舶来のウェスキイは、呑み始めたら止まらにゃい、 『カイロ団長』。
っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその94』だよん。(^
^;
ところがある日三十疋(ぴき)のあまがえるが、蟻の公園地をすっかり仕上げて、みんなよろこん
で一まず本部へ引きあげる途中で、一本の桃の木の下を通りますと、そこへ新らしい店が一軒
出ていました。そして看板がかかって、
「舶来ウェスキイ 一杯、二厘半。」と書いてありました。
あまがえるは珍らしいものですから、ぞろぞろ店の中へはいって行きました。すると店にはうす
ぐろいとのさまがえるが、のっそりとすわって退くつそうにひとりでべろべろ舌を出して遊んでいま
したが、みんなの来たのを見て途方もないいい声で云いました。
「へい、いらっしゃい。みなさん。一寸おやすみなさい。」
「なんですか。舶来のウェクーというものがあるそうですね。どんなもんですか。ためしに一杯呑
ませて下さいませんか。」
「へい、舶来のウェスキイですか。一杯二厘半ですよ。ようござんすか。」
「ええ、よござんす。」
とのさまがえるは粟つぶをくり抜いたコップにその強いお酒を汲んで出しました。
「ウーイ。これはどうもひどいもんだ。腹がやけるようだ。ウーイ。おい、みんな、これはきたいな
もんだよ。咽喉(のど)へはいると急に熱くなるんだ。ああ、いい気分だ。もう一杯下さいませんか。」
「はいはい。こちらが一ぺんすんでからさしあげます。」
「こっちへも早く下さい。」
「はいはい。お声の順にさしあげます。さあ、これはあなた。」
「いやありがとう、ウーイ。ウフッ、ウウ、どうもうまいもんだ。」
「こっちへも早く下さい。」
「はい、これはあなたです。」
「ウウイ。」
「おいもう一杯お呉れ。」
「こっちへ早くよ。」
「もう一杯早く。」
「へい、へい。どうぞお急(せ)きにならないで下さい。折角、はかったのがこぼれますから。へいと、
これはあなた。」
「いや、ありがとう、ウーイ、ケホン、ケホン、ウーイうまいね。どうも。」
さてこんな工合で、あまがえるはお代りお代りで、沢山お酒を呑みましたが、呑めば呑むほども
っと呑みたくなります。
もっとも、とのさまがえるのウィスキーは、石油缶に一ぱいありましたから、粟つぶをくりぬいたコ
ップで一万べんはかっても、一分もへりはしませんでした。
(丸写しオシマイ)
『賢治童話を丸写しシリーズその94』でした。
『カイロ団長 』の漫画の紹介
@ますむらひろし:『カイロ団長 洞熊学校を卒業した三人』(偕成社) .
A水木しげる:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第1巻
◆僅差でますむらひろしが楽しいにゃぁ。(^
^;
|
ますむらひろしの漫画版『カイロ団長』は、30匹のあまがえるがカワユイにゃぁ。(^ ^;
@ますむらひろし、10年ぶりに宮沢賢治童話を漫画化したのが『カイロ団長』。
確かにうまくなってる。ファーストシーンの見開きページに30匹のあまがえるがきちんと楽しく描
かれてる。これはなかなかいいですよぉ。
出だし絶好調。ただし、巨大なとのさまがえる、キモイ。ラストシーン、グー。
A水木しげるは、水木しげるワールドなキモさはあるが、あっさり。
とのさまがえるは、ねずみ男っぽいのがグー。ラストシーン、あっさりし過ぎ。
っつーことで、『カイロ団長』の漫画版、僅差でますむらひろしが楽しいにゃぁ。(^ ^;
「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」
シュッポォン:【「首が太いからスポンとはいかない、シュッポォンと切られるぞ。」】
太い首は、シュッポォンと切られるぞ、っつーのギャグマンガだよね。(^
^;
