『イーハトーヴ・オノマトペ症候群』やってます。(^ ^;
      むかし、あるところに                                                  一疋(ぴき)の竜がすんでいました。                                                                         by『手紙一』                 力が非常に強く、かたちも大層恐ろしく、                          それにはげしい毒をもっていましたので、                            あらゆるいきものがこの竜に遭えば、                                弱いものは目に見ただけで気を失って倒れ、                      強いものでもその毒気にあたって                                    まもなく死んでしまうほどでした。

 
                     仏教説話みたいだにゃぁ、『手紙』


 『イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語) .
      この竜はあるとき、よいこころを起して、                             これからはもう悪いことをしない、                                    すべてのものをなやまさないと誓いました。                   そして静かなところを、求めて林の中に入って                      じっと道理を考えていましたが                                       とうとうつかれてねむりました。
宮沢賢治童話の私設ファンコーナー21です。

               ★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★
んで、21回目の今回は、


            * ダウンロード篇  *
   手に入らなかった短篇、ネットで探し、ダウンロードさせていただきました。感謝。(^ ^;    .
                             全体、竜というものは                                                ねむるあいだは形が蛇の様になるのです。
             黒ぶどう
 ────────────── 6p
             マリヴロンと少女
─────────── 7p
             毒蛾
 ─────────────── 18p
             革トランク
 ───────────── 10p
             バキチの仕事
──────────── 7p →ここまで20ページです。
             手紙 ─────────────── 13p
             馬の頭巾
  ───────────── 12p
             氷と後光(習作)
───────────11p
             車
───────────────── 9p
             カイロ団長
───────────── 27p
             ひのきとひなげし
 ────────── 13p →ここから22ページです。
             畑のへり
 ────────────── 6p
             サガレンと八月
─────────── 12p
              葡萄水
 ────────────── 12p
             寓話 洞熊学校を卒業した三人 ────
 28p
             三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形]
── 39p →ここから23ページです。
              けだものの運動会 ────────── 6p
             月夜のけだもの
─────────── 15p
             よく利く薬とえらい薬
 ───────── 12p
             チュウリップの幻術
────────── 18p の20短編です。

                   


 
 


『ダウンロード篇』の第六話です。
      この竜も睡って蛇の形になり、からだには                           きれいなるり色や金色の紋があらわれていました。        そこへ猟師共が来まして、この蛇を見て                            びっくりするほどよろこんで云いました。        「こんなきれいな珍らしい皮を、王様に差しあげて                  かざりにして貰ったらどんなに立派だろう。」        そこで杖でその頭をぐっとおさえ                                      刀でその皮をはぎはじめました。                                    竜は目をさまして考えました。        「おれの力はこの国さへもこわしてしまえる。                          この猟師なんぞはなんでもない。                                    いまおれがいきをひとつすれば                                       毒にあたってすぐ死んでしまう。」       「けれども私はさっき、もうわるいことをしないと誓ったし              この猟師をころしたところで本当にかわいそうだ。                   もはやこのからだはなげすてて、                                      こらえてこらえてやろう。」
      ****** 『手紙』 13p ******      .
 

 仏教説話みたいだにゃぁ、『手紙』

 っつーことで、『
賢治童話を丸写しシリーズその90』だよん。(^ ^;

 竜は目をさまして考えました。
 「おれの力はこの国さへもこわしてしまえる。この猟師なんぞはなんでもない。いまおれがいき
をひとつすれば毒にあたってすぐ死んでしまう。けれども私はさっき、もうわるいことをしないと誓
ったしこの猟師をころしたところで本当にかわいそうだ。もはやこのからだはなげすてて、こらえ
てこらえてやろう。」
 すっかり覚悟がきまりましたので目をつぶって痛いのをじっとこらえ、またその人を毒にあてな
いようにいきをこらして一心に皮をはがれながらくやしいというこころさえ起しませんでした。
 猟師はまもなく皮をはいで行ってしまいました。
 竜はいまは皮のない赤い肉ばかりで地によこたわりました。
 この時は日がかんかんと照って土は非常にあつく、竜がくるしさにばたばたしながら水のあると
ころへ行こうとしました。
 このとき沢山の小さな虫が、そのからだを食おうとして出てきましたので蛇はまた、
 「いまこのからだをたくさんの虫にやるのはまことの道のためだ。いま肉をこの虫らにくれて置
けばやがてはまことの道をもこの虫らに教えることができる。」と考えて、だまってうごかずに虫に
からだを食わせとうとう乾いて死んでしまいました。
 死んでこの竜は天上にうまれ、後には世界でいちばんえらい人、お釈迦様になってみんなに一
番のしあわせを与えました。
 このときの虫もみなさきに竜の考えたように後にお釈迦さまから教を受けてまことの道に入りま
した。
 このようにしてお釈迦さまがまことの為に身をすてた場所はいまは世界中のあらゆるところをみ
たしました。
 このはなしはおとぎなばしではありません。
                          (丸写しオシマイ)
 『
賢治童話を丸写しシリーズその90』でした。

 ps.『手紙』は、『手紙一』〜『手紙四』の四つの短篇なのら。


 手紙 漫画紹介できましぇん。


       申し訳なか。


 

 漫画版『手紙』は、おそらく多分ありましぇん。
 漫画版『馬の頭巾』も、『氷と後光』も、『車』も、おそらく多分ありましぇん。

 っつーことで漫画の紹介は、ずうっとしばらくシバラク暫く、お待ちくなさい。
(^ ^;


     手紙 お気に入りオノマトペ
 季節:不特定         印度のガンヂス河はあるとき、                                       水が増して烈しく流れていました。                                                                         by『手紙二』        それを見ている沢山の群集の中に、                               尊いアシヨウカ大王も立たれました。        大王はけらいに向って                                              「誰かこの大河の水を                                                  さかさまにながれさせることのできるものがあるか」                  と問われました。        けらいは皆                                                           「陛下よ、それはとても出来ないことでございます。」               と答えました。        ところがこの河岸の群の中にビンヅマテイーと云う                 一人のいやしい職業の女が居りました。        大王の問を                                                           みんなが口々に相伝えて云っているのをきいて                   「わたくしは自分の肉を売って生きている                            いやしい女である。                                                   けれども、今、私のようないやしいものでさえできる、              まことのちからの、大きいことを王様にお目にかけよう」            と云いながらまごころこめて河にいのりました。

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

ボクの好きなオノマトペ5つが最高。)
L
びちょびちょ:【おもてはうすくらくてみぞれがびちょびちょ降っていました。】
O
とろとろ:【それからひるすぎ、枯れ草の中でチュンセがとろとろやすんでいましたら、いつか
      チュンセはぼおっと黄いろな野原のようなところを歩いて行くようにおもいました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
びちょびちょ:【おもてはうすくらくてみぞれがびちょびちょ降っていました。】

