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C62の組み立て(やえもんデザイン) その2

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動力部の加工

ランボード下の工作を進める前に、動力部と上廻りを合わせておいたほうがよいので、ここで動力部を加工しました。

ベース車両にはKATOのC62 3号機(シリンダー上部の傾斜が大きいタイプ)を使いました。

動力ユニットの切削

動力ユニットは車輪も外してばらばらにし、左右のダイキャストブロックを引き離しました。軟質プラの絶縁ボスに、左右のブロックのピンが圧入されている構造です。

万力に挟まず、手持ちでヤスリがけしました。のべ時間は数時間でしたが、結構くたびれるので2〜3日かけました。後端は、フライホイールが露出するまで削りました。

上下組み合わせ

車体の前側はシリンダーブロック上部で支え、後ろ側はキャブの床板を、ダイキャストブロック後部に残った出っ張りで支える形になりました。意外に安定しました。

組み立てに起因する細かい歪みや傾きが少しずつ目につきますが、もうこの段階では修正が不可能なものもあります。毎度自分の実力の程度を見せつけられる瞬間です。そのつど水に流して現在に至ります。

ランボード下側の組み立て

ハシゴの取り付け
  1. 火室下部のパーツを内側から貼り合わせました。
  2. キャブ下の凹みにハシゴをハンダ付けしました。
    そのままでは弱いので、別途0.3mm洋白線で斜めにブレースを作って固定しました。これである程度しっかりします。
非公式側配管

これは驚き。非公式側のキャブ下は、各種給水管や暖房管などが折り重なって複雑ですが、これらがひとつの真鍮ロストパーツにまとめられています。
早く取り付けてみたくなりました。

非公式側配管の取り付け

取り付け穴を多少調整したら、本当にポンと付けて終わりでした。随分と楽でした。従台車にも干渉しませんでした。
このキットで一番、嬉しかったパーツです。

公式側配管の取り付け

公式側のキャブ下です。

  1. 分配弁と渦巻チリトリが一体となった、配管ブロックを固定。
  2. 速度検出器を固定。
ストーカーエンジン

いくら見えないところだからといって、この工作の汚さはないだろうと…。すみません。

  1. ストーカーエンジンを組み立てて固定。
  2. しかし、ドローバー途中の出っ張りがストーカーエンジンに干渉し、可動域が不十分な感じです。
    類似の問題が起きたC61のときは、ストーカーエンジン側を半分以上削ってしまったのですが、今回はどうしましょう。別な方法がないか、あとで考えます。
給水ポンプ配管

チリコシが付属しているので、最低限ユーザーがその配管を作ることは意図されているだろうと考えました。付属の真鍮線で取り付けました。

  1. 送水管を0.4mm線で作り、適当な位置に固定。
  2. 0.4mm線で給水管を作り、途中にチリコシを通して固定。
コンプレッサー配管

火室下部の配管表現は、ボイラー上部に比べ簡素です。私の作例では何も付け加えていません。

  1. 調圧器とその配管を固定。
  2. ドロダメを固定。このままではカーブで従台車に当たるので、あとで下部のパイプは根元から切り詰めました。
公式側冷却管
  1. 空気溜め(小)を仮合わせ。上部に冷却管が重なるので、その部分を削ってあります。
  2. 冷却管の上部の折り返し(のりしろのような部分)を、ランボードと空気溜めの間に挟み、位置を調整して固定。
    のりしろの断面がランボード側面とツライチになると、その部分だけランボードが分厚く見えてしまうので、少しでも内側にずれるようにしました。
非公式側冷却管
  1. 空気溜め(大)を仮合わせ。こちらも冷却管と重なる部分を削っておきました。
  2. 冷却管を挟み込んで固定。
  3. オイルポンプ箱を固定。
  4. 調整ネジカバーを固定。オイルポンプ箱と一緒に、ランボードを挟んだ状態でヤットコでくわえ、合わせ目をハンダ付けしました。
デッキ下
  1. 前ステップを固定。左右つながっており、位置決めも楽です。
  2. エアホースを固定。取り付け足が短く、裏側からハンダ付けできないので、泣く泣く表から付けました。
水撒管

水撒管を固定。これの形状も時期によって違いがあります。

エンジン部生地完成

これでエンジン部は生地完成かと思います。

シンダー除け

…と思ったらシンダー除けを忘れていまして、塗装前に接着固定しました。
こんどこそ終わりです。

テンダー

テンダーにも折り曲げあり、細かい部品のハンダ付けありで、意外にボリュームがあります。

妻板貼合わせ

テンダー本体を曲げる前に、底の角度を決めるゲージとしても代用するため、前後の妻板を折り曲げて貼り合わせておきました。

水槽折り曲げ

キットのテンダー本体は平板の状態なので、万力に挟んで曲げました。
片方の壁を薄い木の板2枚に挟んで、それを万力でくわえました。

フチのハンダ付け

側板の上端に、細いフチをハンダ付けしました。

  1. 位置決めのため、上端からフチの幅だけ目分量で離して、マスキングテープを貼りました。
  2. テープに突き合わせてフチを側板に重ね、後ろの段差のあたりを少量のハンダで点付けしました。
    そこから前後に少しずつ点付けの範囲を広げながら(歪まぬよう、熱膨張の逃げを両端方向に取り)、本付けしていきました。
後部妻板

