Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>D52戦時型の組み立て(ワールド工芸)
1999年に発売された、当時のアリイのD51を使用するコンバージョンキットです。
この年はD52キットのバリエーションが次々と発売されたため、アリイのD51を使い果たしてしまい、そのままになっていました。
18年前のキットとはどういうものだったのだろうと、ふと思い立って今更組み立てました。
2017.10.19
[1] 2
D52戦時型は、ドームの形の違う2種が発売されており、こちらは「ストレート角ドーム」です。他に「段付き角ドーム」が発売されていました。
この2種のキットはドームの形だけではなく、砂撒き管の位置や木製デフの形状なども作り分けられています。…ということが今回わかりました。
このころは今のような小型ダンボール箱ではなく、透明プラスチックのケースに入っていました。
組み立てた後は小物入れにしたり、電子工作のケースにしたりで、今でも結構このころのケースが身近に残っています。
中身のパーツ構成です。一見、現在のものとそれほど変わりません。ボイラー、テンダー、キャブは曲げ済みです。
今と少し違うのは、切り離し済みで小袋に入っている部品が多いことでしょうか。今のような大きなエッチング板はありません。
タービン発電機やドロダメなど、円柱が基本になっているパーツは、真鍮挽物が多用されています。
キャブは内外2つのパーツからなります。写真の状態までは曲げ済みになっています。
よく見て歪みがあったら直したり、切り口を整えたりします。
側板の内張りと、前後の妻板は一体の部品になっています。
現在のキットでは手前にもう1枚、模様のついた妻板が重なることが多いのですが、このキットはこのままです。
最初に後部妻板の上部を突き合わせて留めました。大きなモーターが後ろにはみ出している、アリイのD51にかぶせるキットなので、後部妻板も大きく開口しています。
内外の部品を重ねて仮止めしているところです。
最初に中央を留め、屋根のRを合わせながら両側に少しずつ接合を広げていきました。
側板を重ね、内張りの角穴を利用してハンダ付けしました。
左右の側板が平行になっているか確認すると…全然(笑)。
だましだまし、直していきました。床板がないので(アリイ動力にかぶせるため)、このままではキャブの下側が開いたり狭まったりしがちです。
前面の窓に付くひさしには、あらかじめ丸みが付けられています。
…
…残念。根元のランナー部は丸くなっているのですが、肝心のひさし本体が全然丸まっていません。
ドライバーの柄に押し付けて曲げました。
裏側に横溝が彫られています。横溝が適度な硬さとなって曲げやすかったです。
窓の上部の穴に取り付け足を差し込んでハンダ付けしました。
接合部にしっかりハンダが回らないと、足だけ固定しても曲がりやすいです(このキットに限ったことではありませんけど)。
後部のひさしにもフチをハンダ付けしておきました。
改装前(戦時型)のD52のキャブの屋根は、D51と同様に前後とも同じ幅になっています。
改装後はテンダーの形状が変わり、テンダーの角との干渉を避けるため(…だと思います※注)、少し後部が狭められています。
※キャブ屋根の変化についてお知らせをいただきました。改装でのストーカー追加に伴い、石炭取り出し口と室内床の高さが上がった関係で、乗降時に頭をぶつけやすくなったのが理由としてあるそうです。改装により細々と影響があったのですね。ありがとうございました。
1. キャブ天窓を固定。
2. 手すりを固定。リン青銅製ですが、細いので何度も曲げてしまいヒヤヒヤしました。
このころはまだ、細い手すり類にステンレスの部品は使われていませんでした。
ランボードは真鍮製です。一部が折り返されて二重になっていますが、改めて折り目をしっかり押さえてハンダ付けしておきました。
前側は端梁やカプラー解放テコも一体になっています。
デッキ部を折り曲げたところです。
前方の両側に、デフを取り付ける のりしろ があるのが今のキットと違うところです。接着剤で組むときに役立つことと思います。
ランボードの基本部分はこれで終わりです。コンプレッサーや給水ポンプが付くところの段は、あとで付けました。
ボイラーは今とあまり変わらずプレス曲げされていますが、下部のバンドで左右を留めているのがこのころの特徴でした。
これはあとで切り取ってしまいました。今のキットはこういうバンドはなく、突き合わせになっています。
ボイラーはすでに前後2ピースの構成でしたが、重ね合わせ部分が短いため、まっすぐ結合するのが難しいです。
中央付近を少量のハンダで仮留めし、様子を見ながら少しずつ接合部を増やしていきました。
ボイラーの下部開口部が平行になっていることを確認してから、ランボードと組み合わせてハンダ付けしました。
まずは、ランボードの仮ブリッジとボイラーが接するあたりを仮留めしていきました。
キャブも組み合わせて全体の歪みを確認し、修正しつつハンダを足していきました。今と同じです。
コンプレッサーと給水ポンプが付くところは、ランボードが一段上がっています。別のパーツになっているので、ここで取り付けました。
左右の火室下部と、コンプレッサー、給水ポンプの取り付け部(小穴がいくつか開いているところ)は、1枚の板を折り曲げて取り付けるようになっています。
なお左右をつないでいる部分は、あとですべて切り取ります。
ボイラー上の部品を付けていきます。
最初に真鍮挽物の煙突を付けました。傾きやすいので注意が要ります。
ストレート角ドーム(砂箱+蒸気溜め)は真鍮ロストワックスです。