**********
『カイロ団長』のオノマトペ
**********.
|
@さっぱり:【朝は、黄金(きん)色のお日さまの光が、とうもろこしの影法師を二千六百寸も遠くへ
投げ出すころからさっぱりした空気をすぱすぱ吸って働き出し、夕方は、お日さまの
光が木や草の緑を飴色にうきうきさせるまで歌ったり笑ったり叫んだりして仕事をしま
した。】
Aすぱすぱ:【さっぱりした空気をすぱすぱ吸って働き出し、夕方は、お日さまの光が木や草の
緑を飴色にうきうきさせるまで歌ったり笑ったり叫んだりして仕事をしました。】
Bうきうき:【夕方は、お日さまの光が木や草の緑を飴色にうきうきさせるまで歌ったり笑ったり
叫んだりして仕事をしました。】
Cすっかり:【ところがある日三十疋(ぴき)のあまがえるが、蟻の公園地をすっかり仕上げて、み
んなよろこんで一まず本部へ引きあげる途中で、一本の桃の木の下を通りますと、
そこへ新らしい店が一軒出ていました。】
Dぞろぞろ:【あまがえるは珍らしいものですから、ぞろぞろ店の中へはいって行きました。】
Eのっそり:【すると店にはうすぐろいとのさまがえるが、のっそりとすわって退くつそうにひとり
でべろべろ舌を出して遊んでいましたが、みんなの来たのを見て途方もないいい声
で云いました。】
Fべろべろ:【退くつそうにひとりでべろべろ舌を出して遊んでいましたが、みんなの来たのを見
て途方もないいい声で云いました。】
Gケホン、ケホン:【「いや、ありがとう、ウーイ、ケホン、ケホン、ウーイうまいね。どうも。」】
Hもっ:【さてこんな工合で、あまがえるはお代りお代りで、沢山お酒を呑みましたが、呑めば呑
むほどもっと呑みたくなります。】
Iだんだん:【そのうちにあまがえるは、だんだん酔がまわって来て、あっちでもこっちでも、キ
ーイキーイといびきをかいて寝てしまいました。】
Jキーイキーイ:【あっちでもこっちでも、キーイキーイといびきをかいて寝てしまいました。】
Kにやり:【とのさまがえるはそこでにやりと笑って、いそいですっかり店をしめて、お酒の石油
缶にはきちんと蓋をしてしまいました。】
Lきちん:【お酒の石油缶にはきちんと蓋をしてしまいました。】
Mちゃん:【それから戸棚からくさりかたびらを出して、頭から顔から足のさきまでちゃんと着込
んでしまいました。】
Nどっかり:【それから棚から鉄の棒をおろして来て椅子へどっかり座って一ばんはじのあまが
えるの緑色のあたまをこつんとたたきました。】
Oこつん:【一ばんはじのあまがえるの緑色のあたまをこつんとたたきました。】
Pぴたん:【とのさまがえるは次の室(へや)の戸を開いてその閉口したあまがえるを押し込んで、
戸をぴたんとしめました。】
Qどっしり:【そしてにやりと笑って、又どっしりと椅子へ座りました。】
Rキーキー:【それから又どっかりと椅子へかけようとしましたが何か考えついたらしく、いきなり
キーキーいびきをかいているあまがえるの方へ進んで行って、かたっぱしからみんな
の財布を引っぱり出して中を改めました。】
Sにこにこにこにこ:【とのさまがえるは、よろこんで、にこにこにこにこ笑って、棒を取り直し、片
っぱしからあまがえるの緑色の頭をポンポンポンポンたたきつけました。】
21ポンポンポンポン:【片っぱしからあまがえるの緑色の頭をポンポンポンポンたたきつけまし
た。】
22きょろきょろきょろきょろ:【さあ、大へん、みんな、「あ痛っ、あ痛っ。誰だい。」なんて云いなが
ら目をさまして、しばらくきょろきょろきょろきょろしていましたが、いよいよそれが酒屋
のおやじのとのさまがえるの仕業だとわかると、もうみな一ぺんに、「何だい。おやじ。
よくもひとをなぐったな。」】
23ひょろひょろ:【四方八方から、飛びかかりましたが、何分とのさまがえるは三十がえる力ある
のですし、くさりかたびらは着ていますし、それにあまがえるはみんな舶来ウェスキイで
ひょろひょろしてますから、片っぱしからストンストンと投げつけられました。】
24ストンストン:【片っぱしからストンストンと投げつけられました。】
25もじゃもじゃ:【おしまいにはとのさまがえるは、十一疋(ぴき)のあまがえるを、もじゃもじゃ堅めて、
ぺちゃんと投げつけました。】
26ぺちゃん:【ぺちゃんと投げつけました。】
27ふうふう:【あまがえるは一同ふうふうと息をついて顔を見合せるばかりです。】
28ぐるっ:【すると、とのさまがえるは立ちあがって、家をぐるっと一まわしまわしました。】
29とうとう:【「俺もとうとう飛んだことになったよ。」】
30スポン:【「その太い首をスポンと切られるぞ。」】
31シュッポォン:【「首が太いからスポンとはいかない、シュッポォンと切られるぞ。」】
32ぶるぶるぶるっ:【あまがえるどもは緑色の手足をぶるぶるぶるっとけいれんさせました。】
