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◆母と娘のヨーロッパ見てある記◆

  2月20日(水)雨のち くもり 

ドイツ語圏へ移動
今日は移動日だ。6時に起きて早めに支度して、7時過ぎのイの一番に食堂へ行って朝食をいただく。7:35にホテルを出てテルミニ駅へ。駅で昼食を買おうと娘が 売店へ走ったが行列していたらしく、戻ってきた。出発3分前に、7:54発のEC(特急)に乗り込む。私たちの座席はずっと先頭の方らしく、スーツケースをゴロゴロと 引きながら車内を移動する。途中食堂車の中も通ったが、なかなかおしゃれな内装だった。この列車でローマからインスブルックまで8時間30分かけて移動するのだ。

やっと予約席のあるコンパートメントにつくと、私たちの座席のところにはすでにイタリア人の母娘(70代と40代くらい)が座っていた。荷物も含めて片面3席を 占領している。何で!? ちゃんとコンパートメント入り口の座席表に予約カードが入っているのに!と、内心ぶ然とした。向かいの席は、窓際にビジネスマン風の若い 男性。その横2席が空いていたので、とりあえずそこに座った。私たちの切符を見せて、母娘にどいてもらうのが筋だけど、イタリア語は話せないし、しばらく様子を見る ことにした。

車掌さんの検札のとき、母娘は席のことで何やら言われていたが、となりのコンパートメントからも女性がやってきて、なにやら言っている。どうやら席を替わって もらったような雰囲気だったが、結局その席のまま落ち着いたようで、車掌さんは私たちの予約切符を見ても、パチンとはさみを入れただけで行ってしまった。ちょっとォ 私たちの席はどうなったのよ!と言いたかったが期待はずれだった。もういい加減なんだからと、こっちの母娘は気分が悪い。

そのうえ、この40代の娘さんも窓際のビジネスマン氏もひっきりなしに携帯電話をかけまくる。ベーラベラベラと声は大きいし、もううるさくてかなわない。今日は一日鉄道 の旅と楽しみにしていたのに、向うも東洋人の親子じゃ言葉がね、という感じで、コミュニケーションどころではない。

2時間ほどたって乗り込んできた50代くらいのおじさんが、母娘が座っているのを見ていったん別のコンパートメントへ移ったが、何度も入り口の予約表を確かめて、 どうも納得いかないらしく、母娘に自分の切符を見せて何やら交渉。強気の母娘の主張に対して、おじさんはあくまで紳士的に話していた。かなりの長話のあと決着が 着いて、母娘はやっとたくさんの荷物と共に別のコンパートメントに移った。やれやれ。おじさんが通路側の席に座ると、私たちも本来の予約席である、窓際と真ん中の 2席に即移った。おじさんありがとう。

その後私の座っていた席には毛皮とサングラスのお姉さんが乗ってきて、降りるまでの1時間ほど、ケイタイで喋りっぱなし。ちゃんと通路に出てケイタイを使っている 人もいるのに、マナー無視の人の多さにはいずこも同じかと内心溜息が出た。コンパートメントは3席ずつ向かい合わせの6人部屋。ちゃんと出入り口を閉められるので、 カーテンを閉めれば個室になる。日本では普通乗らない座席のスタイルなので、慣れないせいか乗り合わせのメンバーによっては楽しさも半減になったりする。

オーストリアとの国境に近い駅で、毛皮のお姉さんもケイタイかけまくりのビジネスマン氏も降りて、コンパートメント内は私たちとおじさんの3人だけになった。静かだ! さっそくおじさんが向かいの窓際の席に移って、話し掛けてきた。おじさんも私たちもたどたどしい英語を使ってさっそくコミュニケーション。私は、もう何時間も延々と車窓に 続く畑のことを聞いた。ワイン用のブドウ畑とのこと。葡萄の木とは違う畑もあって、それを聞くと、リンゴ畑とのことだった。

おじさんは私たちと同じくオーストリアのインスブルックまで行くとのこと。私たちは鉄道でヨーロッパの国々をまわって旅していることを話すと、おじさんはイタリアも ヨーロッパ、オーストリアもヨーロッパ、フランスもヨーロッパ。だからヨーロッパは一つだ!と胸を張った。ユーロの導入を心から喜んでいるようだった。

山の中腹まで続くブドウ畑ブドウ畑 インスブルックの町とチロルの山々インスブルック 泊まったペンションの部屋ペンション・シュトイ
イタリアとオーストリア国境の駅に着くと、列車は20分くらい停車していた。ホームの屋根からはツララが下がり、周辺には雪も積もっている。外は寒そうだった。 アルプスが近いのだ。16:00やっと列車が動き出した。車内アナウンスは今までのイタリア語からドイツ語になった。

まもなくして切符の検札があった。切符をしまっていると、今度は若い2人の青年が来て、パスポートの提示を求められた。目つきが鋭く、ニコリとするでなく、黙々と 任務を遂行しているという感じだ。兵士かもしれないと思った。2人連れというのも、不法入国者などがいた場合に備えてのことだろうと思われた。フランスとイタリア国境 通過の時にはない経験だったので、緊張してしまった。ヨーロッパは一つとは言っても、現実には不法な入出国が多いのかもしれない。オーストリア側の国境の警備は 厳しいようだ。

定刻より少し遅れて16:40オーストリアのインスブルック着。ホームからエレベーターで下がって 地下道を通り、また地上の出口へエレベーターで上がる。ヨーロッパの駅は、ほどんどがこの方式でホームへ行くようになっていた。階段やエスカレーターを上がって ホーム上に作られた連絡通路を利用する日本とは逆だ。

曇ってはいたがまだ外は明るく、寒いという感じではない。ペンションシュトイは、駅から3分のところにすぐ見つかった。2階が受付になっていて、娘が行く。1階にダブルの トイレ・シャワー付食事なしの54ユーロの部屋が空いているとのこと。とても感じのいい受付の若い女性に部屋を見せてもらい、決める。広くて清潔で何しろ安い!  それにダブルといっても、別にシングルベッドがあった。3人部屋らしい。すぐに荷物を置き身軽になって、町のメーンストリートを歩いてみる。パリやローマなどとは違って 路上駐車は原則禁止らしく、駅前の道路はすっきりと広く、歩道も広く、ゴミも全然落ちていない。ごみごみした大都会のローマから来たせいか、町全体がとても清潔な印象だ。

町の背後には白く輝くチロルの山々が迫っていて、迫力満点。とても美しい。ここは2度も冬季オリンピックが開かれたスキーヤ―の集まる小都市とのこと。でもその 割には町には雪が全然ないし、ちっとも寒くない。スキーシーズンだというのに、暖冬かな? と思ってしまったほどだ。途中総菜屋さんをみつけて、夕食とあすの朝食 用のパンを買い、駅前のスーパーで飲み物を買い、早めにホテルに戻った。

今日の会計:合計  65.08ユーロ
 ペンション代     54
 食費         11.08


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