『イーハトーヴ・オノマトペ症候群』やってます。(^ ^;
   一、プランペラポラン将軍            ある日の丁度ひるころだった。            グレッシャムの町の北の方から            「ピーピーピピーピ、ピーピーピ」   

 
        七五調がちょこっと不完全だなす、『三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形]』


 イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語) .
      大へんあわれなたくさんの                                           チャルメラの音が聞こえて来た。       その間には                                                           「タンパララタ、タンパララタ、ペタンペタンペタン。」    という豆太鼓の音もする。              だんだんそれが近づいて                                             馬の足音や鎧(よろい)の気配
宮沢賢治童話の私設ファンコーナー23です。

               ★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★
んで、23回目の今回は、


         *** ダウンロード篇  ***
   手に入らなかった短篇、ネットで探し、ダウンロードさせていただきました。感謝。(^ ^;    .
                             とうとう町の壁の上から                                               ひらひらする三角の旗や                                             かがやくほこがのぞき出す。
             黒ぶどう
 ────────────── 6p
             マリヴロンと少女
─────────── 7p
             毒蛾
 ─────────────── 18p
             革トランク
 ───────────── 10p
             バキチの仕事
──────────── 7p →ここまで20ページです。
             手紙
 ─────────────── 13p
             馬の頭巾
  ───────────── 12p
             氷と後光(習作)
───────────11p
             車
───────────────── 9p
             カイロ団長
───────────── 27p →ここまで21ページです。
             ひのきとひなげし
 ────────── 13p
             畑のへり
 ────────────── 6p
             サガレンと八月
─────────── 12p
              葡萄水
 ────────────── 12p
             寓話 洞熊学校を卒業した三人 ────
 28p →ここまで22ページです。
             三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形]── 39p
              けだものの運動会 ────────── 6p
             月夜のけだもの
─────────── 15p
             よく利く薬とえらい薬
 ───────── 12p
             チュウリップの幻術
────────── 18p の20短編です。

                   


 
 


『ダウンロード篇』の第十六話です。

   北の城門の番兵や                                                  そこいら辺の人たちは    敵が押し寄せて来たと思って        まるでどきどきやりながら       銃眼から外をのぞいて見た。       壁の外には沙漠まで                                                 まるで雲霞の軍勢だ。    みんな不思議に灰いろや       .    鼠がかって  もさもさして                                             天まで続いているようだ。  

     ほく しゅ
 ****** 三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形] 39p ****** .
 

 七五調がちょこっと不完全だなす、      「何だい、人に物をたずねて置いて                                   よろしい、ふう、しゅうとは何だ。失敬な。                           智識のどろぼうめ実に失敬な野蛮なやつだ。」『三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形]』。

 っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその100』だよん。(^ ^;

 するどい眼をしてひげのまっ白な
 せなかのまがった大将が
 馬に乗って先頭に立ち
 剣を抜いて高く歌っている
「北守将軍のプランペラポラン
 いま塞外
(さいがい)のくらい谷から、
 やっとのことで戻って来た。

 勇ましい凱旋だと云いたいのだが
 実はすっかり 参って来たのだ
 とにかくあそこは寒い処
(ところ)だよ。

 三十年という黄いろなむかし
 おれは百万の軍勢をひきい
 チャルメラを朝風に吹いて出かけた。

 それからどうだ一日も太陽を見ない
 霧とみぞれがじめじめと降り
 雁まで脚気でたびたび落ちた。

 おれはその間 馬で馳けどおし
 馬がつかれてたびたびぺたんと座り
 涙をためてじっとおれを見たもんだ。
 
 その度ごとにおれは鎧
(よろい)のかくしから
 上等の朝鮮人蔘をとり出して
 馬に喰べさせては元気をつけた。
 
 その馬も今では三十五歳
 四里かけるにも四時間かかる
 それからおれはもう七十だ。
 
 とても帰らないと思っていたが
 ありがたや敵が残らず腐って死んだ。
 今年の夏はずいぶん湿気が多かったでな
 
 おまけに腐る病気の種子は
 こっちが持って行ったのだ
 そうして見ればどうだやっぱり凱旋だろう。

 殊にも一ついいことは
 百万人も出かけたものが
 九十九万人まで戻って来た。

 死んだ一万人はかなり気の毒だが
 それはいくさに行かなくても死んだろうぜ、
 そうして見るとどうだ、やっぱり凱旋だろう。

 そこでグレッシャムの人々よ
 北守将軍プランペラポランが帰ったのだ
 歓迎してもいいではないか。」

するとお城の壁のなかは
俄かにどうっと沸きたった。
「万歳、万歳、
 早く王さまへお知らせしろ。」
「帰って来た 帰って来た
 ありがたい。
 せがれも無事に相違ない、」
「門をひらけ ひらけ
 北守将軍の凱旋だ。」
番兵たちは灰いろの
厚い城門の扉を開く。
             (丸写しオシマイ)
 『賢治童話を丸写しシリーズその100』でした。

ps.『三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形]』は、
『北守将軍と三人兄弟の医者』の前作だなや。


 三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形]』の漫画紹介はできましぇん。


                    申し訳なかぁ。


 

 漫画版『三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形]』は、おそらく多分ありましぇん。
 漫画版『けだものの運動会』も、『月夜のけだもの』も、『よく利く薬とえらい薬』も、おそらく多分ありま
しぇん。

 っつーことで漫画の紹介は、ずうっとしばらくシバラク暫く、お待ちくなさい。(^ ^;


 三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形] お気に入りオノマトペ
        「おい、町中で一番いい医者は誰だ。」       町を歩いていた一人の学生が答えた。       「それはホトランカン先生です。」       「ホトランカンの病院はどこだ。」       「その坂の上であります、                                              あの赤い三つの旗の中一番左の下であります。」    「よろしい、ふう、しゅう。」                                             将軍は馬に一鞭呉れて一散に坂をかけあがる。
 季節: 冬                          今返事した学生はまだ将軍が誰かも知らず                     「何だい、人に物をたずねて置いて                                   よろしい、ふう、しゅうとは何だ。失敬な。                           智識のどろぼうめ実に失敬な野蛮なやつだ。」                    斯う云ってひとり怒っていた。

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

▼ボクの好きなオノマトペ
★★5つが最高。)
F
もさもさ:【みんな不思議に灰いろや鼠がかってもさもさして天まで続いているようだ。】
O
ぷんぷん:【雪がぷんぷんと降る。】
25
うずうず:【さて将軍の馬の方は、坂をうずうずのぼって行く】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
ぷんぷん:【雪がぷんぷんと降る。】

 雪がぷんぷんと降る、っつーの寒そうだなす。(^ ^;


        「あなたは向うで狐などにだまされたことがありますか。」           「あります、いやどうも、向うの狐はいかんです。                     百万近い軍勢をただ一ぺんに欺します。                          夜に沢山火を出したり                                               昼間いきなり谷の上に大きな城をこさえたり                       全くたちが悪いです。」           「ふんふん、                                                            一ぺん欺されるのに何日ぐらいかかります。」                     「まあ四日です。十日のときもありますな。」          「それであなたは                                                      全体で何べんぐらい欺されました。」                               「さよう、まあごく少くて十九へんは欺されてるだろう、                もっとも欺されたかどうかわからないのもあるでしょう。」
              「ふんふん、そんならお尋ねします。                                  百と百とを加えると答がいくらになりますか。」                     「百八十だ。」              「ふん、ふん、二百と二百では。」                                   「さよう、三百六十だろう。」             「ふん、ふん、四百と四百では」                                     「七百二十に相違ない。」
      「なるほど、すっかりわかりました。                                     あなたは今でもまだ少し欺されておいでのようですよ。            もっともほんの少しです。                                            それじゃなおしてあげましょう。清洗用意。」  

