子供の科学のラジオ>2石レフレックス・ラジオ製作例

子供の科学のラジオを作る-2石レフレックス・ラジオ(その3)

部品が集まったら早速製作です。このコーナーをご覧頂いている方なら、実際の配線などは私なんかよりよほどお詳しいと思うので、配線部分は結果のご報告のみとさせてください。

1 2 [3] 4

基板・ケースの加工

基板の切断

ユニバーサル基板を所定の大きさに切断します。
切りたい位置に定規を当てて、カッターナイフで両面から深いスジを入れてポキンと折れば切れます。金ノコなどを使ってもOKです。

基板の穴あけ <>基板に穴を開けます。
A・Bは基板をケースに取り付けるための穴で、2.2mmドリルで開けます。ドリルはハンド・ドリルに取り付けてもよいし、指先で回すピンバイスに取り付けてもよいです。
バリコンの中央の穴は、3mmドリルで開けたあと、リーマーやヤスリなどで直径8mmに広げます。ボリュームの軸の入る穴も同様にして開けます。

バリコンの2個の取り付け穴は3mmドリルで、その上の端子が入る2個の穴は、1.5mmまたは2.2mmドリルで開けます。右下のトランスの足をはめる2個の穴も、2.2mmドリルで開けます。

Cの穴は、ボリュームの回り止めのツメを入れる穴ですが、丸い穴を開けても構いません。

Dの円弧状の切り欠きは最後に行ったもので、スピーカの段になっている部分を避けるためですが、基板そのものを少し小さく切っておく方法もあります。また、ケースが大きい場合はこの加工は不要です。

部品の仮置き

穴をあけたら、うまく収まるか部品を差し込んで確かめます。意外に大事なのはナットの直径を考慮することで、穴のすぐそばに部品が配置されていると、ナットを締められないので取り付けられないことがあります。

ケースの穴あけ1

部品をハンダ付けする前に、基板をケースのふたにあてがって穴の位置を写します。基板の周囲には、ケースの本体がはまり込む程度の隙間を開けておきます。ケースのふたに開けなくてはならないのは、赤い矢印の穴ですが、右上と左下は基板の取り付け穴なので、2.2mmドリルで開けます。また、ボリュームのつまみが通る穴も開けておきます。

このようなスチロール樹脂(あまり弾力性や粘りのない素材)のケースの場合、ドリルにちょっと力が入っただけでミシッとひびが入ってしまうので、ドリルは軽くあてがう程度にして回転させます。ドリルが貫通するときは力を緩めてください。軟質の食品ケースなどを使う場合は、ひびが入る心配はありません。

ケースの穴あけ2

ケースのEの位置に、バリコンのつまみが出る四角い穴を開けます。カッターなどで予定位置に四角く切り込みを入れ、四隅に2.2mmのドリルで穴をあけて、それらを結ぶようにPカッター、カッター、ヤスリなどで少しずつ切り込んで穴を開けます。結構難しいので、あせらず時間をかけて行ってください。また、ケースの本体(なかみ)にも、Fの部分に切り欠きを作っておきます。切り欠きの左右は、金ノコなどで切り込みを入れると簡単です。

Gの穴は、スピーカ取り付け金具のビスを通す穴で、2.2mmドリルで開けます。必ずスピーカと基板を当ててみて位置を決めますが、念のため電池も置いてフタをし、全体がきちんと収まることを確かめてスピーカの位置を決めてください。あまりスピーカを下側に寄せると、電池が押し上げられるので、フタができなくなることがあります。

スピーカの穴は、等間隔に穴の空いたベーク板をガイドにあて、2mmドリルで70個近くあけましたが、ここでもケースが非常に割れやすく、穴と穴がひびでどんどんつながってしまうので非常に難しいです。大きめの穴を中央から放射状にいくつか開けるだけにするのもよいと思います。

部品の取り付けと配線

部品を基板の表から差し込み、裏側に出たリード線は予定の配線路に沿って折り曲げ、適当な位置で他の部品の足とハンダ付けして回路を作っていきます。

あとで調整や修理の予想される部品は、交換しやすいように、周りのリード線の引き回し方を工夫しておきます。

改めて、基板のデザイン図と配線結果をお示しします。ちょっとピンボケになってしまい、申し訳ございません。

基板(表)

電解コンデンサC2・C5・C6と、隣り合った部品の間隔が狭いので、取り付けられないようなら少し部品の位置をずらして配線路を直してください。
ボリュームを先につけてしまうと他の部品がつけにくいので、最後のほうで取り付けます。

配線後(表)
基板(裏)

バーアンテナはビニールコードをハンダ付けして留めてあります(※印の2箇所)。針金のようなもので留めるのは本当はよくないと思いますが、この程度なら影響はありません。ほか、ボタン付けの要領で針と糸でしばりつけたり、厚紙などをはさんで接着剤で固定したりと、色々方法があります。

配線後(裏)

