Nゲージ蒸気機関車蒸機の工作>クラウス10形の組み立て

クラウス10形の組み立て(2)

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塗装

塗装後

洗浄→乾燥→プライマー(中1日)→黒塗装の順で進めました。特にこの機関車固有の作業はありません。
スライドバーと、車輪座の上部(ベースプレートに密着する部分)は、マスキングしておきました。

ナンバープレートの右にあるのはモーターカバーです。私はキャブの扉を閉じたため、モーターは外からほとんど見えず、結局使いませんでした。

下廻り(2)

動力部の組み立てです。説明書にきちんと手順が書かれているため、それに沿って進めるだけです。
(※注:2014年以降のバリエーションでは、下廻りの組み立て手順の文言は説明書からカットされています)
今回は動力が分解可能な普通の作りになっていたため、気分的にも楽でした。

小ギヤ取り付け

ウォームホイール(大ギヤ)から、小ギヤをひとつ挟んで、駆動軸のギヤに伝達する構造です。
ホイールベースが長いので、大ギヤから直接駆動軸に伝達というわけにはいきません。

  1. ブーメラン形のギヤベースを180度山折りして貼り重ね、それを車輪座に重ねました。
  2. 小ギヤ軸の表面のバリをヤスってから小ギヤに通し、ネジ留めしました。

今までは、ネジが緩まないように瞬間接着剤などで緩み止めをしましたが、このキットは分解修理が自由なのでそれはしませんでした。

大ギヤ取り付け

大ギヤに大ギヤ軸を通し、ネジ止めしました。
説明書には長さ3mmのネジを使うように書かれていますが、付属していないようで(部品表にもないようです)、2.5mmを使いました。

ベースプレート取り付け

ギヤを取り付けた車輪座を、ベースプレートにネジ留めしました。
両者の接触面は通電するので、塗料などがついているとまずいです。

絶縁側の車輪座

次は反対側の、ギヤが付いていないほうの車輪座を取り付けました。こちらはベースプレートと電気的に接触しないように絶縁します。

  1. ベースプレートと車輪座の間に、絶縁ワッシャーを挟みます。
  2. ベースプレートの穴に絶縁ブッシュを差し込んで絶縁ワッシャーに通し、ネジ留めしました。
車輪押さえの取り付け

車輪を入れる前ですが、左右の車輪押さえをいったん取り付け、底のネジ穴にネジ留めしました。
この車輪押さえは、次のステップで軸受けの整えが終わったら、また取り外しておきます。

軸穴の調整

軸受けに2.5mmのリーマーやヤスリを通し、上部・左右側面の塗料を丁寧に擦り取るように磨きます。リーマーを片側から通して指先で回し、軸受けの上部→前縁→後縁の順に意識して軽く磨き、次には反対側から通して同じことをやりました。
もし通したリーマーが斜めになっているようなら、左右の車輪座の前後位置がずれているので、ベースプレートへの取り付けネジを緩めて直します。
自分が実験したところでは、リーマーでもヤスリでも、走行性能的な仕上がりは同じでした。ただし、あまり粗いヤスリではダメかと思います。

この作業は下手にやると調子が悪くなる恐れもあるので、あえて何もしない(軽くペーパーがけで整える程度)という方法もあります。その場合、塗装前に軸受けをマスキングしておきます。

ワッシャーの選択

車輪にはワッシャーを通します。厚さの違う2種が付属しているので、薄いほうを使います。片面がエッチングされて薄くなっているのですぐわかります。

車輪の組み立て

今回はあとで車輪を取り外せる構造なので、車輪の圧入も軸穴に差し込んだ状態ではなく、単独で行えます。

  1. プラ製の駆動軸。傷めないように注意が必要なのは今までと同じです。
  2. ワッシャーを車軸にはめるのを忘れないようにします。
  3. ワッシャーをはめた車輪を、駆動軸の両側に差し込みます。といってもほとんど指先では差し込める状態ではなく、まだ簡単に外れる状態です。
圧入開始

