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鉄道院150形(1号機関車)の組み立て

鉄道院150形原型 パッケージ

昨年の160形に続き、150形(1号機関車)もワールド工芸から発売されました。
営業開始時の原型で、現在の保存機と比べてボイラーが低くドームの位置も違うなど、まるで異なる姿です。
塗装にも一定の説はありますが、絶対というわけでもないようで、今までに作られた模型も皆さん好きなように塗られているようです。またそれを許してくれる機関車でもあります。

基本的には160形と同様の流れで進めました。異なる部分のみメモを残しましたので簡単にご紹介します。

2020.2.22


毎度ですがこの記事は筆者自身による組み立て結果であり、組み立て方の説明ではありませんのでご了承ください。
また、途中で何かやらかしているんですヨ。

上廻り

上下の組み合わせ

160形と同様の構成で、特に難しいところはありませんでした。
床板側面の細いフチは、160形のときは別パーツでしたが、今回は床板の端を折り曲げるだけです。微妙なハンダ付けが不要で、ずいぶん簡単でした。

一部説明書と異なる組み立て方をしました。
タンク前面内側にあるツメを90度引き起こし、そこにウェイトを載せるよう書かれていますが、私は180度折り返して床板に差し込みました。
ツメの形状が位置決めピンに見えたのと、対応する穴も床板に開いていたためです。

ボイラーと煙室

160形ではボイラーヘッドとボイラーを接合してから小部品を取り付けたのですが、今回はボイラーとの接合前にボイラーヘッドの小部品を付けておきました。ボイラーを先に接合すると、ボイラーヘッドの裏までハンダごてが入りにくくなるためです。

煙室扉も直径5mm程度で、とても小さいです。

ボイラーの結合

ボイラーヘッドとボイラーの接合後、両者にまたがる手すりを固定しました。ボイラーヘッド側の取り付け足は、後方からはハンダごてがうまく当たらず、無理やり前方の丸穴からハンダごてを通しました。なかなか命中しませんでした。

ボイラー合体

組み立てたボイラーをキャブ前面と床板に固定しました。

以上の組み立て順は、たまたま私がやったものであり、人によって色々だと思います。

屋根の組み立て

始める前から最もユウウツだった屋根の組み立てです。

何が憂鬱だったかというと、屋根の前後のフチに加え、側面に模様の付いたフチが付くことです。この部品を位置決めする手掛かりが見当たらなかったためです。

仕方なく、屋根の裏側にあるシマシマのスジを基準にして手で側面帯を合わせ、端の角をまず1箇所点付けしました。それからごく少量のハンダで少しずつ残りを付けていきました。

屋根の取り付け

何とかできたのでキャブに取り付けました。これで上廻りは終わりです。部品が少ないので5時間ほどでできました。

シリンダーブロック

スライドバーの取り付け

160形と同様の形状ですが、部品構成が見直されており、1枚の折り曲げで基本形ができるため非常に楽です。

側面カバーを付ける前にスライドバーを付けることができ、しっかり付きました。

スライドバーの取り付け間違い



…ん?

(修正中)

(修正中)

スライドバーの付け直し

なんでもないですよ〜

シリンダーブロック完成

横のカバーやシリンダー前蓋の模様の付いた板など、残りの部品を取り付けました。
これでシリンダーブロックは完成です。

金属部完成

あとは160形と同じ要領で下廻りのフレームや車輪押さえなどを組み立てました。

なお車輪押さえ(H1-3、H1-4)には、本来貫通しているべき穴がふさがっているパーツ不良があります(最初から修正済みの部品が入っている商品もあるようです)。不良パーツに当たったときはメーカーに問い合わせてみてください。私も該当しましたが、自分で穴を開けてしまいました。

