森 博嗣 18

すべてがEになる

I Say Essay Everyday

2001/12/30

 いよいよ2001年一杯で、森博嗣さんの日記は終了である。日記の単行本には手を出さずにいたのだが、第一弾『すべてがEになる』が文庫化されたので読んでみた。

 文庫化となると、全面的にレイアウトが変更されるのが普通である。中には京極夏彦さんのように、文章がページ間にまたがらないように書き直すこだわりの作家もいらっしゃる。本作のように見るからにレイアウトが煩わしそうな作品では、さてどうするのか…と思っていたら、何と何と親本のレイアウトをそのまま縮小するとは。

 当然ながら字が小さい。本文も小さいのに、脚注なんて読めたもんじゃない。それでも字が潰れずに印刷されているのだから、日本の印刷技術は大したものである。

 本作は1998年の日記を収録している。僕が森博嗣作品を読むようになったのは『すべてがFになる』が文庫化されてからであり、これが1998年12月のこと。日記をチェックするようになったのはさらに後で、そういう点では新鮮に読むことができた。

 語られる内容自体は現在と何ら変わりない。現在の方が若干丸くなっているかなあ、と感じる程度である。変わっていないことが凄いことだ。いかにビジネスとはいえ、長きにわたり続けてきたことには敬服するしかない。森博嗣さんに限らず、ウェブ上で日記を書いている人は偉いね。僕なんか続かないのがわかっているから、最初から書こうと思わない。

 本作の初版刊行以前、講談社以外から刊行された森博嗣作品は『そして二人だけになった』と『森博嗣のミステリィ工作室』の二冊しかなかった。事実上、まだ講談社のお抱え作家だった時期である。目敏い講談社から、日記の単行本化の企画は持ち上がらなかったのか? もっとも、初めて幻冬舎の編集者と会った1996年から構想はあったらしいが。

 幻冬舎も目敏いよなあ(ぶつぶつ…)。さて、2002年からはどこで出版情報を仕入れようか。僕にとってはそれが最大の懸案事項である。やっぱり今後も気になる作家だし。



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