Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>D52戦時型の組み立て(ワールド工芸)
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ドロダメも真鍮挽物です。真鍮挽物の部品は、位置決めさえきちんとできるのであれば、ロストに比べてハンダも乗りやすいですし、扱いやすいものと思います。
火室下部にハンダ付けしました。
この場所には、ドロダメがほんの少し埋まる程度の角穴が開けられているため、比較的楽に固定ができました。
公式側の冷却管を付けました。リン青銅のパーツです。
配管の前後の端は、あとで空気溜めやコンプレッサーを付ける際に、曲げて合わせるなどしました。
その空気溜めやコンプレッサーは熱に弱いホワイトメタルなので、あとに回しました。
同様に、非公式側の冷却管を付けておきました。
フロントのステップを付けているところです。
位置決めの手掛かりがあまりないので少々難しいです。車体が転がらないように何かで押さえ、テープで留めています。
固定後、ステップの端を90度折り曲げて補強ハンダしました。
ステップの中段をハンダ付けしました。
エアホースは付属していませんが、端梁に穴が開いているため、余っていた何かのエアホースを付けておきました。
ここから先は熱に弱いホワイトメタルの部品が入ってきます。
公式側の空気溜めとコンプレッサーを付けました。溶けないように素早くハンダ付けしましたが、配管がコンプレッサーに重なるところは接着で留めています。
給水ポンプは取り付けの前に、手前に重なっている送水管を削り取ってしまいました。
あまりきれいに加工できていません。
非公式側の空気溜めと給水ポンプをハンダ付けしました。一瞬で済ませないと溶けます。エポキシ系接着剤を使うのが安全です。
給水管と送水管は、付属の0.6mm真鍮線を曲げて作りました。いずれも車体側はハンダ付けし、給水ポンプに重なるところは接着しました。
チリコシは別売の同社製ロストパーツを使うことが勧められています。
店頭で売っているのを見たことがありません。何かのキットに同じ部品が付属していたのが余っていたので、ここで使ってしまいました。
ダミーカプラーは下廻りのD51から外して使いますが、ここではワールド工芸の座付きカプラー(ホワイトメタル)を使ってみました。一度何かに使ったものなので塗装されていました。
これでエンジン側の塗装前の作業はすべて終わりました。
テンダーの本体は曲げ済みになっています。
側板の折り目をもう一度しっかり押さえて貼り合わせ、前後の妻板も中央で閉じました。
模様のついた後部妻板を貼り重ねましたが…
ちょっと形が合わず、両側面が平行になるようにすると、底のほうに隙間が出てしまいました。
1. 両側のステップを固定。
2. カプラー解放テコを固定。
他、底の隙間に内側から真鍮線を重ねて埋めました。
今度は前部妻板です。
1. 模様のついた妻板を貼り重ね。やはり、下側に隙間ができてしまいました。
2. 石炭取り出し口を固定。
3. 左右にハシゴのついたステップを固定。
水槽の下部には、中央のフレームと左右4箇所の梁を固定しました。
底には台車集電板を通すための穴が最初から開けられているので、本来のアリイのD51を使用して集電する際には大変便利です。
水槽の上に載る炭庫の枠は、真鍮エッチングです。
木枠の模様が付いている側板を折り重ねて貼り合わせます。後部の板は分かれているので、合わせて貼り合わせます。
側板を折り返し、裏側の角穴にハンダを流して貼り合わせているところです。
加減を誤って、付けすぎたフラックスが派手に飛んで汚れています。組み立てに支障はありませんが何か嫌ですよね。周りがべとついてくることもありますし。
水槽の天板に、折り曲げた炭庫木枠をはめ込んで、裏から足をハンダ付けしました。
両側の3箇所ずつに、三角形のサポート板をハンダ付けしました。実際にこれのおかげで丈夫になるような気がします。
前側に仕切り版を折り曲げて固定し、後部には給水口をハンダ付けしました。給水口も真鍮挽物です。
台車枠は真鍮ロストワックスです。それをリン青銅板でつないだ構造です。
中央に真鍮挽物のセンターピンを付け、車輪をはめ込んでみたところです。
テンダー車輪は付属していません。元のアリイの車輪を使うことが想定されています。
ここではアリイの代わりに使えて比較的入手しやすい、KATOの旧D51のテンダー車輪を使いました。
なお新D51の車輪は使えません。絶縁部位が違うので、このキットに使用するとショートしてしまいます。
車輪のほかに使用するのは集電板です。
左右の台車枠をカットして、中央の梁ごと集電板を移植します。KATOの旧D51のテンダー台車も、アリイの台車と同じように使えます。中央の穴が少し小さい程度で、ヤスリで軽く広げるだけで代わりができます。
