子供の科学のラジオ>2石レフレックス・ラジオ製作例

子供の科学のラジオを作る-2石レフレックス・ラジオ(その4)

いよいよケースに入れ組んで、「子供の科学のラジオ」(または「初歩のラジオのラジオ」)の完成です。

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スピーカの配線とテスト

スピーカの配線

トランスの二次側のリード線2本を、スピーカの端子につなぎます。どちら向きでも差し支えありません。一方をマイナスにつないだほうが良いそうなので、適当に片方を基板のマイナス線(たとえばトランスの足)につなぎますが、省略しても鳴ります。

ケースに入れる前に、鳴るかどうかテストしてみます。
電池の外れた状態で、ボリュームを右に回してスイッチを入れます。
そして、電池の両方の端子をスナップ端子に軽く一瞬だけ触れさせます。スピーカから「ボツッ」「ガリッ」というような音が聞こえたらまずはOK(笑)。
まったく何も反応がないようなら、配線漏れ・ハンダ付け不良・部品不良・部品を壊した、のいずれかが考えられますが、ほとんどはハンダ付け不良が原因ということになっているようなので、よく調べます。

入れ組み

正常でしたらケースに組み込みます。
まずスピーカを所定の位置に置きます。
基板を止める2本のビス(2×20mm)は、ケースの表から裏側に差し込み、ナットで一度止めます。ちょっと力を加えただけでヒビが入るので注意します(ケースとビス・ナットの間にワッシャをはさむとだいぶ予防になります)。その上に別なナットを入れて、大体7mm前後の高さになるような位置で基板を固定します。この高さはスピーカの厚みとも関係するので、よく調整します。

基板の取り付け高さ

収まったら、スピーカの下の2箇所を取り付け金具で固定します。ここも締めすぎるとケースが割れます。

完成

完成

電波の強い街で木造の建物なら、ボリュームを絞らないとうるさいくらいに鳴るかもしれません。ストレート式なので、強い局同士で混信することもあります。バーアンテナのコイルを左右に動かしてみると、感度が大幅に変わったり、混信が緩和されたりすることがありますから試してください。あまりに混信がひどいときは、バーアンテナの緑と黄を入れ替えると多少よくなることがあります。

ダイヤルの端のほうの局が受信できないときも、バーアンテナのコイルを左右に動かして(インダクタンスが変わる)調整します。

この回路は、ボリュームによって発振の対策をするように考慮されているので、「ピー」「ギャー」と発振したときはボリュームを下げて聞きます。ひどいときは高周波チョークを傾けたり、バーアンテナのコイルを動かして発振しにくくします。それもままならないときは、高周波チョークと並列に、30kΩくらい(もしくはもっと低い)の抵抗器をつないで止めますが、あまり低いと感度が悪くなります。私の作例では、発振はまったくしませんでした。

電波の強い地域でも、鉄筋・鉄骨の建物の場合は、窓際に持っていかないとよく聞こえません。しかし、部屋の中をくまなく探すと、意外な場所で強く受信できることがあります。私の家の場合だと、部屋の内側に鉄骨の柱が張り出しているところとか、なぜか部屋の隅っこ、戸棚の隅っこなどで異常に高感度になったりします。一体どういう具合に電波が回っているんでしょう。

どうしても弱いときは、1mくらいのビニール線を、バリコンのアンテナ端子につないでください。しかし、同調点が変わってしまい、受信できない局が出る場合があります。ビニール線を電灯コードや電話線の回りに絡ませると(直接コンセントに差し込まないよう)、よく聞こえることがあります。

もうひとつ、バーアンテナのリード線を、チョークコイルのあたりまで基板の上を旋回させるようにすると、再生がかかったようになって音量が急激にアップすることがあります。

平型ボリュームを使ってみる

運よく平型ボリュームを見つけられた方のために、平型ボリュームの取り付け方法を説明します。回路図では10kΩですが、私は新品で入手できた5kΩを使いました。丸七の100円ラジオに入っている50kΩではどうでしょう?興味のある方は試してみてください。

穴あけ

平型ボリュームは、基板の配線面に浮かせて取り付け、ボリュームの本体がすっぽりケースの外側に顔を出すようにします。

まず、ボリュームの2つのスイッチ端子の位置に、2.2mmドリルで取り付け穴を開けます。ほかの部品やナットと干渉しないように、慎重に場所を決めてください。この写真のボリュームは、ラジオデパートで購入した5kΩS付き(つまみ付き)で、直径12mmです。直径16mmのものを使う場合は、もう少し外側に取り付け穴を開けます。この基板は12mm・16mmどちらでも使えるように部品配置を考えてあります。

取り付けの様子

ボリュームの取り付けビスは、ボリューム付属のものをそのまま使いましたが、付いていないときや短いときは、2×10mm程度のビスを使います。

ビスはボリュームのスイッチ端子の上から差し込み、ナットで一度止めます。その下にもう1個ナットを入れて間隔を空け、基板の穴に差し込んで固定します。

なお、この作例では、スイッチ端子の配線のために、スイッチ端子のすぐ下に2mmラグを1枚入れていますが、直接リード線をハンダ付けする場合は不要です。

上から見たところ

取り付けたら、下側のスイッチ端子に電池スナップの黒をハンダ付けし、上のスイッチ端子は隣の抵抗端子とともにマイナス線にハンダ付けします。ここでは2mmラグをスイッチ端子から抵抗端子に重ねて一緒にハンダ付けしています。残りの抵抗端子もそれぞれの位置にリード線でハンダ付けします。

ケースには、このボリュームが顔を出すための穴を広げておきます。

部品面より

部品面から見たところです。軸の出っ張っているボリュームと違い、配線面に取り付けるので、部品面から見るとボリュームの位置に穴が開いているだけです。最初から平型ボリュームだけを使う場合は、真ん中の穴は空けなくても構いません。ただし基板からの取り付け高さが低い場合は、スイッチ類が基板に当たることがあるので、何らかの穴を開けることが必要になります。

完成(平型ボリューム)

完成(つまみ小)
これで完成です。つまみはボリュームに付属のものを使ったので、ちょっと直径が小さくなっていますが、十分「子供の科学のラジオ」のスタイルをしています。
完成(つまみ大)
ラジオデパートで売っていた、別な平型ボリューム(100kΩS無し)のつまみに取り替えてみたところです。典型的な、奥澤清吉氏のポケットラジオのスタイルです。

ラジオ部品の取扱店は昔よりは少なくなってしまいましたが、まだまだ部品は新品で集めることができますから、ぜひ試してみてください。子供の科学のポケットラジオはなかなか本格的で、これが小・中学生対象だったことにきっと驚かれることと思います。


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