Nゲージ蒸気機関車蒸機の工作>C51の組み立て(中村精密)

C51(中村精密)の組み立て

C51

2012.1.31

有名な1980年の製品です。Nゲージ蒸気機関車のキットでは、最も組み立てが簡単な部類に入ります。
昔の電動プラ模型などと比べてもずっと簡単ですし、成功率もかなり高いと思います。

完成品とキットがありましたが、完成品は今でも中古屋さんで2年に1度くらいは目にします。手付かずのキットを組み立ててみました。

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このキットのコンセプトは、誰もが簡単に組み立てられる、それに尽きると思います。

細かいディテールは省略してなるべく部品を少なくしていますが、ごく少数のパーツは別付けとして、一応自分で組み立てたということを味わえるようになっています。
形はそれなりで、それほどC51によく似ているとはいえませんが、ここまで簡単ならそれでいいではないかと思えてきます。

車体は金属の固まりなので、一体のディテールを削り取って付け直すなどの工作は容易ではありません。しかし、それ以外のパイピングを追加したり、つかみ棒やステップなどの効果的なパーツを取り付けてディテールアップすることは可能です。

キットの様子

カスタムキット 箱の様子

製品には完成品のほか、動力部が組み立て済みのカスタムキットがありました。
ほかにバラキットもあったそうですが、私は見たことがありません。

カスタムキット 中身

上廻りの基本部分はいくつかに分割されたホワイトメタルです。表面の荒れや多少のモールド乱れはありますが、意外と精密に成型されています。
バリの中から掘り出す必要がないぶん、昔のプラキットよりもずっと楽です。
キャブのみ真鍮エッチングで、組み立て済みとなっています。

動力はテンダードライブです。このキットは2軸駆動ですが、後に4軸駆動の製品も登場しています。
下廻りはスポークの抜けた動輪と、フルワーキングのバルブギヤを持っています。シリンダーブロックは塗装済みです。

説明書

説明書は当時の学校のプリントのような感じで、図面は非常に丁寧な作図、文字は手描き原稿です。
当時すでに日本語ワード・プロセッサはありましたが、大きい会社のタイプライター室ぐらいにしかありませんでした(漢字タイプライターはそこそこありました)。
一番上の見出しは写植が打たれていて、メーカー品らしくなっています。

説明書の文

本文には次のようにあります。

「このカスタムキットは新しい金属材料を用い、組立てのむずかしい動力部及び本体走行部を組立て調整済として、工作を楽しみたい方、ディテールをつけてデラックス機にしたい方など多くのNゲージャーの為に企画しました。上マワリはすべて接着剤で組立てられるようになっています。」

今よりは家庭にハンダ付け工具があった時代ですが、技量的な差が出やすい箇所のため、それを省いて誰にでもそこそこ完成させられることを狙ったようです。

いかにも簡単そうなキットで、見ているだけでわくわくします。早速組み立てます。

上廻り

ボイラーとランボード

エンジン部のホワイトメタル部品は、ボイラーと前後のランボードの3個です。このほか真鍮製のキャブがあります。

表面の合わせ目や荒れなどは、徹底的に修正される方もいらっしゃると思いますが、特に目立つところを少し整えるだけにしました。ほとんどそのままです。

後部ランボード取り付け

後部ランボードをボイラーに接着しました。瞬間接着剤やエポキシ系接着剤を使うのが普通かと思いますが、ここでは接着面積が広かったこともあり、合成ゴム系接着剤で付けました。

よく見ると煙突スカートがネジで止められていたり、上下合体ボスが埋め込まれていたりと、細かい手作業がいくつも施されていることがわかります。

前部ランボードの加工

前部ランボードは、蒸気管カバーのあたりが少しきつかったので、少々ヤスリで整えました。

ホワイトメタルはプラのように柔らかく、簡単に削れてしまうので注意が必要です。

前部ランボードの取り付け

前部ランボードはエポキシ系接着剤で取り付けました。

ボイラーが車体の背骨になっており、そこにランボードを合わせて組めばよいので簡単です。
なおホワイトメタルは柔らかいので、ランボードのフチに力を加えると曲がってしまいます。逆に歪んでいるランボードを慎重に曲げ直すこともできますが、その手ごたえは非常に固い油粘土のようなものなので、あまり曲げ直していると形が変わってしまうような気がします。

煙室内側の加工

煙室前端には煙室扉が付きますが、そのままだと少々ずれたので、カッターで削っています。固いABSを削るような手ごたえで、簡単に削れます。

煙室扉の接着

ボイラーが若干変形しているのか、煙室の直径が左右にひしゃげており、煙室扉の外側にはみ出していました。
これを修正するのは大変なので、煙室扉の近くのほうを少し削るだけにしました。
煙室扉は合成ゴム系接着剤で接着しました。

ボイラー部品の接着(公式側)

ボイラー上に真鍮の化粧煙突と、ホワイトメタルの給水温め器を接着します。
ランボードには真鍮の止め弁と、ホワイトメタルの複式コンプレッサーを接着します。
複式コンプレッサーはエポキシ系接着剤で、他は瞬間接着剤を使いました。

ボイラー部品の接着(非公式側)

非公式側には真鍮の止め弁と逆止弁を瞬間接着剤で接着しました。どちらも同じ形のパーツです。

なお止め弁はボイラーに当たるのでまっすぐには付きません。当たる部分を少し削り、取り付け足を少し曲げました。

組み立て済みのキャブ

キャブは真鍮エッチングで、ハンダ付け?にて組み立てられています。天井にはホワイトメタルの天窓が接着されています。

キャブは少し上下に長いので、「鉄道模型考古学N」(新・ではないほう)の中で、著者の松本吉之氏が高さを修正したご作品を紹介されています。この床板を一度取り外してから加工されたのですね…。ほか、ボイラーのパイピングも削り取って付け直すという相当な力作になっていました。

キャブの取り付け

ともかく、通常の金属キットでは組み立てに2時間かかり、しかもまっすぐ作れないキャブが、1本のネジで取り付けるだけで終わります。

キャブの取り付け完了

もっとも、そのままだとキャブ前方に少し隙間が開いたので、取り付け穴を少し前方に広げ、前側に寄せて付けました。
これでなんとエンジン側は終わりです。

テンダーの構成

テンダーの上部はウエイトを兼ねた一つの部品です。石炭部分は別途接着されているかもしれません。
これに固定式の左右台車枠を取り付けます。

台車枠の取り付け

台車枠は内側の溝に差し込み、前後2箇所のツメをヤットコではさんで留めます。表側に傷をつけないように木の棒を当てています。
このあとエポキシ系接着剤を流して固定しました。

上廻り完成

これで上廻りは完了です。ここまで写真を撮りながらのんびり組み立てて、2時間15分で終わりました。

部品数や表現度合いがまったく異なりますが、ワールド工芸のキットではここまで12時間以上かかるところです。キットのコンセプトの違いがはっきり出ています。


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