 みぞれがびちょびちょ降っていました、っつーの、雰囲気あるにゃぁ。

 ps.『永訣の朝』、っつー詩を思い出すにゃぁ。


       すると、ああ、ガンヂス河、                                           幅一里にも近い大きな水の流れは、みんなの目の前で、       たちまちたけりくるってさかさまにながれました。       大王はこの恐ろしくうずを巻き、                                     はげしく鳴る音を聞いて、                                            びっくりしてけらいに申されました。                                  「これ、これ、どうしたのじゃ。                                          大ガンヂスがさかさまにながれるではないか」      人々は次第をくわしく申し上げました。            大王は非常に感動され、                            すぐにその女の処に歩いて行って申されました。        「みんなはそちがこれをしたと申しているが                           それはほんとうか」        女が答えました。                                                    「はい、さようでございます。陛下よ」  


****** 手紙オノマトペ ******
 

@じっ:【そして静かなところを、求めて林の中に入ってじっと道理を考えていましたがとうとう
      つかれてねむりました。】
Aとうとう:【とうとうつかれてねむりました。】
Bぐっ:【そこで杖でその頭をぐっとおさえ刀でその皮をはぎはじめました。】
Cすっかり:【すっかり覚悟がきまりましたので目をつぶって痛いのをじっとこらえ、またその人
      を毒にあてないようにいきをこらして一心に皮をはがれながらくやしいというこころさ
      え起しませんでした。】
Dかんかん:【この時は日がかんかんと照って土は非常にあつく、竜がくるしさにばたばたしな
      がら水のあるところへ行こうとしました。】
Eばたばた:【竜がくるしさにばたばたしながら水のあるところへ行こうとしました。】
Fはっきり:【普通中学校などに備え付けてある顕微鏡は、拡大度が六百倍乃至八百倍位迄
      ですから、蝶の翅の鱗片や馬鈴薯の澱粉粒などは実にはっきり見えますが、割合に
      小さな細菌などはよくわかりません。】
Gぼんやり:【また、普通の顕微鏡で見えないほどちいさなものでも、ある装置を加えれば約
      0,00000五粍
(ミリ)位までのものならばぼんやり光る点になって視野にあらわれそ
      の存在だけを示します。】
Hさっぱり:【チュンセがさっぱりごはんもたべないで毎日考えてばかりいるのです。】
Iすうすう:【息ばかりすうすうきこえました。】
Jもじもじ:【チュンセは困ってしばらくもじもじしていましたが思い切ってもう一ぺん云いました。】
Kやっ:【「雨雪とってきてやろうか。」「うん」ポーセがやっと答えました。】
Lびちょびちょ:【おもてはうすくらくてみぞれがびちょびちょ降っていました。】
Mぐたっ:【ポーセはおいしそうに三さじばかり喰べましたら急にぐたっとなっていきをつかなくな
      りました。】
Nよろよろ:【そしたら土の中から一ぴきのうすい緑いろの小さな蛙がよろよろと這って出て来ま
      した。】
Oとろとろ:【それからひるすぎ、枯れ草の中でチュンセがとろとろやすんでいましたら、いつかチ
      ュンセはぼおっと黄いろな野原のようなところを歩いて行くようにおもいました。】
Pぼおっ:【いつかチュンセはぼおっと黄いろな野原のようなところを歩いて行くようにおもいまし
      た。】

 『手紙』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                2006.8.27.

 
 


『ダウンロード篇』の第七話です。
      甲太は、まちはずれに、                                              おかみさんと二人すんでいました。       そして、一疋(ぴき)の黒い馬と、                                   一台の荷馬車とを、有っておりました。    馬は二歳こで、実に立派なものでした。       むねやしりなどは、てかてか黒光りでした。       が惜しいことには、少しびっこを引くのでした。          それさえなかったら、とても、                                          荷馬車などを牽いている馬ではなかったのです。    又甲太がそれを買える筈もなかったのです。   
******* 『馬の頭巾』 12p *******
 

 甲太は、愛馬を、とても、いたわるんだにゃぁ、『馬の頭巾』。

 っつーことで、『
賢治童話を丸写しシリーズその91』だよん。(^ ^;

 さて、少しびっこを引いてはいましたが、黒馬は、いつも大へん愉快でした。それは、甲太が、
よく、いたわって呉れたからです。
 甲太は、決して、馬がはあはあ息を切らす位まで、荷物をつけることはしませんでした。
 又、夕方、車が空いて、それから、馬が道をよく知って、ひとりでポカポカあるいているときも、
甲太はほかの人たちのように、車の上へこしかけて、ほほづえをついてあくびをしたり、ねころ
んで空をながめて歌をうたったりしませんでした。又、町へ着いて、馬が汗ばんでいる時は、甲
太は、まずかい槽
(おけ)を馬にあてがって、それから車から荷物をおろし、それから手桶を借り
て、つめたい水を汲んで来て、馬のびっこを引く方のあしへザァッとかけてやりました。
 すべてこんな工合でした。それですから、仲間の荷馬車をひく人たちは、もうみんな甲太に及
ばないと思ってこわがっていましたが、馬のかあいいこと、またかあいそうなことを知らない町の
人たちの中には、甲太のあまり馬をいたわるのを、ばかにするものもありました。殊にひどいの
は、同じ町はずれの床屋でした。床屋は、夕方など、よく往来に出ていて、甲太の馬をひいて来
るのに、真面目な顔で話しかけました。
 「おい。おまえの馬の今夜のご馳走は何だい。」
 「やっぱり藁と燕麦
(オート)だ。」
 「藁はそのままじゃ消化が悪いよ。鶏卵をかけてオムレツをこさえてやったらどうだい。」
 「馬鹿にしないで呉れよ。」
                 
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話を丸写しシリーズその91』でした。


 馬の頭巾 お気に入りオノマトペ
  
                「うん。うちの馬は、ほんとうは、                                        あんなものを着てもいいやつなんだ。                                あのびっこさえなかったらもう第一等のやつなんだ。」           「一枚買っておやりなさいよ。                                          五六円で買えるでしょう。」           「どうして、どうして。五六円や、十円ぐらいじゃ、                    とても買えない。もっと高いよ。                                      そして、東京でなくちゃ売ってまい。」            「そんならわたしが一つこさえて見ましょうか。                         あぶをよけるだけなら、そんなに面倒じゃないでしょう。            きれは天じくもめんでいいでしょうか。」
 季節: 不特定             「うん。それは天じくもめんでいいさ。                                  しかし、おまえでこさえられるかい。」          「こさえて見ましょう。あしたきれを買ってきましょうか。              しかし、あしたは、私は麦を入れに畑の方へ出ますから、        やっぱりお前さん、序(ついで)に買って来て下さい。」          「うん。しかし麦はまだ入れなくてもいいよ。                           も少し乾かしとけよ。                                                 着物の方を早くこさえて呉れないかい。」

