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C62の組み立て(やえもんデザイン) その1

C62

2016年7月に発売された、やえもんデザインのC62キットです。
C62のNゲージ金属キットは、今までワールド工芸製品のみと思いますので(…ですよね?)、やえもんデザインのC62はどのようなものなのか興味を持っていました。
ぼんやりWebサイトの続報を待っているうちに予約完売となってしまい、慌てて一般の模型店で買いました。

2016.11.17

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キットの様子

C62 2号機 北海道時代、44号機 北海道時代、そして汽車会社タイプ常磐線時代の3種が同時に発売されました。
取り組みやすそうな2号機を組み立てました。

パッケージ

キットは今までと同様のプラケースに入っています。
説明書はA4の裏表と、テンダー用の補足、配管用の補足の小片数枚です。
すでにやえもんデザインのキットを組み立てた経験がある人を対象にしているようで、今までの製品で説明されている箇所でも、今回は説明が省略されているものもあるようでした(ドローバーの加工や、テンダー台車中心ツメの加工など)。

全体の構成は今までのキットと大体同じですが、発電機周辺の配管がエッチングパーツとして付属し、通風管はロストワックスで用意されています。
また非公式側キャブ下の配管も、複雑な複合配管がロストで表現されており、見るだけでテンションが上がります。

上廻りのみのコンバージョンキットのため、ベース車両として次のいずれかが必要です。※KATOのC62/C62パーツは、いずれも新型のもの。

A. KATO C62北海道形以降(コアレスモーター化されたもの)
B. KATO C57 4次形+C62従台車
C. トミックス C57(135、1、180号機)+KATO C62従台車+KATO C62テンダー台車

Aの場合、ダイキャストブロックの幅を詰める切削加工が必要です。私が行ったのはこれです。

上記のほかトミックスのC61も一見使えそうに思えますが、特に指定にはありません。もし試した方がいらっしゃいましたら教えてください。

キャブの組み立て

キャブ妻板
  1. 前後の妻板を2つ折りにして貼り合わせ。
  2. キャブひさしを曲げて、窓の上部に固定。
  3. 旋回窓を固定。
  4. 網を固定。左右の別があります。
  5. 後ろの窓に保護棒を固定。
キャブ前方
  1. キャブ側板をぴったり合わせ、裏のハンダ穴からハンダを流して固定。
  2. 妻板をはめ込んで固定。曲がって付かないよう神経を使います。
  3. 左右の雨樋(ロスト)を固定。
  4. 天窓と天窓のレールを固定。天窓のレールは屋根の下側から差し込み、先端を突き合わせて固定します。各部しっかりハンダ付けします。
  5. 暖房安全弁を固定。
  6. 信号炎管を固定。
  7. ストーカー安全弁を固定。
キャブ後方
  1. 後部ひさしのフチをハンダ付け。中央に水撒管が付きますが、あとにしました。
  2. 後部妻板をはめ込んで固定。前部妻板と位置がねじれないように注意します。注意はするのですが、いつもあまりうまくいかず、あとあと変な傾きの原因になります。
キャブ側面
  1. 後部手すり(雨樋)を固定。
  2. 前部手すりを固定。あとで裏側からガラスを貼るので、内側の出っ張りは平らにしておきます。
  3. タブレットキャッチャーを固定。
    ロスト製の若干大きなパーツなので、穴を合わせると下端がキャブ裾に重なります。「このキットはこういうものだろう」と、特に問題にせず進めてしまったのですが、あとで白線を入れようと決心したあたりから、苦労することになります。
    穴を上に広げて、場所をずらせばよかったかしら…。
  4. バタフライスクリーンを固定。これも取り付け位置や取り付け方法など、あれこれ悩みますが、素直に窓枠に平らに重ねて固定してしまいました。

キャブ床板
  1. 床板を折り曲げてハンダ付け。
  2. 段差部分を別途折り曲げて固定。組み立てがずさんでぴったり合っていませんが、そんなに見えるところではないので気にしません。
キャブ床板仮合わせ

床板はここではまだ固定しません。しかし、あとで合わせるのは難しいことがあるので、仮合わせをしておきます。

ランボードとボイラー

ランボード

ランボードはなるべく平らにしてから、所定の形に折り曲げ、表の網目板を貼り合わせます。
今回は屈曲部の折り曲げゲージは付属しておらず、代わりに説明書に実寸合わせ用の印刷があります。このほうが使いやすいように思いました。