試作した大まかな手順は次のとおりです。

部品を調べる

部品をハンダ付けする前に、良いか悪いか必ず調べます。配線が終わったラジオが鳴らないとき、どの部品が悪いのかを調べるのは慣れた人でも大変です。
バーアンテナ、トランス、高周波チョークは、テスターを抵抗レンジにして、断線していないことを調べます。
コンデンサはショートしていないことを調べます。普通のテスターでは容量までは調べられませんが、場合によっては針がちょっと振れてゆっくり戻るという動作をするので、容量があるらしいことがわかります(容量によってはわからないこともある)。容量を測るときは、テスターの赤の棒がマイナスにつながっているので、電圧・電流を測るときとは逆の感じがしますが、電解コンデンサを調べるときは注意します。
ダイオードはテスト棒を逆にして抵抗を調べ、一方は抵抗が低く、逆にすると抵抗が非常に高いことを確かめます。
トランジスタもとりあえず、導通だけを考えればダイオード2個と同じような動作をするので、テスト棒の当て方を変えて、針が大きく動いたり動かなかったりすることを確かめておきます。詳しくはちゃんとした電子工作サイトや本を参考にしてください。

バリコンの取り付け

バリコンの端子を基板の穴(直径1.5mm〜2.2mmドリルで開ける)に差し込み、2本のネジでしっかり留めます。
裏側に出た端子は上にしっかり曲げておき、あとでバーアンテナ等と配線します。

抵抗器・コンデンサ・高周波チョークの取り付け

電解コンデンサには極性があるので、本体のマイナスマークや足の長さ(長いほうがプラス)を確認して間違えないようにします。中にはマイナスマークがなく、足の長さだけでしか区別できないものがあるので、基板に固定する前に印をつけておきます。さもないと、固定してからでは極性がわからなくなります。
その他のコンデンサと高周波チョークは、穴の位置に合わせてリード線を曲げて取り付けますが、部品の端ぎりぎりから曲げることは避けてください。高周波チョークは、発振したときに少し動かせるよう、やや浮かせておいたほうが便利かもしれません。

トランスの取り付け

トランス(ST-81)の赤い線は使わないので切ってしまって構いません。相当品を使うときは、リード線の色分けが違うことがあるので注意してください。
トランスの2本の足は、基板に開けた2つの穴(2.2mmドリル)に差し込んで、内側に曲げて止め、一方または両方をマイナスの配線とハンダ付けします。その後、一次側の緑・白の配線をハンダ付けします。二次側の緑・白はあとでスピーカにハンダ付けします。

トランジスタの取り付け

トランジスタは2個とも四角い顔を右向きにし、B・C・Eを間違えないようにします。熱に弱いので足は切らずに差し込んでハンダ付けしますが、このとき足をミノムシクリップなどではさんで放熱しておくと安心です。あまり取り付け位置が高いと格好悪いので、熱で壊しさえしなければ、少しくらい切っても大丈夫です。

ダイオードの取り付け

ダイオードは極性を間違えないようにします。上の写真のように取り付ける場合、ダイオードの片側についている帯のマークを、D1は下向き・D2は上向きにします。かなり熱に弱い部品なので、基板にぴったり差し込まずに5mm以上あけ、そこをミノムシクリップではさんで放熱しながら素早くハンダ付けします。2秒くらいでうまくいかなければ、一度コテを離して冷やし、もう一度行います。ミノムシクリップの放熱なしに、3秒以上加熱したら、壊れたことがあります。壊れると検波能力が失われて、ただの電線になってしまいます。

ボリューム・電池スナップの取り付け

ボリュームは表から基板に差し込んで、回り止めのツメもぴったり差し込んでからナットで締め付けます。その後、3本の抵抗端子をリード線で基板につなぎます。スイッチ端子の一方(上)はリード線で基板にハンダ付けしますが、もう一方(下)には電池スナップの黒を直接ハンダ付けします。電池スナップの赤は、基板の+と書いてあるところにハンダ付けします。

バーアンテナの取り付け

バーアンテナのコアを何らかの方法で基板に固定します。ここではビニール線をハンダ付けして取り付けてみました。コイルはあとで左右に動かすことがあるので、コイル自体をべったり接着することは避けてください。
リード線は1本ずつ基板の表から差し込んでハンダ付けしてもよいのですが、バリコンとの間がせまくてやりにくいので、全部まとめて基板の端から裏側に回してハンダ付けしても構いません。
リード線の色分けはバーアンテナの種類によって違います。特にSL-50GTでは色分けがありませんので、説明書を見てコイルの巻き方を調べてください。
説明書がないときは次のようにします。
・1本だけ離れているリード線→バリコンのアンテナ端子(上図では「白」)
・その線と導通がある線を調べ、バリコンのアース端子(上図では「黒」)
 ※両者の間にもう1本タップが出ていることがありますが、それは切らずにそのままにしておきます。正しく処理せずにただ切ると鳴らなくなります。
・バリコンにつなぐ2本と導通のない線が2本余っているので、念のためその2本が導通していることを確かめます。
 そのうち端のほうの1本をトランジスタに(上図の「緑」)、もう1本をC1・C3の間に(上図の「黄」)につなぎます。

SL-45GTを使うときは、それぞれの端子に必要な長さのビニール線などをハンダ付けしてから使います。

最終確認

回路図と照らし合わせて、配線漏れやショートがないか、ハンダ付けは確実かを確認します。特に、この回路は直結回路なので、トランジスタ周辺の回路にハンダ付けの不十分なところがあると、Tr2に設計の10倍もの電流が流れてしまうことがあります。


[←前ページへ] [次ページへ→]

1 2 [3] 4

「子供の科学のラジオ」トップページ