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電動ターンテーブルの組み立て

彰化機関区転車台キット

海外メーカー「赤鉄7410」の下路式電動ターンテーブルキットを、南洋物産が輸入販売しています。
台湾の彰化機関区転車台を模型化したものですが、国内でもよく見られた20m級のタイプです。
思ったより苦労せず、ちゃんと動くようになりました。

2010.10.19

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キットの部品構成

キットの説明書は写真を中心に構成された非常に丁寧なものですが、悲しいかな私には繁体字が読めないため、細部についてははっきりしない点があります。
しかしこれはキットという素材なのですから、自分で考えて好きなように組み立てればよいわけです(同じものにはならないかもしれませんが)。

なお今後の出荷分からは、説明書の日本語訳が強化されるということです。

アクリル部品の様子 レーザーカットされたアクリル部品がたくさん入っています。写真のように抜きカスの部分も多数入っているので、どこが部品でどこがそうでないのか、部品表を見ながら確かめました。
3mm厚アクリル板 3mm厚のアクリル部品は、ピット外周(9度刻みにレールを取り付けられる)、ギヤケース外枠、そしてやぐら部の角度を決めるゲージです。
2mm厚アクリル板の一部 2mm厚のアクリル部品のうち大きなものです。ピット底板、配電盤ベース、ギヤケースのフタなどです。
その他アクリル部品 残りのアクリル部品です。ギヤと回転部分が中心です。
上部の細長いものは、ガーダー上のレールと、中央の歩み板のベースです。その他、彰化版・会津若松版の2種の操作室の車輪が入っています。
レール、モーター類 ピット内の円形レールとガーダー上の直線レール。「馬達」ことモーターはマブチRE-140と同形です。ピニオンは2つ入っており、どちらかを使うようです。他に配線少々とトグルスイッチが入っています。
ビス、ナット類

アクリル棒のギヤ軸は、6.5mm〜7mmに切断して、大ギヤの3つの中心軸として使います。

グレーのプラパイプは主軸ギヤを上下から挟むもので、使うのは2個です。他のビス・ナット・ワッシャーは長さと個数が説明書と合いませんが(少ないのもある)、使うものは全部入っているように見えます。

エッチング板

「蝕刻片」ことエッチング板です。すべての部品がこの1枚に配置されています。つまりすべての部品が同じ厚さです。
刻印は浅めで鮮明ですが、両面マスクが少々ずれている部分もあるので、組み立て時にヤスリで修正します。


ガーダーの組み立て1

本当は順序が逆で、アクリル製のピット部と動力部から組み立てることになっています。

ガーダー外板の整形

ガーダーの外板は2枚を貼り合わせます。
あとで横梁が入る溝などが、マスクずれで狭くなっている部分があるので、きれいに整えておきます。

外板の重ね合わせと仮止め

外板は部品番号の2aと2b、および3aと3bでペアになっています。いずれも、リベットの模様があるほうが表(同じ側)になるように重ねます。裏側(ガーダーの内側)にはリベットの模様は出ません。

細い溝などがずれないようにぴったり重ねて、一部を仮付けしました。1点だけ付けて、ズレがないかよく確かめます。

外板の全周をハンダ付け

断面に少しずつハンダを流して貼り合わせているところです。
ここでは金属部分はすべてハンダ付けで接合していますが、説明書の作例は瞬間接着剤で組み立てているようです。

貼り合わせたガーダー

貼り合わせた左右のガーダーです。
3a+3bのほうは、端に操作室や締結レバーを取り付ける穴があるので、見分けがつきます。

床板の整形

床板にガーダーを取り付ける前に、横梁の足などが入るスリットがふさがっていないか確かめて、整形しておきました。

仮組み

床板には方向性があり、左右につくガーダー(2a+2b、3a+3b)が決まっています。これは床板中央部に小さな刻印があります。
垂直を担保するために、中央の2枚の梁(19)を一緒に組み合わせています。

点線で囲ったあたりの筋交の形が他と違うので、床板の方向性がわかります。この部分にはあとで集電用接点が通ります。

ガーダーの仮付け

側板を床板にはめ込んで、中央部を仮付けしています。

横梁の固定

横梁(19)の足をハンダ付けしています。

ハンダごてが指のすぐそばにありますが、耐熱フィンガーをつけているので平気です。短時間ならハンダごてに直接触っても平気です(耐熱フィンガーが傷んでいるとまずいので、それを故意にすることはありません)。

中間部の横梁の固定

まだ外板の両端がぶらぶらしているので、要所の横梁を取り付けていきます。
まずは中間部分の(14)を取り付けました。

両端の横梁の固定

次にはほぼ両端の(12)と、中央に近い(16)を補完しました。

1つ1つの横梁には、側板と組み合わさるスリットがありますが、ここをきれいにヤスっておかないと入りません。しかしスリットが狭いので、普通のヤスリでは削りにくく苦労します。

すべての横梁の固定

残りの横梁を全部付けます。
両端の(10)(11)は左右に分かれているので、2枚ずつあります。また、次のようにアクリルのレールベースと合わせて位置を確かめます。

レールベースの組み合わせチェック

アクリル製のレールベースの隅には、左右に2箇所ずつのスリットがあります。これがガーダー端の(10)(11)にぴったりはまるように、(10)(11)の位置を決めます。

