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◆母と娘のヨーロッパ見てある記◆

  2月13日(水)雨のちくもり

TGVでミラノへ
 きょうはフランスを出ていよいよイタリアだ。6時30分起床、支度をする。7時30分過ぎ、スーツケースをらせん階段を降りながら下まで運ぶ。奥さんが気づいて出て 来られたので、挨拶してホテルをでる。早朝出発なので、朝食がついてないのも都合が良かった。外は何と雨。ショルダーバッグを防寒ジャケットの下に持ち替える。 そうすると見た目がひどく不恰好だけど、雨でもバッグが濡れないのでパリでもこの格好で通した。どうせ知っている人はいないし、旅人だし、この際外見なんか気にして られないと開き直る。

 外はまだ真っ暗に近い道を、防寒ジャケットのフードで雨をしのぎ、急ぎ足で駅までGO!。やっぱり駅近くに宿を取っていて正解。6分で到着だ。朝昼用のパンと 飲み物を駅売店で調達。電光掲示板で出発ホームを再確認して、DホームよりTGVに乗り込み、予約席に落ち着く。1等車内はセミ・コンパートメントだった。通路を 挟んで一方の窓側には一人掛けの席、もう一方の窓際には二人掛けの席なので、椅子もゆったりとして通路も広い。椅子は進行方向を向いて並んでいるけど、 大きなテーブルを挟んで、向かい合って2人の席、4人の席もあって、そこは背もたれの後がパネルで仕切ってあるので、ちょっとした独立感がある。私たちは四人 向かい合わせになった隣同士の席だった。2等車は混んでいたが、1等車はそれほど乗客は乗っていなくて、ガランとした感じだ。

 8時04分定刻に出発。まだ外は薄暗くて、日本なら朝7時くらいの感じだ。走り出して45分ほどでやっと明るくなり、田園風景になった。ゆるやかな丘陵に緑色の畑が 美しい。車内のアナウンスがあるたび、フランス語、イタリア語、最後に英語と3ヶ国語続くので、さすがに国際列車だと思う。

 8時53分、改札に2人の車掌さんが現れた。と、ユーロパスにきょうの日付を書き込んでいなかったことを思い出し、慌ててボールペンで記入した。罰金を取られる所 だった。無事改札が終わり、ほっとする。11時過ぎたころから、前方の山々が白い峯を輝かして、連なって見えてきた。近くの山は岩ばかりで、表面のわずかな土に 張り付くように木が茂っている。剥き出しの岩が壁のように立ちはだかっている山肌もある。なだらかな山には、かなり高い所に民家が建っている。

 12時を過ぎた頃、雪が地面に残っている町々に入っていったが、空は抜けるような青空!何日ぶりの青空だろう。パリの灰色の曇天とは全く違う。13時過ぎ、いつ の間にかイタリアへ入ったようだ。といっても国境を見たわけでもないし、パスポートに判を押してもらったわけでもないし、何だか物足りない。13時15分、今度は イタリアの車掌さんによる改札だ。トリノ近くの駅に着くと、多くの乗客が乗り込んできて、車内が急に賑やかになった。イタリアに入ると、車内放送はイタリア語と 英語だけになった。13時50分、3回目の改札だ。二人連れの車掌さんの一方が、もう一人に私たちのユーロパスを見ながら色々説明していた。

 14時55分、ミラノ着。約7時間のTGVの旅だった。ミラノ中央駅は独裁者としてかの有名なムソリーニが国家の威信をかけて建造し、それ自体が美術品の ような建物だという。その駅を見れる楽しみを胸に、私たちはホームに降り立ったが・・・。

 ヨーロッパの鉄道駅は、線路とホームの高低差があまりないのが特徴で、列車からはホームまではスーツケースを持って、数段のステップを降りないといけない。 そこで私と娘が目撃したのは、ものすごいゴミだった。ホームも線路上も、通路も階段も、エスカレータですら、とにかく新聞紙や紙くず、紙パックやプラスチックケースが 一面に散らばっている。パリの駅も散らかっていると思っていたが、これに比べればキレイなもんだったと思った。どうみても1週間くらい掃除していない感じだ。 本当にこれがあのファッションやデザインで有名なミラノの駅? 信じられない! どうしてこんなに散らかっているのか、足の踏み場もないとはこのことだ。けれど、 行き交うイタリア人は、平気な顔をしてゴミを踏み踏み歩いている。異常だし、はっきり言って汚い!

