まずは、単純なエンドレスを組んで走らせてみました。
レールのジョイント部は、ひとつずつバリを取ったりヤスったりして、きちんと噛み合うように調整がいります。
本当はベニヤ板などに固定する必要がありますが、両面テープでちゃぶ台に貼り付けるだけにしました。
結構、反りやゆがみもあるので、ただ並べただけでは辛いことがあります。
やった!轟音を立てて猛烈にスリップしながらも、ちゃんと走っています。 時々ギヤを噛み込んで止まってしまいます。また、あれほど注意したのに連結の自然解放も起きます。 ギヤの噛み込みは一度機関車のボディーを外し、ドライブシャフト前方の押さえをチェックしてはめなおしたところ、直りました。 |
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静止状態で撮影した編成。 機関車の従台車が難物で、簡単に脱線するので単にひきずって走っているようなものです。 |
さて、ポイントを組み立てて完成させます。 パーツ割りは写真のようになっています。トングレール周辺が、レールの抜き勾配などのために密着しないので、よく削り合わせる必要があります。 |
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各種リンクの接続部は、おもに焼き潰しで留めます。当時のプラ模型の焼き潰し箇所は、ドライバーを焼いて使うように説明されているのが普通ですが、先がなまってしまうのであまりやりたくありません。 焼き潰しに失敗して、がっちり固定してしまったものを見たこともあります。きちんと作れば確実に動くのですが、初めてだと難しいです。 |
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完成しました。ポイントを組み立てる機会はあまりないので、面白いです。 駆動部のカバーの、切り替えつまみに接する部分にはギザギザがあります。つまみの突起に噛み合って、切り替えた方向でうまく固定されるようになっています。 |
さあ出発です。ポイントを脱線せずに通過するか、ドキドキします。
実際には轟音をたて、体をぐわんぐわん揺すりながら空転していきます。が、とにかく走るのは間違いないです。
真面目にBullfrog Snotを使うといいかもしれません。
でもいい眺めです。プラ模型で、ポイント付きの9mmゲージのセットが手に入るんですよ…。うまく走れば最高に楽しいです。
最初のC58のときはうまく走りませんでしたが、もう3つめですからいい加減に学習しています。
空転が多くて、派手な割には進みが悪いので、タムを外しました。 直線側、うまく通過していきます。 |
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向こう側のポイントもうまく通過していきます。 |
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分岐側も大丈夫です。確実に作動するポイントがセットされている電動プラ模型は、なかなかありません。 |
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向こう側に退避しているのは、姉妹品のC11セットです。貴重なツーショットです。 |
最後に、フロントに0.5mmドリルで穴をあけ、つかみ棒を取り付けました。 |
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余ったパーツです。 |
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原形のC58用パーツも付属しています。 |
色々比べてみましょう。
童友社 C10 今回組み立てたキット。16.5mmゲージのキットでも難しいのに、当時の電池モーターで9mmゲージに挑戦したのは素晴らしいです。 全長など、下のKATOのC11と大して変わりません。 |
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KATO C11 こちらはずっと精密なNゲージ鉄道模型。これの初代製品は、童友社のC10などと同時期に模型店にありました。 走りの安定性はさすがにNゲージだけあって、プラ模型とは比べ物になりません。 |
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マイクロエース C10 30年後に発売されたNゲージのC10。 なんと童友社のつかみ棒は、これより細いです。 |
童友社 C10 この模型は、なかなか忠実にパッケージの雰囲気を再現しているのではないでしょうか。 パッケージの絵が上手だったとも言えますが。 |
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マイクロエース C10 貨車はNゲージ製品です。 |
当時このプラ模型を企画・製造された方々を尊敬します。組み立て終わってしみじみ感じます。
その時点で使える現実的なモーターで、9mmの線路を走る蒸気機関車をまとめ上げ、外観も破綻することなく(注:このクラスのプラ模型でここまでできていれば十分です)、貨物列車の牽引まで実現しています。
実際にレイアウトを作れるレールも最初から豊富にセットされており、鉄道模型としての面白さを十分味わえます。プラ模型で楽しく遊んでほしいというメーカーの願いが製品にとてもよく現れています。
同様のNゲージのセットに比べれば外観も性能も落ちますが、値段は1/4以下、夢を持って楽しく遊べるユーザーの数がぐんと増えます。そして夢破れることもしょっちゅうですが、そんなところが電動プラ模型のとてもよいところだったと思います。
失敗して、なぜできなかったのかと辛抱強く調べ、原因をひとつずつ切り分けて、ついに動くようになったときの喜びは格別です。その時点の実力ではどうしても解決できないこともあります。そして何年も経ってから再挑戦し、また新たな壁にぶつかり…という見事な教材でもあります。
今度はまた、ちょっと違ったものをやってみましょうか。