車両・レール・パワーパックがすべて含まれている鉄道模型セットは、プレゼントされても自分で買っても嬉しいですよね。
トミックスにもKATOにも各種の入門セットがありますが、トミックスから新製品として、低価格の「Nゲージ鉄道模型ファーストセット」が発売されました。
エンドレスを周回できる「DF200 100形セット」と、ポイントと引き込み線で遊ぶ「電気機関車セット」の2種があり、いずれも1万円(+税)という低価格です。これは驚きました。
割引店で8,000円前後で買えるという価格のほか、箱のコンパクトさも大きな特長です。
実測でおよそ横33×25×7センチ(少数切り上げ)で、ブックケース2つを重ねた大きさより、一回り大きいぐらいです。
持ち帰るにも保管するにも場所を取りませんし、ネット通販などで購入しても、ダンボールが中途半端に大きくならないメリットも大きいと思います。
手前にあるのは1970年代のトミーナインスケール(バックマン製)、ドックサイダー蒸気機関車セットのパッケージです。
以前の記事で、小さくてステキとご紹介したものです。
→ドックサイダー蒸気機関車セット
大きさ的にもそれほど変わりません。実はドックサイダー蒸気機関車セットには、さらに外側にダンボールの外箱がありまして、それを含めるとほとんど同じ大きさです。
というわけで妙な既視感を覚えたのでした。実売価格も近いのですヨ。
いきなり古い話から始まりましてすみません。
「走行をコントロール!ライトが光る!!」
私が昔々、鉄道模型に最も魅力を感じたのが、この「走行をコントロール」という部分でした。
車両に手を触れず、手元の操作で自由に車両を動かしたり止めたりできるうえ、スピードまで変えられるというのは、直接車両をつかんでスイッチを入れなくてはならない玩具とは決定的に違う魅力でした。
電池もいりませんしね…わずかな電気代はかかっているのですけど。
「ライトが光る」は、玩具でもよくあったので、逆に模型のライトが光るのは玩具的で嫌だという方もいらっしゃいました。今は、光るほうが喜ばれるでしょう。
外箱から内箱を取り出したところです。わくわくしますね。
これは車両が一回りできるだけのレールが付いている「DF200 100形セット」なので、DF200機関車とコンテナ車コキ107が見えます。
右下にあるのがパワーユニット(パワーパック)FG-17です。機能はレイアウトを周回することに絞ってスリム化されています。
DF200とコキ107(コンテナ3個積み)は、それぞれクリアケースに入っています。
この入門セットの車種がなぜDF200なのか?を色々考えましたが、低価格+入門向きという条件で、取り扱いが簡単で動きが確実で、既存のトミックス製品に存在するもので、貨車1両との組み合わせでも一応成立して、なんだかんだと考えていくと…
まあDF200あたりに落ち着いたんだろうなと(笑)思いました。
手前がセット付属のパワーユニット(FG-17)です。奥にトミックスの一般的なパワーユニットであるN-600を並べてみました。
手前のFG-17は一回り小さく、特につまみを含めた厚さが小さくなっています。ACアダプターも相応に小さくなっています。以前発売された講談社の「週刊SL鉄道模型」の専用コントローラーに似ていますが、機能的に同一かどうかはわかりません。
この小ささのおかげで小型の外箱にうまく収まっています。通常のパワーユニットでは最高速度が出すぎるので、入門者向けに速度を抑えているそうですが、それでもこのセットのDF200をフルスピードで走らせたところ、縮尺1/150換算で時速200キロ近く出ました(ちなみにN-600では300キロ近く出ました。いずれも計算間違っていましたらすみません。気になる方はご自分で測ってみてください)。
FG-17には電動ポイント用の端子や常点灯つまみなどの付加機能はないので、それらが必要になるぐらい飽きずに使いこんだら、フル機能のパワーユニットを買えばよいと思います。
取り扱い説明書です。一般的なモノクロ印刷ですが、中身は小学校高学年ぐらいでもわかる文で、わかりやすく書かれています。
(対象年齢は15歳以上のようですが、プラモデル等の工作経験があり、物を大切にすることが身についている子供なら、小学校高学年にもなっていれば大丈夫だと個人的には思います)
説明書の内容について、同じく個人的な感想ですが、レールや車輪の清掃といった手入れが不可欠であることを、もっと前のほうで大きく示したほうがよかったと思います。鉄道模型というものは使用状況によって、割と短期間で動きが悪くなってくることがあり、そのへんを境に興味を失ってしまうケースが身近にいくつかあったからです。
