D50の加工

D50前面加工前後

2005.8.8

作業は他の蒸機の加工と同じことなのですが、実物らしく表現するのは難しいです。
プラの厚さがかなり厚い部分があるので、あまり刃の薄いナイフだと刃こぼれしやすいかもしれません。


使用したのはマイクロエースA6801「D50 37岩見沢区」です。
クセのある形ですが、どんな場面でも似ていないというわけではないようです。色々な写真を見ていると、たまに「意外に似ているじゃないか」と思えるショットも出てきますから…。
製品のデフォルメ手法は、カタログ落ちしたKATOの旧C62と同様だと思うのですが、黎明期に出たC62と違ってあまり喜ばれていないように感じます。

加工の要領

D50加工前(側面)

加工要領は次のようになります。

  1. デフとランボードを切り取ります。
  2. ボイラーを下から約2mm切り詰めます。
  3. ボイラー後部を7mmほど切り詰めます。
  4. キャブの裾を約2mm切り詰め、窓周りを整えます。

本当は煙突の前も長く、煙突とシリンダーが揃っていません。

D50加工後(側面) 加工後の側面です。
ボイラーを切り詰める過程で、ボイラー側面のモールド表現がいくつか消滅するので、目立つものだけ作り直しています。
ボイラーの直径そのものには手をつけていません。それでも、人の目はこのようなカーブの深さを目測しにくいので、側面シルエットだけは改善可能です。
D50加工前(前面) D50加工後(前面)
  1. 前面パーツを外周から1mmほど削ります。
  2. 給水温め器後部を削り取ります。
  3. 給水温め器を切断して長さを縮め、やや前方に移設します。
  4. デフをプラ板から切り出して作ります。
D50加工前(動力) D50加工後(動力)
  1. 動力ブロックは上から2mmほど削り取ります。
  2. 動力ブロック後部を切り取り、モーターを交換します。

使用したのはマシマ・モーター(MHK-1015S-10)です。これを使うと速度が半分くらいになるので、超特急派の方には向きません。
モーターの軸とフォーム軸が当たるようになるので、あらかじめウォーム軸をウォームに数ミリ叩き込んでおきます。

製品のほかに買ったのは、モーターとライト(蒸機用・大型)です。
このサイトの工作は、元の模型をできるだけ生かしてなるべく出費を避ける方針ですが、今回はモーターの分だけ高くなりました。

なるべく楽をするため、大きく割り切ったのは次の点です。

デフ切断
[1] デフを付けたままでは前面ブロックを分離切除しにくいので、最初に切り取ってしまいました。
前面切断
[2] 前面ブロックはこのような組み合わせになっていますが、がっちり接着されているため、切り取る必要があります。最初の関門です。
ランボード切断
[3] 肉厚があるので、少し歯が厚いクラフトナイフでランボードを切り取りました。その後ボイラーを下から切除しますが、矢印部分など厚さが2mmもあるため、ニッパーを併用しました。
前面加工
[4] 大きい前面は、外側からざくざく切り取って、最後にヤスリで仕上げます。
前面合わせ
[5] 太いボイラーは、真下から真横やや上まで切り込みを入れ(赤い矢印の部分)、内側を薄くしてから肉厚分だけ絞っています。青い矢印のところにも段差が残りますが、それほど支障はありません。
デッキ加工
[6] ここが難しいかもしれません。デッキから給水温め器を切り取ります。色々なことを考えて複雑な形にしましたが、まっすぐ切り取ればOKです。4箇所の矢印のあたりの部品を繰り返しへし折ってしまいました。
給水温め器取り付け
[7] 切り取った給水温め器は、長さを切り詰めて再利用したため、直径約3.5mmに高さ0.3mmの足となっています。
紙の給水温め器
[8] 給水温め器後部は、0.3mmプラ板の歩み板を上から接着しただけです。デフなしにする場合は周辺の配管が目立つので、それらしく工夫するのも面白いです(写真は紙のD50)。
モーターのはみ出し
[9] 動力ユニットの後部ビスが邪魔で、製品のモーターはあまり前進させられません。キャブの屋根もモーターに当たってしまうので、仕方ないのでモーターは別物に交換しました。配線はダイキャスト後部に穴を開けて結んであります。
ドローバー切り詰め
[10] ドローバーは5〜6mm切り詰める必要があります。下側にプラ板を1枚重ねて補強し、ゴム系+瞬間接着剤で固めます。
ドローバー上部の段差がテンダーに当たるので、テンダー側を削る必要がありました。
デフ新製
[11] デフはプラ板で簡単に作りました。薄さという点では0.3mmが有利ですが、車幅オーバーが目立つので、内側に厚くして0.5mmとしました。縁取りはPカッターで溝を入れただけです。上部のステーは、もとのデフから切り取って使いました。
冷却管新製
[12] 切り取られて消えた冷却管は、0.3mmプラ板と0.5mmプラ板をサンドイッチにして作りました。ぴったり収まらず、このあと一番下の段は切り取りました。
真鍮線などで作るのが順当ですが、失われたモールドの再生ということで…。
気にならなければ、放熱管はムリに作り直す必要もないと感じています。

完成

D50のナンバープレートがなく、仮に紙に印刷したものを貼ってあります(実物と何の関係もありません)。
だいぶD50として許容範囲が増えました。

D50完成

D50加工後前面 D50の前面はデッキや給水温め器が出っ張っているので、実物も見る位置によって表情がかなり変わります。そのため図面寸法は無視し、自分の好きな実物写真に一番似るようにデフの高さや間隔などを決めました。

できるだけ短時間でできる工作を工夫したかったものの、C56以降の一連の加工の中では一番時間がかかりました。
写真では割ときれいに見えますが、実際は雑な工作で、細密化というものにも程遠いです。

私の頭にあるD50の印象は、デフなしでは線路すれすれに地を這うイメージ、デフ付きは全体的に四角く、前面がベタッと広いイメージというものでした。
人によって感じ方は色々かと思います。


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