山口雅也 10 | ||
續・日本殺人事件 |
とっても面白かった『日本殺人事件』の続編。設定は前作と同じである。ということで、大いに期待して読んだのだが…。結論から言うと、期待外れだった。がっかり。
まず、収録作品が2編だけというのが少なすぎる。これで単行本にしてしまうのは、ちょっと強引じゃないか?
次に、内容。第一話「巨人の国のガリヴァー」はスモウ(相撲)をテーマにした作品で、前作からの流れを汲むものだ。これはそこそこ面白いから、まあいい。しかし、第二話「実在の船」は…。
「実在の船」は、わかる方にはわかると思うが、わざわざ「京極夏彦氏に」と断ってあるように、京極夏彦さんの『鉄鼠の檻』のパロディーである。一口にパロディーと言っても許せる場合と許せない場合があるが、これは僕的にはだめ。
山口さんなりに意図したところはあるのだろうが、僕には理解できない。内容も難解だ。大体、僕には『鉄鼠の檻』が理解できなかったのだから。この作品の最後の一行を読んで、落丁じゃないかと思ったのは僕だけか?
わからないなりに考えてみると、所詮小説は虚構の世界なのだ、と言いたかったのかな。しかし、作家がそれを言ったら身も蓋もないから、多分違うんだろう。少なくとも、このシリーズで書かなくても良かったんじゃないだろうか。
『續々・日本殺人事件』が書かれることはまずないだろう。愛すべきトウキョー・サムには、もう会えそうもない…。