****** 三人兄弟医者北守将軍[韻文形]オノマトペ ******

@ピーピーピピーピ、ピーピーピ:【グレッシャムの町の北の方から「ピーピーピピーピ、ピーピーピ」
      大へんあわれな たくさんのチャルメラの音が聞こえて来た。】
Aタンパララタ、タンパララタ、ペタンペタンペタン:【その間には「タンパララタ、タンパララタ、ペタン
      ペタンペタン。」という豆太鼓の音もする。】
Bだんだん:【だんだんそれが近づいて馬の足音や鎧
(よろい)の気配とうとう町の壁の上からひらひら
      する三角の旗やかがやくほこがのぞき出す。】
Cとうとう:【とうとう町の壁の上からひらひらする三角の旗やかがやくほこがのぞき出す。】
Dひらひら:【ひらひらする三角の旗やかがやくほこがのぞき出す。】
Eどきどき:【北の城門の番兵やそこいら辺の人たちは敵が押し寄せて来たと思ってまるでどきどき
      やりながら銃眼から外をのぞいて見た。】
Fもさもさ:【みんな不思議に灰いろや鼠がかってもさもさして天まで続いているようだ。】
Gすっかり:【勇ましい凱旋だと云いたいのだが実はすっかり 参って来たのだとにかくあそこは寒い
      処だよ。】
Hじめじめ:【霧とみぞれがじめじめと降り雁まで脚気
(かっけ)でたびたび落ちた。】
Iぺたん:【おれはその間 馬で馳けどおし 馬がつかれてたびたびぺたんと座り 涙をためてじっ
      とおれを見たもんだ。】
Jじっ:【涙をためてじっとおれを見たもんだ。】
Kやっぱり:【そうして見ればどうだやっぱり凱旋だろう。】
Lどうっ:【するとお城の壁のなかは俄かにどうっと沸きたった。】
Mざわっ:【外の兵隊たちもざわっとする。】
Nぎらぎら:【灰いろになったプランペラポラン将軍がわざと顔をしかめながらしずかに馬のたづなを
      とってまっすぐを向いて先登に立ちそれからチャルメラ豆太鼓ぎらぎらのほこ三角の旗軍
      勢は楽隊の音に合せて足なみをそろえ軍歌をうたい門から町へ入って来た。】
Oぷんぷん:【雪がぷんぷんと降る。】
Pひょろひょろ:【こごえた砂が飛びひょろひょろのよもぎがみんなねこぎにされる。】
Qぞろっ:【みんなはみちの両側に垣になってぞろっとならび北から帰った軍勢を大悦びで迎えたの
      だ。】
Rもじゃもじゃ:【頭も肩ももじゃもじゃだ。】
Sびくびく:【プランペラポラン将軍はすっかりあわてて赤くなり口をびくびく横に曲げ一生けん命馬を
      下りようとするのだがますますそれができなかった。】
21じめじめ:【おまけにあんまり永い間じめじめな処に居たもんだから将軍の顔や手からは灰いろの
      猿をがせがいっぱいに生えてしまったのだ。】
22バタバタ:【将軍はまた手をバタバタしたけれどもうどうしても下りられない。】
23ばたばた:【将軍が馬を下りないでしきりにばたばたしてるのをわざと馬から下りないで手を振って
      みんなに何か命令してると考えた。】
24くるっ:【そこで大臣の一行はくるっと馬を立て直し黄いろな塵をあげながら一目散に王宮の方に戻
      って行く。】
25うずうず:【さて将軍の馬の方は、坂をうずうずのぼって行く】
26みしみし:【六七本の病気の木を、けとばしたりはねとばしたりみしみし枝を折ったりする。】
27うようよ:【病人がうようよしていたが将軍は構わず馬のままどしどし廊下へのぼって行く。】
28どしどし:【将軍は構わず馬のままどしどし廊下へのぼって行く。】
29ずんずん:【どの室の扉も窓も高さが二丈ぐらいある。馬でずんずん入れたのだ。】
30びく:【ところがホトランカン先生はまるでびくともしていない、こっちを見ようともしない。】
31ふうふう:【すると何か大へんな薬がしかけてあったらしく馬が大きくふうふうと夢のような息をしたと
      思うと俄かにぺたんと脚を折り今度はごうごういびきをかいてよだれも垂らして寝てしまう。】
32ぺたん:【俄かにぺたんと脚を折り今度はごうごういびきをかいてよだれも垂らして寝てしまう。】
33ごうごう:【今度はごうごういびきをかいてよだれも垂らして寝てしまう。】
34しっ、ふう、どう、おい:【「おい、起きんかい、起きんかい。しっ、ふう、どう、おい、貴さまの大好きの
      朝鮮人蔘をほんの一口たべんかい。おい。」】
35ほん:【「貴さまの大好きの朝鮮人蔘をほんの一口たべんかい。おい。」】
36ぼろぼろ:【将軍は倒れた馬のせなかでひとりぼろぼろ泪を流しとうとうしくりあげて言う。】
37ふっ:【助手は軽くはいと答え馬の耳に口をあててふっと一っつ息を吹く。】
38がばっ:【馬はがばっとはね起きて将軍も俄かにせいが高くなる。】
39やっ:【ホトランカン先生はさっきからの病人をやっと診察してしまい〔この間原稿数枚なし〕】
40きっき:【ホトランカン先生はそれをきっきと手で押して将軍のしらが頭の上にはげしく霧を注ぎかけ
      る。】
41ぽとぽと:【プランペラポラン将軍の鼻から雫がぽとぽと落ちてガラスの槽にたまって行く。】
42かたかた:【ホトランカン先生が噴霧器をかたかたやるのをやめ号令するとすぐ助手がタオルで頭
      や顔を拭く。】
43ぶるっ:【将軍はぶるっと身ぶるいして馬にきちんと起きあがる。】
44きちん:【馬にきちんと起きあがる。】
45せいせい:【「どうです、せいせいしたでしょう。そこで百と百とをたすと答はいくらになりますか。」】
46けろり:【将軍はさっきのことなどは忘れたふうでけろりと云う。】
47ばっ、ふゅう:【「ばっ、ふゅう」馬は塀を超えサラバアユウ先生のけしの花壇をめちゃくちゃに踏み
      つけながら立っていた。】
48めちゃくちゃ:【馬は塀を超えサラバアユウ先生のけしの花壇をめちゃくちゃに踏みつけながら立っ
      ていた。】
49エヘンエヘンブルルル エヒンエヒン フウ:【もうあっちからもこっちからもエヘンエヘンブルルル 
      エヒンエヒン フウという馬の挨拶が聞えて来る。】
50とっと:【そこで将軍は千疋(びき)も集まっている馬の中をとっとと自分の馬を進めサラバアユウ氏
      の前に行く。】
51ごほん、ごほん:【「どうも出ますよ、ごほん、ごほん。」】
52イヒン、ヒン、ヒン、ヒン、ヒン:【「イヒン、ヒン、ヒン、ヒン、ヒン、」】
53がぶがぶ:【手ばやくそれを受けとって将軍の足にがぶがぶそそぐ。】
54どたり:【するとにわかに将軍のずぼんは鞍とはなれたので将軍はひどくはずみを喰ってどたりと
      馬から落とされた。】
55じわじわ:【サラバアユウ先生はそんなことには頓着なく今度は馬のせなかからじわじわ鞍を引き
      はなす。】
56すぽっ:【間もなく鞍はすぽっととれ馬は見当がつかないらしく四五へんせ中をゆすぶった。】
57ちゃん:【助手がもうその支度をして紐のついた電気の盤をちゃんと捧げて持っていた。】
58きらきら:【ペンクラアネイ先生はまだ若くて顔が赤くいかにもうれしそうに歯をきらきらと出してい
      た。】
59すっす:【ペンクラアネイ先生はすばやく酒精を綿につけ将軍の顔をしめしてからすっすとさるをが
      せを剃った。】
60ふらふら:【両側の家がふらふらと影法師のように見えるだけもうプランペラポラン将軍は向うの方
      で兵隊の「おお将軍 将軍」と歓呼するのをはっきり聞いた。】
61はっきり:【「おお将軍 将軍」と歓呼するのをはっきり聞いた。】
62わっ:【兵隊たちはよろこんで又もやわっと歓呼する。】
63ピチャピチャ:【もうアルコールがやって来てみんなはピチャピチャそれを塗り剣ですっすと顔を剃
      る。】
64しん:【全軍しんとしてしまいたった一疋の馬がブルッと鼻を鳴らしただけ。】
65ブルッ:【たった一疋の馬がブルッと鼻を鳴らしただけ。】

 三人兄弟の医者と北守将軍[韻文形]』のオノマトペ
                            これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                      2006.10.07.

