終点などで蒸気機関車の向きを変えるには、ターンテーブルが使用されます。フロアレイアウトでも使用できる薄型のターンテーブルが商品化されています。
レイアウト中心の鉄道模型と呼ばれたNゲージですが、当初国内では市販品のターンテーブルがなく、各自が自分のレイアウトに合わせて何とか自作していたものでした。しかし1979年にトミックスが発売した「電動ターンテーブル」が人気を博し、幾度もの改良を経て現在に至っています。
一方KATOでは長らく自社製品がなく、海外製品の取り扱いにとどまっていましたが、2014年になってユニトラック用の「電動ターンテーブル」を発売しました。これにより国内の総合メーカー2社は、いずれも自社のターンテーブルを持つことになりました。
「1633 TCS電動ターンテーブルII N-AT212-15(F)」は、トミックスの電動ターンテーブルの現在の製品です。ファイントラックに適合しています。
付属のセレクターをパワーユニットのTCS出力端子につなぎます。そのためTCS出力端子のないパワーパックは使用できません。
D.C.フィーダーは、まずパワーユニットからセレクターに接続し、そこから本線のフィーダーに接続します。
大事なことですが、ターンテーブルと本線の間に、必ず付属の「両ギャップレール」を挟み、電気的に分離します。機関車の向きを180度変えると、ターンテーブル側の極性が本線と逆になるため、分離しなければショートしてしまうからです。ターンテーブル側への給電は、ターンテーブルとセレクターをつないでいる8Pコードにて、本線と独立して行なわれます。
機関車の向きを180°変えると、フィーダーをつないだレールをそのまま反対向きにしたことと同じことになり、本線側と逆の極性になります。そのまま機関車を出発させると、車輪が両ギャップレールを乗り越える瞬間にショートしてしまいます。機関車の向きを変えたら、まずセレクターのディレクションスイッチを切り替えて、ターンテーブル側の極性を本線側と揃えます。
右からやってきた機関車が、転車台上で停止したところです。本線側のフィーダーの向きや転車台の向きによって、パワーユニットとセレクターのディレクションスイッチは、この写真のとおりになるとは限りません。
もし両ギャップレールに差し掛かった瞬間に機関車が止まってしまったら、極性が違っていてショートしたものと考えられます。すぐにパワーユニットの電源を切り、セレクターのディレクションスイッチを逆転させて極性を合わせてから、再び電源を入れます。
セレクターのポジションスイッチ(時計方向)を押して、転車台を回転させます。ボタンは1回押すと、転車台は1ステップ動いて止まります。何回か連続して押すと、そのステップだけ転車台は連続して動き、目的のステップで止まります。
※TCS化される前の旧製品では、転車台は1ステップごとに必ず停止しながら動いていました。もし中古品などで旧製品を入手した場合、その動作で正常です。
180°転回できました。機関車が載っているレールがぐるりと回ったため、電気的な極性が本線と逆になったことに注意してください。
※ここでパワーユニットのディレクションスイッチを切り替えれば、極性が一致するように思いますが、そうではありません。パワーユニットのディレクションスイッチを切り替えると、本線側と一緒にターンテーブル側の極性も切り替わるため、両者の不一致はそのままです。
セレクターのディレクションスイッチを切り替えると、ターンテーブル側だけの極性を切り替えることができ、本線の極性と一致させることができます。
極性が一致したので、今度はパワーユニットのディレクションスイッチを切り替えて、全体の極性を逆転させ、機関車をもと来た方向に出発させます。
このような極性の不一致は、本線に対する転車台の向きが逆向きになったときだけ起こります。機関車が入ってくるときと出て行くときで、転車台の向きが変わらないのであれば、セレクターのディレクションスイッチを切り替える必要はありません。転車台の片側にある操作室とモーターボックスが、本線側か逆側かを覚えておき、逆向きになったときにセレクターのディレクションスイッチを切り替えるようにすればよいでしょう。
扇形機関庫に複数の機関車を停めておき、そのどれかを引き出すことができます。転車台の向きと一致したレールにだけ電流が流れるようになっているので、他の機関車が同時に動き出すことはありません。
1. 転車台で向きを変えた機関車が、バックして機関庫に入ります。
2. 機関車が機関庫の奥にあるバンパーを押さえると、針金で連結している扉が閉まります。
3. 転車台を隣の線路に合わせ、庫内の機関車を動かすと、自動的に扉が開きます。
転車台が途中の位置で動かなくなってしまうことがありますが、無理せず軽く左右に力を加えて、動くかどうか試してください。ぴくともしなければ、一度パワーユニットの電源を入れなおせば直ることがあります。隣り合ったレールブロックの高さに少しでもずれがあると引っかかってしまうので、取り付けネジを少し緩めたり、締めたりして調整してみます。
旧製品(品番1621以前)で、停止位置を飛ばして先に進んでしまうときは、その部分のレールブロックを外し、少し中心側に押し付けるようにして取り付け直します。ただ、ネジを締める加減が微妙で、強すぎても弱すぎてもうまく動かないことがありました。
長く使用していなかったときは、しばらくの間慣らし運転をしないとスムーズに回らないこともあります。何かと気難しい機械でしたが、改良の繰り返された現在の製品ではだいぶ安定して動くようになっています。