七五調、音読すると心地ええ、『北守将軍と三人兄弟の医者』。
っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその41』だよん。(^ ^;
<イントロ>
一、三人兄弟の医者
むかしラユ−という首都に、兄弟三人の医者がいた。いちばん上のリンパ−は、普通の人の医者
だった。その弟のリンプ−は、馬や羊の医者だった。いちばん末のリンポ−は、草だの木だのの医
者だった。そして兄弟三人は、町のいちばん南にあたる、黄いろな崖のとっぱなへ、青い瓦の病院
を、三つならべて建てていて、てんでに白や朱の旗を、風にぱたぱた云わせていた。
坂のふもとで見ていると、漆(うるし)にかぶれた坊さんや、少しびっこをひく馬や、萎(しお)れかかっ
た牡丹の鉢を、車につけて引く園丁や、いんこを入れた鳥籠や、次から次とのぼって行って、さて坂
上に行き着くと、病気の人は、左のリンパ−先生へ、馬や羊や鳥類は、中のリンプ−先生へ、草木を
もった人たちは、右のリンポ−先生へ、三つにわかれてはいるのだった。
さて三人は三人とも、実に医術もよくできて、また仁心も相当あって、たしかにもはや名医の類であ
ったのだが、まだいい機会(おり)がなかったために別に位もなかったし、遠くへ名前も聞えなかった。
ところがとうとうある日のこと、ふしぎなことが起(おこ)ってきた。
(丸写しオシマイ)
『賢治童話を丸写しシリーズその41』でした。
『北守将軍と三人兄弟の医者 』の漫画の紹介
@スズキ・コージ:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第2巻 .
◆版画チック、いんでなぃかぃ。(^ ^;
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スズキ・コージの漫画版『北守将軍と三人兄弟の医者』は、いんでなぃかぃ。
スズキ・コージは、『月夜のでんしんばしら』に続いて二度目の登場。んで全然期待してまへんでした。
版画チックな画風、ありぃ、これ古代中国ムードむんむんでっせ、いんでなぃかぃ。
全編七五調・版画チック・古代中国ムードが三位一体、これって、傑作でなぃかぃ。
っつーことで、『北守将軍と三人兄弟の医者』の漫画版、スズキ・コージ、いんでなぃかぃ。(^
^;
「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」
ぎちぎち:【馬は太鼓に歩調を合せ、殊にもさきのソン将軍の白馬は、歩くたんびに膝がぎちぎ
ち音がして、ちょうどひょうしをとるようだ。】
ぎちぎち:【あんなにぎちぎち軋(きし)んだ膝がいまではすっかり鳴らなくなった。】
ぎちぎち、っつーの初対面。膝がぎちぎち軋(きし)む、mmm
痛そう。(^ ^;
@ぱたぱた:【そして兄弟三人は、町のいちばん南にあたる、黄いろな崖のとっぱなへ、青い瓦の病
院を、三つならべて建てていて、てんでに白や朱の旗を、風にぱたぱた云わせていた。】
Aとうとう:【ところがとうとうある日のこと、ふしぎなことが起(おこ)ってきた。】
Bだんだん:【はじめは誰も気にかけず、店を掃いたりしていたが、朝めしすこしすぎたころ、だんだ
んそれが近づいて、みんな立派なチャルメラや、ラッパの音だとわかってくると、町じゅう
にわかにざわざわした。】
Cざわざわ:【みんな立派なチャルメラや、ラッパの音だとわかってくると、町じゅうにわかにざわざ
わした。】
Dぱたぱた:【その間にはぱたぱたいう、太鼓の類(るい)の音もする。】
Eしっかり:【門を守った兵隊たちは、まず門をみなしっかりとざし、町をめぐった壁かべの上には、