このあと車体を塗装しました。

塗装

「1号機関車からC63まで」(片野正巳氏/ネコ・パブリッシング)のイラストを参考にしました。凝った塗りは私には無理ですが、前回組み立てた160形を少し飾ったような感じなので、何とかできそうです。
車体は黒で端梁は赤です。ドーム・安全弁・先頭のボイラーバンドは金、煙突キャップは黒としました。

転写シール

側面の赤ラインにはエーワンの転写シールを使いました。以前、てつげんコークスS-304号で使った白地タイプです。インクジェットプリンターによる印刷なので、うんと近くで見ればボソボソですが、普通に模型を走らせる距離なら割と見られます(少なくとも私のへたくそな烏口よりはましでしょう)。
同じメーカーから「デカールシール」というものも売られていますが、違いがよくわかりませんでした。機会があれば使ってみたいです。

一番長い側面タンクの2つの赤枠は、まとめて1枚にしました。この転写シールは裏返しにして貼り付けるため、貼り付ける際に印刷パターンがまったく見えず、位置決めがとてもしにくいのです(台紙の位置で推定するしかありません)。貼り直しも効きません。複数枚にすると必ず不ぞろいになるので、1枚にまとめられるところはまとめておきました。

貼り付けたところ

裏返して車体に貼り付けた転写シールの台紙を水で濡らし、糊を溶かして台紙をはがすと印刷面が現れます。ズレているかどうかはこのとき初めてわかります。ちょっと曲がってしまいました。
黒ベタの部分にも多少のムラがありますが、ガマン、ガマン…。

シールの外周に白の糊が白い線となってはみ出します。乾いてから面相筆で黒を塗って修正します(写真は修整前)。

水で濡らして台紙をはがすため、あまりギリギリのサイズで台紙をカットすると、端から水が浸みこんで印刷パターンがにじむ恐れがあるそうです。それで周囲1mmは余白を作るよう説明書にあります。
しかし、この小さな機関車は側面の高さが5mmちょっとしかありません。そこから内側に1mmも余白を取ってパターンを作ると、赤枠がとても小さくなってしまいます。テストした結果、0.2mm程度の余白でも大丈夫のようだったので、ほとんどギリギリからカットしました。濡らすときは水を付けすぎないように緊張しました。

塗装した車体

息を殺して周囲の白フチを黒で修正し、残りのパーツを取り付けました。

ボイラーなどの塗装面と、転写シールの黒印刷の感じが相当違うので、全体に半つや消しのクリアーを吹いてツヤを揃えました。転写シールの表面保護も気持ちだけ、兼ねています。

これで勘弁してください(笑)。今度買われるときは、もっと上手な人に買われておくれ…。

動力ユニット

左右のフレーム

基本的には160形と同じですが、左右のフレーム(車輪座)を接合するパーツが、金属製のメカステーから樹脂パイプの絶縁ステーに変更されています。これに伴い、一緒に使われていた絶縁ブッシュや絶縁ワッシャーなどの絶縁用小部品も不要となっています。

ただ、樹脂なのであまりきつくネジを留めるとネジ山が壊れそうで、注意が要るかもしれません。

フレーム結合

左右のフレームをネジ留めしたところです。
特に問題なく組み合わせられました。

車輪取り付け

あとは160形と同じ要領で動輪を取り付け、輪心を接着しました。

よく転がることを確認します(ここまでは、転がらない要素はほとんどありません)。

ピストン棒のスジ

さて、左右のピストン棒をランナーからカットするのですが、矢印のあたりに意味深なエッチングのスジがあります。

いかにも、ここでカットすればピストン棒がちょうどよい長さになるように見えますが、説明書には特に注記はありません。過去のキットでは単なる罠だったこともあります。特に、短く切りすぎると抜け落ちて走れなくなります。

今回はどうでしょう。信じてもいいですか?信じますよ!

