ヴォートシコルスキーF4Uの尾輪は着艦フックが付いているので結構複雑です。

まず部品の名称を決めておきましょう。

機首は右側です、面白い部品を拾って解説します。

「圧縮ストラット」は、「オレオストラット」と「シザーズアッセンブリ」とともに足出し時にはガッチリ脚が引き込まないよう支えるのですが、この2つで「く」の字を構成していて、収容時には逆「く」の字位置になります。ので、中間地点では直線になるのですが、そのためには全長が縮まないといけません。ので、尾輪収容時に機首方向へスイングしたときに、縮まない「圧縮ストラット」が中間地点でオレオストラットを押して縮めます。オレオストラットはサスペンションであると同時に尾輪の出し入れ時に尾輪が中間地点に居づらくするという役目もあるようです。

「着艦フック用ダッシュポット」は、いわゆる油圧ダンパーで、着艦フックが、着艦の時に機体重量分の力で引っ張られる衝撃を吸収して、着艦フック作動用油圧ジャッキにダメージがいかないようにします。

「シザーズアセンブリ」は、これも圧縮ストラットとの関係で二つ折れにならないと尾輪を畳めないように配置されています。油圧ジャッキが縮むとシザーズアセンブリの緑で示した方は、時計方向に回転しようとするので、結果シザーズアセンブリは折れ曲がり、尾輪のロック構造が崩れるのです。

では尾輪の出し入れを見てみましょう。

尾輪の出し入れはでっかい方の油圧ジャッキで行われますが、興味深いのは着艦フックの動きです。

出し入れ中、着艦フックの先は常にほぼ同じ位置にとどまっています。

着艦フックの2つの関節と「ロッカーアーム」の2つの関節がリンクによってほぼ平行四辺形をなしていることに注目です。さらに、着艦フック用油圧ジャッキとロッカーアームをつないでいる「着艦フックジャッキの遊び部分」には圧縮方向にバネが入っていると思われ、常に着艦フックを上に引っ張っているので、つねにフックの先は機体に押し付けられている形になっています。

図示していませんが、油圧ジャッキは周りに足出し補助力用の圧縮スプリングが設置されています。

着艦フックの出し入れです。

油圧ジャッキが伸びることで着艦フックが降りますが、例の「遊び部分」があるので、その分余計に伸びることになり、着艦フックの引き込みアームの長さから見るとかなりの移動をします。

遊び部分は、着艦の際に着艦フックが機体より先に接地した時に自由に上へスイングするための遊びであることもわかると思います。

ダッシュポットは、図示していませんが、これも圧縮バネが周りに巻き付いていて、常にフックを出す方向に伸びようとしています。緊急フック出しのためでしょう。同時にショックアブソーバーとして接地したフックがはねたりしないようにする役目も持っていると思われます。

主脚 主脚関節・アクチュエータ
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