細かいディテールパーツを取り付けました。

  1. 各種ステップや手すりを固定。
  2. カプラー解放てこを固定。
  3. クレーンフックを固定。
  4. テールライトを固定。
  5. 後部ライトを固定。
  6. 暖房ホースを固定。

あとで天板をはめ込むときに邪魔にならないよう、内側に出る取り付け足は平らに削っておきました。

前部妻板
  1. ATS機器箱を裏側から当てて固定。あらかじめ、次の増炭枠と仮組みして位置を決めます。
  2. 前部増炭枠を折り曲げ、妻板上部とATS機器箱上部に合わせて固定。
  3. 右側の取水コック3個を固定。
  4. 左側の取水コック1個を固定。
  5. 石炭皿を固定。
  6. ブレーキハンドルを固定。
  7. 重油管としてL字ジョイント・締弁(小)・0.4mm線を継ぎ合わせ固定。本当はその脇に0.2mm配管を沿わせることになっていますが、手順を間違えて付けにくくなり、あきらめました。

他にもATS配管など実物にはいろいろありますが、付けたければ各自工夫となります(キットですから)。ここではユーザーが手を加えていない「やえもんデザインのC62」はどういう姿なのかを、説明書やパーツの穴などから自分なりに解釈して組み立てております。

妻板を固定

前後の妻板をテンダー本体に合わせ、固定しました。

テンダー底

テンダー底のディテールです。2号機では側受などの形が作り分けられています。

  1. ロストの上心皿に3mmネジを切り、2の梁が重なる部分を削ってから、前後2箇所に固定しました。
  2. 底板中央の梁を2本固定。
  3. T-11フック部品を折り曲げ、6箇所に固定。
  4. ロストの側受を4箇所に固定。
  5. ATS車上子の場所を決め、固定。
  6. ブレーキシリンダーを固定。台車に当たらないように位置や形を確かめます。
  7. 床板に配管留めの穴が用意されていたため、0.4mm線で暖房管を作り固定。
  8. テンダー内側に、カプラーポケット用かさ上げパーツを重ねて固定。
ストーカーと連結フック
  1. ストーカーに取り付け金具をハンダ付けし、床に固定。
  2. 連結フックを固定。
  3. 非公式側の前枠を固定。

ストーカー先端は、キャブ下側に触りそうだったので、最終的に少し削りました。

連結器胴受け

カプラーの胴受けを忘れていたので、ここで付けました。

樹脂ピンとカプラー
  1. 前後の樹脂ピンをねじ込みました。ここでは、いったん台車を付けて具合を見るための仮止めです。
  2. 種車から取り外したカプラーを固定。KATOのC62のテンダーのカプラーが、無加工ではまります。
台車集電板のカット

テンダー台車はKATO製が指定されています。
今回はKATOの動力を使用するため、テンダーからの集電は省略しましたので、集電板上部の突起と側受の表現をカットしました。左がカット前、右がカット後です。

トミックスのC57を使用するときは、何とかしてテンダーからも集電することをお勧めします。エンジンから1軸しか集電されていないため、テンダー集電なしでは性能が不足します。もちろんKATO動力の場合も、テンダーからも集電するにこしたことはありません。

中央のツメをカット

台車中央に、スナップ用のツメが2本出ているので、これを根元からカットします。左がカット前、右がカット後です。
これは以前の別キットの説明書にはあったのですが、今回のC62の説明書には書かれていません。

こんな穴では、樹脂ピンに引っかかってスムーズに回らないのでは?と思われるかもしれませんが、実は樹脂ピンに接するのはここではなく、上からはめ込む端梁中央の穴なので、ツメさえカットしておけば問題ありません。

端梁で固定

台車を樹脂ピンにはめ、上から端梁をはめ込みます。端梁(をつなぐ中央部)の丸穴が、うまく樹脂ピンにはまり、スムーズに回転します。
なおテンダー台車は、それほど大きく首を振らなくても結構大丈夫です。

ネジ留め

最後にネジで留めます。ネジは付属していないので何か用意します。説明書にいくつか例があります。

トミックスのC57を種車に使う場合、そのテンダー台車のネジ(頭が平たい低頭ネジ)が使えます。ネジの頭が薄いので、ポイントなどに引っかかりません。
私はちょうどよい低頭ネジを見つけられず、手持ちの1.7mm小ネジと2mmワッシャーを使って、頭が出っ張らないように留めました。偶然頭のサイズが合ったというだけなので、特別おすすめはしません。

説明書には、KATO製センターピンのネジ部を短くカットして使用する方法も書かれています。

ドローバーの加工

今回の説明書ではドローバーの加工について省略されています。今まで通り、ベース車両のドローバーを加工して使います。なお現在、以前のキットにあった金属パーツは付属していません。

ここで使ったC62 3号機のドローバーは、途中の出っ張りがストーカーエンジンに干渉したため、別途用意したC59のドローバーを削って使いました。
ドローバーの後側はカットし、テンダーの連結フックが入る穴を1.0mmドリルで開けました(赤い印の位置)。穴の位置を決めるには、あらかじめ厚紙でダミーのドローバーを作ってテストしました。

ドローバーに仕込まれている集電線は、エンジンへのはめ込みのバネを兼ねているので、外してしまうとパチンとはめられなくなります。後端を切り詰めると外れやすくなるので、左右がショートしないよう適当なスペーサーを挟んだうえで、接着剤で固めてしまいました。

テンダーの組み立てはまだあります。


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