C53の加工

C53加工前後

2005.7.30

以前、ボディー全体を1.5mm下げる方法をご紹介したことがありますが、最近の方法で再加工してみました。
私はこの機関車の形をつかみきれていないのですが、元の印象は消し去れたと思います。詳しい方が行えばもっと似せられると思います。


加工の様子

使用したのはマイクロエースA7002「C53 45デフなし」です。A7004・A7005(デフ付き)でも基本は同じですが、デフが邪魔になるので切り取る必要が出てきます。

C53加工前

加工した要領は次のようになります。

  1. ランボードより上を、下から約1.5mm切り詰めます。
  2. ボイラー後部に穴を開けてモーターを逃がします。ここではシルエットを優先しているので、上からモーターが多少はみ出してもよいことにしています。
  3. 前デッキの傾斜を少し大きくします。
  4. キャブの裾を約1mm切り詰め、窓周りを整えます。
  5. テンダーを下から約1mm切断します。
  6. その他、スポークの延長などバランスを調整します。
C53加工後

加工後の側面です。

一度で方針が決まったわけではなく、鉛筆と消しゴムで何度も修正しながら似顔絵を完成させていくように、削りすぎたら足して…を繰り返し、試しながら作りました。

各部切断

必要な部分を分解します。私のC53は前面の接合が弱く、割と簡単に分離することができました。煙室扉の左右裏側にある2本の突起が、ボイラー前面に差し込まれています。
ランボード上のパーツも外したり切り取ったりしますが、ボイラー上のパーツは必ずしも全部はぎとる必要はありません。

ランボードは2段になっていて、これをそのまま切り抜くにはよく切れるデザインナイフでも時間がかかりました。力加減を誤ると、ボイラーにざっくり傷跡を残しそうなので、適当に分割して切り取ったほうが簡単かもしれません。その代わり、再接着するときには水平を出しにくくなると思います。
ただし、いくら時間がかかるといっても、片側1時間はかからないと思います。

以前の加工でシリンダーの上部を1mmほど切り取ってしまったので、プラ板で付け加えてモールドを彫り、復活させておきました。

前面の加工

煙室扉付近はデッキと一体なので切り離します。下側を削りますが、図面だけで寸法を決めると似なくなるような気がします。見た目最優先でいいと思います。煙室扉は若干小さいようにも感じたのですが、「わずかに大きくする」のはとても難しいので、境目付近に手すりを取り付けてごまかすことにしました。

 

実物の寸法よりも自分の印象を優先していますので、不正確な表現があるかもしれません。

デッキの折り曲げ

デッキの裏側2箇所にPカッターで切れ込みを入れ、やや傾斜を変えました。これは色々なご作品で行われている加工です。
完全に切り離して付け直そうとすると、前から見たときに平行にしにくくなるので、少し残したほうがよいと思います。平行に曲げられなければおんなじですが…。

副作用でデッキ下の給水温め器が先輪に当たることが心配されましたが、実際には何事もなかったので特に対策は打っていません。ボディーをはめ込むときの前後位置が少しずれるだけで結果が変わります。
このほか、つかみ棒はもっと外側・前側に寄せて付け直しました。

ダイキャストの変形

私のC53(初期製品)はダイキャストが変質したため、色々とトラブルが起きました。

  1. 床板ネジの取り付け部が崩壊(赤い矢印)
    ここは2年前に相次いで破損しまして、以来ゴム系接着剤で床板を止めています。
  2. 新たに片側のダイキャストが収縮?(青い矢印)
    軸箱ががっちりくわえ込まれ、一度外すとどうしても差し込めなくなりました。ヤスリの出番です。
  3. ギヤ軸が根元から折れる
    分解して指先でつついただけで折れました。

これは他のマイクロエースの蒸機では経験がありません。いつバラバラになるかと冷や汗をかきながら作業しましたが、何とか無事に終わりました。

後日談:その後2年で完全にダイキャストは崩壊してしまい、新しいもので作り直しました。

キャブの加工

キャブは下側を切り詰めますが、大事な窓周りの印象がどことなく違うので、少し手を入れます。

  1. 妙に目立つ窓回りの縁取り表現(青い矢印)を削り取って平らにします。
      これだけでかなり改善されます。ひさしも同じ分だけ前から削ります。
  2. 後ろの窓の窓枠(赤い矢印)を削りとって前後に広げると、写真などでよく見る窓の開いている姿に近くなります。

窓の下のほうに保護棒のような横棒が渡してある写真をよく見ますが、窓の高さを調整していないせいか、取り付けるとかえって似なくなったため、やめました。

スポークの延長 スポークが短いので見た目だけ延長しておきました。ただしシルエットにはまったく影響しませんので、あくまでもオマケです。
テンダーの切り詰め これで機関車の高さはスケールとなりますから、逆にテンダーが高くなってしまいます。上側を切るか下側を切るか迷いましたが、結局下側を切りました。赤線のあたり(下から約1mm)に側面からナイフを入れて、床板を切り離します。
テンダー側面から分離した床板

切り離した床板は、側板の厚みだけ外側を削り取り、側板の内側にはめ込んで接着しました。後部のステップを温存したため、削り方に少し工夫がいります。

接着するときはゴム系接着剤で要所を止め、台車に載せて水平を調整してから、最後に瞬間接着剤を流せばOKです。
このほか内側にはまる石炭パーツも下から切り詰めますが、そのためには内部のウエイトの後部もちょっと削る必要があります。

完成

手元にちょうどよいナンバープレートがなかったので、キングスホビーの巨大なものを仮に付けてあります。パソコンとプリンタでぴったりの大きさのものを作ればよいかもしれません。
汽笛が加工の途中でちぎれてしまい、少し前寄りにkATOのC55の汽笛を削って取り付けました。ディテール工作となると急に要求水準が低くなり、間に合わせ程度のことしかしません。塗装なんか筆塗りです。

加工後
C53加工後前面 C53加工後側面
加工前
C53加工前前面 C53加工前側面

C53+スハ

マイクロエースの場合、ほんのちょっとした原因の複合で形がおかしくなっているものが多いように思えます。しかしそれはあくまで素人考え、個人が自分用に1つだけ作るのと違って、量産品を作るのは難しいのでしょうね。


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