ただし最後のほうにはちゃんと書いてあります。
さて、初めて模型を買ったときに戻ったつもりで、頭をカラッポにして説明書を読み、さっそく走らせます。
今更完全に頭の中をツルツルにするのは難しいのですが。
車両を取り出して内箱のふたを開けると、奥に小箱があります。
小箱にはレールと、D.C.フィーダーN、それにリレーラーが入っています。
D.C.フィーダーNとはレールに電気を送り込むコネクターのパーツで、リレーラーは車両をレールにうまく載せるための補助台です。
付属のレールはPC枕木です。曲線レールC280(半径280mm)が8本、直線レールS280(長さ280mm)が2本入っています。
これらを接続すると、小判型のエンドレスのレイアウトになります。900×600mmの一般的なレイアウトパネルに無理なく乗る大きさです。
曲線もほとんどのNゲージ車両が通過できる半径です。
曲線レールは4本ずつ重なっています。
初めに、両端のジョイナー部にかぶせてあるキャップを外します。
ジョイナーはとがっているので、ケガをしないように注意です。
キャップを外したら、1本ずつ引き離せます。
このレールは道床の下側にツメがあって、その下に重ねたレールにぴったりはめられるようにできています。片づけやすくてよいです。
直線レールには両端にキャップがないので、そのまま引っ張って2本に分けます。
レール同士を接続します。レールの両端には金属製のジョイナーがあり、これで電気を隣のレールに伝える働きもしています。
平らなところで、ジョイナー同士をまっすぐ向き合わせます。
ジョイナーは、相手のレールを挟み込むような形になっているので、ずれないようにぴったり突き合わせます。
うまくジョイナーが相手のレールに噛み合ったら、少しずつ力を入れて、ぐっと押し込んでパチンとはめ込みます。
ジョイナーを傷めないようにくれぐれも注意です。
隙間や無理な食い違いができていないか確認します。
全部組み合わせたら、機関車が一周できるエンドレスになります。
Nゲージはレールに電気を流し、それを機関車の車輪が集電することでモーターを回します。
そのために、付属の「D.C.フィーダーN」(以下フィーダー)をレールのどこかに差し込みます。各レールにはフィーダーを差し込めるよう、くぼみが付いた場所があるので、それを探します。
3箇所のくぼみがありますが、隣接した2つ(どちらでもよい)を使います。
場所を決めたら、フィーダーをしっかり差し込みます。
フィーダーをエンドレスの外側から差し込むか、内側から差し込むかによって、車両の進む向きが変わります。方向はパワーユニットのディレクションスイッチで切り替えられるので、あまり気にする必要はありません。
フィーダーのコードの端にあるプラグを、パワーユニットの「D.C.フィーダー出力」端子に接続します。上下の向きがあるので、形をよく見て差し込みます(少し入れにくいです)。
ここから走行用の電流がフィーダーを通してレールに流されます。
最後にACアダプターです。
ACアダプターのプラグを、パワーユニットの「D.C.12V入力」端子に差し込みます。まだACアダプターはコンセントに差し込みません。
ここまでの配線は終わりです。あとはACアダプターをコンセントに差し込めば完了ですが、これは車両をレールに乗せてからにします(説明書の手順どおり)。
いよいよ車両を準備します。
機関車は袋ごとケースから出し、落とさないように気を付けて袋の端から取り出します。
ナンバープレートや手すりなどの付属パーツもケースに入っていますが、取り付けるのは一通り試運転を終えてからのほうがよいと思います。また、付けなくても十分遊べます。
初めて見るNゲージ車両は、小さいのにとても精密で感動しますね。
走らせると進行方向のライトも点きます。カプラー(連結器)は突き当てるだけで自動連結できます。
運転室の中まで作られています。台車も立体的ですね。模型と玩具の違いを実感できます。遊んで楽しいという点ではどちらも同じですけど…。
車両をレールに載せるには、付属のリレーラーを使います(慣れるといつのまにか、使わなくなってしまう道具でもあります)。
直線レールの上に、ずれないように置きます。
車両をリレーラーの上に置きます。車輪がたくさんあるので、すべてリレーラーの中央付近に載るようにします。
車両を手で前方に押して、リレーラーの先端からレールの上に静かに滑り降ろしていきます。
車両と一緒にリレーラーも滑って行ったりしまして(笑)、あんまりうまくいかないこともありますが…。