見張りの者をならべて置いて、それからお宮へ知らせを出した。】
Fすっかり:【そしてその日の午(ひる)ちかく、ひづめの音や鎧(よろい)の気配、また号令の声もして、
向うはすっかり、この町を、囲んでしまった模様であった。】
Gどきどき:【番兵たちや、あらゆる町の人たちが、まるでどきどきやりながら、矢を射る孔からのぞ
いて見た。】
Hひらひら:【ひらひらひかる三角旗(ばた)や、ほこがさながら林のようだ。】
Iぼさぼさ:【ことになんとも奇体なことは、兵隊たちが、みな灰いろでぼさぼさして、なんだかけむり
のようなのだ。】
Jぴん:【するどい眼をして、ひげが二いろまっ白な、せなかのまがった大将が、尻尾(しつぽ)が箒(ほ
うき)のかたちになって、うしろにぴんとのびている白馬に乗って先頭に立ち、大きな剣を空
にあげ、声高々と歌っている。】
Kやっ:【北守(ほくしゆ)将軍ソンバーユーは いま塞外(さいがい)の砂漠から やっとのことで戻ってき
た。】
Lすっかり:【勇ましい凱旋だと云いたいが 実はすっかり参って来たのだ とにかくあすこは寒い処
(ところ)さ。】
Mペタン:【馬がつかれてたびたびペタンと座り 涙をためてはじっと遠くの砂を見た。】
Nじっ:【涙をためてはじっと遠くの砂を見た。】
Oやっぱり:【そうしてみればどうだやっぱり凱旋だろう。】
Pぴしゃん:【うれしまぎれに泣くものや、両手をあげて走るもの、じぶんで門をあけようとして、番兵た
ちに叱られるもの、もちろん王のお宮へは使(つかい)が急いで走って行き、城門の扉はぴし
ゃんと開(あ)いた。】
Qくしゃくしゃ:【顔から肩から灰いろの、北守将軍ソンバ−ユ−は、わざとくしゃくしゃ顔をしかめ、しず
かに馬のたづなをとって、まっすぐを向いて先登(せんとう)に立ち、それからラッパや太鼓の
類、三角ばたのついた槍、まっ青に錆びた銅のほこ、それから白い矢をしょった、兵隊たち
が入ってくる。】
Rぎちぎち:【馬は太鼓に歩調を合せ、殊にもさきのソン将軍の白馬は、歩くたんびに膝がぎちぎち音
がして、ちょうどひょうしをとるようだ。】
Sぐったり:【九万の兵というものはただ見ただけでもぐったりする。】
21ぼんやり:【「雪の降る日はひるまでも そらはいちめんまっくらで わずかに雁(がん)の行くみちが
ぼんやり白く見えるのだ。」】
22ぞろっ:【みんなは、みちの両側に、垣をきずいて、ぞろっとならび、泪を流してこれを見た。】
23ひらひら:【かくて、バ−ユ−将軍が、三町ばかり進んで行って、町の広場についたとき、向うのお
宮の方角から、黄いろな旗がひらひらして、誰かこっちへやってくる。】
24しっかり:【ところが馬を降りれない、もう将軍の両足は、しっかり馬の鞍につき、鞍はこんどは、が
っしりと馬の背中にくっついて、もうどうしてもはなれない。】
25がっしり:【鞍はこんどは、がっしりと馬の背中にくっついて、もうどうしてもはなれない。】
26びくびく:【さすが豪気の将軍も、すっかりあわてて赤くなり、口をびくびく横に曲げ、一生けん命、は
ね下りようとするのだが、どうにもからだがうごかなかった。】
27ばたばた:【将軍はまた手をばたばたしたが、やっぱりからだがはなれない。】
28くるっ:【そこで大臣一行は、くるっと馬を立て直し、黄いろな塵をあげながら、一目散に戻って行く。】
29じいっ:【「そのうち音をたてないで、じいっとやすんでいてくれい。わかったか。」】
30ぺたん:【たびたびぺたんと砂漠に寝た、この有名な白馬は、ここで最後の力を出し、がたがたがた
がた鳴りながら、風より早くかけ出した。】