そのように構成した車輪を万力に挟み、滑り落ちない程度に軽く圧入しました。

ワッシャーの位置に注意

ワッシャーが正しい位置にあるかどうかを時々確認し、ずれていたらピンセットで直しながら少しずつ圧入しました。ギヤと金属の車軸の間に挟まってしまうと厄介です。
圧入時にはぐぐっ、ぐぐっと手ごたえがありますが、構わず続けます。

圧入完了

金属の車軸と、中央のギヤの間に隙間がなくなったら圧入完了です。

万力がなくてもモンキーレンチで代用できるかと考えましたが、手持ちのものは先端が平行ではなく、厳しそうでした。
モンキーレンチ

車輪の取り付け

車輪押さえを外した軸受けに車輪をはめ込み、ギヤを噛み合わせます。ワッシャーは車輪座の外側に挟まるようにします。
スムーズに回転することを確認しました。

車輪押さえの取り付け

外しておいた車輪押さえをもう一度取り付けてネジ留めします。

もしも車輪と車輪押さえの間に隙間が少なく、ワッシャーが邪魔になるときは、左右の車輪座のネジを緩めて内側に寄せるようにし、間隔を狭くしてみます。

車輪の取り付け完了

これで車輪の取り付けは完了です。

転がして様子を見る

レールの上で転がして、軽く動くか確かめます。大丈夫です。

接着剤のはみ出し注意

モーター軸の先端のほうに、ごく少量のエポキシ系接着剤を付け、ウォームギヤを通して接着しました。

説明書には、モーターの後端からウォームの前端まで約19mmになるように取り付けるとありますが、本当に19mmではギヤとモーターの間隔が非常に狭くなります。 はみ出した接着剤が回りこむ恐れがあるので、無理せず間隔を開けておいたほうがよいと思います。
最終的に大切なのはウォームギヤの中央に大ギヤを合わせることですから、多少のズレはモーターの取り付け位置を前後させることで吸収できます。

モーターの取り付け
  1. モーターの黒リード線を、ベースプレートの端子にハンダ付けします。白リード線は、反対側の車輪座の端子にハンダ付けします。
  2. モーター押さえを曲げて、ベースプレートにネジ留めします。
    なお、標準の状態ではギヤの噛み合わせがややきつめだったので、ベースプレートにマスキングテープを1枚貼ってモーターを浮かせ、噛み合わせをゆるくしました。噛み合わせが硬いと動きはぎこちないし、音はうるさいしでいいことが何もありません。

この状態でレールに乗せて走らせてみます。

幸い一発でうまく動いたので、車体を載せてみたところ、うんともすんとも言わなくなってしまいました。
モーターに直接通電させても、モーターがうなりもせず、回転しません。なぜ?

あ

これじゃ回らんわ(笑)。
なぜ取れたのかは不明。

リード線の修理

格好は悪いですが修理しました。放っておいても直るわけではないし…。
モーターを掘っていき、埋もれていた芯線の一部を探し当ててハンダ付けしました。

輪芯を整える

次は輪心をはめます。
そのままでは固いので、平ヤスリの上で軽く回転させ、周囲を少し削ります。このとき強く押し付けすぎるとスポークが壊れます。
中心の穴も、2.5mmの丸ヤスリで軽くさらっておきました。

クランクピンの穴

クランクピンの穴も、指示どおり1.0mmドリルでさらいました。
なお、付属のクランクピンにも太さのばらつきがあり、同じ穴でもゆるいものときついものがありました。

輪心をはめる

輪心をはめ込みますが、きついときに無理をすると車軸を曲げる恐れがあるので、削り直したりして慎重にやります。緩いぶんには問題ありません(接着剤併用)。

ギヤのどれかの歯の位置を目安にして輪心のクランクピンの位置を決め、前後の動輪の向きが揃うようにします。

非公式側の輪心をはめる

非公式側は、公式側に比べて90度先行した位置になります。90度というのは多少ずれても構いませんが、前後の動輪の位相はなるべくきちんと合わせないと、とたんに動きが悪くなります。

