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◆母と娘のヨーロッパ見てある記◆

  3月1日(金)くもり 

ベルリンからイギリスへ
7時起床。何とか雨は降っていない。曇っている。まずまずの天気、あまり寒くもさなそうだ。きょうはイギリスへの移動日だ。8時朝食、準備をして9時前にペンションSilvia を出る。オーナーが、私たちの重い荷物を3階から下まで運んでくださった。お礼をいい、京都西陣織のポーチをあげると、とても喜んでもらえた。お世話になった人への お礼にと思い、日本的なお土産を5つばかり用意してきたのだ。ポーチもあと二つを残すのみとなった。

9:09発のテーゲル空港行きの市バスに乗る。ペンションから一番近いバス停を昨日見つけていたので、駅まで行かずにそこから乗車した。料金だけは掲示板で見て わかったけれど、切符の買い方がわからない。乗ってからすぐ運転手さんに払おうとしたが、ドイツ語で何か言われてバスは発車した。あとでもいいのかな? と、空い ている席に座った。昨日、駅前のバス停でバスに乗る人の様子を観察して乗り方を研究したところでは、前の入り口から乗ってすぐに運転手に料金を払っている人を見て いたので、てっきり乗ってすぐ料金を払うものだと思っていたのだけど。

約30分でテーゲル空港着。でも途中から乗った人を見ていても、誰も切符を渡したり、お金を払ったり、定期券を見せている様子ではない。降りるときもさっさと降りていく。 でも空港までの路線バスなので、無料バスのはずはない。バスには私たちのような外国人旅行者も乗っていたが、半分くらいは通勤の人のようだ。空港ターミナルに着くと、 全員降り出したので、私たちもまた運転手さんにお金を払って降りようとすると、現金はいらないから早く降りて!というそぶりで受け取ってくれなかった。

寛大というのか、遠い東洋からはるばる来ているのだから、バス代くらいサービスだよ・・と言っているような運転手さんの表情に、私たちもお礼を言って降りる。結局2人 分4.2ユーロ(約500円)得してしまった。おおらかだなー。空港にはちょっと早く着きすぎて、チェックイン開始は10:30分からとわかって、待っている間にこれを書いている。 きょうからヨーロッパ旅行の最終ラウンドに入る。ユーロ紙幣とコインがまだ少し残っていたので、記念用に持ち帰る分だけ手元に残して、残りはイギリスでは使えないの でお土産を買って使い切った。

チェックインのあと、手荷物検査のゲートを通る時にも、パスポートとチケットの名前の確認があり、さらに靴も脱いで検査があった。12:25出発予定がさらに20分くらい 遅れたが、最後の搭乗口のところでも、またもパスポートと搭乗券の名前の確認があった。合計3回、搭乗券とパスポートを照らし合わせての本人確認が行われたこと になる。搭乗間際に人物が入れ替わることを警戒しているのだろう。

やはり911テロ事件以後、空港でのチェックが相当厳しいのを感じる。特に私たちの利用したのは英国航空なので、 イギリス軍もアメリカを支援してアフガニスタンを空爆しているので、よけいにテロに対する警戒が厳重なのだろう。何をするにも時間がかかったが、仕方がない。

20分遅れで出発したが2時間近く飛んでも時差で1時間逆戻りするので、13:35分到着。途中、サンドイッチの昼食サービスがあった。

ヒースロー空港に到着後、長い長い通路をどんどん進んで、まず入国審査があり、次に荷物の出てくるのを待つ間に両替所で240ドルをポンドに替えた。158.4ポンドに なったが、手数料に6ポンド引かれて152.4ポンドになった。空港内には2つの両替所があったが、レートも手数料もそれぞれ微妙に違うので、見比べて有利な方で両替 したつもりだけれど・・・。

今までのヨーロッパ大陸と違って、ここは英語の国なので何となく安心感があったが、そう考えるのはちょっと甘かった。インフォーメーションへ行って、アポン・エイボン 行きの一番安い方法を尋ねると、係りの若い女性が、バスなら1人30ユーロ、ただし3:30発で6時間かかるとものすごいスピードの英語で教えてくれる。聞き取るのが やっとだ。最初に私が聞いたときには通じなくて(発音が悪いのだろう)、娘が聞くと通じて返事が返ってきたので、内心とてもショックだった。

インフォーメーションは旅人で混みあっていて、次々に質問が寄せられるので、それをさばくには案内嬢もいちいちニコニコして対応していられないのはわかるけど、 外国人だからゆっくり話すという配慮は全くない。英語を喋らない方が悪いといわんばかりの早口で、しかも聞きなれた英語の発音とはちょっと違うようで、とてもわかり にくいのは意外だった。

いくら安い方法とはいっても到着が夜の9:30分ではあまりに遅すぎだ。もともと列車での方法を考えていたことを思い出し、Redding行の方法をまた尋ねるとバスが出 ているという。なぁんだと思ってそのバス停へ行って15分ほど待っていると、バスが来たが、乗り込む人がみな手に切符を持っている。さっきのインフォーメーションで 売っているとのことで、娘を待たせて又しても急いで戻って買いに行き、何とか最後尾に間に合って乗れた。やれやれだ。15:00発車。車窓の風景を楽しみながら約30 分でRedding着。