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

ボクの好きなオノマトペ5つが最高。)
@
てかてか:【むねやしりなどは、てかてか黒光りでした。】
G
ゴリゴリ:【甲太は、ひるのつかれで、とろとろしながら馬の草をゴリゴリ喰べる音を聞いて
      いましたが、とうとう、ねむくて眼をあいていられなくなったので、そのままころりと寝
      てしまいました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
ゴリゴリ:【甲太は、ひるのつかれで、とろとろしながら馬の草をゴリゴリ喰べる音を聞いてい
      ましたが、とうとう、ねむくて眼をあいていられなくなったので、そのままころりと寝てし
      まいました。】

 草をゴリゴリ喰べる音、っつーの、ビミョーにリアルだにゃぁ。 (^ ^;


      甲太は、着物をとって、                                              馬の頭からかぶせはじめました。      馬はひひんと云って首を上げ、                                       それから又下げました。       おかみさんは、少し顔をあかくして、                                うまく合うかどうか、台所に立って見ていました。      実にうまい工合です。                                                馬の顔が半分と、頭とくびと、胸からせ中まで、                   すっかり白い着物を着ました。    種馬所の一等の馬の着物だって、この通りです。         ただ少しちがうことは、                                                着物がおしりの方までのびていないことでした。       甲太は叫びました。                                                 「すてきだ。すてきだ。実にうまい。                                     立派だ。うまい。うまい。」
******* 馬の頭巾オノマトペ *******
 

@てかてか:【むねやしりなどは、てかてか黒光りでした。】
Aはあはあ:【甲太は、決して、馬がはあはあ息を切らす位まで、荷物をつけることはしません
      でした。】
Bポカポカ:【又、夕方、車が空いて、それから、馬が道をよく知って、ひとりでポカポカあるいて
      いるときも、甲太はほかの人たちのように、車の上へこしかけて、ほほづえをついて
      あくびをしたり、ねころんで空をながめて歌をうたったりしませんでした。】
Cザァッ:【又、町へ着いて、馬が汗ばんでいる時は、甲太は、まずかい槽(おけ)を馬にあてがっ
      て、それから車から荷物をおろし、それから手桶を借りて、つめたい水を汲んで来て、
      馬のびっこを引く方のあしへザァッとかけてやりました。】
Dもっ:【「どうして、どうして。五六円や、十円ぐらいじゃ、とても買えない。もっと高いよ。そして、
      東京でなくちゃ売ってまい。」】
Eやっぱり:【「しかし、あしたは、私は麦を入れに畑の方へ出ますから、やっぱりお前さん、序
      
(ついで)に買って来て下さい。」】
Fとろとろ:【甲太は、ひるのつかれで、とろとろしながら馬の草をゴリゴリ喰べる音を聞いてい
      ましたが、とうとう、ねむくて眼をあいていられなくなったので、そのままころりと寝てし
      まいました。】
Gゴリゴリ:【馬の草をゴリゴリ喰べる音を聞いていましたが、とうとう、ねむくて眼をあいていら
      れなくなったので、そのままころりと寝てしまいました。】
Hとうとう:【とうとう、ねむくて眼をあいていられなくなったので、そのままころりと寝てしまいまし
      た。】
Iころり:【そのままころりと寝てしまいました。】
Jちゃん:【さて次の朝、甲太が眼をさまして見ますと、枕もとに、白い馬の着物が、ちゃんと畳
      んで置いてありました。】
Kピン:【甲太はそれをひろげて見ますと、眼を出す円い孔や、ピンとした耳まで、すっかりつい
      ています。】
Lすっかり:【すっかりついています。】
Mにこにこ:【甲太は、うれしくて、それに何だか変におかしくて、にこにこしながら、起きて顔を
      洗いました。】
Nひひん:【馬はひひんと云って首を上げ、それから又下げました。】
Oガラガラ:【そこで甲太は、早速、米を車の上にのせて、ガラガラ停車場の方へ行きました。】
Pじっ:【いちばん小さな子供が、馬を見て、びっくりして変な顔をして、黙って、じっと見つめて
      いましたが、やっとそれは馬が着物を着たのだということがわかると、もう大笑いをし
      てしまいました。】
Qやっ:【やっとそれは馬が着物を着たのだということがわかると、もう大笑いをしてしまいまし
      た。】
Rぶらぶら:【「あの耳をごらん。あの耳をごらん。折れてしまったよ。折れてぶらぶらしてる
      よ。」】
Sしいん:【すると子供らは一どにしいんとなってなるほどという顔をしてその大きなうさぎうま
      を見送りました。】

 『馬の頭巾』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                  2006.9.02.

 
 


『ダウンロード篇』の第八話です。
      「ええ。」                                                                雪と月あかりの中を、                                                汽車はいっしんに走っていました。       赤い天蚕絨(ビロード)の頭巾をかぶった                          ちいさな子が、毛布につつまれて                                    窓の下の飴色の壁に上手にたてかけられ、                        まるで寝床に居るように、足をこっちにのばして                     すやすやと睡(ねむ)っています。       窓のガラスはすきとおり、                                             外はがらんとして青く明るく見えました。       「まだ十八時間あるよ。」                                            「ええ。」       若いお父さんは、                                                     その青白い時計をチョッキのポケットにはさんで                     靴をかたっと鳴らしました。    若いお母さんはまだこどもを見ていました。          こどもの頬は苹果(りんご)のようにかがやき、                      苹果のにおいは室(へや)いっぱいでした。       その匂(におい)は、けれども、                                      あちこちの網棚の上の                                               ほんとうの苹果(りんご)から出ていたのです。

******** 『氷と後光(習作) 11p ********
 

 若いお父さんとお母さん、仲睦まじいにゃぁ、『氷と後光(習作)』。

 っつーことで、『
賢治童話を丸写しシリーズその92』だよん。(^ ^;

 車室の中はスティームで暖かく、わずかの乗客たちも大てい睡
(ねむ)り、もう十二時を過ぎてい
ました。
 「今夜は外は寒いんでしょうか。」
 「そんなじゃないだろう。けれども霽
(は)れてるからね。こんな雪の野原を歩いていて、今ごろこ
んな汽車の通るのに出あうとずいぶん羨しいようななつかしいような変な気がするもんだよ。」
 「あなたそんなことあって。」
 「あるともさ。お前睡くないかい。」
 「睡れませんわ。」
 若いお父さんとお母さんとは、一緒にこどもを見ました。こどもは熟したように睡っています。そ
の唇はきちっと結ばれて鮭の色の谷か何かのように見え、少し鳶色がかった髪の毛は、ぬれた
ようになって額に垂れていました。
 「おい、あの子の口や歯はおまえに似てるよ。」
 「眼はあなたそっくりですわ。」
                   
