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汽車会社Cタンク フリーランス南薩5号タイプ(ワールド工芸)

汽車会社Cタンク フリーランス

2022.2.27

南薩鉄道5号機の真鍮エッチングキットは今までもワールド工芸から何度か発売されていますが、これはフリーランスで製品としては別種です。
上廻りのパーツは接着剤で組み立てるホワイトメタル鋳造品で、下廻りはハンダ付けで組み立てる通常のエッチングキットです。ワールド工芸としては珍しい構成です。

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これは筆者自身による組み立て過程のメモであり、正しい組み立て方(そんなものがあるのかわかりませんが)の説明ではありません。およそ行き当たりばったりの進め方になっています。組み立て方は説明書を参照のうえ見つけてください。

箱の中身

キットの中身です。上廻りの材質を除いて従来のキットと同様の構成なので、見た印象もそれほど変わりません。ただ真鍮やリン青銅のエッチング板はありません。

下廻りは洋白エッチング主体の従来に似た構成です。上廻りはホワイトメタルで、ボイラーとサイドタンクは一体です。キャブなどは面ごとにばらばらな部品になっています。湯口やバリなどを削り取り、目立つ荒れがあれば整形したのち、ぴったり合うように削り合わせて接着剤で組み立てます。そのへんは昔の中村精密のキットに少し似ています。

シリンダーブロックや煙突、ライトなど、一部のパーツは真鍮ロストワックスになっています。

上廻りの組み立て

煙室の穴あけ

最初に部品を取り付けるための穴を開けていきました。

柔らかいホワイトメタルなのであまり苦労はしません。ドリルの刃が素材にねばりつくような感じはあります。

指定されているドリル径は色々あります。0.5mm、0.8mm、1.0mm、1.2mmドリルの4種を使いました。

上下合体用の穴あけ

上下合体用の穴(2箇所)を開けました。

写真はボイラー部とキャブ妻板の2パーツを並べてひっくり返したところです。それぞれの底部に直径1.2mm、深さ3mmの穴を開けました。実際にピンバイスを使って開けると、3mmという穴は意外に深く感じます。

穴が開いたら、あらかじめ付属のM1.7×2.5タイトネジをねじ込んで、ネジ山を作っておきました。

後部の穴あけ

後部キャブ妻板の穴は、パーツをボイラーに接着する前に開けました。穴がちょっとズレてしまったのか、ネジを切ると穴が外側に膨れて切れそうになりました。
もしかしたら、ボイラー部にガッチリ接着して固まってから作業したほうがよかったのかもしれません。

タンク後部の歪み修正

大きいホワイトメタルの割にはきちんと鋳造されていますけども、運悪くタンクの後端にやや目立つ曲がりがありました。

下側を埋めるのは大変そうです。かといって上側を削ってまっすぐにすると、キャブとの隙間が大きくなりそうです。迷いましたが、隙間が広がるのを承知のうえで上側を削りました。

広い面積のタンク側面も平ヤスリなどでヤスって、成型の段や荒れをなるべく整えました。他の箇所はあまり徹底的に整えているわけではなく、ほとんど地のまま使っています。

煙室部接着

ボイラーに煙室とデッキを接着しました。

接着剤は普通エポキシを使うのでしょうが、どうも手持ちのエポキシの調子が悪くて非常に硬化が遅かったので、ゴム系と瞬間接着剤の併用にしました。

デッキ後端削り合わせ

ボイラーと煙室の高さ合わせが不十分だったらしく、デッキの後端がタンク下端に当たったので、矢印のあたりを少し削りました。

キャブ組み立て(2)

キャブは各面がほぼバラバラなので、これを何とか組み合わせて箱にします。何を基準にすればよいかちょっと手がかりが難しいです。

  1. とりあえず、キャブ妻板をボイラー後部に接着しました。ここが一番カッチリと固定されました。
  2. 側板を妻板に合わせて接着しました。下端の高さは水タンクの高さと揃えました。
  3. 反対側の側板も接着しました。