 
 


『ダウンロード篇』の第十七話です。
        「いかん。貴様が勝つにきまってるじゃないか。                      第一そんなものは                                                    社会の風教(ふうきょう)に害がある。退れ。」       狐が頭から雷さんをひっかぶったようにびっくりして                 眼をプルプルさせて                                                   少しずつあと戻りして引っ込みました。       「どうも小さいものはいかんね。どうもいかん。                        おい、虎、象、熊、犀(さい)、河馬、                              お前たちに何か考えがないか。」    虎がものすごい青い顔をして一足前に出ました。          「おおい。                                                               みんな、おれは引き裂き競争がいいと思うよ。                    これは新案だ。」       「いいか。みんなで拳(けん)をして東西にわかれてな、            小さいものから順順に一人ずつ組みついて                        引き裂きをやるんだ。」       「勝った方へは新らしいものがかかるということにして                その中で一番強いのが一等としよう。                              どうだ。みんな。」  .

       みんなは思わずじりじりうしろへさがりました。       

******* 『けだものの運動会』 6p *******
 

 楽しいにゃぁ、      「鉄棒ぶらさがり競争というものはどうだろう。」   『けだものの運動会』。

 っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその101』だよん。(^ ^;

 獅子はすっかり怒ってしまいました。
「黙れ。虎。身の程知らずめ。貴様の言
(ことば)はいつでもみんなの心をひどくいためる。そんなことを
やったら運動会がすんだのちにはけだものがたった一疋
(ぴき)だけになってしまうじゃないか。それに
貴様は全体おれや象に勝てると思っているのか。身の程知らずめ。許さんぞ。退れ。」
 虎ははじめの威勢はどこへやらからだ中の筋がみな別々にガタガタガタガタ顫
(ふる)え出して白い
泡をはいてじりりじりりとしりごみをしてしまいました。
 そこで獅子が空を向いて高く笑いました。
「アッハッハ。虎は今日は何か辛いものを食い過ぎたな。よしよし、許してやろう。」
 そこで象が鼻をぶらぶらさせて云いました。
「これは私の考えでは鉄棒ぶらさがり競争というものはどうだろう。みんな一所に鉄棒に取りついて、
それから一番あとに残ったものが一等と、鉄棒に取りつくには指でもいいし肘でもいい又前あし全体
でもいいと。こう云うことにする。これならば腕の強い丈夫なものはからだも重い、腕の弱いものはそ
の代りからだも軽いと、こう云うわけでごく公平だろうと思われる。もっともこれは猿が大へん得手の
ようにも見えるけれどもそれもやって見なければわからないとわたしは思う。」
 獅子は感服して思わず、
「ああ君はさすが違ったもんだ。これは実に名案だ。みんな、どうだ、よかろう。」
 虎や河馬を除いてはみんなもう大喜びです。ことに小さな方の連中などはあんまりよろこんでお互
にだきついたりしていました。
 さて運動会の当日になりました。鳥の方からたのんで来た楽隊はブカブカどんどんやっています。
 獅子大王は一段高いところに白い切れをかけた卓子
(テーブル)を控(す)えその横には賞品係りの象が
あちこちから寄附になった賞品を山のようにつみ重ねて座っています。面白い競争には二人とも壇を
下りて行って自分らもはいりました。そして競争がすむと大急ぎで戻って来て賞品を渡したりしました。
                             
(丸写しオシマイ)
 『賢治童話を丸写しシリーズその101』でした。


  けだものの運動会 お気に入りオノマトペ
                さて、二百米も四百米も学術競争もだんだん済んで            いよいよ今日の一番の競技がはじまりました。    あの鉄棒ぶらさがり競争です。          これはけだもの一同やる筈でしたが                                 審判官の豹と賞品係の象と運動会長の獅子だけは            はいりませんでした。       長さ三十六間のその鉄棒の下に                                   けだものどもはみな立ちならびました。    誰が見てもどうも猿が一等を取りそうでした。          猿は自分でもそう思っていて                                        さっきからてぐすね引いて待っていたのでした。       「鉄棒ぶらさがり競争、用意っ。」                                    と獅子が叫びました。
 季節: 不特定                          さあ、虎も熊も河馬麒麟も馬も羊もカンガル−も                兎も鼠もみんなじっとその前あしをちぢめて                        鉄棒を見つめて号令がかかったら                                   すぐにとりつく支度をしました。

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

▼ボクの好きなオノマトペ
5つが最高。)
@
プルプル:【狐が頭から雷さんをひっかぶったようにびっくりして眼をプルプルさせて少しずつ
      あと戻りして引っ込みました。】
D
じりりじりり:【白い泡をはいてじりりじりりとしりごみをしてしまいました。】
F
ブカブカどんどん:【鳥の方からたのんで来た楽隊はブカブカどんどんやっています。】
I
ほいほい:【けだものどもはみなほいほいととびつきましたがただ一疋河馬だけは手を外して
      ドタリと落ちてひどく尻餅をつきました。】
S
くにゃり:【「五十秒」と豹が云いましたら猿がいきなりくにゃりと落ちました。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
じりりじりり:【白い泡をはいてじりりじりりとしりごみをしてしまいました。】

 じりりじりりとしりごみをしてしまいました、っつーの目に浮かぶようで、えがっだなす。(^ ^;


 .    「かかれっ。」 獅子が叫びました。    .       けだものどもはみなほいほいととびつきましたが                     ただ一疋(ぴき)河馬だけは手を外して                             ドタリと落ちてひどく尻餅をつきました。  .      そしてそらを向いてフウフウといきをついたまま                       起きあがりかねていました。 .       審判官の豹が時計を見ながら                                     せわしくあちこちはせまわりました。  .      「十秒」 豹が叫びました。                                            虎が「ウォ−ッ。」と一つ吠えました。 .    「二十秒。」 豹が叫びました。     .      虎の手はもうぶるぶるぶるとふるえて来て                            とうとうばたりと落ちました。  .
          それから虎は凄い目付きをして舌を出しながら                    のそのそみんなの下をあるきまわりましたので、                    兎や羊などはもう目をつぶっていました。    

******* けだものの運動会オノマトペ *******

@プルプル:【狐が頭から雷さんをひっかぶったようにびっくりして眼をプルプルさせて少しずつあと
      戻りして引っ込みました。】
Aじりじり:【みんなは思わずじりじりうしろへさがりました。】
Bすっかり:【獅子はすっかり怒ってしまいました。】
Cガタガタガタガタ:【虎ははじめの威勢はどこへやらからだ中の筋がみな別々にガタガタガタガタ
      顫
(ふる)え出して白い泡をはいてじりりじりりとしりごみをしてしまいました。】
Dじりりじりり:【白い泡をはいてじりりじりりとしりごみをしてしまいました。】
Eぶらぶら:【そこで象が鼻をぶらぶらさせて云いました。】
Fブカブカどんどん:【鳥の方からたのんで来た楽隊はブカブカどんどんやっています。】
Gだんだん:【さて、二百米も四百米も学術競争もだんだん済んでいよいよ今日の一番の競技がは
      じまりました。】
Hじっ:【さあ、虎も熊も河馬麒麟も馬も羊もカンガル−も兎も鼠もみんなじっとその前あしをちぢめ
      て鉄棒を見つめて号令がかかったらすぐにとりつく支度をしました。】
Iほいほい:【けだものどもはみなほいほいととびつきましたがただ一疋河馬だけは手を外してドタ
      リと落ちてひどく尻餅をつきました。】
Jドタリ:【ただ一疋
(ぴき)河馬だけは手を外してドタリと落ちてひどく尻餅をつきました。】
Kフウフウ:【そしてそらを向いてフウフウといきをついたまま起きあがりかねていました。】
Lぶるぶるぶる:【虎の手はもうぶるぶるぶるとふるえて来てとうとうばたりと落ちました。】
Mとうとう:【とうとうばたりと落ちました。】
Nばたり:【とうとうばたりと落ちました。】
Oのそのそ:【それから虎は凄い目付きをして舌を出しながらのそのそみんなの下をあるきまわり
      ましたので、兎や羊などはもう目をつぶっていました。】
Pウンウン:【上でもみんなつかれて来てウンウンうなったり手がぐらぐらしたりしはじめました。】
Qぐらぐら:【手がぐらぐらしたりしはじめました。】
Rばたばたっ:【それからすべて鼻の大きなやつや口の大きなけだものが百疋
(ぴき)ばかり一諸にば
      たばたっと落ちました。】
Sくにゃり:【「五十秒」と豹が云いましたら猿がいきなりくにゃりと落ちました。】
21クルクルクルッ:【「七十秒。」と豹が叫びましたらカンガル−がクルクルクルッとまわって落ちまし
      た。】

 『けだものの運動会』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                      2006.10.09.