サイドロッドの取り付け
  1. サイドロッドの前側の穴にクランクピンを差し込み、第一動輪の穴に押し込んで留めます。差し込みすぎは回転が渋くなりますが、余裕がありすぎてもロッドがガタつき、変な引っかかりを起こすことがあります。
    また、ピンが垂直に刺さっていないと、回転につれて目に見えない程度の微妙な動揺が起き、車輪が浮いて集電性能が悪くなる場合もあります。
  2. 加減リンクをネジ留め。
クロスヘッドの調整

クロスヘッドをスライドバーとシリンダーブロックに通し、スムーズに往復するかを確認しておきます。
引っかかるときはスライドバーを磨き直したり、まっすぐに付いているかを確認・調整したりします。スライドバーを差し込む両耳の部分がきちんと直角に折れているかどうかも確認します。

クロスヘッドの取り付け
  1. クロスヘッドをスライドバーに通します。
  2. シリンダーブロックを車輪座にネジ留め。スライドバーがまっすぐになっているかを横と上から見て確認し、曲がっていれば修正します。
  3. メインロッドの穴を、サイドロッドの穴に重ねます。

クランクピンの干渉を避けるなどの目的で、メインロッドを曲げておくことがよく行われますが、このキットの場合はロッドの曲げ調整は必要ないようです。妥当なクリアランスが確保されているので、そのまま取り付ければ大丈夫でした。

エキセントリックロッドの取り付け
  1. エキセントリックロッドの先端を、加減リンクの穴に通します。
  2. リターンクランクのピンを、メインロッド・サイドロッドの穴を通し、第二動輪に差し込みます。

リターンクランクは、前方に5度傾斜させるよう指示がありますが、私が持っている同機の写真では、後ろ側に傾斜していました。ただ指示どおりに取り付けました。

組み終えたロッド

組み立てた様子を斜め上から見たところです。この状態で走らせてみます。
初めはモーターを外して転がしてみるといいかもしれません。

非公式側の組み立て

非公式側も同様に組み立てます。90度先行しているので写真のようになりますが、実際の組み立ては、ウォームギヤを指で回して動輪を回転させ、組み立てやすい角度で行えばOKです。

ちなみにウォームを指で回して途中で引っかかったときは、良くないことが起きているので、それ以上無理に回さずに原因を調べます。無理に回すとロッドがねじれて変に絡んだり、輪心の位相がずれたりすることがあります。

最終的なクリアランス

最終的なクリアランスはこんな感じになりました。

上廻りの取り付け

上廻りを前後2本のネジで取り付けます。

このあと前後にマグネ・マティックカプラーNo.2001をネジ留めします。珍しく、ロングシャンクを使うよう指示されていますが、後部はロングシャンクだと出っ張りすぎるような気がします。前方をロング、後方をショートとしました。
あとはナンバープレートを貼り付け、汽笛などに金色を差しました。各部の色は時期や場所によって少し違いがあります。

完成

組み立ては、手順さえわかればそれほど難しくはありません。本格的な普通のキットです。

完成

偶然もあるかもしれませんが、走りは良かったです。ろくに調整せずとも一発で滑らかに走りました。安定していて危なっかしさがありません。
走らせているうちに軸が泣いてきたので、軸受けにごく少量注油しました。分解できる構造なので、もしそのうち不調をきたしても簡単にメンテできます。

後方

前方

トーマモデルワークスのコッペルと並べると、こんな感じです。

クラウス10形+コッペル

KATOのC56と並べるとこんな感じ。

クラウス10形+C56

レイアウトにもすぐ馴染んでくれます。

レイアウトにて

レイアウトにて

(おわり)


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