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フリーランス南薩5号タイプ その2

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下廻りの組み立て(2)

ギヤ取り付け

左の車輪座にギヤを取り付けました。

  1. 大ギヤに大ギヤ軸を通し、表からM1.4×4mmネジ(一番長いネジ)で固定しました。
    大ギヤは2段ギヤで小ギヤが重なっています。しかし今回は小ギヤ部は使われず大ギヤ部のみ噛み合います。ウォームと大ギヤで減速され、その大ギヤ(19歯)から第2・第3動輪の車軸ギヤ(10歯)に伝達されます(ここで1.9倍に増速)。
  2. 中ギヤに小ギヤ軸を通し、2Lカラーを重ね、表からM1.4×4mmネジで固定しました。
    この中ギヤは、第2動輪軸と第1動輪軸を連動するために使われています。
絶縁ブッシュ取り付け

ベースプレートの絶縁側の穴に、絶縁ブッシュをゴム系で接着しました。

説明書に「接着すると作業が楽です」のアドバイスがあるのでその通りにしました。いつもは接着はせずネジ留めするだけです。

絶縁ワッシャー取り付け

裏返したところです。絶縁ブッシュの裏側に絶縁ワッシャーをはめて接着しました。

絶縁側車輪座固定

絶縁ブッシュの上からM1.4×2.5mmナベネジ(他より頭の大きなネジ)を通し、ギヤのないほうの車輪座を固定しました。

こちら側の車輪座は上部をマスキングする必要はなかったなと(どうせベースプレートとは絶縁するので)、今になって思います。

ギヤ側車輪座固定

ギヤの付いている車輪座は、通常の頭の小さいネジで固定しました。

軸穴の切削

車輪の通る軸穴は少しきつく、車輪が入りません。直径2.5mmの細かい丸ヤスリを通して整えました。
きついことが塗装前にわかっていたので、塗装時に軸受けはマスキングしませんでした。どのみちヤスリを通さなくてはならない様子だったので。

