2005.9.4
発売時は「スーパーディテール」と称されていただけあって精密感のある模型です。プロポーションはともかく屋根の高さはほぼ正しいので、通常のマイクロエースの蒸機にみられるような、客車に対しての頭の飛び出しはありません。
しかし、改造するにあたっては、ボイラーは高いのにキャブは高くないという格好が逆に障害になります。
改造にはA6701「C54 9 標準型」を使いました。私はほとんどのマイクロエースの蒸機は1両ずつしか持っていないので、改造のたびにこれが見納めになるかもしれないと覚悟しています。
側面は次の要領で加工しました。
|
|
加工後の側面です。 C51やC53と同様に、動輪のスポークも延長してあります。 |
前面は次の要領で加工しました。
ナンバーは交換の予定がなかったのですが、加工中にめっきがはがれてしまったので、キングスホビーのキット付属のものに変えました。書体はこちらのほうが断然よいです。 |
[1] 煙室扉を外すのが最初の関門です。ランボードとの接合部(赤線)はナイフで切ることもできますが、扉の内周(オレンジ色の部分)の接着ははがしにくいです。力を入れすぎて「バリッ!」という音とともに外れましたが、その瞬間、割れたに違いないと思いました。 |
[2] キャブやランボード上の邪魔なパーツを外すか、切り取ります。小物は内側の出っ張りを押して外しますが、取れにくいときは根元から切断すればOKです。 |
[3] 扉はデッキと一体なので、裏側から少しずつナイフを入れて切り離します。先にデフのステー先端を、扉から切り離しておいたほうがよいと思います。 |
[4] 給水温め器の配管は、取り付け足がランボードに差し込まれたうえで接着もされているようです。デザインナイフを入れて切り離します。ここではその前にデフ上部を切り詰めています。切り離したステーはあとで使えるのでとっておきます。 |
[5] 給水温め器は、後方に取り付け足があり、デッキ上の箱の前面に差し込まれています。うまく外れなければ切断してしまいます。 このあと解放テコを前方に倒し、給水温め器が端梁から前方にはみ出すように接着します。 | [6] ランボードを切り離しますが、一直線ではないので、難しければ適当に分割して切り離してもよいと思います。 その後、残ったボイラー下側を約1mm切り上げてからランボードを付け直しますが、動力ユニットを削ってから、前方デッキなどと一緒に位置を合わせたほうがよいと思います。 煙室扉が引っ込んだ様子を出すため、ボイラー前端も少し削り、動力部先端も削りました。 |
[7] 動力を分解し、ダイキャストを上から2.5mmほど削ります。写真の赤い矢印で示されている範囲は意識的に低くします。断面は図の「○」のようになるようにし、カドが出っ張らないようにします。ボディがうまくはまらないときは、どこかのカドが出っ張っています。 ボイラー上端の高さは、テンダー上端と同じくらいであればバランスはOKです。 |
[8] ボディが所定の高さに収まり、ランボードを接着したら、キャブを加工します。C51やC53では省略しましたが、これらはキャブの屋根のフチが幅広いのも特徴のひとつなので、0.5mm厚のプラ板を曲げて下から貼り付けてみました。 |
[9] 窓は縁取りを全部削ってから、下側に約1mm、後側は縁取りのあったあたりまで広げました。未加工のキャブを見ると、ずいぶん裾を切り上げなければならないように感じますが、これは窓の位置が悪いためで、せいぜい0.3〜0.5mm程度のオーバーです。切りすぎると足すのは面倒なので、少しずつ様子をみていきます。 キャブ裾の高さや、ランボードが当たる高さも前後をよく見て決めます。裾は雨どいから線路までのちょうど中間あたりの高さになるのがよく、ランボードは裾と窓下ラインの中央より上側にくるのが理想的ですが、すべてを完璧に満たすのは難しいと思います。 最後はもう…自分の模型ですから、自分が一番いいという思う位置で決めることになりますが、もともとあまり気になっていなかったところには、変にこだわらないほうが精神的によろしいです。 |
何とかまとまってくれました。
この改造により、動輪が小さく見える問題も少し改善されます。短足はそのままですが、胴長を直したということになります。
改造時間はのべ約15時間でした。その半分は、どこをどう削るべきか考えたり試したりしている時間です。
もっと単純に加工する方法として、全体を1.5mm下げ、キャブのみ1mm少々上げて窓周りを加工するという方法も考えられますが、手元に無傷のC54が残らなくなってしまうので試せませんでした。
ちなみに未加工の品はこんな格好です。(A6702「C54 3 回転式火の粉止め」)
キャブの高さや大きさは悪くなかったのに、窓の格好がおかしかった理由は、動力の都合で高くなったランボードとボイラーに位置を合わせるためだったのでしょう。
これが人の顔なら、眼や鼻の位置がほんのわずかに違っていても別人になってしまうようなものなので、厳しい選択だと思います。
色々と改造をしてきましたが、どうデフォルメすれば一番納得してもらえるのか、メーカーが色々と試行錯誤してきたのが少しはわかったような気がします。