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話を丸写しシリーズその92』でした。


 氷と後光(習作) お気に入りオノマトペ
                  ごとごとごとごと、汽車はいっしんに走りました。                   「おや、変に寒くなったぞ。」       しばらくたって若いお父さんは                                        室(へや)の中を見まわしながら云いました。       電燈もまるでくらくなって、                                            タングステンがやっと                                                   赤く熱(ほて)っているだけでした。    「まあ、スティームが通らなくなったんですわ。」   
 季節: 冬
         若いお母さんもびっくりしたように目をひらいて                      急いで子供を見ました。       こどもはすっかりさっきの通りの姿勢で                              すやすやと睡(ねむ)っています。       「どうしたんだろう。ああ寒い。                                        風邪を引かせちゃ大へんだぜ。何時だろう。                       ほんのとろっとしただけだったが。」       時計の黒い針は、かっきりと夜中の四時を指し、                窓のガラスはすっかり氷で曇っていました。

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

ボクの好きなオノマトペ5つが最高。)
I
とろっ:【「何時だろう。ほんのとろっとしただけだったが。」】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
とろっ:【「何時だろう。ほんのとろっとしただけだったが。」】

 とろっとした、っつーの、気持ちいんでねけ?


   「寒いねえ、もう一枚着せよう。」      「そんならわたしのコ−トやりますわ。」         「コ−トなんかじゃ着ないも同じこったよ。                           だまって起しておやり。                                               却って一ぺん起した方がいいよ。                                   同んなじ姿勢でばかり居たんだから。」      「ええ。ですけど大丈夫ですわ。                                     外套はお脱ぎにならなくてもいいのよ。」      若いお母さんは、                                                     窓ぎわから子供を抱いて立ちあがりました。   毛布は暖かいぬけがらになって残りました。         こどもは抱かれたまま、                                               やっぱりすやすや睡っています。      「まあ着せとけよ。                                                      どうせおれは着てなくたって寒くないんだから。」                    お父さんは立って席の横に出て                                     外套をぬぎながら云いました。
******** 氷と後光(習作)オノマトペ ********
 

@すやすや:【赤い天蚕絨(ビロード)の頭巾をかぶったちいさな子が、毛布につつまれて窓の下
      の飴色の壁に上手にたてかけられ、まるで寝床に居るように、足をこっちにのばし
      てすやすやと睡っています。】
Aがらん:【窓のガラスはすきとおり、外はがらんとして青く明るく見えました。】
Bかたっ:【若いお父さんは、その青白い時計をチョッキのポケットにはさんで靴をかたっと鳴
      らしました。】
Cパサパサ:【「けれども風が山のパサパサした雪を飛ばせたのか、その風が水蒸気をもっ
      ていて、あんな山の稜
(かど)の一層つめたい処で雪になったのかわからないね。」】
Dきちっ:【その唇はきちっと結ばれて鮭の色の谷か何かのように見え、少し鳶色がかった髪
      の毛は、ぬれたようになって額に垂れていました。】
Eうとうと:【そしてみんなはねむり、若いお父さんとお母さんもうとうとしました。】
Fがたっ:【山の中の小さな駅を素通りするたんびにがたっと横にゆれながら、汽車はいっし
      んにその七時雨
(ななしぐれ)の傾斜をのぼって行きました。】
Gやっぱり:【そのまどろみの中から、二人はかわるがわる、やっぱり夢の中のように眼をあ
      いて子供を見ていました。】
Hすっかり:【こどもはすっかりさっきの通りの姿勢ですやすやと睡っています。】
Iとろっ:【「何時だろう。ほんのとろっとしただけだったが。」】
Jかっきり:【時計の黒い針は、かっきりと夜中の四時を指し、窓のガラスはすっかり氷で曇っ
      ていました。】
Kぼんやり:【月が車室のちょうど天井にかかっているらしく、窓の氷はただぼんやり青白いば
      かり、電燈は一そう暗くなりました。】
Lすうすう:【深く息をしながらやっぱりすうすう寝ています。】
Mさっ:【間もなく電燈はさっと明るくなりスティ−ムも通って来て暖かい空気が窓の下の隅から
      紐のようになってのぼって来ました。】
Nぎらぎら:【そしてまた夢の合間あいまに、電燈はまばゆい蒼孔雀
(あおくじゃく)に変って紋のつい
      た尾翅
(おばね)をぎらぎらにのばし、そのおいしそうなこどもをたべたそうにしたり、大事
      そうにしたりしました。】
Oごとごとごとごと:【ごとごとごとごと汽車は走ったのです。】
Pカラコロ:【それからカラコロセメントの上をかける下駄の音、たしかにそれは明方でした。】
Qどやどや:【犬の毛皮を着たり黒いマントをかぶったりして八九人の人たちがどやどや車室に
      入って来ました。】
Rごとごと:【窓は暗くなったり又明るくなったり汽車はごとごと走りました。】
Sさっ:【俄かにさっと窓が黄金
(きん)いろになりました。】
21こつこつ:【それから爪でこつこつ削
(こそ)げました。】
22そっ:【若いお母さんはそっと云いました。】

 『氷と後光
(習作)』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                     2006.9.03.

 
 


『ダウンロード篇』の第九話です。
      ハーシュは籠を頭に載っけて                                         午前中町かどに立っていましたが                                   どう云うわけか一つも仕事がありませんでした。       呆れて籠をおろして腰をかけ                                        辨当(べんとう)をたべはじめましたら                                一人の赤髯の男がせわしそうにやって来ました。       「おい、大急ぎだ。兵営の普請に足りなくなったから                テレピン油を工場から買って来て呉れ。                            そら、あすこにある車をひいてね、四缶だけ、                       この名刺を持って行くんだ。」    「どこへ行くのです。」          ハーシュは辨当(べんとう)をしまって                                立ちあがりながら訊きました。       「そいつを今云うよ。いいか。                                           その橋を渡って楊(やなぎ)の並木に出るだろう。                  十町ばかり行くと白い杭が右側に立っている。                    そこから右に入るんだ。                                               すると蕈(きのこ)の形をした松林があるからね、                   そいつに入って行けばいいんだ。                                     いや、路がひとりでそこへ行くよ。                                    林の裏側に工場がある。さあ、早く。」    ハーシュは大きな名刺を受け取りました。          赤鬚の男はぐいぐいハーシュの手を引っぱって                     一台のよぼよぼの車のとこまで連れて行きました。       「さあ、早く。                                                           今日中に塗っちまわなけぁいけないんだから。」
         ********* 『車』 9p *********         .