 
 


『ダウンロード篇』の第十八話です。

       十日の月が西の練瓦塀にかくれるまで、                          もう一時間しかありませんでした。        その青じろい月の明りを浴びて、                                   獅子は檻のなかをのそのそあるいて居りましたが                  ほかのけだものどもは、頭をまげて前あしにのせたり、             横にごろっとねころんだりしずかに睡っていました。        夜中まで檻の中をうろうろうろうろしていた狐さえ、                 おかしな顔をしてねむっているようでした。        わたくしは獅子の檻のところに戻って来て                           前のベンチにこしかけました。        するとそこらがぼうっとけむりのようになって                          わたくしもそのけむりだか月のあかりだか                            わからなくなってしまいました。        いつのまにか獅子が立派な黒いフロックコートを着て、            肩を張って立って「もうよかろうな。」と云いました。        すると奥さんの獅子が                                               太い金頭のステッキを恭(うやうや)しく渡しました。        獅子はだまって受けとって脇にはさんで                             のそりのそりとこんどは自分が見まわりに出ました。  .
       そこらは水のころころ流れる夜の野原です。       

******** 『月夜のけだもの』 15p ********
 

 月夜の動物園、幻想の世界だにゃぁ、   「どこへ行くのだ。」    『月夜のけだもの』。

 っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその102』だよん。(^ ^;

 ひのき林のへりで獅子は立ちどまりました。向うから白いものが大へん急いでこっちへ走って来るので
す。
 獅子はめがねを直してきっとそれを見なおしました。それは白熊でした。非常にあわててやって来ます。
 獅子が頭を一つ振って道にステッキをつき出して云いました。
 「どうしたのだ。ひどく急いでいるではないか。」
 白熊がびっくりして立ちどまりました。その月に向いた方のからだはぼうっと燐のように黄いろにまた青
じろくひかりました。
 「はい。大王さまでございますか。結構なお晩でございます。」
 「どこへ行くのだ。」
 「少し尋ねる者がございまして。」
 「誰だ。」
 「向うの名前をつい忘れまして。」
 「どんなやつだ。」
 「灰色のざらざらした者ではございますが、眼は小さくていつも笑っているよう。頭には聖人のような立派
な瘤が三つございます。」
 「ははあ、その代り少しからだが大き過ぎるのだろう。」
 「はい。しかしごくおとなしゅうございます。」
 「所がそいつの鼻ときたらひどいもんだ。全体何の罰であんなに延びたんだろう。おまけにさきをくるっと
曲げると、まるでおれのステッキの柄のようになる。」
 「はい。それは全く仰せの通りでございます。耳や足さきなんかはがさがさして少し汚のうございます。」
 「そうだ。汚いとも。耳はボロボロの麻のはんけち或は焼いたするめのようだ。足さきなどはことに見ら
れたものでない。まるで乾いた牛の糞
(くそ)だ。」
 「いや、そう仰っしゃってはあんまりでございます。それでお名前を何と云われましたでございましょうか。」
 「象だ。」
 「いまはどちらにおいででございましょうか。」
 「俺は象の弟子でもなければ貴様の小使いでもないぞ。」
 「はい、失礼をいたしました。それではこれでご免を蒙
(こうむ)ります。」
 「行け行け。」白熊は頭を掻きながら一生懸命向うへ走って行きました。
 象はいまごろどこかで赤い蛇の目の傘をひろげている筈だがとわたくしは思いました。
 ところが獅子は白熊のあとをじっと見送って呟やきました。
 「白熊め、象の弟子になろうというんだな。頭の上の方がひらたくていい弟子になるだろうよ。」そして又
のそのそと歩き出しました。
 月の青いけむりのなかに樹のかげがたくさん棒のようになって落ちました。
                                            
(丸写しオシマイ)
 『賢治童話を丸写しシリーズその102』でした。


 月夜のけだもの お気に入りオノマトペ
          そのまっくろな林のなかから                                           狐が赤縞の運動ズボンをはいて飛び出して来て                  いきなり獅子の前をかけぬけようとしました。    獅子は叫びました。「待て。」          狐は電気をかけられたようにブルルッとふるえて                    からだ中から赤や青の火花をそこら中へ                           ぱちぱち散らしてはげしく五六遍まわってとまりました。       なぜか口が横の方に引きつっていて                                意地悪そうに見えます。    獅子が落ちついてうで組みをして云いました。          「きさまはまだ悪いことをやめないな。                                  この前首すじの毛をみんな抜かれたのを                           もう忘れたのか。」    狐がガタガタ顫(ふる)えながら云いました。          「だ、大王様。                                                         わ、わたくしは、い今はもうしょう正直でございます。」 
 季節: 不特定                       歯がカチカチ云うたびに                                              青い火花はそこらへちらばりました。

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

▼ボクの好きなオノマトペ
5つが最高。)
@
のそのそ:【その青じろい月の明りを浴びて、獅子は檻のなかをのそのそあるいて居りました
      がほかのけだものどもは、頭をまげて前あしにのせたり、横にごろっとねころんだりし
      ずかに睡っていました。】
D
のそりのそり:【獅子はだまって受けとって脇にはさんでのそりのそりとこんどは自分が見まわ
      りに出ました。】
E
ころころ:【そこらは水のころころ流れる夜の野原です。】
22
ひくひく:【獅子はしばらく鼻をひくひくさせて又云いました。】
31
おいおい:【狐もおいおい泣きだしました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
ころころ:【そこらは水のころころ流れる夜の野原です。】

 水のころころ流れる夜の野原です、っつーの、心地いんだにゃぁ。


        獅子はしばらく鼻をひくひくさせて又云いました。                  「狸、狸。こら。かくれてもだめだぞ。出ろ。                          陰険なやつだ。」       .       狸が藪からこそこそ這い出して                                      黙って獅子の前に立ちました。  
     「こら狸。お前は立ち聴きをしていたな。」       狸は目をこすって答えました。「そうかな。」          そこで獅子は怒ってしまいました。                                 「そうかなだって。ずるめ、貴様はいつでもそうだ。                    はりつけにするぞ。はりつけにしてしまうぞ。」       狸はやはり目をこすりながら                                        「そうかな。」と云っています。    狐はきょろきょろその顔を盗み見ました。          獅子も少し呆れて云いました。                      「殺されてもいいのか。呑気なやつだ。                               お前は今立ち聴きしていたろう。」    「いいや、おらは寝ていた。」     