コンプレッサーと給水ポンプの屈曲部をきれいに曲げて、かつ、前後のランボードが一直線に揃うようにします。これが私にはいつも難しいです。

網目板
  1. コンプレッサー、給水ポンプの取り付け部を直角に折り曲げてハンダ補強し、表に網目板を重ねて固定します。

  2. 前方デッキ部の網目板を重ねて固定。ステップの取り付け穴がぴったり合う位置に重ね、必要に応じて削り合わせます。
ボイラー組み合わせ

ボイラーの下辺が平行になるよう、ねじれを直してから、ランボードを組み合わせて固定します。

前側の固定は比較的簡単ですが、後ろ側をまっすぐにするのが難しいので、バランスを見ながら少しずつ仮止めして固定します。

前方の煙室扉枠は、仮にはめ込んだ状態で作業しています。まだここでは固定していません。

ランボード高さ調整

ワールド工芸のC62は、ボイラーが前後2ピースになっており、重ね合わせによって太さの違いを表現しています。一方やえもんデザインはボイラーが1ピースなので、前後のねじれ・曲がりに神経を使う必要はありません。前後の太さの違いはプレス加工で表現されています。

ただ、そこにランボードをまっすぐ固定する作業はやはりそれなりに難しいです。やっている間は面白いですよ…まだこの段階では、失敗しても取り返せますから。いつまでもここでとどまっているわけにはいかないので、どこかで踏ん切りをつけることになります。

洗口栓

洗口栓はロストの別パーツになっています。全部で11箇所の穴に差し込んで固定します。

ボイラー上パーツの取り付け・配管

前方小パーツ
  1. 上部左右のステップ(エッチング)を固定。
  2. 下部左右のステップ(ロスト)を固定。
    ちょっと難しいです。後ろから差し込み、ステップ本体は表に出るようにします。
  3. ついでにボイラー上の小ステップも付けました。左右の所定の位置にそれぞれ固定。
  4. 2号機用のフックを折り曲げ、溝に合わせて固定。
前デッキ
  1. 給水温め器のキセを折り曲げて組み立て。まだデッキには取り付けません。
  2. テールライトを前面に固定。
  3. 左右に給水温め器のふたを取り付け。ここで、組み立てた給水温め器をデッキに固定しました。
  4. 端梁に0.25mmリン青銅線を通し、たぐりよせながら曲げてカプラー解放てこを作ります。その後、ランボードに端梁を固定。
  5. 反射板ハンドルを固定。

私は付けませんでしたが、スノープローも付属しています。

ボイラー上パーツ
  1. 煙突を固定。今回はボイラーの曲面と大体うまく合い、削り合わせは不要でした。
  2. ドームとボイラーを仮合わせして形を修正してから、汽笛と砂撒器(左右3個ずつ)をドームに固定しました。
  3. ドームをボイラーに固定。このドームの形は好きです。
  4. 砂撒管として、0.3mm真鍮線を裏側から刺して固定(左右3箇所ずつ)。
  5. 安全弁台座を固定。
非公式側ランボード上

非公式側のランボード上です。キットによって(2号機と、44号機・常磐線)異なります。

  1. 0.4mm真鍮線(送水管)に、付属の継手をひとつ通しておきました。
  2. 0.4mm真鍮線を説明書の図に従って曲げ、固定。
  3. 0.3mm真鍮線(給水ポンプ排気管)を説明書の図に従って曲げ、固定。
  4. 固定した真鍮線に合わせ、配管留めを固定。
  5. 耐寒カバー付き逆止弁を削り合わせて固定。
公式側ランボード上

公式側です。

  1. コンプレッサー排気管を通す穴をランボードに開けました。この段階ではちょっと難しいので、ボイラーを取り付ける前に開けておけばよかったです。
  2. 0.3mm真鍮線に、付属の継手(ロスト)を付け、ランボードに固定しました。
  3. 動力逆転器とカバーを固定。
  4. 0.25mm線で動力逆転器ロッドを固定。この部品の取り付け指示はありませんが、キャブ妻板にはこれを通す穴が開いているので、これも素組みの範囲だろうと思って付けました。
  5. 逆転器中間テコを固定。
空気作用管
  1. 空気作用管の取り付けについては説明書に記載はありません(今までも)。塗装前に固定してしまいました。ボイラーバンドと重なる部分など、数か所を点付けしています。
  2. ドーム前ステップと手すりを固定。これを先に付けてしまうと、空気作用管が付けにくいことがありますが、ものによってはそうでないこともあります。
発電機