金属製のセンターピンにはめ込めば台車は完成です。
テンダー台車から集電しないときは、この部分の取り付けは必須ではありません。私は今回、テンダーからは集電しないのですが、格好を付けるために取り付けました。
エンジンとテンダーをつなぐドローバーは現製品のものをそのまま使えないので、厚紙で何度か作って試運転を繰り返し、穴の大きさや太さ、長さなどを決めました。
後ろにはみ出していたモーターがなくなるので、機炭間隔は少しは詰められます。しかし取り扱いの際に、弱いキャブ後部の手すりとテンダーのハシゴが干渉しやすいので、あまり詰めずにおきました。
最終的なドローバーは、テストで使った厚紙製を瞬間接着剤で固めてもよかったのですが、試しに3Dプリンターで脱着可能なものを作りました。
単体の部品としては割高になりますが、データ作成だけですむので簡単なのと、アクリル光造形での強度も確かめたかったためです。
塗装するすべての金属部品を並べて、ハンダ付けが不十分なところがないか、キズや歪みがないかをチェックしました。
このあとクレンザー、中性洗剤で洗浄して、水性塗料で塗装しました。アクリジョンのブラックとつや消しブラックを混ぜ、18年前に組み立てた他のD52になるべくツヤを近づけるようにしました。
1週間乾燥させてから組み立てました。取り付ける部品は多くはありません。
1. ライトに銀を入れました。試しにレンズとして直径2mmのH-EYES3ミニ(WAVE)をはめ込んでみたら取れなくなってしまい、そのまま付いています。
2. 真鍮挽物の汽笛を接着。
3. 安全弁はもとのD51から移植するよう指示されています。余っていたKATOの旧蒸機の安全弁を付けました。
4. 透明プラ板でガラスを貼り付け。
5. ナンバープレートをキャブと煙室扉に貼り付け。ストレート角ドームと特定できた番号がなく(私の手元の資料では)、適当に今まで作ったD52と違うものを付けました。
テンダー後部にもナンバープレートを貼りました。
塗装したテンダー台車に車輪をはめ、集電機構の梁を接着して、カプラーを取り付けました。
アリイのテンダー台車に比べ、KATOの旧テンダー台車はカプラーポケットが後方に少し出っ張るので、柄の短いMT-7を使いました。
台車を付属のナットで固定しました。後部台車からも集電するときは、内側に出ている前後の集電板の先端同士を、柔らかいリード線(単線はだめ)でハンダ付けします。
今回は集電しないのでこのままです。
ウェイトは、アリイのD51テンダーのウェイトの一部を切って使うように指示があります。たまたま、KATOの旧D51のウェイトを雑に切り取ったものがあったので、そのまま付けました。
上のふた(炭庫)は塗装前に固定しなかったので、取り付け用に2mm角のプラ棒を2本接着しました。
本当はあらかじめ真鍮角棒をハンダ付けしておく予定でしたが、買いに行ったところ真鍮角棒が店頭から消えていまして。
炭庫を本体に完全に固定してしまうと、万一ウェイトが脱落したときに直しにくいので、両面テープで貼るだけとしました。
前後に台車のナットが緩んだときに直すための丸穴が開いているので、付属の穴ふさぎ板を重ねて完成です。
石炭は、あとで何とかしようという程度で、作っていません。
塗装乾燥待ちの間に、ドローバーの3Dプリントができあがっていました。
厚さは1mmですが、同じ厚さのプラバン(タミヤ)よりも少し柔らかい印象です。ちょうどいい感じで機関車とテンダーにはめ込むことができました。
もう一工夫すれば、集電線を組み込むこともできますが、今回はこのままで。
一部の部品構成が異なる程度で、他は今のキットとそれほど違いがなく、特に難しいところはなかったと思います(うまくできているかどうかは別です)。
以下は今回組み立てたストレート角ドームです。
説明書に「小社製 蒸気機関車シリーズの、入門機としておすすめします」とあります。確かに、これから金属キットの組み立てを練習していこうという方にも適したキットだったと思います。初めて取り組んで、接着剤だけで完成させた方もいらっしゃいました。
このころちょうど金属キットを始めた方は、手ごろなキットがあってラッキーでしたね。
入門向きとはいっても、このシリーズがいつでも買えたわけではなく、「北海道型(密閉キャブ)」が1度再生産されたのみだったと思います。もっとも初回に発売された1999年は、あまりにも短期間にD52が固め打ちされすぎて、「ありがとう、もう結構…」という感じではありました。
ただ短期間に似た構造の、手ごろなボリュームのキットを繰り返し組み立てたおかげで、うまくできなかったところを次回にフィードバックするなど、学習できたことは良かったです。
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