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◆母と娘のヨーロッパ見てある記◆

  2月11日(金)曇り 一時小雨 

ロンシャン教会へ行く
 朝食のあと8:45にホテルを出て、10分でパリ東駅に到着。いよいよ今日は、10日間利用できるユーロパスの1日目を使うのだ。まず駅窓口でユーロパスを ヴァリデート(使用開始の確認)してもらう。駅の両替所で200ユーロのトラベラーズ・チェックを現金に換えたが、手数料6%、12ユーロも引かれた。

 パリからロンシャン教会のあるベルフォートへ行く方法はいくつかある。トーマス・クックで散々調べて、一番時間のロスが少ないと判断した東駅か らムルハウス行の急行で行くことにした。9:46発に乗り込む。私たちの持っているユーロパスは1等車に乗り放題だ。昼食を調達して6人用のコンパート メントを2人で占領した、と思いきや、出発直前に大きな旅行カバンをいくつも持って入ってきた、身なりの良い熟年夫婦と相席になった。香水がけっこうきつい。

 ベルフォートはスイス国境に近い街だ。東駅を出て30分もすると、車窓は雨にけむる田園風景に変わった。13:50ベルフォート着。片道4時間だ。ロン シャン村までのローカル列車を調べると、もう17:00台のしかない。パリ行16:27発で帰るのであまり時間がない。駅前に1台だけ 客待ちしていたタクシーのおじさんと相談して、2時間貸切55ユーロで交渉成立。すぐに車を出してくれた。

交渉といってもフランス語は全くダメなので、片言の英語でやり取り。運転手さんが2時間で60ユーロといい、私たちは 50ユーロを希望して、歩みよって55ユーロとなった。相場は不明だけど、気持ちよく乗ってまた引き返したいから、 値交渉も1回だけにして、握手して出発!

 田舎の一本道をずっと走ると、はるか前方の高い丘の頂きに教会が見えてきた。約30分で到着。緑の丘の上に建つのは、白壁とグレー屋根のコントラ ストも鮮やかな、しかし一種異様な造形の礼拝堂だ。ル・コルビュジエの設計と娘の説明。建築家の安藤忠雄氏も惚れ込んで数日通ったらしい。

ロンシャン教会(正面?の方)ロンシャン教会その1 ロンシャン教会(側面)ロンシャン教会その2 内部・光を呼ぶ窓(絵はがき)礼拝堂内部
 雨の落ちてきそうな寒い戸外で、教会の外観をスケッチしている若者2名。中に入ると、薄暗く、ここにも数人の学生らしき人がスケッチをしている。 中は撮影禁止だ。壁にくり貫いた、大小さまざまな矩形の窓から弱い光を引き込んで、幻想的な空間をかもし出している。礼拝用の木のベンチに座って、 娘もスケッチを始めた。前方には数人の信者さんが祈りを捧げ、数十のロウソクの灯りが静かにゆらめいている。人工的な照明も暖房もない質素な礼拝 堂。しんしんと体が冷えてきた。

丘からの展望教会の丘から見た遠景 ロンシャン教会(裏側?から)ロンシャン教会その3
 観光客もほとんどなく、ゆっくりと1時間を過ごした。スケッチしていたのは、日本人の学生グループだった。パリでいくつも見てきた絢爛豪華な教 会とは全く違う、装飾もないシンプルでひっそりした佇まいだ。その丘からは四方360度の眺望があったがあいにくの曇天だ。アルプスの山々が見えたか もしれないのに残念。でも往復8時間かけても、見にきて本当に良かったと思った。既存のものにとらわれない、こういう教会もあるのかと思った。

 1時間待機してもらったタクシーに乗って、駅へ戻る。出発までに少し時間があったので、駅前を一回りして、クロワッサンとキッシュ、ジュースを買 う。パリよりずい分物価が安い。16:27出発。まもなく雨が降り出した。そういえばパリに来て雨ばかりだ。東駅に20:20着。こういう日のために、駅 から徒歩10分の宿はありがたい。

このホテルは今夜までで終わりだ。古い建物の中にあるこの部屋は、天井は低くてリフトも階段も狭いけれど、掃除は行き届いて、清潔で、何も不都 合なことはなかった。朝食のお世話までしてくれるおばさまはオーナーの奥さんでご夫婦での経営だろう。温かい人柄で、ホテルに泊まっているという より、なんだか下宿しているような3日間だった。もっと若くて、何か勉強する目的があれば、こんな所に1年くらい住むのもいいなと思ってしまった。

今日の会計:合計 134.8ユーロ
 ホテル代  59
 タクシー代 55
 入場料   3.5(2人分)
 昼・夕食  13.3
 絵はがき  4


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