子供の頃・・・昭和50年代前半・・・ぼくはバンダイの1/48やタミヤのBMW R75のプラモを作っては遊んでいたわけですが、中学生になって、行動半径が伸びた結果開発した隣町のプラモ屋さんで、イタレリのキューベルワーゲンやサイドカーのキットに出くわしたわけですよ。感想は、「今までタミヤに騙されていた!」というショックでした。
サイドカーのキットについて言えば、ハンドルにレバーついてるし、シリンダーに吸気管が再現されている!上から見たらシリンダー位置がずれているのは最初不良品かと思いましたが、クランク軸がずれて2つあるんで、こっちのほうがこだわってると言うのがわかったときの喜び!以後タミヤには見向きもしなくなってしまったのでした。
とはいえ、その後再びサイドカーのキットとか作ることはなく、買って積んでいたわけです。でも引っ越しの時そのストックを見て、なんか惹かれてしまったのですな。なんで35年くらいぶりに作りました。
ツンダップのサイドカー。
ツェンダップ?ツュンダップ?ツンダップ?・・・ユーチューブでドイツ人らしき人が喋ってるのを聞いたらツンダップにしか聞こえなかった。キットもツンダップ・・・ごめん・・・積んだままにして・・・
このサイドカーは、悪路も走行できる斥候/伝令用?として二輪駆動のサイドカーにしてみたら、従来の物じゃ馬力不足だったんで、側車ありきの大馬力サイドカーを新規開発したということらしいっす。なんで登場は1941年という結構遅いタイミング。
一方、アメリカはジープを開発した・・・
サイドカーは取り外し可能に、スタンド、機関銃架、サイドカーのトランクとか可動にしてみた。
物入れやタイヤは固定っす。はいはい、わたしの負けですヨ・・・
このサイドカーは、実車では後輪が駆動するのはもちろんですが、サイドカーの車輪もパートタイムで駆動させることができます。
ただし、同じ速度で回すと車が左へ行ってしまうので、サイドカー側の車輪の回転数はデフのギヤ比の分配を単車側の車輪のものより低く設定しているそうです。
デフはマニュアルで固定することができるそうで、結構凝りまくってます。
トランクの蓋はスペアタイヤの重みで壊れないように鎖で開位置を限定されています。
側車右舷のレバーでフタ内側のプランジャーを押してロックを解くようです。レバーは鍵付き。再現してません。
側車の床は、キューベルワーゲンやシュビムワーゲンみたいに木のスノコがついてるので再現。
実物ではスノコは一体で取り外せますが、今回は接着。はいはい、わたしの負け(以下略)
取り外した側車。
機関銃はキット付属のMG42はやめて(できが悪かったからではなく、できはいい)、タミヤの小火器セットからMG34を持ってきました。
ぼくが中学生の頃出たセットですが、なかなかできが良い。銃床の床尾が刃物みたいに尖ってるのがいやんなほかは結構いい感じっす。昔イタレリが出してた小火器セットには負けるけど。
銃架は左右スライドと左右に振ったり上下させたりできるようにしました。
単車左側。
ハイテンションコードとかシフトペダルとかフットレストとか付けてみました。
真鍮線をペンチで潰しながら曲げた。
右側面。
手で操作するシフトレバーと前進後進切り替えレバーのペデスタル(クォードランド?)とその槓桿、エンジン側のレバーや後ブレーキペダル、側車の駆動を切るレバーとデフとの結合槓桿、後席のフットレストなんかを自作して付けてみました。このキットは、こんなことしなくても、素でタミヤのキットを圧倒する情報量なんですが、さらに盛ったほうがさらに素晴らしい。
前フェンダーのナンバープレートはちょっと縦長ですが、これは南欧のバイクのプレートに付け替えたものを取材したためでしょうか。面倒なんでそのまま。
このバイクには前輪と後輪ともに自転車式のスタンドが付いてますが、イタレリのキットで再現されてるシャーシ中央のスタンドは実車では確認できません。
なんでカット。
単車単体で運用とかまずしなかったようですが、スタンドがあるってことは、やろうと思えばできたってことでしょう。可動にしました。
ランナーの記念撮影。説明書にはイタレリって書いてあるけど、ランナーとデカールにはイタラエレイって書いてある。
側車のランナーはBMW R75と共通だろうと思うんですが、何故かツンダップKS750って書いてある。
そんなことより、40年前のキットがエンジンのシリンダー三分割で再現ですよ!?魂が震えますよ。
鉄兜の中がえぐれてるってのも当時のイタレリキットの特徴であり、少年だったぼくがしびれた部分でした。
憲兵の赤丸棒もついてて楽しい。
エンジンとフレーム。
このバイクのエンジンは、水平対向っぽく見えますが、正面から見ると垂れ下がってるげに見え、でも実はわずかに上向きに角度がついてます。BMWのは完全に水平ですが、このバイクのエンジンは微V型っす。
キットはデフォルトでギアボックスのキックスターターとか再現してて素敵です。
ちなみに、このバイクのエンジンをフレームに載せる方法はパズルっぽいです。キットでは無理やりねじ込みましたが、実物では、エンジンとギアボックスを分離したままで、先にエンジン本体をフレームに突っ込んでからギアボックスを後乗せしてボルト結合し、最後にプロペラシャフトで後輪と繋ぐのですが、このプロペラシャフトがまた望遠鏡のように伸び縮みするようになっていて、縮めた形でリアに組み込んでからさきっぽを伸ばしてキアボックスに接続という、もう!こりすぎ!すてき!