  ******** 月夜のけだものオノマトペ ********  .
 

@のそのそ:【その青じろい月の明りを浴びて、獅子は檻のなかをのそのそあるいて居りましたがほ
      かのけだものどもは、頭をまげて前あしにのせたり、横にごろっとねころんだりしずかに睡
      っていました。】
Aごろっ:【ほかのけだものどもは、頭をまげて前あしにのせたり、横にごろっとねころんだりしずか
      に睡っていました。】
Bうろうろうろうろ:【夜中まで檻の中をうろうろうろうろしていた狐さえ、おかしな顔をしてねむってい
      るようでした。】
Cぼうっ:【するとそこらがぼうっとけむりのようになってわたくしもそのけむりだか月のあかりだかわ
      からなくなってしまいました。】
Dのそりのそり:【獅子はだまって受けとって脇にはさんでのそりのそりとこんどは自分が見まわりに
      出ました。】
Eころころ:【そこらは水のころころ流れる夜の野原です。】
Fきっ:【獅子はめがねを直してきっとそれを見なおしました。】
Gぼうっ:【その月に向いた方のからだはぼうっと燐のように黄いろにまた青じろくひかりました。】
Hざらざら:【「灰色のざらざらした者ではございますが、眼は小さくていつも笑っているよう。」】
Iくるっ:【「おまけにさきをくるっと曲げると、まるでおれのステッキの柄のようになる。」】
Jボロボロ:【「耳はボロボロの麻のはんけち或は焼いたするめのようだ。」】
Kあんまり:【「いや、そう仰っしゃってはあんまりでございます。」】
Lじっ:【ところが獅子は白熊のあとをじっと見送って呟やきました。】
Mブルルッ:【狐は電気をかけられたようにブルルッとふるえてからだ中から赤や青の火花をそこら
      中へぱちぱち散らしてはげしく五六遍まわってとまりました。】
Nぱちぱち:【からだ中から赤や青の火花をそこら中へぱちぱち散らしてはげしく五六遍まわってと
      まりました。】
Oガタガタ:【狐がガタガタ顫
(ふる)えながら云いました。】
Pカチカチ:【歯がカチカチ云うたびに青い火花はそこらへちらばりました。】
Qすっかり:【狐はすっかりしょげて首を垂れてしまいました。】
Rカサカサ:【その時林のへりの藪がカサカサ云いました。】
Sむっ:【獅子がむっと口を閉じてまた云いました。】
21しん:【藪の中はしんとしてしまいました。】
22ひくひく:【獅子はしばらく鼻をひくひくさせて又云いました。】
23こそこそ:【狸が藪からこそこそ這い出して黙って獅子の前に立ちました。】
24きょろきょろ:【狐はきょろきょろその顔を盗み見ました。】
25ガァッ:【「そして俄に耳もとでガァッと云う声がするからびっくりして眼を醒
(さ)ましたのだ。」】
26やっき:【狸がやっきとなって腹鼓を叩いて狐を責めました。】
27もっ:【「こら、裁判というのはいかん。裁判というのはもっとえらい人がするのだ。」】
28やっ:【それからやっと笑うのをやめて云いました。】
29カサカサカサカサ:【カサカサカサカサ音がだんだん遠くなります。】
30だんだん:【カサカサカサカサ音がだんだん遠くなります。】
31おいおい:【狐もおいおい泣きだしました。】
32みしみし:【象が地面をみしみし云わせて走って来ましたので獅子が又ステッキを突き出して叫び
      ました。】
33うろうろうろうろ:【狐も沢山くしゃみをして起きあがってうろうろうろうろ檻の中を歩きながら向うの
      獅子の檻の中に居るまっくろな大きなけものを暗をすかしてちょっと見ました。】

 『月夜のけだもの』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                      2006.10.10.

 
 


『ダウンロード篇』の第十九話です。

 .      清夫は今日も、森の中のあき地に                                 ばらの実をとりに行きました。        そして一足冷たい森の中にはいりますと、                          つぐみがすぐ飛んで来て言いました。        「清夫さん。今日もお薬取りですか。                                お母さんは どうですか。                                             ばらの実は まだありますか。」        清夫は笑って、「いや、つぐみ、お早う。」                           と言いながら其処(そこ)を通りました。        其の声を聞いて、                                                    ふくろうが木の洞(ほら)の中で太い声で言いました。        「清夫どの、今日も薬をお集めか。                                  お母は すこしはいいか。                                            ばらの実は まだ無くならないか。                                   ゴギノゴギオホン、今日も薬をお集めか。                          お母は すこしはいいか。                                            ばらの実は まだ無くならないか。」        清夫は笑って、「いや、ふくろう、お早う。」                          と言いながら其処を通りすぎました。        森の中の小さな水溜りの葦(あし)の中で、                       さっきから一生けん命歌っていたよし切りが、                      あわてて早口に云いました。        「清夫さん清夫さん、お薬、お薬お薬、取りですかい?            清夫さん清夫さん、お母さん、お母さん、                          お母さんはどうですかい?清夫さん清夫さん、                    ばらの実ばらの実、ばらの実はまだありますかい?」 .
          清夫は笑って、「いや、よしきり、お早う。」                         と云いながら其処を通り過ぎました。    

********* 『よく利く薬とえらい薬』 12p *********
 

 ファイトォ一発!元気ハツラツ!だなす、      「清夫さんもうおひるです。                                            辯当(べんとう)おあがりなさい。                                    落しますよ。そら。」『よく利く薬とえらい薬』

 っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその103』だよん。(^ ^;

 そしてもう森の中の明地
(あきち)に来ました。
 そこは小さな円い緑の草原で、まっ黒なかやの木や唐檜
(とうひ)に囲まれ、その木の脚もとには野ばらが
一杯に茂って、丁度草原にへりを取ったようになっています。
 清夫はお日さまで紫色に焦げたばらの実をポツンポツンと取りはじめました。空では雲が旗のように光
って流れたり、白い孔雀の尾のような模様を作ってかがやいたりしていました。
 清夫はお母さんのことばかり考えながら、汗をポタポタ落して、一生けん命実をあつめましたがどう云う
訳かその日はいつまで経っても籠の底がかくれませんでした。そのうちにもうお日さまは、空のまん中ま
でおいでになって、林はツーンツーンと鳴り出しました。
 [木の水を吸いあげる音だ]と清夫はおもいました。
 それでもまだ籠の底はかくれませんでした。
 かけすが、
 「清夫さんもうおひるです。辯当
(べんとう)おあがりなさい。落しますよ。そら。」と云いながら青いどんぐりを
一粒ぽたっと落して行きました。
 けれども清夫はそれ所ではないのです。早くいつもの位取って、おうちへ帰らないとならないのです。も
う、おひるすぎになって旗雲がみんな切れ切れに東へ飛んで行きました。
 まだ籠の底はかくれません。
 よしきりが林の向うの沼に行こうとして清夫の頭の上を飛びながら、
 「清夫さん清夫さん。まだですか。まだですか。まだまだまだまだまぁだ。」と言って通りました。
 清夫は汗をポタポタこぼしながら、一生けん命とりました。いつまでたっても籠の底はかくれません。とう
とうすっかりつかれてしまって、ぼんやりと立ちながら、一つぶのばらの実を唇にあてました。
 するとどうでしょう。唇がピリッとしてからだがブルブルッとふるい、何かきれいな流れが頭から手から足
まで、すっかり洗ってしまったよう、何とも云えずすがすがしい気分になりました。空まではっきり青くなり、
草の下の小さな苔まではっきり見えるように思いました。
 それに今まで聞えなかったかすかな音もみんなはっきりわかり、いろいろの木のいろいろな匂まで、実に
一一手にとるようです。おどろいて手にもったその一つぶのばらの実を見ましたら、それは雨の雫のように
きれいに光ってすきとおっているのでした。
 清夫は飛びあがってよろこんで早速それを持って風のようにおうちへ帰りました。
                                                
(丸写しオシマイ)
 『賢治童話を丸写しシリーズその103』でした。


 よく利く薬とえらい薬 お気に入りオノマトペ
           ところがその話はだんだんひろまりました。            あっちでもこっちでも、                                                その不思議なばらの実について評判していました。         大かたそれは神様が                                                 清夫にお授けになったもんだろうというのでした。      ところが近くの町に大三というものがありました。            この人はからだがまるで象のようにふとって、                        それににせ金使いでしたから、                                       にせ金ととりかえた                                                    ほんとうのお金も沢山持っていましたし、
 季節: 秋    
      それに誰もにせ金使いだということを                                知りませんでしたから、自分だけでは                               まあこれが人間のさいわいというもので                             おれというものもずいぶんえらいもんだ                              と思って居ました。        ところがただ一つ、どうもちかごろ頭がぼんやりして                 いけない息がはあはあ云って困るというのでした。        お医者たちはこれは少し喰べすぎですよ、                         も少しごちそうを少くさえなされば頭のぼんやりしたのも            からだのだるいのもみんな直ります                                  とこう云うのでしたが、大三はいつでも、                            いいやこれは何か                                                     からだに不足なものがある為なんだ、        それだから、見ろ、むかしは脚気などでも                           米の中に毒があるためだから                                        米さえ食わなけぁなおるって云ったもんだが                         今はどうだ、それはビタミンというものが                              たべものの中に足りない為だとこう云うんだろう、         お前たちは医者ならそんなこと位知ってそうなもんだ               というような工合に却(かえ)って逆に                                お医者さんをいじめたりするのでした。