31がたがたがたがた:【この有名な白馬は、ここで最後の力を出し、がたがたがたがた鳴りながら、風
より早くかけ出した。】
32しゅう:【「よろしい、しゅう。」と将軍は、例の白馬に一鞭くれて、一気に坂をかけあがる。】
33ぶつぶつ:【大工はあとでぶつぶつ云った。】
34うろうろ:【そこらをうろうろあるいている、病人たちをはね越こえて、門の前まで上っていた。】
35どしどし:【さてソンバ−ユ−将軍は、いまやリンパ−先生の、大玄関を乗り切って、どしどし廊下へ
入って行く。】
36ぱかぱか:【ソン将軍はぱかぱかと馬を鳴らしてはいって行った。】
37びくっ:【「おい、きみ、早くこっちを見んか。」将軍が怒鳴り出したので、病人たちはびくっとした。】
38ぱくっ:【馬はぱくっとそれを噛み、大きな息を一つして、ぺたんと四つ脚を折り、今度はごうごういび
きをかいて、首を落してねむってしまう。】
39ぺたん:【ぺたんと四つ脚を折り、今度はごうごういびきをかいて、首を落してねむってしまう。】
40ごうごう:【今度はごうごういびきをかいて、首を落してねむってしまう。】
41しっ、ふう、どう:【「こら、起きんかい。起きんかい。しっ、ふう、どう、おい、この塩を、ほんの一口た
べんかい。」】
42ぐうぐう:【それでも馬は、やっぱりぐうぐうねむっている。】
43がたがた:【「目をねらったりするもんで、こいつがでたらもう馬は、がたがたふるえてようあるかん
ね。」】
44きちん:【ソン将軍は両手を出して鉢をきちんと受けとった。】
45ざぶざぶ:【パ−先生は片袖まくり、布巾に薬をいっぱいひたし、かぶとの上からざぶざぶかけて、
両手でそれをゆすぶると、兜はすぐにすぱりととれた。】
46すぱり:【両手でそれをゆすぶると、兜はすぐにすぱりととれた。】
47じゃぶじゃぶ:【そこでリンパ−先生は、別の薬でじゃぶじゃぶ洗う。】
48ぶるっ:【将軍はぶるっと身ぶるいして、馬にきちんと起きあがる。】
49せいせい:【「どうです、せいせいしたでしょう。ところで百と百とをたすと、答はいくらになりますか。」】
50けろり:【さっきのことは忘れた風で、ソン将軍はけろりと云う。】
51もじゃもじゃ:【「そんならわしの顔から生えた、このもじゃもじゃはどうじゃろう。」】
52がばっ:【馬はがばっとはねあがり、ソン将軍は俄かに背が高くなる。】
53ぎっ、ばっ、ふう:【将軍は馬にむちをやる。ぎっ、ばっ、ふう。馬は土塀をはね越えて、となりのリン
プ−先生の、けしのはたけをめちゃくちゃに、踏みつけながら立っていた。】
54めちゃくちゃ:【馬は土塀をはね越えて、となりのリンプ−先生の、けしのはたけをめちゃくちゃに、
踏みつけながら立っていた。】
55ぶるるるふう:【ソン将軍が、お医者の弟子と、けしの畑をふみつけて向うの方へ歩いて行くと、もう
あっちからもこっちからも、ぶるるるふうというような、馬の仲間の声がする。】
56ことこと:【そして二人が正面の、巨きな棟にはいって行くと、もう四方から馬どもが、二十疋(ぴき)も
かけて来て、蹄(ひづめ)をことこと鳴らしたり、頭をぶらぶらしたりして、将軍の馬に挨拶する。】
57ぶらぶら:【頭をぶらぶらしたりして、将軍の馬に挨拶する。】
58がっしり:【巨きな鉄の胸甲(むないた)を、がっしりはめていることは、ちょうどやっぱり鎧のようだ。馬
にけられぬためらしい。】
59ごとごと:【弟子はおじぎを一つして、となりの室へ入って行って、しばらくごとごとしていたが、まもなく
赤い小さな餅を、皿にのっけて帰って来た。】
60ぱくり:【先生はそれをつまみあげ、しばらく指ではさんだり、匂をかいだりしていたが、何か決心した
らしく、馬にぱくりと喰べさせた。】