メインロッドの取り付け

ぴったりでした。ありがたや。

メインロッドをクランクピンで第一動輪に軽く留め、動きをチェックしました。ピストン棒がつっかえたり抜け落ちたりすることはなく、スムーズにクロスヘッドが往復して回転しました。

下のスライドバーがクロスヘッドに干渉しやすいので、そこだけ注意です。急に動きがぎこちなくなったとか、回転にムラができたりするなど。ちょっと内側に寄せてやれば改善するかと思います。

サイドロッドの取り付け

一度メインロッドを外し、サイドロッドも取り付けました。

曲線の上で転がしてチェックしました。問題なく転がりました。

ボディーを付けて確認

下廻りだけならうまくいったため、ボディーと組み合わせて確認しました。

クランクピンが一番上に回ったときに床板のフチに当たることがあり、カクン、カクンと踊ってしまいました。
クランクピンの差し込みを微妙に深くして内側に寄せました。また、床板が右側に寄っていて、そちらのクランクピンばかり当たっていたため、床板の取り付け穴を少しヤスって長穴にし、位置をずらして取り付けることでギリギリ改善しました。

なお上下の組み合わせの際、ボディーの高さを調整するためのワッシャーが各種付属しています。私は車高を少しでも抑えたかったので使いませんでした。

モーターの取り付け

モーターを取り付け、ウォームの噛み合わせをチェックしました。
そのままでは噛み合わせが深すぎたので、モーターの下に紙を挟んで調整しました。160形のときは調整用の薄板が付属していましたが、今回はありません。

試運転

アリイの1号機関車の客車をつないでテスト走行しました。余裕で引けます。

試しにKATOの2軸貨車(ワム90000、ワラ1)を牽いたところ、6両まではまず快適、8両ではR280で速度が落ち実用ギリギリ、10両だとR280で空転が多発しました。しかし、予想の倍は行けた感じです。

完成

全長5センチ程度の小さな機関車です。あまり上手にできませんでしたが、一手間は掛けました。

150形完成

組み立てでちょっと面倒だったのは屋根のフチのハンダ付けぐらいで、あとは160形に比べやや楽に感じました。

転写シールがいかにも紙に印刷したという感じですが(まあ、ほぼそうなのですが)、様子がよくわかるように晒してみます。

150形完成

ねじ式連結器は、また適当に作って取り付けました。いつになったらちゃんとできるのやら。

150形完成

カメラアングルのせいで動輪下部にちょうどブレーキロッドが重なって、脱線しているように見えますね(一応確認したのでレールには載っています)。

C62と150形

C62のテンダー程度の大きさです。

私の作例では全長が実物のおよそ1/140になりました。マイクロエースの1号機関車(1/120)と大きさを比べると、こんな感じです。

マイクロエース
マイクロエース
ワールド工芸
ワールド工芸

マイクロエースも量産品としてうまくまとめてられており、結構好きな模型です。ダイキャスト製の厚みがあるボディにモーターを収めるのは、縮尺をやや大きくしても、大変だったと思います。

150と160
先輩キットの160形と。下廻りは一見同じですが、ホイールベースなど少し違いがあります。

この150形と160形は、ワールド工芸の公式サイトには「製品化協力IORI工房」と記載されています。160形のときは、キットの箱や説明書にも同じ記載があったのですが、150形では箱と説明書の記載はなくなりました。なぜでしょう…。

なおIORI工房からはそれぞれの特製デカールも販売されています。塗り分け用のマスキングシートまでセットされており、価格も1,100円と手ごろです。販売サイトのご作例のように美しく仕上げるのは、かなり腕のいい人でないと難しいかもしれませんが(私の作例のようなポンコツとは全然違います)、全部を貼らず主なパターンだけ使ってもよいですし、大変便利な商品かと思います。

150形・160形のキットに、特製デカールや連結可能なねじ式連結器などをセットした商品も、同工房から発売されています。

私、IORI工房の模型は買ったことがないのですが、「百年列車」というマンガを買ったことがあります。明治の客車についてあまり注目していなかったため、細部まで描写されたイラストを見て、ああ、ここはこんな構造になっていたのか、などとためになりました。


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