前日の夕方に京極まで行き、「名水の郷きょうごく・道の駅」近くの蕎麦屋「一心庵」で夕食。向かいの京極温泉でまったりしてから道の駅の駐車場で車中泊。ここのトイレはきれいで、シャワートイレになっている。よくあるトイレ臭などまったく感じなく気持ちが良い。
夜にかなり強い雨が降ったが、朝方になってまた降り出して来た。
それでもとにかく登山口まで行って見ようと比羅夫登山口まで車を走らせた。雨は小雨程度になったが、風が結構あって山登りにはあいにくの天候だ。山の裾まで雲が掛かり、端正な羊蹄山の姿は見えない。
登山口の駐車場に着くと、もう何組かの登山者が出発したようだ。天候を見ながら待機しているその内に20名の大パーティが到着した。まだフンギリがつかない状況だったが、大パーティに背中を押されるように出発することにした。
先ずは5合目まで登ってからその後の判断しようと登り始めた。風と雨は高度を上げる毎に強くなるようだった。
5合目で、途中撤退してくるグループが2組いた。口々に「この風では火口回りは出来ない」と言っていた。それでも自分で判断出来る所までと登り続けた。避難小屋との分岐がある9合目を過ぎても濃いガスは晴れてくれないが、それでも幾分か風が弱くなっているようだった。
お花畑辺りで上から下りてきた若者が、「頂上は青空が出ていて、雲海が見える」と教えてくれた。この言葉に勇気付けられて火口壁まで頑張って登った。風はかなり弱くなったが、ガスは残ったままだった。そのままガスの中を歩いていると、突然のようにガスが切れ始め、山頂やお釜の全景が見え出した。上空には青空が広がり、下には厚い雲海が見える。青年の教えてくれた通りの光景が広がり始めた。
山頂近くで小1時間の休憩を取って下山に取り掛かると、あの20名の大パーティが到着した。とっくに途中で引き返したと思っていたが、良く頑張ったものだ。かなりの高齢者も含まれていたから、ゆっくりと登ったのだろう。
下山してニセコの町に向かう頃には、くっきりと端正な羊蹄山が姿を見せていた。
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GPSトラックログ
赤線=登り 青線=下り
登り・5時間(休憩時間たっぷり含む)
下り・3時間50分(休憩時間含む)
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羊蹄山・比羅夫(ヒラフ)登山口。ここで入山届出を書いて出発する。このコースを歩くのは初めて羊蹄山に登った28年前以来。その時は同僚と小屋泊まりで登ったのだが、水が無いというので、キスリングに大きなポリタンクを入れて登った記憶がある。
林の中だから風は弱い。時おり強い風が吹くと、梢に溜まった雨水がボタボタと落ちてきた。
上下のレインスーツを着込み、ザックカバー、スパッツと完全防水姿で歩く。少し暑いが濡れるよりマシだろう。
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林を抜け、登山道が斜度を増した辺りに小さな「風穴」がある。近くに寄って冷風を感じようとしたが、まったくその気配がない。真夏の暑い日でなければ感じることの出来ない微風なのだろうか。
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とにかく登山口から2合目までが長い。ガスで眺望もないから、楽しみは登山道の脇に顔を見せる可愛い花たち。雨に濡れて可憐な表情をしている。
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年配者を追い越し、元気な若者に追い抜かれる。こればかりは致し方ない。いつかはみんなに追い越される日が来るのだろう。
それにしても若者は濡れることを厭わない。髪の毛などは額にへばりついているのだが、気にならないようだ。まだ寒さを感じない気温だから安心だが、突然の天候変化に対応出来るのかどうか、少し不安だ。
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モビールのようにぶら下がった黄色い花が風に揺れている。なかなか花弁にピントが合わない。息を止めても風が止まらない。やはり少しピンボケになっていた。
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8合目辺りから色鮮やかなナナカマドが目に付き出す。街路樹で見るナナカマドより実が大きい。9合目を過ぎてもガスは晴れない。それでも少し風が弱くなって来たので、山頂まで行くことを決心する。
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山頂火口を時計回りに最高点を目指す。京極方面から雲が上がって来ているのだろうか、行く手にはガスが立ち込めている。風だけを心配していたが、意外と穏やかで心地良いお鉢回りが楽しめた。
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旧山頂を過ぎた辺りからガスが薄くなり、上空に青空が見えるようになってきた。太陽の陽射しも感じられ、やはり頑張って登って来て良かったと感じる瞬間だった。