61がたがたがたがた:【すると俄かに白馬は、がたがたがたがたふるえ出しそれからからだ一面に、あ
せとけむりを噴き出した。】
62ごほんごほん:【ソン将軍も、はじめは我慢していたが、とうとう両手を眼にあてて、ごほんごほんとせ
きをした。】
63すぱり:【たちまち鞍はすぱりとはなれ、はずみを食った将軍は、床にすとんと落された。】
64すとん:【はずみを食った将軍は、床にすとんと落された。】
65ぱしゃぱしゃ:【おまけに鞍と将軍も、もうすっかりとはなれていて、将軍はまがった両足を、両手でぱ
しゃぱしゃ叩いたし、馬は俄かに荷がなくなって、さも見当がつかないらしく、せなかをゆらゆ
らゆすぶった。】
66ゆらゆら:【馬は俄かに荷がなくなって、さも見当がつかないらしく、せなかをゆらゆらゆすぶった。】
67ぐっ:【するとリンプ−先生はこんどは馬のほうきのようなしっぽを持って、いきなりぐっと引っ張った。】
68ごとり:【すると何やらまっ白な、尾の形した塊(かたまり)が、ごとりと床にころがり落ちた。】
69ふさふさ:【馬はいかにも軽そうに、いまは全く毛だけになったしっぽを、ふさふさ振っている。】
70ぎちぎち:【あんなにぎちぎち軋(きし)んだ膝がいまではすっかり鳴らなくなった。】
71ひらり:【将軍は、急いで馬に鞍を置き、ひらりとそれにまたがれば、そこらあたりの病気の馬は、ひ
んひん別れの挨拶をする。】
72ひんひん:【そこらあたりの病気の馬は、ひんひん別れの挨拶をする。】
73ひらり:【ソン将軍は室を出て塀をひらりと飛び越えて、となりのリンポ−先生の、菊のはたけに飛び
込んだ。】
74ゆっくり:【そこを、バーユー将軍は、馬から下りて、ゆっくりと、ポー先生の前へ行く。】
75ばたばたばたばた:【ポ−先生は黄いろな粉を、薬函から取り出して、ソン将軍の顔から肩へ、もう
いっぱいにふりかけて、それから例のうちわをもって、ばたばたばたばた扇ぎ出す。】
76ふわふわ:【するとたちまち、将軍の、顔じゅうの毛はまっ赤に変り、みんなふわふわ飛び出して、見
ているうちに将軍は、すっかり顔がつるつるなった。】
77つるつる:【見ているうちに将軍は、すっかり顔がつるつるなった。】
78にっこり:【じつにこのとき将軍は、三十年ぶりにっこりした。】
79しん:【みんなが馬にまたがれば、まもなくそこらはしんとして、たった二疋の遅れた馬が、鼻をぶる
っと鳴らしただけだ。】
80ぶるっ:【たった二疋(ひき)の遅れた馬が、鼻をぶるっと鳴らしただけだ。】
81りん:【「砂漠の中に居ました間、どこから敵が見ているか、あなどられまいと考えて、いつでもりんと
胸を張り、眼を見開いて居りましたのが、いま王様のお前に出て、おほめの詞(ことば)をいた
だきますと、俄(にわか)に眼さえ見えぬよう。背骨も曲ってしまいます。」】
82かさかさ:【王は早速許されたので、その場でバ−ユ−将軍は、鎧もぬげば兜もぬいで、かさかさ薄
い麻を着た。】
83がぶがぶ:【けれどもそのうち将軍は、だんだんものを食わなくなってせっかくじぶんで播いたりした、
粟も一口たべただけ、水をがぶがぶ呑んでいた。】
84さっぱり:【ところが秋の終りになると、水もさっぱり呑まなくなって、ときどき空を見上げては何かしゃ
っくりするようなきたいな形をたびたびした。】
『北守将軍と三人兄弟の医者』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。
スネオ 拝 (^
^;
2006.3.4.
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