トーマス・クック時刻表で調べた所では、ストラッドフォード・アポン・エイボン行の列車がここを通るので乗るわけだけど、私が時刻表で調べて予定していた列車はもう とっくに出ていた。空港の入国手続きや荷物の受け取りに時間がかかった上、インフォーメーションでモタモタしたそういうロスタイムは考えていなかったので仕方がない。 駅の時刻表で再度調べると、アポン・エイボン行の直行便は17:20発しかない。乗り換え便なら16:30発。日が暮れるし少しでも早く出発したいので、16:30の列車に乗って、 レミントン・スパ駅で乗り換えることにした。切符を買い、夕食用のサンドイッチと飲み物を買う。

16:30発マンチェスター行きに乗る。ところがホームは人で溢れ返っている。ちょうど夕方なので通勤通学の人でいっぱいなのだ。私たちの買った切符はスタンダード(2等) 日本でいえば自由席で、乗り込んではみたもののすでに満席状態。仕方なく2等車と1等車のつなぎ目の通路にスーツケースを置いて立っていると、車掌さんが検札に来た。真っ赤なブレザーを ダンディーに着こなした、年配の男性だった。切符を出すと、「アポン・エイボンまでだね! レミングトン・スパで乗り換えだよ! 座らないの?」とスタンダードの車輌を指差 した。けれどとても空いている様子ではないし、大きなバッグを持ってウロウロしたくなので「ここでいいです」って、諦めの心境でお断りした。

するとよっぽど疲れている旅人に見えたのか、それとも遠くから来た旅人へのもてなしの気持からか、「じゃあ、1等車が空いているからこっちに座りなさい!!」と気前良く ガラガラ空きの1等車に案内して、席に座らせてくれた。日本でいえばグリーン車にあたる1等車には、乗客は離れた所へ3〜4人いるくらいだ。おかげでレミングトン・スパ までの1時間を、私たちは大きなテーブル付の ゆったりしたイスに座っていくことができた。車窓から緑の丘の向うに沈む夕陽を眺めながら、ドイツでもイギリスでも旅人には大らかなんだなあと、大いに感じ入って しまった。

レミングトン・スパで20分ほど待ち合わせ時間があり、アポン・エイボン行のローカル列車に乗り換えた。さすがにローカル線らしく、2両編成で古い型の列車だ。35分 ほどで終点のアポン・エイボンへ着いたが、もうすっかり日が暮れて、途中はポツポツと民家の明かりが見えるくらいで、ほとんど真っ暗。ずい分田舎だと思った。列車に 乗っているのは10人くらい。どうりで列車の本数も少ないはずだ。到着すると、時刻はもう6時30分を過ぎていて、小さな駅舎を出ると道もけっこう暗い。

アポンエイボンへはどう考えても夕方に到着となるので、日本を出る2日前に、インターネットでB&Bを探して、予約を入れていた。奥さんが切り盛りしているB&Bで、 部屋の中まで写真で見られるようにホームページが作ってあって、料金も名前も雰囲気も希望と合ったので決めていたのだ。ところが駅から10分くらいのはずだったの に、暗いこともあって、行き過ぎて遠回りしてしまい、午後7時過ぎ、やっとめざすB&B「ハムレット・ハウス」に到着。この通り一帯はB&Bがたくさんあった。

ベルを押して「インターネットで予約していた・・」と名前を告げると、オーナーの奥さんがにこやかに迎え入れてくださった。きょうは朝9:00にベルリンのペンションを出て、 ここまで何と10時間かかった。とはいえ、10時間でベルリンの大都会からイギリスの田舎まで移動できたことといい、インターネットを利用して宿の予約をしていたことと いい、すごいことではあると改めて思った。

車窓より夕陽を見る田園の夕陽 B&Bのかわいい部屋B&Bハムレット・ハウス
駅からB&Bにたどり着くまで、真っ暗な道もあったが、賑やかな通りではまだテイクアウトのお店も開いていて、途中、シチズン・ホールの横を偶然通ったら、盛装した 若い男性が集まっていて、何かの催しがあっているようだった。イギリス人も普段は質素なかっこうをしているが、パーティーや社交的な場では、日本でいう晴れ着で 出かけるらしい。母親らしき女性に付き添われて、車椅子の青年もバッチリ盛装姿でシチズン・ホールに行くのとすれ違った。

夜空を見上げると、星がいっぱいで、オリオン座が日本とは違って低い位置にくっきりと見えた。ヒースロー空港に着いた時は雨が降っていたが、入国手続きや、バスに 乗るまでウロウロしているうちにすっかり晴れていいお天気になっていた。明日も晴れてくれるといいけれど。

B&Bの奥さんはとっても気さくな人で、部屋は女性好みの花柄のファブリックや写真の額でまとめられていた。インターネットで見て決めた部屋だ。まる1日の移動で 疲れていて、無事着いたことの安堵から、シャワーも使わず早くやすんだ。

今日の会計:合計  5ユーロ+103.5ポンド
 絵葉書         5ユーロ
 B&B         45ポンド
 バス切符       18ポンド(2人分)
 列車切符       36ポンド(2人分)
 夕食等        4.5ポンド
※当時のレートで1ポンドは約190円


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