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

▼ボクの好きなオノマトペ
★★5つが最高。)
@
ゴギノゴギオホン:【「ゴギノゴギオホン、今日も薬をお集めか。」】
C
ツーンツーン:【そのうちにもうお日さまは、空のまん中までおいでになって、林はツーン
      ツーンと鳴り出しました。】
Q
くりくりくりくりくり:【「びっくりびっくり、くりくりくりくりくり。」】
R
くるくるん:【「薬さえ取ってしまったらこの林ぐらい、くるくるんに焼っぷくって見せるぞ。」】
23
アプッ:【するとアプッと云って死んでしまいました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
くるくるん:【「薬さえ取ってしまったらこの林ぐらい、くるくるんに焼っぷくって見せるぞ。」】

 この林ぐらい、くるくるんに焼っぷくって見せるぞ、っつーのコミカルな悪役ムードだやな。(^ ^;

ps.
ゴギノゴギオホン、っつーのたしか、『かしわばやしの夜』に、のろづきおほん、おほん、おほん、
  ごぎのごぎのおほん、っつー同じくふくろうの鳴き声で出て来たにゃぁ。(^ ^;


          そしてしきりに、頭の工合のよくなって                               息のはあはあや、からだのだるいのが治って                        そしてもっと物を沢山おいしくたべるような薬を                     さがしていましたが                                                    なかなか容易に見つかりませんでした。   .         そこへ丁度この清夫のすきとおるばらの実のはなしを              聞いたもんですからたまりません。                                   早速人を百人ほど頼んで、                                         林へさがしにやって参りました。         それも折角さがしたやつを、                                         すぐその人に呑まれてしまっては困るというので、                  暑いのを馬車に乗って、                                             自分で林にやって参りました。         それから林の入口で馬車を降りて、                                一足つめたい森の中にはいりますと、                               つぐみがすぐ飛んで来て、                                            少し呆れたように言いました。   .       「おや、おや、これは全体人だろうか象だろうか                      とにかくひどく肥ったもんだ。                                          一体何しに来たのだろう。」  
        大三は怒って、                                                      「何だと、今に薬さえさがしたらこの森ぐらい                          焼っぷくってしまうぞ。」 と云いました。         その声を聞いてふくろうが                                            木の洞(ほら)の中で太い声で云いました。          「おや、おや、ついぞ聞いたこともない声だ。                         ふいごだろうか。人間だろうか。もしもふいごとすれば、            ゴギノゴギオホン、銀をふくふいごだぞ。                             すてきに壁の厚いやつらしいぜ。」.         さあ大三は                                                            自分の職業のことまで云われたものですから、                    まっ赤になって頬をふくらせてどなりました。         「何だと。人をふいごだと。                                             今に薬さえさがしてしまったらこの林ぐらい                          焼っぷくってしまうぞ。」 と云いました。  

********* よく利くとえらいオノマトペ *********
 

@ゴギノゴギオホン:【「ゴギノゴギオホン、今日も薬をお集めか。」】
Aポツンポツン:【清夫はお日さまで紫色に焦げたばらの実をポツンポツンと取りはじめました。】
Bポタポタ:【清夫はお母さんのことばかり考えながら、汗をポタポタ落して、一生けん命実をあつ
      めましたがどう云う訳かその日はいつまで経っても籠の底がかくれませんでした。】
Cツーンツーン:【そのうちにもうお日さまは、空のまん中までおいでになって、林はツーンツーン
      と鳴り出しました。】
Dぽたっ:【「清夫さんもうおひるです。辯当おあがりなさい。落しますよ。そら。」と云いながら青い
      どんぐりを一粒ぽたっと落して行きました。】
Eとうとう:【とうとうすっかりつかれてしまって、ぼんやりと立ちながら、一つぶのばらの実を唇にあ
      てました。】
Fすっかり:【とうとうすっかりつかれてしまって、ぼんやりと立ちながら、一つぶのばらの実を唇に
      あてました。】
Gぼんやり:【ぼんやりと立ちながら、一つぶのばらの実を唇にあてました。】
Hピリッ:【唇がピリッとしてからだがブルブルッとふるい、何かきれいな流れが頭から手から足ま
      で、すっかり洗ってしまったよう、何とも云えずすがすがしい気分になりました。】
Iブルブルッ:【からだがブルブルッとふるい、何かきれいな流れが頭から手から足まで、すっか
      り洗ってしまったよう、何とも云えずすがすがしい気分になりました。】
Jはっきり:【空まではっきり青くなり、草の下の小さな苔まではっきり見えるように思いました。】
Kこわごわ:【お母さんはこわごわそれを水に入れて飲みましたら今までの病気ももうどこへやら
      急にからだがピンとなってよろこんで起きあがりました。】
Lピン:【今までの病気ももうどこへやら急にからだがピンとなってよろこんで起きあがりました。】
Mだんだん:【ところがその話はだんだんひろまりました。】
Nはあはあ:【ところがただ一つ、どうもちかごろ頭がぼんやりしていけない息がはあはあ云って
      困るというのでした。】
Oもっ:【そしてしきりに、頭の工合のよくなって息のはあはあや、からだのだるいのが治ってそし
      てもっと物を沢山おいしくたべるような薬をさがしていましたがなかなか容易に見つかり
      ませんでした。】
Pやっぱり:【「おやおやおや、これは一体大きな皮の袋だろうか、それともやっぱり人間だろうか、
      愕
(おどろ)いたもんだねえ、愕いたもんだねえ。」】
Qくりくりくりくりくり:【「びっくりびっくり、くりくりくりくりくり。」】
Rくるくるん:【「薬さえ取ってしまったらこの林ぐらい、くるくるんに焼っぷくって見せるぞ。」】
Sガサガサガサガサ:【みんなでガサガサガサガサさがしましたが、どうしてもそんなものはありま
      せん。】
21ポン:【大三もしばらくは困って立っていましたが、やがてポンと手を叩いて云いました。】
22ブウブウ:【それからすきとおらせる為に、ガラスのかけらと水銀と塩酸を入れて、ブウブウとふ
      いごにかけ、まっ赤に灼きました。】
23アプッ:【するとアプッと云って死んでしまいました。】

 『よく利く薬とえらい薬』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                   2006.10.12.

 
 


『ダウンロード篇』の第二十話です。
   この農園のすもものかきねは                                        いっぱいに青じろい花をつけています。      雲は光って立派な玉髄の置物です。         四方の空を繞(めぐ)ります。         すもものかきねのはずれから                                         一人の洋傘直しが荷物をしょって、                                この月光をちりばめた                                                緑の障壁(しょうへき)に沿ってやって来ます。      てくてくあるいてくるその黒い細い脚は                               たしかに鹿に肖(に)ています。             .
   そして日が照っているために荷物の上にかざされた                赤白だんだらの小さな洋傘は                                       有平糖(あるへいとう)でできてるように思われます。      [洋傘直し、洋傘直し、なぜそうちらちら                     かきねのすきから農園の中をのぞくのか。]      そして てくてく やって来ます。         有平糖(あるへいとう)のその洋傘はいよいよひかり               洋傘直しのその顔は                                                 いよいよ熱(ほて)って笑っています。      [洋傘直し、洋傘直し、なぜ農園の入口でおまえは               きくっと曲るのか。                                                     農園の中などにおまえの仕事はあるまいよ。]

       洋傘直しは農園の中へ入ります。       

 ********** 『チュウリップの幻術』 18p ********** .
 

 絶滅職人『洋傘直しクン』、いんてりげんちゃんだなす、『チュウリップの幻術』

 っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその104』だよん。(^ ^;