この作業はいつも説明書に書かれていますが、今回はありません。

軸穴の掃除

ヤスリを通した軸穴は綿棒でクリーニングし、金属カスを取り除いておきました。

動輪の圧入

ギヤ付きの駆動軸の両側に、万力で金属車輪を圧入しました。車輪側・車軸側とも未加工で普通に圧入できます。

動輪の取り付け

一度車輪押さえを外し、動輪をはめて再び車輪押さえを付けました。

動輪が軽く回ることを確認しました。大変よく回りました。

輪心外周を削る

輪心が動輪に軽く入るように加工します。

説明書に従い、中心の穴に丸ヤスリを通し(回しやすいようにするため)、平ヤスリの上で輪心を回転させて外周を少し削りました。

輪心中央を広げる

外周を削っただけでは軽く入らないので、中央の穴を2.5mm丸ヤスリが通るように広げました。

これで金属車輪に輪心が軽くスポッと入るようになりました。

なお、たまに輪心の中央付近にバリが出ていて、回転中のロッドに引っかかることがあるので、よく見て取り除いておきます。

公式側輪心の接着

片側の車輪に輪心をゴム系接着剤で接着しました。

左右にギヤの遊びがあるので、それぞれ中央位置から均等にガタつくよう目分量で位置を合わせました。このガタつきの決め方には人により色々流儀があります。

大ギヤの固定

ここでは上面にプラ板を仮接着して大ギヤの前後に押し付け、大ギヤをロックしてから輪心の位置を合わせました。

左右の輪心の接着が終わったらプラ板ははがします。

非公式側輪心の接着

反対側の輪心は目分量で90度先行させて接着しました。

公式側連結棒の取り付け

転がりを確かめるため、サイドロッド(H3-L, H3-R)をロッドピンで軽く取り付けました。ヤットコでピンごと、片側の車輪を表裏から挟むようにしました。

曲線レールの上で向きを変えながら転がし、具合を確かめました。

第2動輪のロッドピンは、あとでメインロッドを付ける際に一旦外します。

シリンダーブロックの取り付け

残りのロッドを取り付けるにあたって、まず片側のシリンダーをネジ留めしました。

もし車体の外側・内側にガタがあるようなら、とりあえず外側に寄せておきます。

メインロッドの曲げ

クロスヘッドはスライドバーに通す耳の部分が曲げ済みで、かつメインロッドとカシメ済みになっています。大変助かるところ。

従来の南薩5号機キットでは、ピストン棒をクロスヘッドの直前で1段内側に曲げる必要がありました。このキットでは不要です。ピストン棒の長さ調整も不要でした。

メインロッドは、車体の内側に寄るように微妙に曲げておくよう指示があります。前端付近・後端付近をわずかに曲げました。

メインロッドの取り付け

クロスヘッドとピストン棒を後ろから差し込み、メインロッドをロッドピンで第2動輪に留めました。

ロッドピンがあまり緩いと、サイドロッドの前端が浮いてクロスヘッドに引っかかりやすくなるので、適度に差し込みました。

取り付けたら曲線レール上で転がしてテストし、軽く転がったら反対側のロッドも取り付けました。特に問題はありませんでした。

モーター配線位置

次はモーターの配線です。白線は矢印の端子の裏側にハンダ付けするよう書かれています。

しかし、場所が大変狭いので難しいです。すぐそばにプラスチック製の駆動軸のギヤもあります。

モーター配線

車輪や車輪押さえに当たらなければいいやということで、やや表寄りの微妙な位置に付けました。

モーター固定

もう1本をハンダ付けし、モーターを固定してウォームを接着しました。ウォームはゴム系で付け、先端のみ瞬間接着剤を少し付けるという変な付け方をしました。
手持ちのエポキシが死んでいましたので…。

走行は問題ありませんでした。

たいていのウォームギヤは、ウォームホイル側(車輪側)からウォーム(モーター側)を回すことはできませんが、この作例では回りました。
たまたまウォームを逆駆動できる条件を満たしたのですね。もっとも片方向(後退方向)だけです。

仕上げ

ナンバープレート磨き出し

塗装したナンバープレートを、800番の耐水ペーパーで磨き出しました。

手触りで800番と判断しただけなので、本当にそうかわかりませんけども。

このナンバープレートは厚めで、磨き出しは楽なほうです。磨き出し後、水洗いして乾かし、クリアー(クレオスの旧メタルプライマー)を塗っておきました。

車体色入れ

ナンバープレートをゴム系で車体の適当な位置に貼りました。

ヘッドライトには銀を入れ、安全弁には金を塗りました。安全弁を塗る際にはキャブ側とドーム側にマスキングテープを貼って保護しました。

キャブは肉厚なのでガラスは貼りませんでした。ただ、貼ったら貼ったで良さそうな気もしています。

前後固定

動力部をボイラーに合わせ、前後をM1.7×2.5タイトネジで固定しました。

高さ・傾き調整用のワッシャーがいくつか付属しています。私は後部のみ、後部用ワッシャー(H1-6)を2枚重ねで入れました。

前後のカプラーは本来はアーノルドです。試作写真にはマグネ・マティックカプラーを付けているものがあったので、おそらくNo.2001も付くと思います。ただNo.2001が品切れのため、とりあえず手持ちのNo.1015を付けました。高さが合わないので上の蓋を取り、ただくっつけているだけです。

完成

従来の南薩鉄道5号機と並べてみました。
注:今回の模型はフリーランスということで、同一モデルのリニューアル品ではありません。

フリーランス南薩5号タイプ

フリーランス南薩5号タイプ
(拡大写真)

今回の製品です。

南薩鉄道5号機

南薩鉄道5号機 20tCタンク
(拡大写真)

下廻りが洋白になった2代目製品です。動輪が抜き取れなかった時代の最終期の製品です。
今のワールド工芸の蒸機は、B20など一部を除き、組み立て後も動輪を抜き取って調整・清掃が可能です。

フリーランス南薩5号タイプ 前方から

フリーランス南薩5号タイプ

フリーランス南薩5号タイプ 後方から

フリーランス南薩5号タイプ

左:南薩鉄道5号機 右:フリーランス南薩5号タイプ

左:南薩鉄道5号機 20tCタンク
右:フリーランス南薩5号タイプ

今回のフリーランスはホワイトメタルで肉厚ですが、ボイラーは結構細いんですね。

左:南薩鉄道5号機 右:フリーランス南薩5号タイプ

左:フリーランス南薩5号タイプ
右:南薩鉄道5号機 20tCタンク

組み立てのご紹介は以上です。

通常のワールド工芸の小型機と比べますと、速度はとても速く感じます。今のパワーパックで微妙に操作すればある程度はスローが効くものの、安定的な線まで上げるとたちまち高速化します。じっくり走るローカル線のイメージではありません。

ある程度貨車などを引かせて小〜中程度の編成にすれば少し運転しやすくなります。車体が重いので余裕をもって牽けます。まあ従来の南薩鉄道5号機も平坦線でセキ10両ぐらいは牽いていますけども、もう少々余裕ある感じです。


下廻りは従来のワールド工芸のキットよりも簡単に感じました。多少でも簡略化されているためかと思います。ただ速いため、できることならばギヤ比は従来型のほうがよかったです。

上廻りのホワイトメタル部品の組み合わせは、面白さとともに手間もあり、組み立て時間はエッチングキットとあまり変わりませんでした。これは組む人の慣れや仕上げ目標によると思います。ドーム類が一体化されているのはよかったです。しばしば左右に傾きがちなところですから。

ワールド工芸は金属エッチングキット中心のメーカーではありますが、プラ製車体と組み立て済み動力のプラシリーズも8年前から継続していますし、時折違う試みもされているのですよね。


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