 日雇いのハーシュは、やさしいんだにゃぁ、『車』。

 っつーことで、『
賢治童話を丸写しシリーズその93』だよん。(^ ^;

 ハーシュは車をひいて青い松林のすぐそばまで来ました。すがすがしい松脂のにおいがして
鳥もツンツン啼きました。みちはやっと車が通るぐらい、おおばこが二列にみちの中に生え、
何べんも日が照ったり蔭ったりしてその黄いろのみちの土は明るくなったり暗くなったりしまし
た。ふとハーシュは縮れ毛の可愛らしい子供が水色の水兵服を着て空気銃を持ってばらの藪
のこっち側に立ってしげしげとハーシュの車をひいて来るのを見ているのに気が付きました。
あんまりこっちを見ているのでハーシュはわらいました。
 すると子供は少し機嫌の悪い顔をしていましたがハーシュがすぐそのそばまで行きましたら
俄かに子供が叫びました。
 「僕、車へのせてってお呉れ。」
 ハーシュはとまりました。
 「この車がたがたしますよ。よござんすか。坊ちゃん。」
 「がたがたしたって僕ちっともこわくない。」こどもが大威張りで云いました。
 「そんならお乗りなさい。よおっと。そら。しっかりつかまっておいでなさい。鉄砲は前へ置い
て。そら、動きますよ。」ハーシュはうしろを見ながら車をそろそろ引っぱりはじめました。子供
は思ったよりも車ががたがたするので唇をまげてやっぱり少し怖いようでした。それでも一生
けん命つかまっていました。ハーシュはずんずん車を引っぱりました。みちがだんだんせまく
なって車の輪はたびたび道のふちの草の上を通りました。そのたびに車はがたっとゆれまし
た。子供は一生けん命車にしがみついていました。みちはだんだんせまくなってまん中だけが
(へこ)んで来ました。ハーシュは車をとめてこどもをふりかえって見ました。
                                            
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話を丸写しシリーズその93』でした。


  お気に入りオノマトペ
 季節: 春
     ハーシュはまた車を引っぱりました。          ところがそのうちにハーシュは                                         あんまり車ががたがたするように思いましたので                    ふり返って見ましたら車の輪は                                      両方下の方で集まってくさび形になっていました。       「みちのまん中が凹んでいるためだ。                                 それにどこかこわれたな。」       ハーシュは思いながらとまってしずかにかじをおろし                だまって車をしらべて見ましたら                                      車輪のくさびが一本ぬけていました。       「坊ちゃん、もうおりて下さい。車がこわれたんですよ。               あぶないですから。」                                                 「いやだよう。」       「仕方ないな。」                                                        ハーシュはつぶやきながらあたりを見まわしました。       たしかに構わないで置けば                                          車輪はすっかり抜けてしまうのでした。       「坊ちゃん、では少し待っていて下さいね。                           いま縄をさがしますから。」       ハーシュはすぐ前の                                                   左の方に入って行くちいさな路を見付けて云いました。

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

ボクの好きなオノマトペ5つが最高。)
Aよぼよぼ:【一台のよぼよぼの車のとこまで連れて行きました。】
D
しげしげ:【ふとハ−シュは縮れ毛の可愛らしい子供が水色の水兵服を着て空気銃を持って
      ばらの藪のこっち側に立ってしげしげとハ−シュの車をひいて来るのを見ているのに
      気が付きました。】
M
どぎまぎ:【ハ−シュはどぎまぎして云いました。】
P
しぃん:【松やにの匂(におい)がしぃんとして青い煙はあがり日光はさんさんと降っていました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
しぃん:【松やにの匂(におい)がしぃんとして青い煙はあがり日光はさんさんと降っていました。】

 松やにの匂
(におい)がしぃんとして、っつーの初耳だにゃぁ。(^ ^;


      ハーシュはその麦はぜの下に                                        一本の縄が落ちているのを見ました。      ハーシュは屈(かが)んで拾おうとしましたら、                      いきなりうしろから高い女の声がしました。   「何する、持って行くな、ひとのもの。」         ハーシュはびっくりしてふり返って見ましたら                         顔の赤いせいの高い百姓のおかみさんでした。   ハーシュはどぎまぎして云いました。         「車がこわれましてね。あとで何かお礼をしますから                どうかゆずってやって下さい。」      「いけない。ひとが一生けん命綯(な)ったものを                   だまって持って行く。町の者みんな斯(こ)うだ。」      ハーシュはしょげて                                                    縄をそこに置いて車の方に戻りました。      百姓のおかみさんは                                                 あとでまだぶつぶつ云っていました。

********* オノマトペ *********
 

@ぐいぐい:【赤鬚の男はぐいぐいハ−シュの手を引っぱって一台のよぼよぼの車のとこまで連
      れて行きました。】
Aよぼよぼ:【一台のよぼよぼの車のとこまで連れて行きました。】
Bツンツン:【すがすがしい松脂のにおいがして鳥もツンツン啼きました。】
Cやっ:【みちはやっと車が通るぐらい、おおばこが二列にみちの中に生え 何べんも日が照っ
      たり蔭ったりしてその黄いろのみちの土は明るくなったり暗くなったりしました。】
Dしげしげ:【ふとハ−シュは縮れ毛の可愛らしい子供が水色の水兵服を着て空気銃を持って
      ばらの藪のこっち側に立ってしげしげとハ−シュの車をひいて来るのを見ているのに
      気が付きました。】
Eがたがた:【「この車がたがたしますよ。よござんすか。坊ちゃん。」】
Fそろそろ:【ハ−シュはうしろを見ながら車をそろそろ引っぱりはじめました。】
Gやっぱり:【子供は思ったよりも車ががたがたするので唇をまげてやっぱり少し怖いようでし
      た。】
Hずんずん:【ハ−シュはずんずん車を引っぱりました。】
Iだんだん:【みちがだんだんせまくなって車の輪はたびたび道のふちの草の上を通りました。】
Jがたっ:【そのたびに車はがたっとゆれました。】
Kすっかり:【たしかに構わないで置けば車輪はすっかり抜けてしまうのでした。】
Lずうっ:【麦のはぜがずうっとかかってその向うに小さな赤い屋根の家と井戸と柳の木とが明
      るく日光に照っているのを見ました。】
Mどぎまぎ:【ハ−シュはどぎまぎして云いました。】
Nぶつぶつ:【百姓のおかみさんはあとでまだぶつぶつ云っていました。】
Oがりがり:【砂利ががりがり云い子供はいよいよ一生けん命にしがみ附いていました。】
Pしぃん:【松やにの匂
(におい)がしぃんとして青い煙はあがり日光はさんさんと降っていました。】
Qさんさん:【青い煙はあがり日光はさんさんと降っていました。】

 『』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                              2006.9.03.

