以前モーターで走るエルエスのC62?をご紹介したことがありましたが、これはゼンマイ動力版です。
エルエスのゼンマイシリーズにはレール付きのものと、レールはなくゴムタイヤで走るものが各種あり、これは後者のシリーズのひとつです。
迫力のある箱絵ですが、中身がこれと同じであろうはずがありません。
モーター動力版をご覧になったことがない方は、こちらもどうぞ。→エルエスのC62(電動プラ模型)
アクセサリー付きのモーター動力版は1973年製でしたが、このゴムタイヤ式ゼンマイ版(3両)は後期の品で1976年製です。国鉄蒸機が廃止された直後のことです。 同社のゼンマイ式キットにはいくつもバリエーションがあり、レール付きゼンマイ版のシリーズも数年ほど前からあったと思います。 このキットの価格は300円でした。私は鉄道関係のプラ模型に関しては、ゼンマイよりは長く走り続けるモーター動力のほうが、またレールはあったほうが魅力的だったので、あまりゼンマイ+タイヤ式の鉄道プラ模型を買ったことはありません。 これはただのゼンマイではなく「高級ゼンマイ」だそうです。 |
当時のシリーズです。私はちびっこ機関車しか見たことがありません。 |
またも「スーパースケール」のロゴが。 格好は気にするなという意味にも取れますが…。 |
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中身は機関車・テンダーなどの黒ランナーと客車の茶色ランナー、それにゼンマイ、接着剤、説明書などです。 分量は本当に、手軽に組み立てて遊べそうだと思えるぐらいです。 |
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機関部です。ちょっと想像と違っていました。 私はてっきり、あのモーターライズ版と外形はそのままで、動力のみゼンマイボックスに置き換えたものだと思っていましたが、プロポーションははるかに実物っぽくなっています。 もちろん、相当なデフォルメはされているものの、何か気合が違います。どうしたことでしょう。 |
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説明書も気合で2枚入っていました(同じものです)。 2枚あれば安心ですね! |
ゼンマイ式の機関車を組み立てるのは初めてかもしれないので(忘れとる…)、楽しみです。
改めて、機関部上廻りのパーツです。全部でこれだけで、ほとんどのディテールはボイラーと一体成型されています。 この手のプラ模型は対象年齢もやや低く、買ってすぐワイルドに組み立て、ガーッと走らせて「ああ面白かった!」で終わるものですから、ちょうどいいボリュームかなと思います。 |
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バリはそれほど多くなく、すぐ形になりました。 色々なプラ模型がありますけども、部品の分割方法、接合部の形状などが様々なのが面白いです。 丈夫に組み立てたかったため、接着剤が完全に乾くまで、一晩クリップで留めておきました。 |
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心臓部のゼンマイギヤボックスです。それなりに狭い機関車の車体に組み込むため、自動車用に比べて縦長の格好です。きちんと塗装されており、しっかりした作りです。 ゼンマイを巻くカギは説明書では金属製ですが、付属していたのは樹脂製でした。1970年代も後半になるとそういうキットも増えてきました。ものによってはすぐナメてしまい、ゼンマイが巻けなくなるものもありました。 このキットが発売された1976年ころ、ゼンマイで動くスケールモデルはもうほとんどありませんでしたが、キャラクターものではまだ普通で、この時代の「宇宙戦艦ヤマト」などもゼンマイで走るようになっていました。翌年の映画がヒットしたあと、ディスプレイ式に転向していきます。 |
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あらかじめ動きをテストするよう書かれていたので、恐る恐るゼンマイを巻いて動かしてみました。 タイヤの付いていない無負荷で回すと、一気にゼンマイが戻って回転部を傷めそうですが、このゼンマイボックスにはちゃんと速度を抑える仕掛けがあります。カタカタカタ…と音を立てながら一定速度で回るように作られています。さすが高級ゼンマイ。 |
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車輪部分のパーツです。動輪、先従輪(ただし使うのは先輪として2個のみ)、クランクピン、ゴムタイヤです。 一見モーターライズ版と同様に動輪2軸のBタイプのようですが、ゴムタイヤの駆動輪もあるため、ちゃんと合計3軸のCタイプになっています。 |