 洋傘直しは農園の中へ入ります。しめった五月の黒つちにチュウリップは無雑作に並べて植えられ、
一めんに咲き、かすかにかすかにゆらいでいます。
 [洋傘直し、洋傘直し。荷物をおろし、おまえは汗を拭いている。そこらに立ってしばらく花を見ようと
いうのか。そうでないならそこらに立っていけないよ。]
 園丁がこてをさげて青い上着の袖で額の汗を拭きながら向うの黒い独乙
(ドイツ)唐檜(とうひ)の茂みの中
から出て来ます。
 「何のご用ですか。」
 「私は洋傘直しですが何かご用はありませんか。若し又何か鋏でも研ぐのがありましたらそちらの方
もいたします。」
 「ああそうですか。一寸お待ちなさい。主人に聞いてあげましょう。」
 「どうかお願いいたします。」
 青い上着の園丁は独乙
(ドイツ)唐檜(とうひ)の茂みをくぐって消えて行き、それからぽっと陽も消えました。
 よっぽど西にその太陽が傾いて、いま入ったばかりの雲の間から沢山の白い光の棒を投げそれは向
うの山脈のあちこちに落ちてさびしい群青の泣き笑いをします。
 有平糖
(あるへいとう)の洋傘もいまは普通の赤と白とのキャラコです。
 それから今度は風が吹きたちまち太陽は雲を外れチュウリップの畑にも不意に明るく陽が射しました。
まっ赤な花がぷらぷらゆれて光っています。
 園丁がいつか俄かにやって来てガチャッと持って来たものを置きました。
 「これだけお願いするそうです。」
 「へい。ええと。この剪定鋏
(せんていばさみ)はひどく捩(よじ)れておりますから鍛冶に一ぺんおかけなさらない
と直りません。こちらの方はみんな出来ます。はじめにお値段を決めておいてよろしかったらお研ぎいた
しましょう。」
 「そうですか。どれだけですか。」
 「こちらが八銭、こちらが十銭、こちらの鋏は二丁で十五銭にいたして置きましょう。」
 「ようござんす。じゃ願います。水がありますか。持って来てあげましょう。その芝の上がいいですか。ど
こでもあなたのすきな処でおやりなさい。」
 「ええ、水は私が持って参ります。」
 「そうですか。そこのかきねのこっち側を少し右へついておいでなさい。井戸があります。」
 「へい。それではお研ぎいたしましょう。」
 「ええ。」
 園丁は又唐檜
(とうひ)の中にはいり洋傘直しは荷物の底の道具のはいった引き出しをあけ缶を持って水
を取りに行きます。
 そのあとで陽が又ふっと消え、風が吹き、キャラコの洋傘はさびしくゆれます。
 それから洋傘直しは缶の水をぱちゃぱちゃこぼしながら戻って来ます。
 鋼砥
(かなど)の上で金剛砂(こんごうしゃ)がじゃりじゃり云いチュウリップはぷらぷらゆれ、陽が又降って赤い
花は光ります。
 そこで砥石に水が張られすっすと払われ、秋の香魚
(あゆ)の腹にあるような青い紋がもう刃物の鋼にあ
らわれました。
 ひばりはいつか空にのぼって行ってチーチクチーチクやり出します。高い処で風がどんどん吹きはじ
め雲はだんだん融けていっていつかすっかり明るくなり、太陽は少しの午睡
(ごすい)のあとのようにどこか
青くぼんやりかすんではいますがたしかにかがやく五月のひるすぎを拵
(こしら)えました。
                                                   
(丸写しオシマイ)
 『賢治童話を丸写しシリーズその104』でした。


 チュウリップの幻術 漫画紹介

 @片山愁:風の又三郎(角川書店)           .


                    モダンなのら。(^ ^;
 

 片山愁の漫画版『チュウリップの幻術』は、大正モダニズムだにゃぁ。

 片山愁チャン、えらい!誰も漫画化してにゃいこんな地味な作品を漫画化したのは、えらい!
『チュウリップの幻術』が好き、っつー感じが絵にも現れてて、好感を持ったにゃぁ。
 ライバル漫画がないのでほめてる、っつーのもあるけど、絵が大正モダンしてるのは決して悪
くはにゃい。洋傘直しクンがエステル工学校の卒業生、っつーいんてりげんちゃんムードもほど
良く出ててえがっだにゃぁ。ま、いつも通りギャグもデフォルメもじぇんじぇんにゃいのは不満だけ
れどね。

 っつーことで、『チュウリップの幻術』の漫画版、モダン、っつーのがえらいだなす。(^ ^;


   チュウリップの幻術 お気に入りオノマトペ
                園丁が顔をまっ赤にほてらして飛んで来ました。              「もう出来たんですか。」                                             「ええ。」      「それでは代を持って来ました。                                       そっち三十三銭ですね。お取り下さい。                           それから私の分はいくらですか。」                                   洋傘直しは帽子をとり銀貨と銅貨とを受け取ります。      「ありがとうございます。                                                剃刀(かみそり)のほうは要りません。」                            「どうしてですか。」                                                    「お負けいたしておきましょう。」                                      「まあ取って下さい。」      「いいえ、いただくほどじゃありません。」                             「そうですか。ありがとうございました。                                 そんなら一寸向うの番小屋までおいで下さい。                   お茶でもさしあげましょう。」      「いいえ、もう失礼いたします。」                                     「それではあんまりです。一寸お待ち下さい。                       ええと、仕方ない、そんならまあ                                     私の作った花でも見て行って下さい。」     「ええ、ありがとう。拝見しましょう。」                                「そうですか。では。」
 季節: 五月のひるすぎ         その気紛れの洋傘直しと園丁とは                                 うっこんこうの畑の方へ五、六歩寄ります。     主人らしい人の縞のシャツが                                        唐檜(とうひ)の向うでチラッとします。                               園丁はそっちを見                                                     かすかに笑い何か云いかけようとします。
      けれどもシャツは見えなくなり、                                      園丁は花を指さします。                                            「ね、此の黄と橙の大きな斑(ぶち)は                              アメリカから直かに取りました。                                      こちらの黄いろは見ていると額が痛くなるでしょう。」              「ええ。」      「この赤と白の斑(ぶち)は私はいつでも                             昔の海賊のチョッキのような気がするんですよ。ね。               それからこれは                                                        まっ赤な羽二重(はぶたえ)のコップでしょう。                       この花びらは                                                          半ぶんすきとおっているので大へん有名です。                     ですからこいつの球は                                                 ずいぶんみんなで欲しがります。」      「ええ、全く立派です。                                                赤い花は風で動いている時よりも                                  じっとしている時の方がいいようですね。」

◆オラが好きなオノマトペ=読んでない。

▼ボクの好きなオノマトペ
5つが最高。)
A
だんだら:【そして日が照っているために荷物の上にかざされた赤白だんだらの小さな洋傘
      は有平糖
(あるへいとう)でできてるように思われます。】
C
きくっ:【[洋傘直し、洋傘直し、なぜ農園の入口でおまえはきくっと曲るのか。]】
E
ぷらぷら:【まっ赤な花がぷらぷらゆれて光っています。】
J
すっす:【そこで砥石に水が張られすっすと払われ、秋の香魚(あゆ)の腹にあるような青い紋
      がもう刃物の鋼にあらわれました。】
K
チーチクチーチク:【ひばりはいつか空にのぼって行ってチーチクチーチクやり出します。】
27
きゃんきゃん:【「まん中に居てきゃんきゃん調子をとるのがあれが桜桃の木ですか。」】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
だんだら:【そして日が照っているために荷物の上にかざされた赤白だんだらの小さな洋傘
      は有平糖
(あるへいとう)でできてるように思われます。】

 
だんだら、っつーの江戸ニュアンスだなや、好きだにゃぁ。(^ ^;

 有平糖
(あるへいとう)、っつーのも好きだにゃぁ。(^ ^;


