点射でGo! |
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MGCの「M16A2カービン モデル725」というモデルガンをキットで手に入れました。
「こんなの、よくのこってたね!」 ぼくが部品のチェックをしていると、なぜかトホホ妖精が現れました。ああ、こいつ、鉄砲も好きだった・・・ トホホ妖精は部品の入ったビニール袋を透かしたりしながら、独り言のようにつぶやいたのです。 「M16A2って、弾が3発づつ出るようになってるんだよね。」 「このキットのは連発モードしかしないよ。」ぼくもM16A2といえば3点射機能だと思っていたので、このキットにこの機能が再現されてないのはちょっと不満でした。 トホホ妖精は袋から撃鉄(ハンマー)をとりだしてもてあそびながら言いました。 「M16A2の3点バースト機能って、超簡単なんだよ。ハンマーの回転を、ハンマーと同じ軸についてる6まい歯の歯車で数えるの。」 ふうん、変なことを知ってる・・・「数えるって?」たずねてみました。 トホホ妖精はこんどは袋からトリガーとトリガーと同軸のシアーという部品をとりだして、 「この鉄砲、引きがね(トリガー)とハンマーが直接かみあってるんだよね。凄いアイデア。
で、遊底がおしもどしたハンマーをこのシアのカギで引っかけてつかまえて、引き金を離すとハンマーとシアが離れるけど引きがねももとの位置に戻ってるからまた引き金のとこにハンマーがもどるでしょ?コレが単発作動。で、連発の時はどうなるかっていうと、セレクターがシアのおしりを押さえちゃって開きっぱなしにするんだね。でも、それだとハンマーが遊底にくっついて動いちゃって激発できないから、このセレクタの上についてるフルオートシアって部品で遊底が閉じるまでハンマーをつかまえてるんだよ。」 「で、かぞえるって?」 「A2の設計をした人って、ものごとのとらえかたが上手だとおもう。単発と連発っていうモードを考えたときに、シアは連発の時にはないのと同じということを考たんだね。で、3点射というのは、連発じゃあなくて、単発の一種だって考えたんだね。どうしても3発目には「単発」の機能がいるでしょ?で、ふつうなら一個のシアでなんとかしようと思うけど、このひとは、3発目だけ動くシアが別にあればいい。で、このモードのときは単発用のシアはいらないって考えたんだね。」 「???」 「3点射専用のシアをもとのシアの横にならべてつけちゃったの。こんなやつ。↓」 トホホ妖精は紙に適当にスケッチしてくれました。 「この前の方でタコの手みたいになってるのは?」 「コレがハンマーのとこの歯車とかみあうわけよ。で、ハンマーが後ろへ回るたびに歯車はいっしょに1/6回転してタコの手は次のくぼみをつかまえるの。
タコの手は歯車の切れ込みにくいこんでるけど、それ以上は前にいけないからシアは開きっぱなしになるから、ハンマーはつかまらずに遊底が閉まると撃針をたたきにいっちゃう。 歯車を残してね。でも3個おきに歯車の切れ込みが深いでしょ?そこに食い込んだときはシアは前にいけるからもどってきたハンマーをつかまえることができるってワケ。」 「歯車は自転車の後輪のギアみたいに一方向にしか回らないんだ・・・それってスゲエ複雑なんじゃ・・・」 トホホ妖精はにやッとすると、コイルバネと棒を持ってきてバネを棒に巻き付けてみろと言いました。ぼくがいわれた通りにすると、「棒が回らないようにバネだけねじってみて。」 バネは棒を軸にこすれながら回転しました。 「逆方向は?」 あれれ、びくともしない。そうか・・・ 「ね?簡単で凄いアイデア!バネだけだからめったに壊れないよ。」 あまりの単純な機構にしびれてしまったぼくはモデルガンにこの機能を組み込むことにしました。すばらしい!やるのは簡単だけど、考え出すことはむつかしい! 実物の資料を見るかぎり、単射用と点射用シアはひらべったい一枚の板状の部品で、点射用にはさっき妖精が教えてくれたような「タコの手」がついています。ハンマーは右側が点射用シアの分だけ削られていて、そこにカウント用歯車が収まるようになってます。ハンマーのシアの引っかかる部分だけは残されています。 「ハンマー削りたくないなあ。トリガーのハウジングも幅がたんねえなあ。」 A2では2枚になったシアをくわえるためにトリガー上部の箱状の部分も幅が広がってるみたい。2つのシアを独立して動かすためにバネも2本独立して収まります。モデルガンのはその幅が3ミリしかありません。でも自作はきつそう。 「モデルガンなんだから1.5ミリの真鍮板でだいじょうぶだよ。それから、モデルガンのハンマーの右側の出っ張り削れば歯車も入るよ。」 なるほど。それならタコの手は点射用シアの右側に貼ればいいわけだ。 真鍮板が買ってこられ、ノコギリで根気よくカットされました。 歯車には逆転防止バネのハウジングとして10ミリの真鍮パイプがハンダ付けされました。 ハンマーは右側の軸の出っ張りをカットされ、軸穴が6ミリに広げられて、そこに6ミリの真鍮パイプが通り、これはハンマーにイモネジで固定されました。このパイプにさっきの逆転防止バネが絡みつくのです。 で、組み込み。コック。れれれ?ハンマーが下がらない・・・ ハンマーバネが!ハンマーと「タコの手」の間に挟まってしまいました。上の写真の状態のままでは。バカだな・・・顔が真っ赤になりました。 ハンマーバネのハンマーにかかる部分を折り曲げてその部分の幅を「タコの手」の幅(1.5ミリ)分だけ広げ、点射シアの「タコの手」の後頭部を思いきって切り取りました。こんどはだいじょうぶ。ちゃんとコックされました。 「点射機能、あんまりうまく動かないね。」 ハンマーは固定されたりされなかったり・・・やっぱり歯車の精度が・・・でもいいの!うわああん。 火薬入れて作動させればたぶん・・・て、掃除がめんどくさいのでいつのことになるかわからんですけど、でも、撃とうと思えば撃てるってのがうれしいんですよ。 どこかのカスタムメーカーさんがちゃんとした3点射キットをプロデュースしてくんないかなあ・・・金型とかいらないし、主要部品はレーザーで切りだすだけでできると思うんだけどな・・ 「ところでさあ、3点射って、一般的な兵隊さんが逆上して引き金引きっぱなしにしてもいいように作られたんだよね。」 「ふうん。」 「最近は点射モード、いやがられてるんだって。」 「ところで、この機能、単射のときも死なずに動いてるから、点射モードにきりかえた直後だと引き金引いて3発ちゃんとでる確率は1/3だよね。」 「あわててもう一回引けばいいんじゃないかな。」 P.S. このキットではダストカバーも新設計になってました。でも、照門て、古いままでいいの? |
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