33こそこそこそこそ:【そしてこそこそこそこそ、逃げるようにおもてに出てひとりが三十三本三分
三厘強ずつという見当で、一生けん命いい木をさがしましたが、大体もう前々からさが
す位さがしてしまっていたのですから、いくらそこらをみんながひょいひょいかけまわっ
ても、夕方までにたった九本しか見つかりませんでした。】
34ひょいひょい:【いくらそこらをみんながひょいひょいかけまわっても、夕方までにたった九本し
か見つかりませんでした。】
35うろうろうろうろ:【さあ、あまがえるはみんな泣き顔になって、うろうろうろうろやりましたがます
ますどうもいけません。】
36くらくら:【そこでみんなは粟つぶのコップで舶来ウィスキーを一杯ずつ呑んで、くらくら、キーイ
キーイと、ねむってしまいました。】
37シュッポン:【「巡査は首をシュッポンと切るぞ。」】
38ぶんぶん:【ところが丁度幸に花のたねは雨のようにこぼれていましたし蜂もぶんぶん鳴いてい
ましたのであまがえるはみんなしゃがんで一生けん命ひろいました。】
39やっ:【さて、みんなはひろってひろってひろって、夕方までにやっと一万つぶずつあつめて、
カイロ団長のところへ帰って来ました。】
40クゥウ、クゥウ:【それが一日に一人で九百貫の石を運ぶなどはもうみんな考えただけでめまい
を起してクゥウ、クゥウと鳴ってばたりばたり倒れてしまったことは全く無理もありませ
ん。】
41ばたりばたり:【ばたりばたり倒れてしまったことは全く無理もありません。】
42コツンコツン:【とのさまがえるは早速例の鉄の棒を持ち出してあまがえるの頭をコツンコツンと
叩いてまわりました。】
43くるくる:【あまがえるはまわりが青くくるくるするように思いながら仕事に出て行きました。】
44ずうっ:【お日さまさえ、ずうっと遠くの天の隅のあたりで、三角になってくるりくるりとうごいている
ように見えたのです。】
45くるりくるり:【三角になってくるりくるりとうごいているように見えたのです。】
46チクチクチクチク:【みんなあんまり一生けん命だったので、汗がからだ中チクチクチクチク出て、
からだはまるでへたへた風のようになり、世界はほとんどまっくらに見えました。】
47へたへた:【からだはまるでへたへた風のようになり、世界はほとんどまっくらに見えました。】
48ふらふら:【それにみんなはつかれてふらふらして、目をあいていることも立っていることもできま
せんでした。】
49ゆっくり:【カイロ団長は丁度この時うちの中でいびきをかいて寝て居りましたがやっと目をさまし
て、ゆっくりと外へ出て見ました。】
50パタン:【カイロ団長は何だか変な顔をして口をパタンと閉じました。】
51しゃん:【「そら、あたらしいご命令だ。」と、あまがえるもとのさまがえるも、急いでしゃんと立ちま
した。】
52ブルブル:【今度は、とのさまがえるは、だんだん色がさめて、飴色にすきとおって、そしてブルブ
ルふるえて参りました。】
53テクテク:【カイロ団長は、はやしにつりこまれて、五へんばかり足をテクテクふんばってつなを引
っ張りましたが、石はびくとも動きません。】
54びく:【つなを引っ張りましたが、石はびくとも動きません。】
55チクチク:【とのさまがえるはチクチク汗を流して、口をあらんかぎりあけて、フウフウといきをしま
した。】
56フウフウ:【口をあらんかぎりあけて、フウフウといきをしました。】
57くらくら:【全くあたりがみんなくらくらして、茶色に見えてしまったのです。】
58キクッ:【とのさまがえるは又四へんばかり足をふんばりましたが、おしまいの時は足がキクッと
鳴ってくにゃりと曲ってしまいました。】
59くにゃり:【鳴ってくにゃりと曲ってしまいました。】
60どっ:【あまがえるは思わずどっと笑い出しました。】
61しいん:【がどう云うわけかそれから急にしいんとなってしまいました。】
62ドッ:【ドッと一諸に人をあざけり笑ってそれから俄かにしいんとなった時のこのさびしいことで
す。】
63とんとん:【そこであまがえるは、みんな走り寄って、とのさまがえるに水をやったり、曲った足を
なおしてやったり、とんとんせなかをたたいたりいたしました。】
64ホロホロ:【とのさまがえるはホロホロ悔悟のなみだをこぼして、「ああ、みなさん、私がわるかっ
たのです。私はもうあなた方の団長でもなんでもありません。私はやっぱりただの蛙で
す。あしたから仕立屋をやります。」】
65パチパチ:【あまがえるは、みんなよろこんで、手をパチパチたたきました。】
66さらさらさらさら:【あまあがりや、風の次の日、そうでなくてもお天気のいい日に、畑の中や花壇
のかげでこんなようなさらさらさらさら云う声を聞きませんか。】
『カイロ団長』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
2006.9.10.
|