キットでは前後輪ともにフェンダーとタイヤが一体ですが、簡単に切り離せるんで切り離してステーとか自作。
アルミ缶大活躍。
右手で動かすギアチェンジレバーのペデスタルはこんな感じで自作です。
上のレバーがギアチェンジ用で、下のレバーが前進/後進切り替え用。中間は悪路用ということですが、デフロックのことかな?
ちなみに、上のギアチェンジレバーは、左足でギアチェンジするペダルと連動してるので、脚でギアチェンジすると勝手に動くそうです。すげえかっこいい!
このバイクのサスペンションは、前輪が並行した2つのアームがフォーク内のスプリングを押し付けるもので、後輪はなし。サドルのバネで脊椎への衝撃を吸収します。でもって、運転手用のサドルのバネはちょっと細かったんで自作した。
ところで、この小さなキットを完成させるのになんと1ヶ月もかかってしまったのですが、その理由は側車にあります。
ダークグレイに塗りたかったんでダークグレイに塗っちゃったんですが、そのあとで、キットの側車のシャーシは43年型であるらしいと知ってしまったのです!
なんてこった!
キットの側車は「BW43」と言われる、ツンダップとBMWが共通化を図った、生産の楽な、板バネを使ったシャーシなのですが、初期のダークグレイで完成したと思われるKS750は、「BW40」という、トーションバースプリングを用いた、めちゃ凝りマニアなシャーシであったのです。
ダークイエローで塗っとけばよかった・・・でもしょうがないんでシャーシ自作。
資料探しに半月くらいかかった・・・
画像左がキットオリジナルのBW43シャーシ。右がプラ棒とランナーででっち上げたなんちゃってBW40シャーシ。ごついです。でも自作のは実物よりごつすぎかも。 ちなみに、「BW」って「BEIWAGEN」の略らしいよ。
フェンダーはキットの流用。フェンダーの支持方法とかステップのつき方とか尖り方が違うっす。
車輪が付く部分はイタレリキットのを持ってきた。
単車の後輪と同じく、側車もサスペンションは無し。代わりに船の部分がシャーシとサスペンションで結合されて、船が揺れ動くのです。
今回はサス可動とかなし!はいはい(以下略)
サスペンションは凝りまくりなようで、多分トーションバーはパンテル戦車のように末端を歯車で連動させた二重式で、当て推量するなら、仮にシャーシ側を「トーションバー2」、サスアーム→船側を「トーションバー1」とすると、シャーシの側車への駆動シャフトが通る部分のほぼ真上に「2」、ほぼ真後ろに「1」が通っています。
シャーシ右側に固定されて左へ伸びる「2」は、その終端にピニオンギヤを持ち、そのピニオンギアは「1」の先端のピニオンギアと噛み合っています。
「1」のトーションバーは、左右のサスアームを結合したパイプの中を通って、右サスアーム付近でサスアームが固定されたパイプに固定されているのでしょう。
すげえ!凝りすぎ!重そう!
・・・なんで簡単な板バネ懸架のBW43になったんでしょう。そっちはBMWのデザインのようです。
ゴレンジャーとか見ると、カーブを曲がるときにサイドカーは結構しなったりしてますが、このサイドカーではそういうことはないようです。がっちり剛構造。完全固定のストラットが二本も!シリンダーのように見えますが、テンション調整のためのただのボルト・ナットです。
裏っ返しの記念撮影。写ってないけど、左右のフットレストは一本のシャフトで左右一体となってます。そのへんは流石にキットでは再現されてないけど、ぼくはしました。写ってないけど。
船の工作。資料探し大変だった・・・
スノコ。自己満足レベル。
機銃架はシュビムワーゲンとかでも見られるタイプ。真鍮板曲げて作ってみました。シャフトはキットのものをいただきマン。
このキットのスポークの再現はデフォルメでらしく見せるセンスが素晴らしいです。タミヤの後発のNZ350とか見ると悲しくなってしまう。