舞城王太郎 18

JORGE JOESTAR

ジョージ・ジョースター

2012/10/08

 ジョジョシリーズの熱心なファンだけど、舞城王太郎はまったく知らないという方には警告しておきたい。ジョジョだと思って本作に手を出したら痛い目に遭う。両方とも知っているが両方とも熱心なファンとは言えない僕は、かなり痛い目に遭った。

 乙一さん作の『The Book』は、荒木飛呂彦さんが作り上げたジョジョの世界を、正確かつ緻密に、愛情を込めて再構築していた。ところが、舞城王太郎さんにそんな気はさらさらない。ジョジョの世界を舞城ワールドに引きずり込み、粉々にしている。「荒木飛呂彦先生へ。」と冒頭に書かれているが、正直オマージュは感じない。

 主人公は、オリジナルには登場しないジョナサン・ジョースターの忘れ形見、ジョージ・ジョースター。ジョセフ・ジョースターの父である。ジョジョを読んでいた当時、初代ジョジョと2代目ジョジョの180度違う人物像に唖然としたものだが…。

 舞城さんが描いた1.5代目(?)ジョジョには、特別な力が何もない。そして舞城さんのオリジナルキャラとして加藤九十九十九(つくもじゅうく)という名探偵が出てくる。九十九十九??? 思い出すのは、あの悪夢の作品『九十九十九』…。

 そして悪夢は甦る。要するに本作は、『九十九十九』という難物の食材に、『世界は密室でできている。』のエッセンスを加え、多少は食べやすくしたものだったのだ。早い段階で筋が追えなくなる。何度も投げ出しかけた。ところどころジョジョシリーズのネタを散りばめ、懐かしい名前も多数登場するが、本作は徹頭徹尾舞城作品なのである。

 ネット上では、本作は『ディスコ探偵水曜日』であるとの指摘があった。分厚さから避けてしまった僕にはその点はわからないが、難物なのだろうなあやっぱり。賛否両論がはっきり分かれる作品だろう。残念ながら、僕には本作を楽しめる感性がなかった。

 なお、ジョジョを知らない舞城王太郎ファンは迷わず読めばよろしかろう。



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