 
 



『ダウンロード篇』の第十話です。
      あるとき、三十疋(ぴき)のあまがえるが、                          一諸に面白く仕事をやって居りました。         これは主に虫仲間からたのまれて、                                 紫蘇の実やけしの実をひろって来て                                花ばたけをこしらえたり、                                              かたちのいい石や苔を集めて来て                                   立派なお庭をつくったりする職業でした。         こんなようにして出来たきれいなお庭を、                           私どもはたびたび、あちこちで見ます。         それは畑の豆の木の下や、林の楢の木の根もとや、             又雨垂れの石のかげなどに、                                       それはそれは上手に可愛らしくつくってあるのです。         さて三十疋(ぴき)は、                                               毎日大へん面白くやっていました。         朝は、黄金(きん)色のお日さまの光が、                          とうもろこしの影法師を                                               二千六百寸も遠くへ投げ出すころから                             さっぱりした空気をすぱすぱ吸って働き出し、                      夕方は、お日さまの光が木や草の緑を                            飴色にうきうきさせるまで                                             歌ったり笑ったり叫んだりして仕事をしました。
      殊にあらしの次の日などは、あっちからもこっちからも              どうか早く来て                                                         お庭をかくしてしまった板を起して下さいとか、                     うちのすぎごけの木が倒れましたから                                大いそぎで五六人来てみて下さいとか、                           それはそれはいそがしいのでした。         いそがしければいそがしいほど、                                     みんなは自分たちが立派な人になったような気がして、           もう大よろこびでした。         さあ、それ、しっかりひっぱれ、いいか、よいとこしょ、              おい、ブチュコ、縄がたるむよ、いいとも、そらひっぱれ、           おい、おい、ビキコ、そこをはなせ、         縄を結んで呉れ、よういやさ、そらもう一いき、                     よおいやしゃ、なんてまあこんな工合です。
********** 『カイロ団長』 27p **********.
 

 舶来のウェスキイは、呑み始めたら止まらにゃい、      「ウーイうまいね。どうも。」      『カイロ団長』。

 っつーことで、『
賢治童話を丸写しシリーズその94』だよん。(^ ^;

 ところがある日三十疋
(ぴき)のあまがえるが、蟻の公園地をすっかり仕上げて、みんなよろこん
で一まず本部へ引きあげる途中で、一本の桃の木の下を通りますと、そこへ新らしい店が一軒
出ていました。そして看板がかかって、
 「舶来ウェスキイ 一杯、二厘半。」と書いてありました。
 あまがえるは珍らしいものですから、ぞろぞろ店の中へはいって行きました。すると店にはうす
ぐろいとのさまがえるが、のっそりとすわって退くつそうにひとりでべろべろ舌を出して遊んでいま
したが、みんなの来たのを見て途方もないいい声で云いました。
 「へい、いらっしゃい。みなさん。一寸おやすみなさい。」
 「なんですか。舶来のウェクーというものがあるそうですね。どんなもんですか。ためしに一杯呑
ませて下さいませんか。」
 「へい、舶来のウェスキイですか。一杯二厘半ですよ。ようござんすか。」
 「ええ、よござんす。」
 とのさまがえるは粟つぶをくり抜いたコップにその強いお酒を汲んで出しました。
 「ウーイ。これはどうもひどいもんだ。腹がやけるようだ。ウーイ。おい、みんな、これはきたいな
もんだよ。咽喉
(のど)へはいると急に熱くなるんだ。ああ、いい気分だ。もう一杯下さいませんか。」
 「はいはい。こちらが一ぺんすんでからさしあげます。」
 「こっちへも早く下さい。」
 「はいはい。お声の順にさしあげます。さあ、これはあなた。」
 「いやありがとう、ウーイ。ウフッ、ウウ、どうもうまいもんだ。」
 「こっちへも早く下さい。」
 「はい、これはあなたです。」
 「ウウイ。」
 「おいもう一杯お呉れ。」
 「こっちへ早くよ。」
 「もう一杯早く。」
 「へい、へい。どうぞお急
(せ)きにならないで下さい。折角、はかったのがこぼれますから。へいと、
これはあなた。」
 「いや、ありがとう、ウーイ、ケホン、ケホン、ウーイうまいね。どうも。」
 さてこんな工合で、あまがえるはお代りお代りで、沢山お酒を呑みましたが、呑めば呑むほども
っと呑みたくなります。
 もっとも、とのさまがえるのウィスキーは、石油缶に一ぱいありましたから、粟つぶをくりぬいたコ
ップで一万べんはかっても、一分もへりはしませんでした。
                                  
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話を丸写しシリーズその94』でした。


 カイロ団長 漫画紹介

 @ますむらひろし:『カイロ団長 洞熊学校を卒業した三人』(偕成社)  .

 A水木しげる:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第1巻

                  僅差でますむらひろしが楽しいにゃぁ。(^ ^;

 ますむらひろしの漫画版『カイロ団長』は、30匹のあまがえるがカワユイにゃぁ。(^ ^;

@ますむらひろし、10年ぶりに宮沢賢治童話を漫画化したのが『カイロ団長』。
 確かにうまくなってる。ファーストシーンの見開きページに30匹のあまがえるがきちんと楽しく描
かれてる。これはなかなかいいですよぉ。
 出だし絶好調。ただし、巨大なとのさまがえる、キモイ。ラストシーン、グー。

A水木しげるは、水木しげるワールドなキモさはあるが、あっさり。
 とのさまがえるは、ねずみ男っぽいのがグー。ラストシーン、あっさりし過ぎ。

 っつーことで、『カイロ団長』の漫画版、僅差でますむらひろしが楽しいにゃぁ。(^ ^;


 カイロ団長 お気に入りオノマトペ
               「お前たちはわしの酒を呑んだ。                                どの勘定も八十銭より下のはない。                               ところがお前らは                                                      五銭より多く持っているやつは一人もない。                       どうじゃ。誰かあるか。無かろう。うん。」        あまがえるは一同                                                    ふうふうと息をついて顔を見合せるばかりです。     とのさまがえるは得意になって又はじめました。           「どうじゃ。無かろう。あるか。無かろう。                              そこでお前たちの仲間は、                                           前に二人お金を払うかわりに、                                      おれのけらいになるという約束をしたが                              お前たちはどうじゃ。」       この時です、みなさんもご存じの通り                               向うの室(へや)の中の二疋(ひき)が戸のすきまから             目だけ出してキーと低く鳴いたのは。
 季節: 夏
       みんなは顔を見合せました。            「どうも仕方ない。そうしようか。」         「そうお願いしよう。」            「どうかそうお願いいたします。」            どうです。                                                              あまがえるなんというものは人のいいものですから                  すぐとのさまがえるのけらいになりました。