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三角点辺りから羊蹄山の山頂部をズームアップ。画像の切り取り具合で、すごい岩山に思えてしまうから可笑しい。流れるガスが山頂部の立体感を演出してくれている。
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全容を現したお釜。岩内や積丹方面は厚い雲海に覆われている。振り返って洞爺湖方面を見ても、やはり厚い雲海になっている。どうやら晴れているのは羊蹄山の頂上だけらしい。
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賑わう山頂。今日の山頂は格別な思いだったに違いない。下は雨、途中は風とガス、そして見事に晴れ上がった山頂。みんなの顔も心なしか晴れ晴れしているようだ。
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帰りにコースを変えて立ち寄った「旧避難小屋跡」。風を遮る物が何もない高台に建っていた旧避難小屋。北風の吹き付ける真冬はどんなに厳しい状況だったか、想像に難くない。
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「旧避難小屋跡」に残っている手押しポンプ。上のアルファベットは判読出来ないが、下には「川本式」「特製」の文字が見える。今でも「川本ポンプ」という会社があるから、そこの特注品だったのだろうか。
何やら「オッス!」と手を上げているようにも見えるし、鉄騎兵が槍を構えているようにも見えてユーモラスなポンプだ。
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「旧避難小屋跡」から比羅夫コースに戻る途中、大岩の基部に彫られた文字を発見。「北ガス ハコダテ 58,9,21 8名」と読める。1958年のものだとしたら、今から55年前に彫られたことになる。
今なら会社ぐるみで自然破壊だと怒られるかも知れないが、この当時は自然保護の概念も薄かったのだろう。少し恥ずかしいが自然破壊の資料として残して置くのも良い。
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登りではまったく見えなかったすそ野の町、倶知安が見える。左方向にはニセコの町が見える。まだ低い雲が流れていて、目の前に広がる筈のニセコ連峰は見えない。
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これは何だろう?ぶどうの葉に付いた赤い水滴なような植物。寄生植物なのだろうか。何だか小人のお散歩のようで楽しい。
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登山口から国道に出ると、今まで見えなかった羊蹄山が姿を現していた。雨から始まった今日の羊蹄山登山、登りの苦労も下りの苦労も、終わり良ければすべて良し・・・となった。
ニセコに行った時は結構利用しているニセコ駅前の「綺羅の湯」で汗を洗い流し、ビールと野菜ラーメンで夕食を済ませた。大広間のテレビで野球観戦を楽しんだ後は、車に戻って眠りについた。
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翌日はニセコの山歩きを考えていたが、下りの時に痛めた足の爪がまだ痛いので、積丹半島一周ドライブに切り替え。
神威岬では熊が出没したため、灯台まで行くことが出来なかった。警備の方の話では、熊のいないのを確認してから解除するとのことだった。
岬近くの食堂「うしお」で待望のうに丼を食べてから、島武意海岸に向かった。
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島武意海岸はレストハウス前の駐車場から近い、小さなトンネルを抜けると突然「シャコタン・ブルー」の海岸が広がるので有名。
島武意海岸をもう少し楽しみたいのであれば灯台まで行き、その先に続く遊歩道を歩きながら海岸線の奇勝を眺めるのが良い。
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![syakotann 0003](youteizann%20hirafu%202013%208%2026.files/image022.jpg)
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「女郎子岩」まで来ると遠くでカミナリが鳴り、小雨がぱらついてきた。傘も持っていないので大急ぎで車に戻る。少し濡れただけで大事には至らなかった。
まさかその時間に札幌が記録的な大雨になっているとは思いもしなかった。
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