レールベースを組み合わせたところ

両端ともぴったり入るようにします。無理をすると、レールベースの中央が盛り上がってしまうかもしれません。

枕木つきレールの利用

お好みに応じてプラ枕木つきレールを使う方法もあるかもしれません。
ただ、ここでは説明書と同様に組み立てています。


レールの組み立て

すべての横梁の固定

レール部分を作ります。
アクリルのベースに集電を兼ねた金属の枕木を貼り付け、その上に引き抜きのレールを取り付ける方法です。
あらかじめ、レールは長さ138mmに切り揃えておきます。

枕木の取り付け

枕木の数箇所にレール取り付け用のツメがあるので、それをヤットコで起こしてからレールを差し込みます。

レールのハンダ付け

そのままでは少々ゆるいのと、塗装時に通電が損なわれる恐れがあったので、ツメの部分をハンダ付けして固定しました。

集電用接点を曲げておく

集電用接点は、レールベースに接着する前に下側に曲げておきます。

レールの接着

アクリルのベースに透明ゴム系接着剤で接着しました。

ここでレールの間隔が9mmになるようにし、車両の転がりチェックをします。また転車台に接続する本線などのレールと、軌間が一致していることを確かめておきます。

ガーダーへの取り付けチェック

ガーダーにぴったりはめ込めることを確かめます。
集電用接点の位置により、レールの左右に方向性があるので気をつけます。集電用接点はど真ん中から出ているわけではありません。

集電板の仮組み

本来説明書どおりに組んでいれば、できあがっているはずの中央集電板を仮に組んでみます。
枕木の集電用接点がどう当たるのかを確かめるために必要だったからです。

白いアクリルのリングには、集電板のツメが入るスリットが4箇所あるので、デザインナイフなどで抜きカスを取り除いておきます。

集電板を差し込んだところ

どの部品も裏表がよくわからないのですが、説明書の写真を見ながら収まるように組みました。
一度、取り付けツメを反対側に曲げたのですが、説明書の写真を見ると逆のように見えたので、180度折り返しました。よって、ちょっと金属疲労させてしまった部分があります。

なお、この2つの集電板は接触しないようにし、隙間が狭いようならヤスリで少々削っておきます。

集電用接点の位置の確認

集電用接点は、赤丸・青丸の位置で下側に少し飛び出していますが、ここがフレームに接触しないように十分注意が必要です(あとで少し周囲を削り、絶縁もしました)。
これらは先ほどの円形の集電板に接触します。転車台が180度回転したときに極性が逆になるようにできています。よって単純な方向変換であれば、特別な逆転操作をしなくても、本線側との電気的な極性が揃います。

なお、レール部分は塗装後に接着することにしたので、ここではまだ固定していません。


ガーダーの組み立て2

主要な構造はできたので、あとはディテール部分です。

横梁補強板を曲げる

横梁の上部には斜めに補強板が付きます。この曲げ角度を決めるためのスリットが「蝕刻片」についているので、これを利用して曲げておきます。

取り付け位置の確認

この板は、横梁のうち、床板の横棒に沿っている6箇所に付きます。
部品番号の(20)(21)(22)で上部の切り欠きの形が違うので、どこに何を付けるのかを確認します。

補強板の固定

ちょっとやりにくいのですが、取り付け位置に部品を合わせ、端のほうからハンダ付けします。

補強板の取り付け完了

時々、中央部のレールベースを邪魔していないかを確認しながら取り付けていきます。

歩み板のアクリルベース

レール中央には歩み板が付きますが、これをフレームから少し浮かせるためのアクリル棒が付属しています。中央の溝にはまるようになっています。
これも塗装後に接着する予定なので、仮置きしてみているだけです。

歩み板の設置

歩み板には、締結装置のロッドなどのディテールがあるので、これが枕木部分に接触しないように注意が必要のようです。
このへんは高さともに調整が必要になりそうです。

様子を確認したら、外して塗装まで保管しておきます。

締結装置

レール両端に付ける締結装置が付属しています。が、曲げ方や付け方には実物の形態からみていくつか考えられます。

締結装置の固定

まあ好きなように作ろうということで、ただ両端を折り曲げて、模様を上にして固定してしまいました。

枕木の端にハンダ付けしていますが、アクリルのベースに枕木が密着しているので、素早くハンダ付けしないと溶けてしまいます。接着剤を使うのが安全ですが、ハンダごてのほうが少し近くにあったので…。

ガーダー上部のフチ

最後にガーダー上部のフチを付けます。この前に、ガーダー内側の側面にはみ出したハンダなどを極力きれいにしておかないと、あとからではやりにくくなります。

フチはガーダーの形に合わせてごく軽く曲げます。まずは上から見てズレがないように位置を決め、中央部の横梁と仮付けして様子を見ます。

このフチのリベットはワールド工芸では凹表現でしたが、このキットではちゃんと凸表現になっていて、なかなかきれいです。

フチの本付け

本付けは、ガーダーをひっくり返し、フレームの内側からハンダごてを差し込んで図のように固定しました。

ガーダー部完成

部品数が多く、それぞれのヤスリ整形も必要なので、やや時間がかかりました。
しかし極端に組み立てにくいということはありません。基本的な設計はきちんとできているように思います。


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