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C55流線形(トミックス動力)

C55流線形と旧型客車

2023.3.12

トミックスからC55が発売されたので、その動力部を使って流線形ボディーをかぶせてみました。
下廻りを収めるのに苦労するかと思いましたが、個人使用ならあまり多くのことを想定せずにすむので、意外と簡単でした。

KATO旧動力 [トミックス動力]


構造

5年前に縮尺1/140で作っていたデータを0.93倍に縮小して1/150とし、動力部の組み合わせ方法などを変更しました。
1/140版では必要なかったキャブ内などは新たに作りました。ただし、かなりいいかげんです。

3Dデータ

二次硬化の際に紫外線が当たりやすくするため、テンダー内側の仕切りやキャブ内などは別パーツにしました。座席はキャブ内側に一体化していて床留めを兼ねています。

ボイラー脇に浮いている手すりは、直線部を真鍮線とし前方部だけ光造形しました。照射時間の試行錯誤を減らすためです。

除煙板は上部が少し平らになっているものが多いように感じ、気持ちだけ手直ししました。ほか新たに調べてわかったディテールやリベットなどを追加してあります。

シンプルな構造にしたので造形は失敗なく終わりました。造形後サッと二次硬化してからサポートをもぎ取り、内側にも重点的に紫外線を当てるようにしてガッチリ二次硬化させました。いつもは向きを変えながら15〜20分程度ですが、今回は50分かけました。

※機材:Phrozen Sonic Mini 4K+Peopoly製フィルム 樹脂:xUltrat Black t0.035/5s 作業室温:26℃キープ

下廻り

加工した動力部

発売されたばかりの、トミックス製C55(3次形・北海道仕様)の動力部を加工して使いました。削り合わせの過程で余計なところを削ったりしていますので、多少余分な加工もあります。

動力部との組み合わせ

ボイラーの固定は元の製品と同じとし、ダイキャストブロックの前後2箇所の突起にはめる構造としました。

動力部の加工

動力ユニット前方は、後傾している前面スタイルに合わせて斜めに削りました。事前のシミュレーションが甘くて削りが不足したり、削りすぎてプラ板を貼ったりしています(5の箇所)。

ボディーの肉厚は1mmを確保したのでバルブギヤー関連の収まるスペースが厳しいです。まずモーションプレートの取り付け部(1)を0.3〜0.5mm削って内側に寄せました。

さらにモーションプレート外側も削って厚みを半分程度にしました(2)。

シリンダーブロックは付けません。バルブスピンドルガイドの部分のみ、シリンダーブロックのパーツからカットして厚みを削り、ラジアスロッド前側に接着しました。

クロスヘッド表側もやや削りました。ほか従台車の上部のバネ中央も少々削りました。

肉厚を削る

これだけではどうしても、1mmの肉厚のせいでクロスヘッドやクランクピンの頭が引っかかりそうになるので、部分的にボディーを裏側から削って薄くしました。

曲線対策のため先輪周辺も少し削ってあります。「こーんなもんだろう」程度に削っていたので少しづつツボを外しているような気がします。

実際にはクロスヘッドもバルブギヤも内側に少しぶらつきますから、多少触れても内側に逃げているようで、引っかかって動きに支障が出ることは今のところありません。たまにカーブで「コツッ」と鳴る程度です。少なくともR249は通過しました。

量産品メーカーの基準でいえば、これではあらゆるユーザーの手元で安全に走るとはいえず論外でしょうが、個人で使うには走りはスムーズで問題を感じないため普通に成功です。

テンダー部の動力

テンダーも肉厚1mmを確保したため、内部ユニットの両側面を削って幅を狭くしました。

ほか前側の仕切りと、後ろの開閉シリンダーや給水ハッチが入る部分をL字形に大きく削りました。内部にあったライト基板は撤去しました。

テンダー部の動力組み合わせ

テンダー内側には上部にリブ、下部にツメを設け、加工した内部ユニットを天面と床下から挟むようにして固定しています。

分離する際には、少し側板の裾を外側に開くようにしてツメを外します。

完成

へたくそなものですが3Dデータの基本形はすでにあったため、気持ちの上ではすぐできました。手っ取り早く作ってすぐ遊べるので、デジタル製作は自分の遊び方には適した方法だと思います。

なお現状、同じ手法で観賞用の立派な金属模型のように精密なものが作れる気はまったくしません(それはまた別の趣味かもしれませんが)。


C55流線形

前回の1/140版は縞々を目立たなくするため完全なつや消しにしましたが、今回は思い切ってやや光沢を加えたので、側面のみペーパーをかけました。片面は細い砥石(スーパーストーン#400・#800・#1200)を使ったところ、少々傷も入ったため、もう片面はサンドベラのみとしました(#400・#800・#1200)。

ボイラー曲面部はそういった処理をしておらず、液晶パネルの1ドット0.035mmのガタガタが多数の横線となってそのまま見えます。

側面の斜め絞り部分も同様に、液晶パネルの解像度に起因する縦縞がたくさん入っています。解像度の高いプリンターは、階段の1ステップの高さが低くなる代わり、段数が増えるので、かえって縞々の数が増えて目立つことがあります。 1ステップの高さは低くなっていても、2K(0.047mm)→4K(0.035mm)程度では、人の目には違いがほとんどわかりませんからね。

C55流線形
C55流線形
C55流線形
C55流線形

ナンバープレートも3Dプリンター製です。今はナンバープレートを個人レベルで作る方法が色々あって嬉しいです。

形状でよくわからなかった部分は推定というか、CADで楽に作れる形に作っています。

もとのC55

もとのC55(3次形・北海道仕様)です。

C55流線形

その動力をもとに作ったC55流線形(2次形後期タイプ)です。

メーカーがちゃんと作るのであれば、精密なプラスチック成型で側板を薄くしたり、側面の斜め絞りを微妙に緩和して(あるいはストレートにして)幅を確保する方法もあるので、縮尺約1/150のプラ量産品も製造はできそうに思えます。
新幹線電車のように、使用するレイアウトの曲線半径に制限を加えてもよいと思いますし…こんな形の車両を小半径で走らせるのはそもそも無茶かと。

最初の写真はただ趣味的にダブルルーフの客車を牽かせていますけども、C55流線形の登場時はスハ32の丸屋根も製造されていましたし、すぐオハ35なども登場してきましたので、今売られているKATOやトミックスの旧型客車をそのまま牽いても感じが出ます。


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