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

ボクの好きなオノマトペ5つが最高。)
A
すぱすぱ:【朝は、黄金(きん)色のお日さまの光が、とうもろこしの影法師を二千六百寸も遠
      くへ投げ出すころからさっぱりした空気をすぱすぱ吸って働き出し、夕方は、お日さ
      まの光が木や草の緑を飴色にうきうきさせるまで歌ったり笑ったり叫んだりして仕
      事をしました。】
E
のっそり:【すると店にはうすぐろいとのさまがえるが、のっそりとすわって退くつそうにひと
      りでべろべろ舌を出して遊んでいましたが、みんなの来たのを見て途方もないいい
      声で云いました。】
J
キーイキーイ:【あっちでもこっちでも、キーイキーイといびきをかいて寝てしまいました。】
R
キーキー:【それから又どっかりと椅子へかけようとしましたが何か考えついたらしく、いき
      なりキーキーいびきをかいているあまがえるの方へ進んで行って、かたっぱしから
      みんなの財布を引っぱり出して中を改めました。】
24
ストンストン:【片っぱしからストンストンと投げつけられました。】
31
シュッポォン:【「首が太いからスポンとはいかない、シュッポォンと切られるぞ。」】
40
クゥウ、クゥウ:【それが一日に一人で九百貫の石を運ぶなどはもうみんな考えただけで
      めまいを起してクゥウ、クゥウと鳴ってばたりばたり倒れてしまったことは全く無理
      もありません。】
46
チクチクチクチク:【みんなあんまり一生けん命だったので、汗がからだ中チクチクチクチ
      ク出て、からだはまるでへたへた風のようになり、世界はほとんどまっくらに見えま
      した。】
47
へたへた:【からだはまるでへたへた風のようになり、世界はほとんどまっくらに見えまし
      た。】
58
キクッ:【とのさまがえるは又四へんばかり足をふんばりましたが、おしまいの時は足がキ
      クッと鳴ってくにゃりと曲ってしまいました。】
64
ホロホロ:【とのさまがえるはホロホロ悔悟のなみだをこぼして、「ああ、みなさん、私がわ
      るかったのです。私はもうあなた方の団長でもなんでもありません。私はやっぱり
      ただの蛙です。あしたから仕立屋をやります。」】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
シュッポォン:【「首が太いからスポンとはいかない、シュッポォンと切られるぞ。」】

 太い首は、シュッポォンと切られるぞ、っつーのギャグマンガだよね。(^ ^;








   「おい、ビチュコ。一万つぶひろえそうかい。」            「いそがないとだめそうだよ、                                           まだ三百つぶにしかならないんだもの。」         「さっき団長が百粒ってはじめに云ったねい。                       百つぶならよかったねい。」         「うん。その次に千つぶって云ったねい。                             千つぶでもよかったねい。」         「ほんとうにねい。                                                       おいら、お酒をなぜあんなにのんだろうなあ。」         「おいらもそいつを考えているんだよ。                                 どうも一ぱい目と二杯目、二杯目と三杯目、                     みんな順ぐりに糸か何かついていたよ。                             三百五十杯つながって居たとおいら今考えてるんだ。」      「全くだよ。おっと、急がないと大へんだ。」   

 
         「そうそう。」              さて、みんなはひろってひろってひろって、                           夕方までにやっと一万つぶずつあつめて、                          カイロ団長のところへ帰って来ました。                    するととのさまがえるのカイロ団長はよろこんで、                  「うん。よし。さあ、みんな                                             舶来ウェスキイを一杯ずつのんで寝るんだよ。」                   と云いました。 .


 ********** カイロ団長オノマトペ **********.


 

