C61の加工

C61加工前後

2005.9.11

マイクロエースの蒸機は、動力の関係で高くなったボイラーとバランスを合わせるため、キャブを上下に伸長させているものが多いのですが、C61ではそれが軽微です。
そのため、寸法はおかしくなさそうなのに全体的に違うように感じられ、何となく改造が難しい形式です。ただテンダー側を見るとヒントはつかめます。


加工の様子

改造に使用したのはA6001「C61 20・東北型重装備」です。

C61正面図

実物の正面図です。
C61の写真も前方からの近影が多いので、ボイラーや丸みのある煙室扉にパースがついてドーンと大きく見えますが、実際にはそうでもありません。
模型の煙室扉直径はやや小さいですが、差はわずかなので特に加工しませんでした。
一般に各部をスケールに合わせると、ボイラーが細めに見える傾向があるようなので、本当は若干デフォルメしたほうがよいのかもしれません。

左図は私が自分でトレスしたものなので微妙な違いがあるかもしれません。工作するときにはこの図を見ないでください。

C61加工前(側面) 側面は次の要領で加工しました。
  1. ランボードを切り取り、ボイラーを下から約1.3mm切り詰めてから付け直します。
    ボイラー後部に穴を開けてモーターも逃がします。
  2. テンダー上部を約2.2mm切り取ります。
  3. あとで若干ランボード位置を下げたり、ドーム後端や従台車の加工を行いました。
C61加工後(側面)

加工後の側面です。
キャブの形はわずかに高い程度なので手を付けませんでした。若干裾を切り上げる、窓を拡大する、さらに広窓にしてみるのも面白いと思います。

元のテンダーはかなり短く見えますが、主な原因は高さがあるせいです。

C61加工前(前面) C61加工後(前面) 前面は次の要領で加工しました。
  1. デフ上部を約1.4mm切り取ります。
  2. ボイラーが下がるので、扉が当たる部分を削ります。
  3. 煙室扉を少し大きく見せるため、上部の手すりを控えめにし、ナンバーを交換して位置を変更します。

右が加工後です。何もしないよりは実物に近くなります。特に大切なのはナンバーの大きさと位置かと思います。
給水温め器の箱も0.5mmくらい高いのですが、それこそパースのついた実物写真ではこの程度に見えるものもあるので、手をつけませんでした。

スノープローを取ってステップを取り付けましたが、先輪を避けるため実物より前寄りになります。足元がすぼまっている様子が出にくいので、無理につけなくても構わないと思います。

煙室扉の分離
[1] 煙室周辺のパーツは、他のマイクロエースの蒸機と同様に接着されています。まずランボードとの継ぎ目にナイフを入れたりして外します。運がよければ適度にひねるだけで煙室扉裏の接着が外れますが、普通はナイフを使って悪戦苦闘するはめになると思います。
全体の分解
[2] 全体をバラバラにし、ボイラー下部とデフを切り詰めたところです。デフは上部の内側への傾斜がほとんどなくなってしまうので、新しい折り線のあたりにセロテープでも貼って保護し、平ヤスリで慎重に削ります。
ランボードの再組立
[3] ボイラーの取り付け具合を見るため、前部パーツにランボードを仮止めして削り終えた動力に合わせています。この結果、ランボードを若干下げたほうがよく見えたので、シリンダー上部を0.3mmほど削りました。
テンダーの切断
[4] シルエットに影響を及ぼしているテンダー上部を切り取ります(もっとも、ここだけ切れば姿全体が改善するわけでもないです)。縁取りはとても細いものなので、ナイフでスジを入れるだけにしました。
なお、中に収まる石炭パーツやウエイトを削る必要もあり、ウエイトを削るのには時間がかかります。

完成

C12やD50に比べれば特に難しいところはありません(初めての方にも簡単という意味ではありません)。基本的なところだけの切り貼りですが、それなりに変身はします。

C61完成

C61完成(はつかり)

C61がお好きな方は他にもいろいろと加工してみたくなると思います。

各社C61

失礼ながら、マイクロエースはただ惰性で製品を出してきたかのように思えたこともあったのですが、実は動力の制約をどう乗り越えるかについて、そのつど色々な方法が試されていたようです。全体を上げてみたり、キャブやフロントを伸ばして足元を隠してみたり、ボイラーが上がっても屋根の高さは抑えてみたり…。ここで紹介している自分の工作のほうがずっとワンパターンな気がしてきました。


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