだったみたいですね。

夢中になって読むというほど面白いものではありませんでしたが、資料として第一級の価値があると思いました。自動車評論家必携というべきでしょうか。

なお発売が山海堂で発行がグランプリ出版になってるのは、グランプリ出版の尾崎桂治さんが山海堂に勤務してるときに中村さんにこうした本の出版を持ちかけたからだそうです。

 

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