社会活動、経済活動、情報化の著しい発展に伴い、電波の需要は一層高まってきており、電波を通信媒体とする無線通信、電子レンジ、木材の乾燥等の電波エネルギーとしての利用、さらには電波を利用した医療技術等、様々な方面において利用されるようになってきています。 そんな中で、電波利用施設から発射される電波が生体に好ましくない影響を及ぼしているのではないか?と言う不安や疑問が持ち上がってきている(特に携帯電話,PHSの普及により顕著に現れているような気がします)のも事実です。 電波の人体に対する影響については、40年以上も前から調査・研究がなされており日常生活においては懸念されるような影響は無い」とういう風に考えられている。と言うことです・・・ でも、電波に対する不安・誤解から無用の混乱を除き、健全な電波利用の促進を図っていくためには、電波防護のための指針を策定することが必要であり、場合によっては制度化も必要であると言うことから電波防護基準が策定され・制度化されたと言うことです。 |
では、電波防護基準はどのようにして成立していったのでしょうか? |
昭和63年6月、旧郵政省(現総務省)において 「電波利用が一般化するなかで、電波利用設備の近傍において輻射又は漏えいする電磁波が人体に影響を与える可能性が指摘されている。 電磁波の人体への影響の問題は、国民生活や労働環境にかかわり健全な電波利用の促進を図るために、人体の安全と電波利用設備の運用との間の調和について適切な指針を設けていくことが必要となっている。」として 「人体に対する防護指針値」及び「電波利用設備近傍の電磁界の測定法・推定法」を求めて、電気通信審議会に諮問し |
電気通信審議会は 平成2年6月「10Khzから300Ghzまでの周波数範囲を対象とする電波防護指針と電波の利用施設周辺における電磁界強度等の測定法及び推定法並びに人体に照射される電磁界の強度を軽減する防護法」を中心とする答申を行いました |
この答申をふまえて 平成5年9月、(財)電波システム開発センタ(現(社)電波産業会)が 人体が電波にさらされた場合の安全性について、定量的な評価を与える基準として 「電波防護標準規格」を取りまとめました。がこれはあくまで民間の規格と言うことです。 |
民間規格による「電波防護標準規格」が各方面で活用されてはいたのですが・・ 携帯電話、PHS等の急激な普及により電波利用の形態が、耳元で使用する等、著しく変化してきたことで、身体に極めて近いところで使用する機器による電波ばく露の研究が急速に進展してきていることから、これらの機器による電波ばく露に関し、より具体的な指針が求められていること、電波利用の拡大に伴い、より高い周波数の利用が予測され、これらの電波利用等に関する人体への影響について今後研究推進することが求められていることから |
郵政省は平成8年 「低電力放射源等に対する電波防護指針及びその適用のために必要な電磁環境の測定法・推定法」等を求めて電気通信審議会に諮問しました |
これを受けて電気通信審議会は 平成9年4月 前回答申(平成2年6月)の「電波防護指針が現在でも妥当であること,又、規制の導入に関しては、当面、身体のごく近くで使用する携帯電話等の無線設備以外の電波利用設備を対象に、一般国民の安全性を考慮した規制を導入すべきである」との答申を行いました。 |
この規制の導入に関して郵政省は平成10年3月 電波防護指針の運用のあり方に関する「調査研究会」が 「民間のガイドラインにより十分機能している分野や測定技術がいまだ十分確立していない分野では、ガイドライン方式で実質的に維持するとともに、無線設備の位置や発射される電波の強さを知ることが出来ない一般の人々を保護する見地から、電波防護指針の実効性をより確保するために、強制規制を導入することが望ましい」趣旨の報告書を取りまとめました。 |
これらの経緯をふまえて 「無線局から発射される電波の強度が定められた値を超える場所にその無線設備の取扱者以外のものが容易に出入りできないように施設することを免許人に義務づける」 とする規制を導入し、併せて 「電波防護指針への適合性をできる限り容易に、かつ、統一された方法により確認する必要があることから、電波の強度の測定方法及び算出方法」を求めて |
平成10年7月電気通信審議会に 「電波防護指針への適合を確認するための電波の強度の測定方法及び算出方法」について諮問しました。 |
これを受けて、電気通信審議会では 平成10年11月 「電波防護のための基準制度化に際し、無線局の免許申請、検査等の才に電波防護指針への適合性をできる限り容易に、かつ、統一した方法により確認できるよう電波の強度の測定方法及び算出方法」を提示する答申を行いました。 |
これより前平成10年6月郵政省は、 電波防護に関するそれまでの経緯をふまえ、「電波利用における安全確保の観点から、電波の強度が定められた値を超える場所に取扱者以外の者が容易に出入りできないように措置することを義務づけること等について規定の整備を内容とする電波法施行規則の一部を改正する省令案」を電波管理審議会諮問し |
それを受けて電波管理審議会では 平成10年9月 「施行規則の一部を改正する省令案は適当である」旨の答申を行い。 |
郵政省では平成10年10月1日 施行規則を改正(新たに第21条の3(電波の強度に対する安全施設)を追加)し、平成11年10月1日施行することとする、とともに 「無線設備から発射される電波の強度の算出方法及び測定方法」等の関連告示の制定、改正を行う等関係法令を整備し、電波防護基準が制度化されました。 |