ゴム系接着剤による接着なので、まだ左右の側板はふにゃふにゃしています。

キャブ組み立て(2)
  1. 前部妻板と側板に合わせて屋根を接着しました。
  2. 左右の側板に挟み込むようにしながら、後面+床板のパーツを接着しました。屋根側の形がうまく合わなくて結構削りました。根本的に組み合わせ方を間違えているかもしれません。

ホワイトメタルのパーツの組み合わせは以上です。開口部から内側に瞬間接着剤のひげノズルを差し入れて、合わせ目に接着剤を付け補強しました。

小パーツの取り付け

前方に煙突、ライト、煙室扉ハンドル、後方に安全弁を差し込んで接着しました。

煙室扉ハンドル(H5-3)は、中心を軸棒(H5-2)で刺し通して煙室扉中央に接着しました。

公開されている試作時のCAD図では、デッキ前方につかみ棒がありましたが、本製品ではなぜか省略されてしまいました。何か適当なつかみ棒をお持ちであれば、デッキに穴を開けて取り付けると見栄えがすると思います。

ハシゴの取り付け

最後に乗降口の下部にハシゴ(H5-1)を瞬間接着剤で接着しました。折り目の内側にも瞬間接着剤を付けて補強しました。

これで上廻りの組み立てはおしまいです。ここまで4時間ほどかかりました。ホワイトメタル部品の修正がほとんどでした。形状や表面処理をどこまで追及されるかにより、これが1時間で済んだり2週間になったりするかと思います。

下廻りの組み立て

下廻りは従来の南薩5号機キットに似た構成ですが、南薩5号機とは次のような違いがあります。

・動輪が抜き取れる構造になっています。※とても楽
・伝達ギヤが少なく簡略化されています。
・加減リンクなどの弁装置がありません(ワルシャート式ではない)。
・ピストン棒の切り詰め調整や1段曲げが不要です。※とても楽

このキットの狙いを自分なりに解釈して、ハンダ付けや加工は最小限にして組み立てました。

フレーム組み立て

中央のベースプレート(H1-1)、左右の車輪座(H2-2, H2-3)を折り曲げました。

  1. ベースプレートは折り重ね、前後のハンダ穴にハンダを流して貼り合わせました。
    さらに普段は周囲の合わせ目にもすべてハンダを流していますが、今回はこの2点だけにしてみました。
  2. 説明書にあるとおり、車輪座の前端の折り目(内側)をハンダ補強しました。
    いつもは上部の長い折り曲げスパンもハンダ補強しています。今回は補強せず折っただけです。重量のあるホワイトメタル車体が載るので不安もありましたけども。

次にすべてのネジ穴にM1.4タップを立ててネジ山を切りました。

車輪押さえ組み立て

左右の車輪押さえ(H2-4, H2-5)の軸受け部分を折り返し、ハンダ付けしました。

通常のワールド工芸のキットでは、この車輪押さえにブレーキシューも一体化していることが多いです。このキットでは省略されているのでこれだけで終わりです。

スライドバー

シリンダーLの取り付け座(H1-3)を折り曲げて貼り合わせました。スライドバーも一体化しています。

シリンダーブロック固定

シリンダーブロックは真鍮ロストワックスです。取り付け脚を少し残してカットし、取り付け座の穴に差し込んでハンダ付けしました。

スライドバー補強

説明書に従い、スライドバーの付け根をハンダ補強しました。盛りすぎるとクロスヘッドが引っかかります。

たいてい、スライドバーを磨くように説明書に記載がありますが、今回はなかったので磨かず様子を見ました。だめならあとでも磨けますので。

塗装

ここで塗装しました。今回はアクリジョンのつや消しブラックのみとし、光沢ブラックは混ぜませんでした。

スライドバーや車輪座の通電部はマスキングしておきました。


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