@さっぱり:【朝は、黄金(きん)色のお日さまの光が、とうもろこしの影法師を二千六百寸も遠くへ
      投げ出すころからさっぱりした空気をすぱすぱ吸って働き出し、夕方は、お日さまの
      光が木や草の緑を飴色にうきうきさせるまで歌ったり笑ったり叫んだりして仕事をしま
      した。】
Aすぱすぱ:【さっぱりした空気をすぱすぱ吸って働き出し、夕方は、お日さまの光が木や草の
      緑を飴色にうきうきさせるまで歌ったり笑ったり叫んだりして仕事をしました。】
Bうきうき:【夕方は、お日さまの光が木や草の緑を飴色にうきうきさせるまで歌ったり笑ったり
      叫んだりして仕事をしました。】
Cすっかり:【ところがある日三十疋
(ぴき)のあまがえるが、蟻の公園地をすっかり仕上げて、み
      んなよろこんで一まず本部へ引きあげる途中で、一本の桃の木の下を通りますと、
      そこへ新らしい店が一軒出ていました。】
Dぞろぞろ:【あまがえるは珍らしいものですから、ぞろぞろ店の中へはいって行きました。】
Eのっそり:【すると店にはうすぐろいとのさまがえるが、のっそりとすわって退くつそうにひとり
      でべろべろ舌を出して遊んでいましたが、みんなの来たのを見て途方もないいい声
      で云いました。】
Fべろべろ:【退くつそうにひとりでべろべろ舌を出して遊んでいましたが、みんなの来たのを見
      て途方もないいい声で云いました。】
Gケホン、ケホン:【「いや、ありがとう、ウーイ、ケホン、ケホン、ウーイうまいね。どうも。」】
Hもっ:【さてこんな工合で、あまがえるはお代りお代りで、沢山お酒を呑みましたが、呑めば呑
      むほどもっと呑みたくなります。】
Iだんだん:【そのうちにあまがえるは、だんだん酔がまわって来て、あっちでもこっちでも、キ
      ーイキーイといびきをかいて寝てしまいました。】
Jキーイキーイ:【あっちでもこっちでも、キーイキーイといびきをかいて寝てしまいました。】
Kにやり:【とのさまがえるはそこでにやりと笑って、いそいですっかり店をしめて、お酒の石油
      缶にはきちんと蓋をしてしまいました。】
Lきちん:【お酒の石油缶にはきちんと蓋をしてしまいました。】
Mちゃん:【それから戸棚からくさりかたびらを出して、頭から顔から足のさきまでちゃんと着込
      んでしまいました。】
Nどっかり:【それから棚から鉄の棒をおろして来て椅子へどっかり座って一ばんはじのあまが
      えるの緑色のあたまをこつんとたたきました。】
Oこつん:【一ばんはじのあまがえるの緑色のあたまをこつんとたたきました。】
Pぴたん:【とのさまがえるは次の室
(へや)の戸を開いてその閉口したあまがえるを押し込んで、
      戸をぴたんとしめました。】
Qどっしり:【そしてにやりと笑って、又どっしりと椅子へ座りました。】
Rキーキー:【それから又どっかりと椅子へかけようとしましたが何か考えついたらしく、いきなり
      キーキーいびきをかいているあまがえるの方へ進んで行って、かたっぱしからみんな
      の財布を引っぱり出して中を改めました。】
Sにこにこにこにこ:【とのさまがえるは、よろこんで、にこにこにこにこ笑って、棒を取り直し、片
      っぱしからあまがえるの緑色の頭をポンポンポンポンたたきつけました。】
21ポンポンポンポン:【片っぱしからあまがえるの緑色の頭をポンポンポンポンたたきつけまし
      た。】
22きょろきょろきょろきょろ:【さあ、大へん、みんな、「あ痛っ、あ痛っ。誰だい。」なんて云いなが
      ら目をさまして、しばらくきょろきょろきょろきょろしていましたが、いよいよそれが酒屋
      のおやじのとのさまがえるの仕業だとわかると、もうみな一ぺんに、「何だい。おやじ。
      よくもひとをなぐったな。」】
23ひょろひょろ:【四方八方から、飛びかかりましたが、何分とのさまがえるは三十がえる力ある
      のですし、くさりかたびらは着ていますし、それにあまがえるはみんな舶来ウェスキイで
      ひょろひょろしてますから、片っぱしからストンストンと投げつけられました。】
24ストンストン:【片っぱしからストンストンと投げつけられました。】
25もじゃもじゃ:【おしまいにはとのさまがえるは、十一疋
(ぴき)のあまがえるを、もじゃもじゃ堅めて、
      ぺちゃんと投げつけました。】
26ぺちゃん:【ぺちゃんと投げつけました。】
27ふうふう:【あまがえるは一同ふうふうと息をついて顔を見合せるばかりです。】
28ぐるっ:【すると、とのさまがえるは立ちあがって、家をぐるっと一まわしまわしました。】
29とうとう:【「俺もとうとう飛んだことになったよ。」】
30スポン:【「その太い首をスポンと切られるぞ。」】
31シュッポォン:【「首が太いからスポンとはいかない、シュッポォンと切られるぞ。」】
32ぶるぶるぶるっ:【あまがえるどもは緑色の手足をぶるぶるぶるっとけいれんさせました。】
33こそこそこそこそ:【そしてこそこそこそこそ、逃げるようにおもてに出てひとりが三十三本三分
      三厘強ずつという見当で、一生けん命いい木をさがしましたが、大体もう前々からさが
      す位さがしてしまっていたのですから、いくらそこらをみんながひょいひょいかけまわっ
      ても、夕方までにたった九本しか見つかりませんでした。】
34ひょいひょい:【いくらそこらをみんながひょいひょいかけまわっても、夕方までにたった九本し
      か見つかりませんでした。】
35うろうろうろうろ:【さあ、あまがえるはみんな泣き顔になって、うろうろうろうろやりましたがます
      ますどうもいけません。】
36くらくら:【そこでみんなは粟つぶのコップで舶来ウィスキーを一杯ずつ呑んで、くらくら、キーイ
      キーイと、ねむってしまいました。】
37シュッポン:【「巡査は首をシュッポンと切るぞ。」】
38ぶんぶん:【ところが丁度幸に花のたねは雨のようにこぼれていましたし蜂もぶんぶん鳴いてい
      ましたのであまがえるはみんなしゃがんで一生けん命ひろいました。】
39やっ:【さて、みんなはひろってひろってひろって、夕方までにやっと一万つぶずつあつめて、
      カイロ団長のところへ帰って来ました。】
40クゥウ、クゥウ:【それが一日に一人で九百貫の石を運ぶなどはもうみんな考えただけでめまい
      を起してクゥウ、クゥウと鳴ってばたりばたり倒れてしまったことは全く無理もありませ
      ん。】
41ばたりばたり:【ばたりばたり倒れてしまったことは全く無理もありません。】
42コツンコツン:【とのさまがえるは早速例の鉄の棒を持ち出してあまがえるの頭をコツンコツンと
      叩いてまわりました。】
43くるくる:【あまがえるはまわりが青くくるくるするように思いながら仕事に出て行きました。】
44ずうっ:【お日さまさえ、ずうっと遠くの天の隅のあたりで、三角になってくるりくるりとうごいている
      ように見えたのです。】
45くるりくるり:【三角になってくるりくるりとうごいているように見えたのです。】
46チクチクチクチク:【みんなあんまり一生けん命だったので、汗がからだ中チクチクチクチク出て、
      からだはまるでへたへた風のようになり、世界はほとんどまっくらに見えました。】
47へたへた:【からだはまるでへたへた風のようになり、世界はほとんどまっくらに見えました。】
48ふらふら:【それにみんなはつかれてふらふらして、目をあいていることも立っていることもできま
      せんでした。】
49ゆっくり:【カイロ団長は丁度この時うちの中でいびきをかいて寝て居りましたがやっと目をさまし
      て、ゆっくりと外へ出て見ました。】
50パタン:【カイロ団長は何だか変な顔をして口をパタンと閉じました。】
51しゃん:【「そら、あたらしいご命令だ。」と、あまがえるもとのさまがえるも、急いでしゃんと立ちま
      した。】
52ブルブル:【今度は、とのさまがえるは、だんだん色がさめて、飴色にすきとおって、そしてブルブ
      ルふるえて参りました。】
53テクテク:【カイロ団長は、はやしにつりこまれて、五へんばかり足をテクテクふんばってつなを引
      っ張りましたが、石はびくとも動きません。】
54びく:【つなを引っ張りましたが、石はびくとも動きません。】
55チクチク:【とのさまがえるはチクチク汗を流して、口をあらんかぎりあけて、フウフウといきをしま
      した。】
56フウフウ:【口をあらんかぎりあけて、フウフウといきをしました。】
57くらくら:【全くあたりがみんなくらくらして、茶色に見えてしまったのです。】
58キクッ:【とのさまがえるは又四へんばかり足をふんばりましたが、おしまいの時は足がキクッと
      鳴ってくにゃりと曲ってしまいました。】
59くにゃり:【鳴ってくにゃりと曲ってしまいました。】
60どっ:【あまがえるは思わずどっと笑い出しました。】
61しいん:【がどう云うわけかそれから急にしいんとなってしまいました。】
62ドッ:【ドッと一諸に人をあざけり笑ってそれから俄かにしいんとなった時のこのさびしいことで
      す。】
63とんとん:【そこであまがえるは、みんな走り寄って、とのさまがえるに水をやったり、曲った足を
      なおしてやったり、とんとんせなかをたたいたりいたしました。】
64ホロホロ:【とのさまがえるはホロホロ悔悟のなみだをこぼして、「ああ、みなさん、私がわるかっ
      たのです。私はもうあなた方の団長でもなんでもありません。私はやっぱりただの蛙で
      す。あしたから仕立屋をやります。」】
65パチパチ:【あまがえるは、みんなよろこんで、手をパチパチたたきました。】
66さらさらさらさら:【あまあがりや、風の次の日、そうでなくてもお天気のいい日に、畑の中や花壇
      のかげでこんなようなさらさらさらさら云う声を聞きませんか。】

 『カイロ団長』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                   2006.9.10.

 
 



















 
 

      さて、少しびっこを引いてはいましたが、                            黒馬は、いつも大へん愉快でした。













 
 


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      それは、甲太が、よく、いたわって呉れたからです。                                                            by『馬の頭巾』

 トップページは四分五裂だなす。                                                   ♪亀の甲よりギャグの功♪