発電機には最初から排気管が一体で成型されています。

  1. タービン発電機を固定。
  2. ATS発電機を固定。
キャブを固定

発電機周辺の配管に移るため、ここでキャブを固定しました。バックプレートと床板も付けています。
仮付けしてから1日待ち、眼をリセットしてからもう一度傾きを調整しました。

翌日見ると曲がっているというのは、特に私だけのことではなく、そのようにお感じの方はいらっしゃるようです。

給水ポンプ、コンプレッサー蒸気管、発電機配管

2号機と44号機のキットでは、発電機周りの配管の原寸図が添付されています。発電機の配管は足付きの状態でエッチング板にも用意されており、ボイラーにも最初から取り付け穴が開いています。

  1. 0.4mm真鍮線にエッチング板の配管留めを通し、給水ポンプ蒸気管を固定。
  2. 0.5mm真鍮線に配管留めを通し、コンプレッサー蒸気管を固定。
    時期により、空気作用管の上を通っていることと、下をくぐっていることがあります。
  3. タービン発電機の蒸気管と電気配管を固定。エッチング板にも用意されているものを、そのまま使いました。

なお、汽車会社常磐線時代のキットには配管図が用意されておらず、ボイラーにも配管穴がありません。「常磐線時代の実機写真を参考に配管願います。」と書かれています。

通風管

通風管は2号機専用のロストパーツが付属しているので、これを曲げて取り付けます。

通風管自作

しかし、私の作例では途中の穴の位置がどうしても合わず、穴か取り付け足のどちらかを部分的に移動しなくてはならないようでした。
端のほうがずれているなら何とかなりそうですが、両端付近は合っており、途中の2箇所程度のみズレているので、どうやって修正すればよいのか難しいところです。

結局、通風管のロストパーツは使わず、0.4mm真鍮線で作り直すのが早いということになりました。自作する際の寸法図も説明書にあるので、比較的簡単でした。

ATS発電機配管

通風管の上から、付属のATS発電機配管を重ねて固定しました。

配管の形状や重なりは、やはり時期によって異なることがあるようで、私の手持ちの資料でも色々です。今回はまったく説明書のとおりの素組みです。

もう、Nゲージとしてはかなり配管が混んできました。幸いエッチングの配管がたいへん細いため、塗装してしまえばギリギリ大丈夫かと思います。これ以上になるならシルエットがおかしくなってくる恐れがあるので、間引くところでした(…そういう考えも全部、私の主観ですヨ)。

オイルポンプ箱

奥側の配管が終わったので、小型オイルポンプ箱とオイル箱を左右ランボードに固定。

ハンドレール
  1. 公式側ハンドレールを取り付け。こちら側は2本あります。
  2. 非公式側ハンドレールを取り付け。
加減弁ロッド

2個のロストパーツからなる加減弁ロッドを固定。この2個の接合面積が小さいため、本当にガッチリ固定しないと取れやすいです。

煙室まわり

デフ

左右のデフを組み立てて固定。仮付けのあと、1日おいて眼をリセットし(今回こればっかり)、再度曲がりを調整して固定しました。

デフは洋白なので、塗装後につばめマーク部分を磨き出すことができます。

ライト
  1. 取り付け穴(直径0.5mm)をドリルで開け、シールドビーム副灯を固定します。
    取り付け穴の位置はテンプレートシールに記されていますが、煙室枠に丸みが付いているため正確な場所がわかりにくいかと思います。ドリル先端も滑ってしまうので、なかなか難しいです。
  2. ヘッドライトを固定。
煙室扉の組み立て
  1. 左右に手すりを差し込み固定。ロストで取り付け足と一緒に成型済みなので簡単です。
  2. 煙室扉を枠にはめ込んで固定(開閉可能にもできます)。
  3. 煙室扉ハンドルを差し込んで固定。

ボイラーに煙室扉を固定。

煙室扉の取り付け

ランボード下のパーツ取り付けや配管がごっそり残っていますので、エンジン部だけでも先はまだあります。


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