脱線していないか、よく確かめます。レールには電気が流れているので、脱線したまま走行させると、場合によってはショートする恐れもあります。
同じ要領で、コンテナ車もレールに載せます。
機関車にコンテナ車を連結します。連結は直線レールの上で行うのが簡単です。
どちらにも、自動連結可能なアーノルドカプラーが装備されています。左右にずれないようにして、貨車を機関車に近づけます。
そのまま、貨車を機関車に軽く突き当てると、カプラーが上下に動いてカチャンと自動連結されます。
切り離すときは引っ張らずに、片方の車両を持ち上げて外します。
これで車両の準備はできました。
車両がいきなり走り出すことがないよう、ACアダプターをコンセントに差し込む前に、パワーユニットのスイッチを確認します。
・電源スイッチがOFFであること。
・ディレクションスイッチ(進行方向を切り替えるスイッチ)が中央にあること。中央にあれば、車両は走りません。
・スピードコントロールダイヤルが、いっぱいに左に回っていること(△印がSTOPの位置にあること)。
確認したら、ACアダプターをコンセントに差し込みます。
電源スイッチをONにします。
パワーインジケーターが緑色に点灯します。
点灯しないときは、ACアダプターがコンセントに差し込まれているか、ACアダプターのプラグがパワーユニットの「D.C.12V入力」端子にきちんと差し込まれているかを確認します。
ディレクションスイッチを左右どちらかに切り替えて、車両の進行方向を決めます。ここでは左に切り替えています。
このスイッチの方向と、実際に車両がどちらに進むかの対応は、D.C.フィーダーNを差し込む方向によって変わります。
スピードコントロールダイヤルを、時計回りにゆっくりと回します。
実物の機関車がゆっくり走り出す様子をイメージして、じわじわと…。
これぐらいの位置では、まだ走り出さないと思います。
少しずつ、回し足していきます。まだかな、まだかな…。
この程度では、まだ走らないと思います(私のは、まだでした)。
ゆっくり動き出しました。やった!
この写真は動きがわかるように、シャッター速度を落としているので、かなりスピードが出ているように見えますが、実際にはまだゆっくりと動いています。
機関車のギヤやモーターを傷めないよう、決して急に速度を上げたりせずに、様子を見ながらじっくり加速していきます。特に最初の1周は注意です。思わぬところでレールがずれていて、脱線したりすることもありますので。
ダイヤルを半分ぐらいまで回しても動き出さないときは、脱線していないか、フィーダーが確実に付いているかを確認して、機関車をちょっと手でつついてみたりすると、動き出すことがあります。
これが実物なら、とても高いところから見下ろしているイメージですから、スピードのある列車もゆっくりした速度に見えるのが普通です。
初めのうちは、速度は遅め、遅めを意識したほうがよいと思います。私は、最高でもこれぐらいにしておこうかな…。人により速め・遅めの好みはあると思いますので、車両に無理がかからないことを意識していれば、自由に運転するのが楽しいですね。
「Nゲージ鉄道模型」のセットですから、このセット付属の車両だけでなく、市販のNゲージ車両を走らせることができます。
これは同じトミックスの500系新幹線です。かなりスピードを上げても似合います。
別のメーカー、KATOのD51蒸気機関車も走れます。D51は客車、貨車、それらの混在と何でもこなせるので便利です。「Nゲージ蒸気機関車」というこのサイト的見解…。
以上のようにとても素敵な入門セットです。こんなセットがあれば、Nゲージをもっと手軽に始めてもらえるのになぁ…と、以前から思っていました。まあ、個人的にはそれが蒸気機関車なら最高でしたが、全体的な魅力の中ではどうでもいい感じです。
今の時代に、Nゲージ黎明期とあまり変わらないような価格とサイズで、道床付きレールの立派なセットが発売されたことは本当に嬉しく思いました。
自分はもうNゲージはたくさん持っているのですが、この製品の発表を見たときは飛び上がるほど嬉しかったです。
Nゲージに興味はあっても、初めから大げさなセットではなく、まずは気楽に試してみたいという方は、ぜひお店で実物を見ていただきたいです。そこでビビッと来たら買いどきかもしれません。苦労して大きな箱を抱えてこなくても、気楽に持って来られますよ。
クリスマスプレゼントとして用意するときも、当日までの隠し場所に困らなくてすみます(隠し場所は、バレている場合も往々にしてありますが)。