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Bトレ用モーターを使う

モーターの交換前後

2008.1.13/2008.2.2

昨年、結果のみお知らせしたものです。上の写真は、モーター以外にも色々変わっていますが、キャブ内にかなり空間ができるのはご覧のとおりです。

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このサイトはキャブ内のモーターを引っ込める加工を繰り返し掲載していますが、それは昔KATOのD51を買いに行ったとき、カタログを見てもなかったモーターが、キャブ後方に忽然と出現していたショックが原因です。また、私の工作には高価なコアレスモーターはブタに真珠なので、なるべく安上がりな方法で何とかしようとジタバタしてきたわけです。

Bトレ用モーターへの交換

年月が経つにつれ、携帯電話のバイブレーター用として小型のモーターが非常にたくさん登場し、いくつかは用途を限定して鉄道模型にも使われるようになりました。また、Bトレインショーティーや鉄道コレクションのおかげで、各種の小型動力ユニットが手ごろな価格で買えるようになったのは嬉しい限りです。

小型車両用動力ユニット

ここで使ったのは、KATO製の「小型車両用動力ユニット」(11-106)です。抵抗器が組み込まれていない改良後のタイプです。税込価格が2,100円ですから、モーター1個の価格と考えても極端に高くはありません(同じくらいの大きさのモーターが、単体でこの動力ユニットと同じ値段だったりします)。ただ余る部分がもったいないので、モーターだけ入手できれば一番よいと思います。

実のところ、当初は機関車が単機で動けばラッキーという程度に考えていました。あまり期待はしていなかったのです。

メールで情報を頂いて知ったのですが、電子部品店にも類似形状のモーターが各種出回っていたのですね。色んな部品を仕入れに部品店には出かけるのですが、ちっとも気付いていませんでした。

小型車両用動力ユニットのモーター

モーターは動力ユニットの上部のカバーを外せば簡単に取れます。

向こうのモーターは、このサイトで時々使っているマシマ・モーターです(D52のモーター交換の際も使いました)。これと比べてもかなり小さいです。ここではこれをマイクロエースのD51に取り付けてみました。

動力部の加工

モーターを取り付けるため、動力ユニット側を少し加工します。

上が原型の動力ユニットですが、モーターの整流子ボックスが挟まっている部分を少し広げると、小型モーターの本体をはさむことができます。モーターがボイラーに半分以上入り込みますから、キャブ内はスッキリします。

ただ、内側から削るのは普通のヤスリでは難しいので、リューターなど道具が必要になります。ないときは金ノコで外側まで切り取ってしまい、別途モーターを固定して配線すればよいと思います。

D51の場合、モーターのシャフトはシリコンチューブでウォーム軸につながっているので、元のモーターを引き抜いて新しいモーターのシャフトを差し込みます。ただし新しいシャフトは少し細いので、太くしてやる必要があります。内径1.0mm・外径1.5mmぐらいのパイプがあれば良さそうです。私は手持ちの絶縁チューブを短く切ってモーターのシャフトにはめました。

モーターとウォームのシャフトが厳密に一直線になるようモーターを取り付けます。ダイキャストの削り方が偏っていると、モーターが傾いてシャフトが一直線にならず、走行中に突然ぴたりと止まってしまうことがあります。ウォームの前後のアソビも大切です。

モーターの通電と絶縁

モーターには動力の左右のダイキャスト・ブロックから電気を引き込まなくてはならないので、そのための配線と絶縁を考える必要があります。とはいえ、基本は元のモーターのように、接点を介して左右のブロックにうまく接触させるだけで問題ありません。

ダイキャストブロックに穴を開けて、リード線を縛り付けたりしてもよいのですが、ここではモーターに真鍮線で接点をハンダ付けし、それが左右のダイキャストブロックに接触するようにしました。

このとき注意が必要なのは、接点の真鍮線が、モーターの金属製のケースに接触しないようにすることです。モーターのケースはどちらの接点とも電気的につながっていないので、片方に接触するだけなら問題ありませんが、両方に接触してしまうとそこでショートします。そこで、間にテープを貼ったり、紙を挟んだりして、電気が流れないように絶縁します。

シャフトを一直線に保つには、モーターの高さも大切です。図には描いていませんが、モーターの下に厚さ1mm弱ぐらいのプラ板を敷くなどして調整します。もしモーター交換後に不調をきたしたら、まずはモーターが傾いていないか、上から見ても横から見てもシャフトがずれていないかを確認し、モーターの向きや高さを調整します。

モーターを取り付けるときは向き(極性)にも注意が要ります。右側のレールがプラスのときに前進するよう確かめて配線します。間違えると他の機関車と進行方向が逆になってしまい、綱引き専用機になってしまいます。

完成

加工後

ちょっと有意義なのは、走行中にちらちら見えるモーターの後部が、バックプレートのように見えなくもないことです。じっと見ればモーターそのものですが、走行中ですと結構いい感じです。上部のバルブや加減弁ハンドルをプラ板の小片でくっつけて、それらしく見せると面白いかもしれませんね。

走るのか?

…走ります。大方の予想よりもはるかによく走ると思います。音も静かですし、平坦線で客車14〜15両は楽々引けます。4%勾配ですと10両を超えたあたりで空転しますが、モーターのトルクはまだあるようです。このちっぽけなモーターに期待される結果としては十分なものではないでしょうか。

山崎喜陽氏の「鉄道模型」(保育社カラーブックスNo.380)P.37〜P.38の文章を一部引用させていただきますと、

「模型のモーターは、一般に充分な回転力を持っています。この回転力を充分な牽引力に代えて強い機関車にするには、二つの条件が必要です。第一はいま述べた全部の動輪をまわすこと、第二は機関車を重くして、動輪がスリップしないようにレールに押しつけることです。じつは、この二つが大切であって、モーターをいくら大きくしても強力な機関車はできないのです。」

あとは、いつ壊れるかです。今のところ不安なく使っていますが、そもそもBトレ用モーターの耐久性はどの程度を狙っているのかも不明ですので、無理をさせている可能性はあります。

私としてはかなり満足度が高い加工でした。手放せなくなって、ずっと使っています。雑な工作を10年以上も繰り返されたマイクロエースのD51にとっては、いい迷惑かもしれません。


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