加納朋子 共著1


ななつのこものがたり


2005/10/10

 最近、サッカーのこととかサッカーのこととかサッカーのこととか心がやさぐれることばかりである。えっ、仕事はどうしたって? サッカーよりストレスが溜まらないんだなこれが。

 さて、本作である。『ななつのこ』『魔法飛行』『スペース』と続くシリーズの主人公、入江駒子が愛読する絵本『ななつのこ』。佐伯綾乃作の架空の絵本が、実際に刊行された。表紙には『ななつのこ』と同じ絵が使用されている。絵を担当している菊池健さんは、駒子シリーズを始め多くの加納作品の装画を手がけている。

 はやて少年は、山の中の白い建物であやめさんに出会う。彼が語る不思議な出来事を、あやめさんはいつでも解き明かす。はやて少年とあやめさんの交流の物語だ。

 この絵本の素晴らしいところは、第一に7編すべてがきちんと謎解きになっていることだろう。中には悪い人間も出てくるし、さりげなく少年を諭してもいる。これらの内容は原作版『ななつのこ』でも触れられていたのだが、僕はきれいさっぱり忘れていましたとも。原作版はこれらの7編をモチーフにさらに別の事件を描いていたのだから、改めて恐れ入る。

 第二に、やはり絵。言われなければ男性の作とはわからない柔らかいタッチ。10/15までの原画展、見に行こうかなあ。特に、こう見えても(?)猫好きの僕はp51の絵にぐっときたのである。この絵だけでも買った甲斐があったというもの。懐に余裕のある猫好きの方は、是非お買い上げを。ああ実家で飼っていた猫を思い出す。

 『ななつのこ』の感想を読み返したら、絵本の売り上げは期待できないなどと書いている失礼な僕。伝え聞いたところでは、加納さん菊池さんのサイン会は大盛況だったとか。原作を読んでから絵本を読むもよし。絵本を読んでから原作を読むもよし。はたまた一緒に読むもよし。こんな汚れた僕でも心が洗われる絵本である。もう少し安ければ手に取りやすいのに…という気もするが、価格に見合う価値は十分ある。

 ちくしょう、『横浜F・マリノス グレイテスト・12ゲームズ』というDVDを観ていたら悲しくなってきたぞ…。強いF・マリノスはどこへ行ったんだよお。



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