今のワールド工芸のロストパーツと異なり、あまりボイラーのカーブにフィットしませんでした。裏側中央のリブなどをあちこち削って何とか合わせました。
1. ドームの裏側の足を短く切ってからボイラーに取り付けました。
2. 踏板を固定。「段付き角ドーム」よりも前方にドームが長いので、踏板は小型になっています。
3. ボイラー裏側から砂撒管を差し込んで固定。「段付き角ドーム」のキットでは、表側に配管されていました。
ライトも真鍮挽物です。
取り付け足などというものはなく、転がりやすいので、まっすぐ付けるのはなかなか大変です。
ボイラー前方に延びた細い真鍮の突起にハンダ付けするのですが、根元が弱くて取れそうです。ハンダ補強はしているものの、最後まで不安を残していました。
タービン発電機も真鍮挽物です。もちろん、取り付け足などありません。
まずボイラーに真鍮の台座をハンダ付けし、その上に重ねてハンダ付けします。
位置がずれやすいので、手で直接押さえて位置決めしながら手短にハンダ付けしました。…ピンセットなどで台座と一緒に上下からくわえてハンダ付けするのが安全かと思います。
固定したところです。向きがどちらとも解釈できる形ですが、特に吸排気管が表現されているわけでもなく、どちら向きでも問題ないだろうということでこの向きにしました。
1. 逆転器箱を折り曲げてハンダ付け。
2〜4. 逆転棒、加減棒ロッド、ハンドレールを固定。ハンドレールはカットして一部だけ使用しました。これらの細い部品はリン青銅製です。
逆止弁も真鍮挽物です。もちろん、取り付け足など(以下略)
ボイラーの脇に小穴が開いているので、それを利用して何とかハンダ付けし、真鍮線で配管を付けました。
配管はランボード側でのみ固定しており、逆止弁本体とは突き合わせているだけです。配管のハンダ付けにモタモタして、せっかく先に付けた逆止弁が熱で取れてしまうのが怖くて…。
1. オイルポンプ箱を折り曲げてハンダ付け。
昔のキットのためランボード上に位置決めの工夫がないので、べた付けして余分なハンダを削り取りました。
2. ハンドレールを固定。
D52戦時型の特徴である木製デフです。
「段付き角ドーム」では、上部前方の斜めの欠き取りが小さいタイプになっていましたが、こちら「ストレート角ドーム」では改装後のデフに似た、欠き取りが大きいタイプです。
模様が外に出るように折り返し、裏側の角穴を利用してハンダ付けして貼り合わせました。
デフ上部が斜めに折れていないので、少し作るのが楽です。
このデフはランボードの上に載るのではなく、外側からあてがうように付きます。位置合わせはぴったり決まり、思ったより簡単に取り付けられました。
1点ずつ仮付けしながら、曲がりのないよう様子を見て組み立てています(そのまま安心して本付けを忘れたりする)。
簡単とはいえ、1日おいて見るとどこかが曲がっていたりしますが、それは私の実力と受け止めるしかないです。残念ながら…。
煙室扉は、真鍮挽物の本体に、リング状のエッチングパーツを重ねて表現する方法です。
一応それらしくなります。同じように平らな前面を持つC55やC51も、以前はこの方式でした。最近のキットはロストワックスになっています。
1. 煙室扉の取り付け前に、ボイラー下部をつないでいたバンドをカットしておきました。
2. バネ箱を折り曲げてデッキに固定。
組み立てた煙室扉をはめ込んで、裏側からハンダ付けしました。何となくD52らしくなってきました。
ここで左右をつないでいる仮ブリッジをすべて切り取りました(すでに一部切れていますけど…)。
カットしたところです。前方がデッキ、後方がキャブ妻板で閉じられているため、パカっと開いてしまうことはありません。
しかし、後部は無理に力を加えるとキャブがゆがんで広がりやすいので注意します。
動力とするアリイのD51はもう売られていませんので、KATOのD51を使用しました。長さはアリイに比べて少々短いので、まったく同じにできるわけではありませんが、目をつぶります。
ほとんどそのまま被せられますが、前端のみ、デッキの傾斜部にぎりぎり当たるので、軽く削りました。ライト基板も取り外しました。
このとき一時的に外したピストン尻棒をなくしてしまい、本当に半日間探し回りました。なぜか机の引き出しの底から出てきました。異次元とは意外なところに顔を出しているのかも。
KATOの動力の使い方は、やえもんデザインのD52と同様ですが、左右のタンク部の出っ張りを削り取る必要がありません。車輪を外して作業する必要がないため、気分的にも楽でした。
現物合わせで高さを調整する程度でした。1. D52はD51より1mmランボードが高いので、シリンダーブロックの上に厚さ1mmのプラバンを貼り付けました。
2. モーター押さえの上にも、2mm角プラ棒や0.3〜0.5mmプラ板などを貼り重ねて高さを調整しました。
最終的には、これらの上に両面テープを貼ってボディと合体させました。
先輪もキットに付属していますが、銀車輪で色が合わないため、代わりにKATOのC62の先輪を使いました。
後部台枠と、それを取り付けるための火室下部も流用しました。火室下部はランボードから切り離し、表面を軽く削っておきました。
後部台枠にはブレーキ関係の配管などが多数モールドされていますが、D52のキャブに一部が当たるので、前方の上部を現物合わせでカットしました。
火室下部は両面テープも併用して動力部に元通りはめ込んでおきました。
ボディをかぶせて軽く試運転しておきました。KATOのD51はテンダーがなくても結構ちゃんと走ってくれます(レイアウトによるとは思いますが)。
次はランボード下の各種パーツとテンダーです。
[1] 2