Nゲージ蒸気機関車2008年のメモ>2008.7.21(リアル・ラインのD51-2年目の夏)

リアル・ラインのD51-2年目の夏

リアル・ラインD51

2008.7.21

昨年5月、D51ファンに大きな期待を持って迎えられたリアル・ラインのD51(北海道型)が、発売後1年少々経ちました。
今までのメーカーとまったく作りの違う製品であり、しばらく付き合ってみようと、レギュラーとして使い続けていました。


その後の走行状態

おもに、初回製品の711号機(ギースル)を使っていました。それほど過負荷をかけるような使い方はしていないこともありますが、この1年では特別大きな走行トラブルはありません。やや「ジャリジャリ」「ショリショリ」言うような走行音で、他メーカーに比べると左右陽動も少し大きめです。車輪はテンダー車輪の一部に汚れがこびりつきやすい部分があるのですが、これが仕上げのばらつきによるものか、走行状態でレールとの間にスパークが飛びやすい箇所ができるのかは不明です。ただ、全体の集電は良好で、集電不良に陥ったことは今のところありません。

この個体は一度スライドバーが折れて修理したのですが、同じ症状の出たもの2つを見せていただく機会がありました。どうも、第一動輪のサイドロッドのピンがクロスヘッドに引っかかる場合があるようで、それが一因のようです。これを防ぐには、シリンダーブロックを外側に少し引っ張って浮き上がらせ(もともと、少しそうなっていますが)、クロスヘッドと第一動輪ピンが干渉しにくくするのが簡単なようです。

ただ、天賞堂製品ではリアル・ライン製品よりも幅が狭く(シリンダーが左右に出っ張らず)、かつロッド類の厚みがあるのにこうした干渉の問題が起きないので、作り方の工夫で防げるのかもしれません。天賞堂の場合、サイドロッドとメインロッドの間に薄いカラーが挟まっていて、メインロッドとクロスヘッドをサイドロッドから遠ざけるような工夫がされています。でも余裕がないのは変わりないので、微妙なものですね。

リアル・ラインのバルブギヤリアル・ライン D51 711 標準ギースル装備(初回品)
天賞堂のバルブギヤ天賞堂 D51 498

直線よりも曲線でトラブルが起きることが多いようです。曲線では動輪の一部がカーブの外側に押し出されるような動きをして、一部のロッド類が干渉しやすくなるからでしょう。これはワールド工芸のキット組み立ての調整で直面された方もいらっしゃると思います。ちなみにワールド工芸の場合は、組み立て調整を曲線レールで行なうようにすれば、未然に防ぎやすくなります。

曲線通過について

この製品は曲線通過半径が341mm以上(2次製品の説明書表記)と大きく設定されており、一般的なレイアウトは走れません。症状としては先輪の脱線という形で見えることがほとんどですが、これは車体の挙動のしわ寄せが先輪に向かっているためで、原因が先輪だけというわけではないようです。たとえば従台車の動きが悪くて車体全体の向きに影響を与えてしまい、先輪が可動範囲を超えて脱線することがあります。

Rカプラーの根元のリングが大きくて、これに先輪が当たって可動範囲が狭くなっているケースがありますが、この場合リングを左右から潰して細くしたり、幅の狭いマグネ・マティックカプラーを工夫して取り付けるなどすると、R280程度の曲線で脱線しなくなることがあります。

機炭間隔が非常に狭いので、これが曲線通過に影響しているように見えますが、これは第一の原因というわけではないようです。

ドローバーの穴

ただし、ドローバーのテンダー側の連結穴が楕円形になっているため、後退させると機炭間隔が一気に2mmくらい狭くなります。これではひとたまりもありません。テンダー前端のホースと機関車の後部台枠が干渉したりして、渡り線などで脱線しやすくなります。

これを防ぐには、写真の下のように、ドローバーの穴を前側から埋めてしまえばよいのですが、もともと理由あって楕円形にしてあったと思われるので、あまり気持ちよくはありません。

