CIC・ビクタービデオ株式会社 |
待望のクルセイダーズのビデオ・テープがいよいよ登場!
それがまた、このグループのホームグラウンド、ハリウッドの
ライブハウスでの生き生きした熱演というからこたえられない。
目のあたりにするこの白熱のステージ演奏は
ノース・ハリウッドにあるカントリー・クラブ店内で収録したもの。
1,000名以上を収容できる、ジャズ、ロック界の人気スターらが
よく出演するハリウッドでは有名なクラブだ。
撮影は'82年4月20日の晩、さすがに大人気のクルセイダーズ出演とあって、
超満員のムンムンするような熱気いっぱいの場内で行われた。
プロデュースは日本ビクターの長谷川誠チーフ・プロデューサー。
完壁な録音技術はもちろんだが、撮影はフランシス・コッポラ監督の
秘蔵弟子である新鋭ヨン・デ・ボンがチーフ・カメラマンとして起用され、
当夜の熱狂的雰囲気を余すところなくとらえた絶妙
のカメラワークがすばらしい。
「ミッドナイト・トライアングル」というタイトルは、
もちろんクルセイダーズの歴史とともに歩んできたウィルトン・フェルダー、
ジョー・サンプル、スティックス・フーパーの三大スターを意味するが、
この三人を新手法で紹介する@<イントロ〉から始まる。
ドラム・セットでキッと見えを切るスティックスの表情など
カメラは見事にとらえている。
A「サンシャイン・イン・ユア・アイズ」は'81年アルバム
「スタンディング・トール」中のジョー・サンプルの曲。
大熱演のウィルトンの表情やキーボード上のジョー・サンプルの
微妙な指先の動きまでクローズアップ、さらにはバリー・フィナティーの
ギター熱演と、最初から場内の興奮に完全に引きずり込まれてしまう。
B「ソウル・シャドウズ」は'80年アルバム「ラプソディー&ブルース」中の曲。
同アルバムではビル・ウィザースが歌っていたが、
ここではシカゴ出身のベテラン、ビル・ヘンダーソンが赤いマフラーを
無造作に巻いて登場、ソウルフルな熱唱で場内を圧倒してしまう。
べ一スのエディ・ワトキンスもなにげなく紹介される。
当夜のレパートリーは比較的最近のものが多いので、
日本側からのリクエストとしてC「スクラッチ」が選ばれた。
このグループを離れたウェイン・ヘンダーソンが'74年同名アルバム中に
書いた曲だが、ここでは豪快なロック・ビートにのった各プレイヤーの熱演、
表情などが十二分に楽しめる。
D「メロディーズ・オブ・ラブ」は'78年の一大傑作アルバム
「虹の楽園」中のジョー・サンプル自身の曲。
おもむろにピアノの前に座り直した彼の1O分間にもおよぷ熱演が見もの。
このビデオ・テープでのハイライトだろう。
神技ともいえる彼の微妙なタッチをあらゆる角度から
余すところなくとらえたカメラワークは絶讃すべきだろう。
10分聞という時間があっという間に過ぎてしまう。
後半トップのE「ジャスミン・ブリーズ」では
これまたビデオ・テープならではの多彩なシーンが堪能できる。
米国内のクルセイダーズ公演ではよく共演する日系人オサム・キタジマ(琴)と
マサカズ・ヨシザワ(尺八)のデュエットによるイントロから始まる。
スティックス・フーパーの'79年アルバム「ワールド・ウィズイン」中の曲だが、
真剣なスティックスの表情や、マリンバの妙技を聞かせるリッキー・ケリーの
キモノ姿での熱演などなかなかおもしろい。
インド系ヴァイオリニスト、L・スブラマニアムの妙技なども加わり、
東洋メロディーとアフロ・リズムとの見事な調和、
まさにビデオ・テープでなくては味わえない一曲だろう。
黒人青年がひとり客席から立上って拍手という点景もほほえましい。
F「いつか自由に」はウィルトン・フェルダーの'80年ソロ・アルバム
「インヘリット・ザ・ウィンド」中に収録されていたが、
亡きダニー・ハサウェイの曲で同アルバムではポビー・ウーマックが
ゲストとして歌っていた。ここでは再びビル・ヘンダーソンが登場、
堂々たる名唱の細かいニュアンスまでが見事にとらえられている。
G「アフリカン・スピリット」はこれもスティックスのアルバム
「ワールド・ウィズイン」中の曲だが、ファンにとっては思いがけぬ
拾い物といった一幕。三分間足らずの演奏だが、
スティックスとパウリーニョ・ダ・コスタの名手二人による
ドラム対パーカッション合戦が絶品。
パウリーニョの数々のラテン・パーカッションの妙技に注目!
二人の躍動する表情が楽しい。
いよいよ盛り上った場内、天井のミラー・ボールのクローズアップから
H「スノウ・フレイク」が始まる。
'78年アルバム「イメージ」からの曲で作曲はジョー・サンプル。
ここでは各プレイヤーの絶妙のソロがじっくりと楽しめる。
I「スタンディング・トール」は'81年同名アルバムからの話題曲。
ジョー・サンプルの曲でリクエストもなかなか多い。
イントロでのジョーのリズムにのりきったファンキーな表情をお見落としなく…。
バリー・フィナティーの熱演ぶりもカメラが丹念にキャッチしている。
ラストのJ「セイム・オールド・フィーリング」は'76年アルバム
「南から来た十字軍」中のウェイン・ヘンダーソンの曲。
充実したステージのフィナーレにふさわしく、場内の観客一同も大満足。
エディとバリーのヴォーカルも雰囲気を完全に盛り上げる。
クルセイダーズのエキサイティングなステージのすべてを目のあたりにできる
このビデオ・テープ!! 何回でも繰り返し飽きない傑作だろう。
糸居五郎
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