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C59の加工

C59

2006.8.19/2008.4.19

マイクロエースの初期製品であるC59です。以前に車高をそのまま下げる加工をご紹介しましたが、今回はランボードを付け直してプロポーションを変更する方法を試しました。
なお、この間にC59はワールド工芸から発売されて形態的な不満は解消されています。


側面の加工要領

加工前側面

動力の削り量はやや多いですが、やることはそんなに複雑ではありません。

  1. 動力部を削り、シリンダーブロックを上から削って、車高を全体に1.5mm下げます。
  2. ランボードを切り離し、ボイラーを下から0.8mm切り上げます(そのぶんさらに動力部も削ります)。
  3. 発電機の後ろに角穴を開けてモーターを逃がします。
  4. キャブの裾を切り上げて、ランボードとの高さのバランスを合わせます。
  5. テンダー台車を加工して水槽を少し下げ、上部も少し切り下げます。
加工後側面

これで長いC59の車体が表現できるようになります。ハンドレールと空気作用管の位置が下がってしまうので、目立たないよう、前回の加工で取り付けた金属製の空気作用管は取り外してしまいました。

この写真はさらにその後、キャブ下の隙間を埋める加工を施したあとのものです。

前面の加工要領

加工前 加工後

この前面は何とかしたいと思いました。

  1. ライトは取り去り、大きいダミーパーツに交換します。
  2. デフ上部と煙突上部を少し詰めます。
  3. デッキを一度切り離し、給水温め器カバー等を下から切り上げます。
  4. エプロンの傾斜を少しゆるやかに見せます。
  5. 煙室扉を一回り大きくし、ナンバープレートも大きくします。

加工の要点

設計図

C59の形を捉えることは私には大変難しく、寸法どおりにしても(それは不可能ですが)実物のダーッと長い様子を表現できそうにありません。基本的な形状を図面で確認したら、あとはイメージのみで作成することにしました。

というわけで、紙に鉛筆で設計図(??)を描きましたが、印象だけで何も見ずにマイクロエースのC59を描いたら滅茶苦茶(笑)。でも模型の形をどう感じたのかはわかっていただけると思います。
あとは、あれこれ考えずにとにかく切っていきます。

各部分解

各部を分解します。一度車高下げに使い、銀河モデルのパーツセットで飾ってありますが、基本的な形はオリジナルのままですから特に加工の支障はありません。

C59は煙室扉が別パーツになっているため、デッキからの切り取りはそんなに難しくありません。

なお、車高下げとランボードの付け直しは、他の作例と同じ要領ですので説明は省略します。

前面分解

前面は大幅に修正する必要があります。

まずカプラー開放テコを外すか切り取るかして、端梁を給水温め器カバーの下から水平に切り取ります(写真)。

あとで給水温め器カバーを下から切り詰めます。デッキもその分上がりますが、先輪の直径が小さいので、上げすぎると足元が浮きます。逆に上げ方が足りないと効果が十分に出ません。では先輪を大きいものに交換すれば?と思いますが、動輪とのバランスが崩れ、動輪がさらに小さく見えてしまうので、あらかじめ試しておきます。

傾斜部加工(1)

(うっかり撮影を忘れてしまいました)
デフを下から切り詰めるので、デフの傾斜も修正しないと不自然になります。しかし、本当にエプロンそのものの傾斜を変えるのは大変なので、目の錯覚を利用してごまかすだけにします。

まず先の細い彫刻刀で、傾斜部のモールドを削り取って平らにします。刃が痛んでいるとデフに傷がつくので、砥石で研いでおいたほうがよいです。また、この場所ならナイフででも削れます。そのあと、新しい傾斜の位置にナイフでスジを入れておきます。

傾斜部加工(2)

給水温め器カバーとデフを、決めた高さだけ下から切り詰めます。

新しい傾斜の位置まで、裏側をナイフで削ります。削りすぎると表面に切れ目ができてしまうので注意します。この程度の加工で十分傾斜がゆるくなったかのように見えますし、白線を入れると本当にわからなくなります。

煙室扉

煙室扉は少し小さいのですが、大きくするのは面倒なので、デッキを合わせてみて不自然に感じなければ、そのままでよいと思います。ここでは、以前にD51の煙室扉の交換のときに使った、D52の型が残っていたので、再びそれを使って扉を作ってみました。目立ちすぎる上部の手すりは引き抜いて針金だけにし、プラ板をスペーサにして外側に接着する程度にします。接着剤がしっかり固まったら、スペーサは少しずつ切り取って適切な長さにします。

デフの修正

デフは目分量で切り詰めたのですが、どうも短いような気がして、プラ板を上部に貼り付けて縁取り表現とし、少し高さを上げました。一応こういう事態も想定して、切り取ったデフに縁取りのスジは入れずにおいたので、変な修正をせずにすみました。

貼り付けて接着剤が固まってから、ヤスリを使って縁取りを薄くしたり、角の丸みを付けたりすると簡単です。

テンダー

テンダーの高さは、キャブのひさしからの段差や、キャブの窓の高さや、キャブの裾の高さなどと、上下関係をよく考えて不自然にならないように決めます。最初に台車の上面をツライチに削り、関係するところを少し削って水槽の高さ全体を若干下げました。すると、カプラーポケットが水槽の底に当たるので、その部分を切り取っておきます。ほかにも集電板の調整などいくつか作業が必要です。

完成1

改造後

改造後
ごまかしの寄せ集めみたいな工作でしたが、前面からマイクロエース色は薄れて、それなりに感じは出ます。
メインロッド、サイドロッドの溝には、もともと赤が入っていましたが、ここではダークグレーとしました。理由は、そのほうが配色がよいと思ったからです。

ドーム周辺は、難しいので手を入れていません。

改造前

改造前
相当に高さがあったのですね。他にも改造のアプローチはいくつもあると思います。

印象だけで作ったので、実際のあちこちの長さが妥当かどうかはわかりません。なにしろ設計図があれですから。

C59

C59+客車

他にもお気づきの箇所を色々改造してみると面白いと思います。ただ、KATOが2004年カタログで再予告したので、今手をつけるかものかどうかは微妙なんですよね。


その後

普段はこういうものと割り切って手をつけないのですが、この形式はキャブ下の隙間が開いているのが他に比べて目立つため、そこを埋めました。

キャブ下に目隠しの追加

諸先輩によって紹介されてきた方法の簡易版です。
キャブ下の1箇所と、ドローバー上の1箇所にプラ板で目隠し板を取り付けます(赤い矢印)。横から見るとこれらが重なって、向こう側が見えなくなります。
キャブ下の両側に2枚、従台車側中央に1枚(もしくはその逆)に目隠し板をつけるのが普通ですが、簡単にするために1枚ずつとしました。できるだけドローバーの稼動範囲を大きくするために、端と端に寄せています。

しかし1枚ずつでは、公式側から見たときにキャブ側の目隠し板が遠くなり、やや効果が不十分だったため、あとで部分的に短い目隠し板を追加しました。

キャブ下部のモーター押さえの下には、キャブ支持板を作って両面テープで貼り付けてあります。

C59

結局前回から3年少々経った2008年のKATOカタログでは、予定品だったC59は発売されぬまま再び掲載落ちとなりました。今回のカタログから向こう一年間の商品のみの掲載ということなので、永久消滅かどうかはわかりませんが、少なくとも現時点では予告取り消しです。一度は休憩に入ったマイクロエースのC59にまた働いてもらうことになりました。

●その後: 2015年末に、無事KATOからC59 戦後形(呉線)が発売されました。


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