動輪は、曲線通過のために左右に軽くアソビがあるものですが、個体によっては一部の動輪がほとんど左右に動かないものがあり、こうしたものは曲線通過の条件も厳しくなります。ただ、KATOやマイクロエースの機関車などで下廻りの分解・組み立てに慣れている方は、ある程度の調整も可能と思います。私は常用しているものはすべてR249も通過しますが、最終的には前部Rカプラーの交換・加工→従台車の可動性調整→動輪左右アソビの調整という感じで大体うまくいきました。ただし、メーカーが保証するものではありません。

壊れやすいところと対策

一部は2次製品(2007年12月)で改良されていますが、初回の製品には他社のプラ製品と同じつもりで扱うと壊れやすいところがあり、取り扱いには十二分に注意しなくてはいけません。また、そのままでは走行に支障をきたす部分の調整も含めて下記にお示しします。

修理した箇所

(1)ドーム前手すり
アーチ状の金属線が、プラ製の踏み板の角の穴に差し込まれているので、うっかりここを押えて車体を持つと、穴の部分がちぎれて取れたりします。同じ形に真鍮線を曲げて手すりを作り、ボイラーに穴を開けて固定し修理しました。
(2)汽笛
細いプラ製のため、先端が欠けたりします。2次製品では金属製に変更されています。市販の金属パーツに交換したり、真鍮パイプを削ってそれらしく作ったりします。
(3)ハンドレールのステー
ステーが細いプラ製で非常に破損しやすく、うっかりすると何個も根本から折れてハンドレールがぶらぶらになってしまいます。2次製品では金属製に変更されています。ナイフで折れたステーを取り除いて穴をあけなおし、市販の割りピンで作り直すのが簡単です。
(4)シリンダー
もともとランボードより外側にはみ出していて格好が悪いのですが、前述のとおりクロスヘッド周辺の干渉に関係があるので、たびたび引っかかるようならさらに手前に引き出して干渉を避けるのが無難です。壊してしまっては何にもなりません。
(5)空気放熱管
先端が固定されず(できず)ぶらぶらしていますが、上廻りを外すときなどにここがシリンダーに引っかかって曲がってしまうことがあります。あまり繰り返すと折れてしまうので注意が必要です。これは不注意で先端1.5cmくらいのところで折れてしまったので、真鍮線でその部分を作り直して継ぎ足してあります。これは分解さえしなければほとんど発生しません。
(6)バルブギヤ
これも前述のとおり、クロスヘッドとロッドピンなどが干渉すると破損の恐れがあるので十分気をつけて扱います。
(7)キャブ床板
場合によって見解が分かれます。製品の説明書では、テンダー先端の突起をキャブ床板のスリットにはめるよう追記がありますが、高さが合わず、無理にやると逆効果になる個体が結構あるようです。ここでは床板パーツは取り外しています。また、2次製品では床板の一部が加工されており、テンダー先端をはめることはもともとできなくなっています。 つまり、はめることによってかえって動きが悪くなるようなら、無理にはめる必要はないと思います。
(8)ホース
テンダーの先端に、ステップと一体になったホースがあり(プラ製のようです)、曲線での後退時などにキャブ下と干渉して折れることがあります。真鍮線で作り直してもよいと思いますが、走行に影響する部分がディテールパーツでごちゃごちゃしていると取り扱いに神経を使うので、取れたら取れっぱなしでも構わないと思います。
(9)ドローバー
前述のとおり後退時に不具合が出ることがあるので、穴の一部を埋めています。これによる副作用がどう出ているのかはまだわかりません。

それにしても、1年でこんなに修理した模型はめったにありません。いままでの模型の扱いが体に染み付いているので、ついうっかり弱い部分を壊してしまったというのがほとんどです。

その他、ボイラーの切り詰めとキャブの修正のほか、ライト点灯加工を行ないました。後者はあまり似合った感じには見えませんが、まあ模型的な遊びとして。


まとめ

最初、いろいろ書いていたのですが、私がまとめてもしょうがないなと思い、やめました(どうやってもまとまらんのですよ)。

2008年になって発売された製品は購入していないので、詳しいことはわかりませんのでご了承ください。


「Nゲージ蒸気機関車」トップページに戻る