Nゲージ蒸気機関車2009年のメモ>2009.2.14(まるで手作り)

まるで手作り

F7とF9

過去に荒っぽく扱われてボロボロになったF9を譲り受けたことがあり、それを修理しようとしました。

2009.2.14


いきさつ

話は30数年前に遡ります。友達のひとりがトミーナインスケールのF9を持っていました。バックマン製品を国内販売したホンコン製です。

バックマンのF9

彼はこの機関車自体のことを「アムトラック」と称していました。CNなのでどっちにしても違いますが、人付き合いのうえでは支障がなかったので、そのまま流していました。それで今でもこれは「アムトラック」です。

私よりずっとお金に余裕があった(らしい)彼は、この模型をケースにも入れず、いつも直接ポケットに入れて持ち歩いていました。恐ろしいことです。遊び方もめちゃくちゃで、確かレイアウトに爆竹を仕掛けて(注:室内です)吹っ飛ばしたことがあったように思います。それでも模型自体はお気に入りだったようです。

あるとき、彼は「俺はこれから全部メルクリンにするから、これみんなあげるわ」と言い、持っていたNゲージの車両をごっそり私にくれました。満身創痍のものもありましたが模型は何をもらっても嬉しいです。感謝!以来、そのまま大切に保管していました。

しかし考えてみれば、この機関車が平穏に走っているところを見たことがありません。爆竹を潜り抜けていたぐらいですからね。放っておいても直りませんし、一度きちんと修理してみようという気になりました。
ところが前方の台車が非常にきつくなっていて、ほとんど首を振りません。古いのでどういう変化が起きているかわかりません。

ひびの入ったダイキャスト

1970年過ぎの購入のようですが、もともと1960年代からの製品です。ボディーを外すと、内部はダイキャストの上下分割になっていますが、中央には大きな丸型モーターがあるため、上側のダイキャストは両端部だけです。その上に無数のひびがあります。

ちなみにカプラーや下廻りが中途半端に銀色なのは、その友達が塗ったためで、経年変化とは無関係です。何でも銀色に塗る人で、オハ31やクハ151の床下も銀色にされていました。まあ、模型は自分で手を加えてあたりまえという時代でしたが…。

ひびの入った動力台車

問題の、動かなくなっていた動力台車は、やっぱり。膨れて割れています。これでは回転しません。外側を削って径を合わせても、その途中で崩壊するか、いずれ長いことはないでしょう。

残念ながら、この下廻りは修理することができません。代わりのものを探すか、自作するかしないといけません。

助っ人探し

このへんから無知を晒していますがご勘弁ください。もしかしたら、現代のバックマンのF9を使えばうまくいくのかもしれませんが、あいにく手元にありません。何か適当なD型機の動力が使えないか探したところ、かなり前にアリイのF7を買っていたことを思い出しました。F7もF9も似ていますし、大きさも合いそうです。 やっとありかを見つけたら、一緒に学研のクハネ583も出てきてしばし絶句。まあそれの分析はあとまわしにして、まずはF7の動力を調べます。

アリイ F7

1994年に買いました。国内での販売元は当時の有井製作所ですが、ライフ・ライク社のOEMで中国製です(脱線してますね…)。1996年には両社提携のD51を発売していますが、この頃すでにその動きがあったのかもしれません。

さて、動力がどうなっているか確かめようとボディーを外しにかかりましたが、早速合わせ目から黄色っぽい透明の液体が染み出てきます。15年経過してもオイリーです。

ボディーを外したところ

Nゲージは昔から、工業製品的な量産性を重視して作られるといわれます。国内メーカーのNゲージ製品から想像するに、たぶん標準的なダイキャストの左右分割か、上下分割だろうと思っていたのですが…。

こ、これは。銀色の固まりに見えるのは、いわゆるダイキャストブロックではなくて、ウエイトが置かれているだけです。真ん中にはモーターが丸見えです。ウエイトの上には、スポンジ??がこびりついています。窓から見えるところはご丁寧に黒マジックみたいなもので塗られています。

ウエイトも外したところ

ウエイトを取ると、ジャーン(死語)。

床板に直接モーターが乗っていて、左右のギヤボックスにスプリングジョイント(しかも段差あり)でつながっています。

しかし何といっても目を引くのは配線です。なんと、すべてリード線による空中配線です。導電板やプリント配線のたぐいはまったくありません。いいですねー(いいのか?)。まるで個人工作!

ライト配線

ライトもただリード線でぶらぶらしているだけです。これが前方のウエイトの穴から顔を出しています。

これが1970年頃なら別に驚かないかもしれませんが、1990年代の量産品にして、まるでそのままのような構造だとは知りませんでした。

HO入門工作

昔のいわゆるHO入門工作が思い起こされて懐かしい気もします。単純なだけに工作の自由がききそうなので、『アムトラック』の素人修理には意外とぴったりかもしれません。ただ、アリイのF7はその目的のために買ったわけではないので、突然足回りをもがれるのは何となく不憫です。また何かの機会に同じ機関車を入手したらやってみたいと思いますが、さすがにもう売られていません。修理はしばらく延期することにしました。

念のため…この絵は私が適当に描いたものなので参考にしないでください。

KATOは?

アリイとKATOのF7

F7ならKATOからも発売されています。写真の左がアリイ、右がKATOの2001年製品です。こっちの中身も一応見てみたくなります。

KATOのF7分解

ガラスの内側のツメ4箇所をダイキャストブロックから浮かせるようにして、まっすぐ動力を下に引き抜けば外れます(相当きついです)。

Nゲージとして標準的な、左右分割の動力ユニットです。つまらないかもしれませんが普通です。ああ良かった(笑)。

裏返しにしたところ

動力を裏から見たところです。前後にフライホイールが見えます。USAナックルカプラーも装備されています。

三者

三社動力

左端がKATO(2000年代)、中央が壊れたバックマン(1970年代)、右がライフ・ライク(1990年代)です。何となく一番右のが一番古そうに見えます。スポンジがいい味を出しているんでしょうか(笑)。

しかしバックマンのモーターは大きいですね。できることならば、再びこのモーターをぶん回して走らせてやりたかったです。確かすごい音がした記憶があります。ちゃんとライトが点いたんですよ。

気になってくるのは最近のバックマンのF9です。内部はどんなふうになっているんでしょう。ご存知の方、教えていただけませんでしょうか。

早速詳しい海外サイトの情報をお知らせいただきました(海外を調べていませんでした、恥ずかしいです…)。上記のライフ・ライク製品は1993年のものらしいのですが、ほぼ同時期の1994年製のバックマンは、すでにKATOと同様の左右分割動力で、フライホイールが装着されています。同時期の2社の製品にあまりにも差があることを知って再びショックを受けました。ご指導誠にありがとうございました。

8年後:少々続きがあります。
まるで手作り(2)


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