 私と娘は、きっと何か理由があるかもと言いながらも、きょうの宿探しに向かう。第1候補のホテルを見つけて入ると、若くて気の強そうなお姉さんが受付にいた。 ガムを噛みながらトイレ・シャワー付き68ユーロと一言。こちらの質問したことだけしか答えないし、ニコリともしない。どうすんの、という態度に私と娘は顔を見合わせて、 そこを断って外に出た。ミラノは物価が高いと聞いているけど、値段以前に何といっても第一印象だ。あのお姉さんの印象の悪さに、次を探す。老夫婦経営の2番候補 も見つかったが、看板を見ると2つ星に格上げになっていた。トイレ・シャワー付シングル60ユーロ、ダブル80ユーロと奥さん。しっかりユーロだてになっているが、 予算オーバーなのでそこも断って出る。

 溜息つくと、すぐ隣りに1つ星のホテルがあった。受付に若い男性がいた。シャワー・トイレ付ダブルの部屋をユーロでいくらかと聞くと、一生懸命電卓をたたいて、 リラからユーロへ換算して、朝食なしで67.14ユーロと答えてくれた。やっぱりパリより高い。「まだユーロに換算するのに慣れてなくって!」と照れた素振り が素直な感じの、二十代後半くらいのお兄さんだ。部屋を見せてというと、さっそく娘を案内してくれた。もう私は荷物番の役目をして、値段で折り合えば、部屋を見て 決めるのは娘にまかせることにした。とても広い部屋で、設備もOKと娘がいうので、そこに決めて3泊分現金で払った。荷物を置いてお兄さんからシティーマップを 貰い、早速出かける。まだ大事な用事が残っているのだ。

 ミラノ駅へ戻って、明日のトリノ日帰り切符の購入と、フィレンツェ、ローマ行列車の予約をするのだ。まず、駅の両替所でトラベラーズ・チェック100ユーロを現金に したら92ユーロだった。手数料8%は高い。予約窓口を間違えては教えてもらい、広い駅構内をウロウロして、ようやく目的の予約窓口へたどりつく。窓口がいくつも あるこの大きな部屋も床は新聞紙やゴミでみるかげもなく散らかっていて、30人から40人くらいの人でいっぱいだ。しばらくして入り口に番号札があることに気づい て慌てて戻り機械から番号札を取ろうとした時、ちょうど出てきた男性が「これ使っていいよ!」と持っていた番号札を私にくれた。思わずラッキー! 待ち時間が長 くて諦めたらしい。あと15人くらいで順番が来る若い番号だった。待ち時間が30分くらい節約になった。

 駅の窓口で列車の予約をする場合、前もってトーマス・クック時刻表で調べて、必要事項を書いたメモ用紙を準備した。乗車券は持っていることを知らせるために 「ユーロパス」と先ず書いて、その下に、乗車日、曜日、列車名、出発地、出発時間、到着地、到着時間、1等車2名分、禁煙車希望と、列車ごと書いたメモを窓口に 出した。会話ができなくても、ユーロパスとそのメモを見てすぐに手配してくれた。トリノ日帰りはユーロパスの使用予定に入れていないので、往復2人分の切符を買った。 無事用事を済ませて外へ出るとすっかり暗くなって雨も降っていた。駅周辺はあまり治安が良くないとどんな本にも書いてあるので、途中のお店で夕食を調達し てまっすぐホテルへ戻った。

今日の会計:合計 180.37ユーロ
 ホテル    67.14
 トリノ往復  44.5(2人分)
 特急追加料 48.64(フィレンツェ、ローマ各2人分)
 食費     20.09


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