      「そうでしょうとも、それですから、ごらんなさい。                     あの花の盃の中からぎらぎら光ってすきとおる蒸気が             丁度水へ砂糖を溶(とか)したときのように                         ユラユラユラユラ空へ昇って行くでしょう。」       .    「ええ、ええ、そうです。」          .    「そして、そら、光が湧いているでしょう。                              おお、湧きあがる、湧きあがる、                                     花の盃をあふれてひろがり湧きあがり                               ひろがりひろがりもう青ぞらも光の波で一ぱいです。               山脈の雪も光の中で機嫌よく空へ笑っています。                湧きます、湧きます。ふう、チュウリップの光の酒。                 どうです。チュウリップの光の酒。ほめて下さい。」       .    「ええ、このエステルは上等です。                                     とても合成できません。」       .    「おや、エステルだって、合成だって、                                 そいつは素敵だ。                                                     あなたはどこかの化学大学校を出た方ですね。」  
      「いいえ、私はエステル工学校の卒業生です。」   ..     「エステル工学校。ハッハッハ。素敵だ。                             さあどうです。一杯やりましょう。                                     チュウリップの光の酒。さあ飲みませんか。」..     「いや、やりましょう。                                                   よう、あなたの健康を祝します。」..     「よう、ご健康を祝します。いい酒です。                             貧乏な僕のお酒は又一層に光っておまけに軽いのだ。」..     「けれどもぜんたいこれでいいんですか。                            あんまり光が過ぎはしませんか。」..  
       「いいえ心配ありません。                                             酒があんなに湧きあがり波を立てたり渦になったり                花辨をあふれて流れても                                            あのチュウリップの緑の花柄は                                       一寸もゆらぎはしないのです。                                      さあも一つおやりなさい。」    

********** チュウリップの幻術』             .
                  のオノマトペ **********
 

@てくてく:【てくてくあるいてくるその黒い細い脚はたしかに鹿に肖(に)ています。】
Aだんだら:【そして日が照っているために荷物の上にかざされた赤白だんだらの小さな洋傘は有
      平糖
(あるへいとう)でできてるように思われます。】
Bちらちら:【[洋傘直し、洋傘直し、なぜそうちらちらかきねのすきから農園の中をのぞくのか。]】
Cきくっ:【[洋傘直し、洋傘直し、なぜ農園の入口でおまえはきくっと曲るのか。]】
Dぽっ:【青い上着の園丁は独乙
(ドイツ)唐檜(とうひ)の茂みをくぐって消えて行き、それからぽっと陽も
      消えました。】
Eぷらぷら:【まっ赤な花がぷらぷらゆれて光っています。】
Fガチャッ:【園丁がいつか俄かにやって来てガチャッと持って来たものを置きました。】
Gふっ:【そのあとで陽が又ふっと消え、風が吹き、キャラコの洋傘はさびしくゆれます。】
Hぱちゃぱちゃ:【それから洋傘直しは缶の水をぱちゃぱちゃこぼしながら戻って来ます。】
Iじゃりじゃり:【鋼砥
(かなど)の上で金剛砂(こんごうしゃ)がじゃりじゃり云いチュウリップはぷらぷらゆれ、
      陽が又降って赤い花は光ります。】
Jすっす:【そこで砥石に水が張られすっすと払われ、秋の香魚
(あゆ)の腹にあるような青い紋がも
      う刃物の鋼にあらわれました。】
Kチーチクチーチク:【ひばりはいつか空にのぼって行ってチーチクチーチクやり出します。】
Lどんどん:【高い処で風がどんどん吹きはじめ雲はだんだん融けていっていつかすっかり明るく
      なり、太陽は少しの午睡
(ごすい)のあとのようにどこか青くぼんやりかすんではいますがた
      しかにかがやく五月のひるすぎを拵
(こしら)えました。】
Mだんだん:【雲はだんだん融けていっていつかすっかり明るくなり、太陽は少しの午睡
(ごすい)のあ
      とのようにどこか青くぼんやりかすんではいますがたしかにかがやく五月のひるすぎを拵
      
(こしら)えました。】
Nすっかり:【いつかすっかり明るくなり、太陽は少しの午睡
(ごすい)のあとのようにどこか青くぼんや
      りかすんではいますがたしかにかがやく五月のひるすぎを拵
(こしら)えました。】
Oぼんやり:【太陽は少しの午睡
(ごすい)のあとのようにどこか青くぼんやりかすんではいますがたし
      かにかがやく五月のひるすぎを拵
(こしら)えました。】
Pじっ:【[おお、洋傘直し、洋傘直し、なぜその石をそんなに眼の近くまで持って行ってじっとなが
      めているのだ。]】
Qむくむく:【[あの、黒い山がむくむく重なり、その向うには定めない雲が翔け、渓の水は風より軽
      く幾本の木は険しい崖からからだを曲げて空に向う、あの景色が石の滑らかな面に描い
      てあるのか。]】
Rポタポタ:【それは音なく砥石をすべり陽の光が強いので洋傘直しはポタポタ汗を落します。】
Sほっ:【洋傘直しは剃刀(かみそり)をていねいに調べそれから茶いろの粗布の上にできあがっ
      た仕事をみんな載せほっと息して立ちあがります。】
21チラッ:【主人らしい人の縞のシャツが唐檜
(とうひ)の向うでチラッとします。】
22じっ:【「赤い花は風で動いている時よりもじっとしている時の方がいいようですね。」】
23ぎらぎら:【「あの花の盃の中からぎらぎら光ってすきとおる蒸気が丁度水へ砂糖を溶
(とか)したと
      きのようにユラユラユラユラ空へ昇って行くでしょう。」】
24ユラユラユラユラ:【「すきとおる蒸気が丁度水へ砂糖を溶
(とか)したときのようにユラユラユラユラ
      空へ昇って行くでしょう。」】
25おっ:【「やりますとも、おっと沢山沢山。」】
26あんまり:【「あんまり気取ってやがる、畜生。」】
27きゃんきゃん:【「まん中に居てきゃんきゃん調子をとるのがあれが桜桃の木ですか。」】
28やっぱり:【「やっぱり巴丹杏
(はたんきょう)やまるめろの歌は上手です。」】
29ガリガリ:【「みんなガリガリ骨ばかり、おや、いけない、いけない、すっかり崩れて泣いたりわめ
      いたりむしりあったりなぐったり一体あんまり冗談が過ぎたのです。」】
30パチパチパチパチ:【「パチパチパチパチやっている。」】
31よろよろ:【洋傘直しは荷物へよろよろ歩いて行き、有平糖の広告つきのその荷物を肩にし、も
      う一度あのあやしい花をちらっと見てそれからすももの垣根の入口にまっすぐに歩いて
      行きます。】
32ちらっ:【有平糖の広告つきのその荷物を肩にし、もう一度あのあやしい花をちらっと見てそれ
      からすももの垣根の入口にまっすぐに歩いて行きます。】

 『チュウリップの幻術』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                       2006.10.15.

 
 


 っつーことで、戯曲3篇を含む宮沢賢治全童話103篇のオノマトペ、ほぼ全部コレクションだなや。(^ ^;
 ちなみに、延べ総数4,683のオノマトペでしたなも。
 長らくのご愛読、ありがとうだなす。えがっだ、えがった。



ご愛読      ご愛読 ありがとう ございました。      感謝!



 ps.えー、これで終わらせないのがボクの悪いクセなんですが、次ページは、毎度おなじみのExcelに
    よる、『イーハトーヴ・オノマトペ・データ』、っつーのをでっち上げますので、ヒマ〜な人はちょこ
    っと見てくなさい。 スネオ 拝 (^ ^;


 
 







 
 

   今まで聞えなかったかすかな音も                                   みんなはっきりわかり、                                               いろいろの木のいろいろな匂いまで、                               実に一一手にとるようです。







 
       
 


 トップページは罵詈雑言だなす。                                                   ♪ギャグに追い付く貧乏は無し♪

 

  (貴重なほんのわずかな読者の方々へ)
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オノマトペ・データ

 
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    おどろいて手にもったその一つぶのばらの実を見ましたら、        それは雨の雫のように                                                きれいに光ってすきとおっているのでした。                                                              by『よく利く薬とえらい薬』