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しかしこの動輪…形にこだわっても仕方ないとはいえ、カウンターウェイトがあえてこんな角度にあるのはなんだか気持ち悪いです。 |
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おまけに説明書の動輪の取り付け向きがてんでバラバラでして(笑)。 あと実際には、第二動輪シャフトはギヤボックスの穴を貫通するので、この図を見て先に動輪を打ち込んでしまうと、組み立てられなくなります。 |
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動輪輪心はゴムタイヤの内側の溝にはめ込みます。タイヤ内に挟み込まれる感じになります。 |
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金属製のシャフトを軸受けに通して、動輪と先輪を取り付けます。小さいハンマーで打ち込むと書かれていますが、適当な道具がなかったので万力で圧入しました。 |
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ロッドをゴムタイヤの第三動輪に取り付けました。シリンダーの幅に比べてタイヤの幅が広いので、ずいぶん後ろが外側に広がってしまいました。ただこれでも一応動きはします。 あとは、組み上がった下廻りを上廻りにパチンとはめれば機関部は完成です。 なおこの組み立て例では、ゲージは大体23mmぐらいになりました。上廻りに比べて下廻りはずいぶん広いです。 |
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テンダーのパーツ割りです。上廻りは石炭も含めて一体成型です。機関部のシャフトは金属製でしたが、テンダーと客車のシャフトはプラ製です。 |
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これだけの部品なので、テンダーも数分にして完成します。 外壁はつるつるで、上部の縁取りもナンバープレートも一切ありません。 |
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客車のボディーは左右2分割になっており、窓廻りにはさすがにウインドウシル・ヘッダーなどのディテール表現があります。 ここだけ、ちゃんと茶色のプラ成型になっているのが嬉しいです(箱絵ではブルーですけど)。これまで真っ黒だったら印象がまるで違って、1段階楽しさが減ったことと思います。 |
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屋根側が少しきついようで、屋根をはめると裾が開いてきてしまったので、接着剤が乾くまで輪ゴムで留めていました。これも一晩乾かしました。 あとは床板を接着すれば客車は完成です。 |
スーパースケール!
レールがなくゴムタイヤが付いているため、ケー100の親戚かもしれませんが、やっぱりC62には動輪が3軸あるといいですね。
ナンバープレートはキャブ側面のみ、金色で印刷されたシールが付属しているので、それを貼りました。正面ナンバーは文字がモールドされており、シールはついていません。
箱絵 |
完成品 気持ちは伝わっています(笑)。失礼ながら正直、想像よりはるかにまともでした。それに箱絵は実物、これはスーパースケールですから。 |
客車です。貫通路がアーチ形なのがおしゃれ。 モーターライズ版には貫通路はありませんでした。 |
同じエルエスのモーターライズ版と並べました。大きさもスタイルも全然違い、客車のタイプも違います。
ゼンマイ版 シリンダー後方に、何となく先輪をもう1軸付けようとして取りやめたような空間があります。 |
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モーター版 |
走行時間が短いとはいえ、ゼンマイは電池も不要ですし、動力機構は小さくできるので、その分うまくデザインできることがあるのですね。
逆に電池モーターの模型は、相当に制約が大きいものなのだなと改めて思いました。
数秒ですが走行の様子の動画です。需要ないと思いますけど…。うまくダウンロード・再生できない場合はご容赦ください。
本当に5m走るかどうかは確認できていませんが、条件が良ければ結構いけそうな感じでした。
モーター版(左)に比べ、ゼンマイ版(右)は、組み立てが簡単な割に確実に楽しめる感じで、思ったより好印象でした。
厚紙や模型用の角材で、左右にガイドレールのようなものを作って、それに沿って走らせるような遊びもできただろうなと思います。
しかし、昔の鉄道プラ模型はまだあります。またいつか…。