P51Hは色々構造的に重すぎたD型の各部を見直して軽量化を図ったわけですが、尾輪についてもごっつい、必要以上に頑丈な構造を見直して、簡単な、単純なパイプ構造に置き換えています。

また、H型を2つ繋いだ長距離戦闘機のF-82の尾輪も基本は同じものです。

左が機首側。

尾輪の脚柱は、図中、緑色系で示した、2つの三角で構成された四面体です。内訳としては、濃い緑色の、機体底部に底辺を持ち、機体上部に頂点がある三角形がメインの脚柱で、明るい緑色の、真上から見て尾輪のステアリング軸を頂点とした三角形を構成するサスペンション部が共通の回転軸で結合され、この軸は尾輪引き込み時の回転軸であるとともに、地上での緩衝時のサスペンションの軸ともなります。2つの三角形の頂点を結ぶのは、ショックストラット=緩衝部で、これは尾輪の受けた荷重を受けて伸び縮みします。

尾輪引き込みは、図中赤色で示した油圧ジャッキが縮むことで行われますが、油圧ジャッキの先はメインの三角形と直接につながってはいずに、黄色で示したレバーに接続されていて、このレバーにはワイヤーと介して上向きにロック部分に入り込むダウンロックのピンのお尻につながっています。

油圧ジャッキが縮むさい、黄色のレバーを前に引っ張ると、レバーに繋がったワイヤーがダウンロックのピンを引っ張りおろして機体側のキャッチから引き抜き、ロックが解除されるわけです。

アップロックはというと、これは機体側のレバーで脚柱上部を捕まえ、脚出しの際は機体側のレバーを操縦席からのワイヤで引っ張って解除します。

青色で示したシリンダーは、緊急時の脚出し用バネです。
 

主脚 B/D型の尾輪 B/D型の主脚
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