第七章  白い羊達

めぐみさんの家の裏には小さな川が流れていました。そしてその小川に沿って草地がありました。めぐみさんはP坊をこの草地に放し飼いにして草を食べさせました。
でもP坊は一人でいるとどうしてもお母さん羊のことを思い出し淋しがるのです。

ある日曜日、めぐみさんはP坊を 近くの大きな河に連れて行きました。
そこには広い草地が広がり、三十匹もの白い羊が暮らしていました。
P坊を見つけると、みんなまわりに集まってきました。
P坊は生まれてから今までの出来事を話しました。
すると 最近子供の羊を失ったメス羊が オイオイと羊泣きに泣きだしました。
それを見て他の羊達もみんな 貰い泣きに泣きました。みんなP坊と同じような境遇だったのです。
一匹の年取った羊が涙をふきはらうと P坊に言いました。
“俺たちはみんな イングランドからきた羊なんだ。君はきっとアルプスに住んでいる羊の子孫だろう。でも今日から君も俺たちの仲間だ。さあ一緒においしい草を食べよう。そのうちにきっと君もお母さん羊に会えるよ。それまで元気よく、楽しく、希望をもって暮らしていこうよ”
P坊も羊達の仲間に入れてもらってとても喜びました。
めぐみさんは毎週日曜日になると、P坊を白い羊達のところへ連れていってくれました。


                第八章  黒い子猫のニャンコ 

ある日の夕方、P坊が散歩から帰ってくると、衰弱した子猫の助けを求めるかぼそい鳴き声が聞こえます。
声を頼りにめぐみさんを連れて行くと、狭いブロック塀の間に 生まれたばかりでまだ毛の薄い子猫がいます。
めぐみさんは急いでお父さんを連れてきました。
お父さんは子猫に噛みつかれないように、ひっかかれないように 厚いゴム手袋をはめて助けてやりました。
“母さん猫は三味線の皮にされたんだ” 子猫は泣きじゃくりながら訴えました。
P坊とカー子とニャンコはとても仲のよい友達になりました。

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